スタンフォード・トーラスとは? わかりやすく解説

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スタンフォード・トーラス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 02:31 UTC 版)

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スタンフォード・トーラスの外観。底部中央は、回転しない太陽鏡で、日光を反射してハブに取り付けられた二次鏡を照らす。Donald E. Davis画
スタンフォード・トーラスの内部。Donald E. Davis画

スタンフォード・トーラス(Stanford torus)は、1万人から14万人が居住することができる[1]スペースコロニーの設計である[2]

スタンフォード・トーラスは、1975年にスタンフォード大学で行われたアメリカ航空宇宙局の夏期セミナーで提案された[3]。(ジェラード・K・オニールは、後にトーラスに代わるものとして、島1号を提案した[4]。)「スタンフォード・トーラス」とは、この特定の設計のみを指すが、環状で回転するスペースコロニーのコンセプトは、これより前にヴェルナー・フォン・ブラウン[5]やヘルマン・ポトチェニク[6]によって提案されていた。

スタンフォード・トーラスは、直径1.8kmのドーナツ状のトーラスから構成され、1分間に1回転することで、遠心力により外側のトーラスの内部に0.9Gから1.0Gの人工重力を作り出している[7]

日光は、鏡のシステムによってトーラス内部に取り入れられる。トーラスは、住民や物資の通路となる多数のスポークによってハブに繋がれる。ハブはステーションの自転軸上にあるため、人工重力が最も小さく、宇宙船のドッキングに最も容易な箇所である。ハブの軸に取り付けられたモジュールでは、無重力による製品製造が可能である[8]

トーラスの内部空間は居住用に使われ、「自然な」環境を模倣するのに十分な広さを持つ。トーラスは、長く、狭く、真っ直ぐな氷河谷のように見え、その端は上方にカーブしている。人口密度は混雑する都市程度で、トーラスの一部は農地や住宅に用いられる[9]

製造

トーラスには、1000万トン近くの質量が必要になる。製造にはの鉱物が使われ、マスドライバーによって輸送される。L2ラグランジュ点で物質が集められ、L5に輸送されてトーラスが組み立てられる。月で採集できない物質だけが、地球から輸送される。代替として小惑星採鉱で素材を得ることも考えられる[10]

性質

  • 位置:地球-月のL5ラグランジュ点
  • 合計質量:1000万トン(放射シールド、住人、大気を含む)
  • 直径:1790m
  • 居住チューブ直径:130m
  • スポーク:直径15mが6本
  • 回転:毎分1回転
  • 放射シールド:厚さ1.7mの月の土

ギャラリー

フィクション

ジョン・ヴァーリイGaea三部作は、土星周回軌道上のスタンフォード・トーラスを描いた作品である。ラリー・ニーヴンの『リングワールド』や、アーサー・C・クラークが原作を書き、スタンリー・キューブリックが1968年に製作した映画『2001年宇宙の旅』にも描かれた地球を周回するスペースステーションV等、SF小説には他にも多くの環状のスペースコロニーが登場する。

コンピュータゲームStartopiaは、スタンフォード・トーラス内をリアルタイムでシミュレーションしたゲームである。

機動戦士ガンダムUC:スタンフォード・トーラスをモデルとしたスペースコロニーが地球連邦政府の首相官邸「ラプラス」として登場し、内部で宇宙世紀への改元セレモニーが行われていたが、「ラプラス事件」により爆破され崩壊する。

関連項目

出典

  1. ^ Johnson. NASA Study, pg 1, "The Overall System", pg 60, Summary
  2. ^ Johnson, Holbrow (1977年). “Space Settlements: A Design Study”. National Aeronautics and Space Administration. http://settlement.arc.nasa.gov/75SummerStudy/Table_of_Contents1.html 
  3. ^ Johnson. NASA Study, pg VII, "Preface"
  4. ^ Gerard K. O'Neil, "The High Frontier", William Morrow & Co., 1977, p149
  5. ^ Von Braun, W.:Crossing the Final Frontier, Colliers, March 22, 1952
  6. ^ Hermann Poto?nik : The Problem of Space Travel (1929)
  7. ^ Johnson, NASA study, p46
  8. ^ Johnson. NASA Study, Chap. 5
  9. ^ Johnson. NASA Study, Chap. 5
  10. ^ Johnson, Richard D.; Holbrow, Charles (1977年). “Space Settlements: A Design Study”. NASA Technical Reports Server. pp. 201. 2012年10月20日閲覧。

関連項目


スタンフォード・トーラス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 09:29 UTC 版)

スペースコロニー」の記事における「スタンフォード・トーラス」の解説

詳細は「スタンフォード・トーラス」を参照 スタンフォード・トーラスは、1975年スタンフォード大学にて設計されトーラス型(ドーナツ型)のデザイン直径1.6km、1万人の人口想定しており、1rpmで回転してリング内部外側に、地球同等重力発生させる太陽光は鏡で取り込まれるリングスポーク結ばれスポークは人や物資移動にも使用されるまた、スポーク繋がれハブ無重力であるため、宇宙船ドッキングなどに使用される。 スタンフォード・トーラス(外観) スタンフォード・トーラス(断面) スタンフォード・トーラス(内部

※この「スタンフォード・トーラス」の解説は、「スペースコロニー」の解説の一部です。
「スタンフォード・トーラス」を含む「スペースコロニー」の記事については、「スペースコロニー」の概要を参照ください。

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