ジェネシスIとは? わかりやすく解説

ジェネシスI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/07 04:14 UTC 版)

ジェネシスI
詳細
COSPAR ID 2006-029A
SATCAT番号 29252
コールサイン NORAD #29252 (1)
乗員数 無人
打上げ日時 2006年7月12日
14:53:30 UTC (3)
発射台 ヤースヌイ宇宙基地
ロシア(3)
再突入 2013年–2019年 (4)
運用状況 軌道上
質量 1,360 kg (3,000 lb) (5)
全長 4.4 m (14.4 ft) (2)
直径 2.54 m (8.3 ft) (2)
居住空間 11.5 m3 (406.1 cu ft) (2)
気圧 51.7 kPa (7.5 psi) (6)
近地点 547.6 km (340.3 mi) (1)
遠地点 579.4 km (360.0 mi) (1)
軌道傾斜角 64.51° (1)
平均速度 27,243 km/h (16,928 mph) (2)
公転周期 95.8分 (1)
日周回数 15.03 (1)
周回日数 >1,100日 (1)
総周回数 >16,500 (1)
脚注: 1[1] 2[2] 3[3] 4[4] 5[5] 6[6]

ジェネシスI(Genesis I)は、アメリカ合衆国の民間企業ビゲロー・エアロスペースによって設計・製造され、2006年に打ち上げられた、実験的な宇宙ステーションである。企業によって軌道に投入された世界初の宇宙ステーションモジュールであり、長期間の宇宙居住の実現性を確認するための様々なシステム、材料、技術の試験を行っている。ジェネシスIやその他のビゲロー・エアロスペース社のモジュールは、アメリカ航空宇宙局トランスハブの設計を基にしている。

歴史

ジェネシスIは2006年7月12日14時53分30秒UTCにISCコスモトラスドニエプルロケットで、ロシアのドンパロフスキー射場から打ち上げられた。軌道への投入は成功し、15時8分UTCからビゲロー・エアロスペースによる制御が可能となった[3]BA 330の3分の1の大きさに設計され、本体の軌道上での大きさは、長さ4.4m、直径2.54m、内部居住体積11.5m3となった。しかし軌道に入ってから膨張する設計となっており、打上げ時の直径はわずか1.6mだった[7]。膨張には約10分を要した[4]

2006年12月にジェネシスIは太陽嵐が原因の大量の放射線を浴びた。システムの再起動は可能だったが、2007年3月時点でこれ以上の損傷は見られていない[8]

ジェネシスIは、打上げから660日後の2008年5月8日に1万周目を達成した。この時点で、地球と月の間の1154往復分に相当する4億3000万㎞以上の距離を飛行したことになり、7つ全ての大陸を含む1万4000枚以上の写真を撮影した。起動以来、電子装置も正常に機能し続けた[9]

システム

ジェネシスIは両端に4枚ずつ8枚のヒ化ガリウム太陽電池パネルを備えている。合計で1キロワットの電力を生産し[10]、26ボルトの電圧を供給する[11]。13台のカメラを搭載しているが、7台は外部で本体の外層や太陽電池等の物理状態をモニターし、6台は内部で様々な実験や観測のための撮影を行った[2]。内部の気圧は51.7kPaに保たれ[6]、受動的温度制御で気温は4.5℃から32℃まで[12]平均26℃[11]に保たれた。膨張システムのために1つのガスタンクが使われ、姿勢制御はトルクロッド、太陽センサグローバル・ポジショニング・システム磁気センサによって行われた[13]

ペイロード

ジェネシスIには、飛行に必要なシステムや機器の他に様々な荷物が積み込まれた。ビゲロー・エアロスペースの職員は沢山の写真や玩具、カード等を入れた。また、マダガスカルヒッシングコックローチ英語版メキシコトビマメ等を含む生物学関連の実験装置も積みこまれた[14][15]。さらに、ビゲロー・エアロスペースはNASAが将来のGeneSatミッションで使われるシステムを試験するためのGeneBoxと呼ばれる装置も積んでいる。GeneBoxには生物は入っていないが、将来は無重力が遺伝子や細胞や微生物の遺伝に与える影響をセンサ等を用いて調べる予定である[16][17]

出典

  1. ^ Genesis I satellite details”. N2YO.com. 2009年9月9日閲覧。
  2. ^ a b Genesis I General Specs”. BigelowAerospace.com. 2007年12月20日閲覧。
  3. ^ a b Russia inaugurates new space launch site”. RussianSpaceWeb.com (2006年7月17日). 2007年6月30日閲覧。
  4. ^ a b David, Leonard (2006年7月21日). “Bigelow Aerospace's Genesis-1 Performing Well”. Space.com. http://www.space.com/missionlaunches/060721_bigelow_genesis-1.html 2007年6月30日閲覧。 
  5. ^ Boyle, Alan (2007年4月17日). “Private space station test delayed till May”. MSNBC.com. オリジナルの2007年5月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070519220824/http://www.msnbc.msn.com/id/18142397/ 2007年6月30日閲覧。 
  6. ^ a b David, Leonard (2006年7月13日). “Bigelow's Genesis-1 Performing Well”. LiveScience.com. http://www.livescience.com/blogs/2006/07/13/bigelows-genesis-1-performing-well/ 2007年6月30日閲覧。 
  7. ^ “Genesis II Calls Home, Says It's Doing Fine”. BigelowAerospace.com. (2007年6月28日). http://www.bigelowaerospace.com/news/?Genesis_II_Calls_Home 2007年12月20日閲覧。 
  8. ^ David, Leonard (2007年3月26日). “Bigelow Aerospace Sets a Business Trajectory”. Space.com. http://www.space.com/spacenews/070326_bigelow_businessmonday.html 2007年8月6日閲覧。 
  9. ^ Malik, Tariq (2008年5月9日). “Private Space Station Prototype Hits Orbital Milestone”. Space.com. http://www.space.com/missionlaunches/080509-bigelow-genesis1-milestone.html 2008年5月9日閲覧。 
  10. ^ Genesis-I & II”. SpaceQuest.com. 2007年6月30日閲覧。
  11. ^ a b David, Leonard (2006年7月12日). “Bigelow Module: Orbital Updates”. LiveScience.com. http://www.livescience.com/blogs/2006/07/12/bigelow-module-orbital-updates/ 2007年6月30日閲覧。 
  12. ^ Ingham, Jay (2007年2月13日). “Genesis I: Performance”. BigelowAerospace.com. http://www.bigelowaerospace.com/genesis_I/?Performance 2007年12月20日閲覧。 
  13. ^ Haakonstad, Eric (2007年3月5日). “Genesis II Different From Genesis I”. BigelowAerospace.com. 2007年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年8月4日閲覧。
  14. ^ Antczak, John (2007年6月27日). “NLV firm launches Genesis II”. Las Vegas Review-Journal. http://www.lvrj.com/news/8246747.html 2007年6月30日閲覧。 
  15. ^ Malik, Tariq; David, Leonard (2007年6月28日). “Bigelow's Second Orbital Module Launches Into Space”. Space.com. http://www.space.com/missionlaunches/070628_genesis2_update.html 2007年6月30日閲覧。 
  16. ^ "Bigelow Spacecraft Carries NASA 'Genebox' For Tests In Orbit" (Press release). NASA Ames Research Center. 17 July 2006. 2007年6月30日閲覧
  17. ^ Cowing, Keith (2006年7月30日). “A Closer Look at NASA's GeneBox Payload”. SpaceRef.com. http://www.spaceref.com/news/viewnews.html?id=1147 2007年6月30日閲覧。 

関連項目


ジェネシス I

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/24 04:28 UTC 版)

ビゲロー・エアロスペース」の記事における「ジェネシス I」の解説

詳細は「ジェネシスI」を参照 2006年7月12日にジェネシスIがロシアオレンブルク州ヤースヌイ宇宙基地からドニエプルロケット打ち上げられた。打ち上げビゲローISCコスモトラスによって行われた打ち上げ時に地上側の困難にかかわらず予定した軌道投入され与圧部膨張させて太陽電池パネル展開し内部システム起動した予定され任務5年間に渡るもので宇宙船梱包、展開の手順やスペースデブリや他の宇宙危険な状況対す耐性試験を含む性能試験する大規模な観測含まれるビゲロー社の企業弁護士Mike Goldは"私達ビゲロー・エアロスペースにおけるモットーは'早期に、頻繁に飛ばす事'です。ジェネシス1結果に関係なく素早く次の打ち上げ計画進めます。"と語った

※この「ジェネシス I」の解説は、「ビゲロー・エアロスペース」の解説の一部です。
「ジェネシス I」を含む「ビゲロー・エアロスペース」の記事については、「ビゲロー・エアロスペース」の概要を参照ください。

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