爆破の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 13:58 UTC 版)
官邸が所在するラプラスは、「スタンフォード・トーラス型」と呼ばれる構造の宇宙ステーションであったという設定となっている。小説第1巻のプロローグでは、スタンフォード・トーラス型の宇宙ステーションが崩壊し、爆発に至るまでに起こった現象が詳細に描写されている。 「スタンフォード・トーラス型」の宇宙ステーションは、上下に展開する銀盤型の巨大なミラーブロックが、中央で回転するドーナツ型の居住ブロックを挟み込む形で構成されている。居住ブロックに太陽光を送り込むミラーブロックは、ひとつあたり千枚にも及ぶ微細な凹面鏡の集合体であり、制御プログラムに従って凹面鏡を指定のパターンに動かすことで、細やかな気象変化を再現することができる。劇中における改暦セレモニーでは、任意の凹面鏡を動かして太陽光を地球に向かって反射し、地球の夜の面の大気層に「Good bye, AD Hello, UC!」という光の文字を浮かび上がらせる演出が企画されていた。 しかし、凹面鏡の稼働は指定のプログラムにより全体が揃ったパターンでしか行なうことが出来ない仕組みであり、一枚一枚を任意で動かすためには、各凹面鏡の個別制御装置に角度変更プログラムを直接インストールするほかなかった。そのため、依頼を受けた電機メーカーの作業員たちがセレモニー開始前よりミラーブロックに張り付いてそれらの作業に当たったが、この作業員たちこそが、事件を画策した地球連邦保守派勢力が「テロリスト」として送り込んだ暗殺の実行役だった。 凹面鏡の角度は地球に向かってでなく、ラプラスの構造部の一点に向けられた。反射された太陽光は、居住ブロックの一画にある環境システムに繋がる水の循環パイプに向けて高温の熱線となって集束し、循環パイプ内の水は一瞬にして沸騰、急膨張した水蒸気の圧力により循環パイプは破裂、それに連動して居住ブロックの気圧も急上昇、さらに水蒸気から分離した水素ガスによって水素爆発が惹起され、居住ブロックは内側から崩壊した。居住ブロックから噴出した水素爆発の奔流は、ミラーブロックの凹面鏡をことごとく砕け散らせ、居住ブロックとミラーブロックを繋ぐメインシャフトをも捻じ曲げた。また、飛散したそれらの破片は、周辺で警護を固めていたサラミス級宇宙警備艇にも襲いかかり、巻き添え被害を与えた。
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