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けごん‐きょう〔‐キヤウ〕【華厳経】


華厳経〈巻第四十/〉


華厳経〈巻第一、第四、第五、第六、第九、第十一/〉


華厳経〈(高山寺尼経)/〉

主名称: 華厳経〈(高山寺尼経)/〉
指定番号 1863
枝番 00
指定年月日 1958.02.08(昭和33.02.08)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書 貞永元、二年書写奥書
員数 40
時代区分 鎌倉
年代 1232・33
検索年代
解説文: 鎌倉時代作品
重要文化財のほかの用語一覧
書跡・典籍:  華厳略疏刊定記  華厳経  華厳経  華厳経  華厳経巻第八  華厳要義問答  華聚陀羅尼経

華厳経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/11 04:13 UTC 版)

西夏文字による華厳経

華厳経』(けごんぎょう、: Avataṃsaka Sūtra, アヴァタンサカ・スートラ)、正式名称『大方広仏華厳経』(だいほうこうぶつけごんきょう、: Buddhāvataṃsaka-nāma-mahāvaipulya-sūtra[1], ブッダーヴァタンサカ・ナーマ・マハーヴァイプリヤ・スートラ)は、大乗仏教仏典の一つ。

経名は「大方広仏の、華で飾られた(アヴァタンサカ)教え」の意。「大方広仏」、つまり時間も空間も超越した絶対的な存在としての仏という存在について説いた創作経典である。

元来は『雑華経』(ぞうけきょう、: Gaṇḍavyūha Sūtra, ガンダヴィユーハ・スートラ[2])、すなわち「様々な華で飾られた・荘厳された(ガンダヴィユーハ)教え」とも呼ばれていた[3]

沿革

華厳経は、インドで伝えられてきた様々な独立した仏典が、4世紀頃に中央アジア(西域)でまとめられたものであると推定されている[4]。 華厳経全体のサンスクリット語原典は未発見であるが、「十地品」「入法界品」などは独立したサンスクリット仏典があり現代語訳されている。

中国では華厳経に依拠して地論宗華厳宗が生まれた。特に華厳宗は雄大な重重無尽の縁起を中心とする独特の思想体系を築き、日本仏教史にも大きな展開を起こした。

上代日本へは、大陸より審祥が華厳宗を伝来し、東大寺で「探玄記」による「六十華厳」の講義を3年間に及び行なった。東大寺は今日まで華厳宗大本山である。

インドネシアジャワ島にあるボロブドゥール遺跡では華厳経を題材にした彫刻が存する。

ネパールでは『十地経』と『入法界品』(Gaṇḍavyūha)がそれぞれ独立の経典として九法宝典(Navagrantha)に数えられている[5]

構成

六十華厳経 八十華厳経
  • 第一会 寂滅道場会
    • 1 世間浄眼品
    • 2 盧遮那仏品
  • 第二会 普光法堂会
    • 3 如来名号品
    • 4 四諦品
    • 5 如来光明覚品
    • 6 菩薩妙難品
    • 7 浄行品
    • 8 賢首菩薩品
  • 第三会 忉利天宮会
    • 9 仏昇須弥頂品
    • 10 菩薩雲集妙勝殿上説偈品
    • 11 菩薩十住品
    • 12 梵行品
    • 13 初発心菩薩功徳品
    • 14 明法品
  • 第四会 夜摩天宮会
    • 15 仏昇夜摩天宮自在品
    • 16 夜摩天宮菩薩偈品
    • 17 功徳華聚菩薩十行品
    • 18 菩薩十無尽蔵品
  • 第五会 兜率天宮会
    • 19 如来昇兜率天宮一切宝殿品
    • 20 兜率天宮菩薩雲集讃仏品
    • 21 金剛幢菩薩十迴向品
  • 第六会 他化自在天宮会
    • 22 十地品
    • 23 十明品
    • 24 十忍品
    • 25 心王菩薩問阿僧祇品
    • 26 寿明品
    • 27 菩薩住処品
    • 28 仏不思議法品
    • 29 如来相海品
    • 30 仏小相光明功徳品
    • 31 普賢菩薩行品
    • 32 宝王如来性起品
  • 第七会 普光法堂会
    • 33 離世間品
  • 第八会 逝多林会
  • 第一会 菩提場会
    • 1 世主妙厳品
    • 2 如来現相品
    • 3 普賢三昧品
    • 4 世界成就品
    • 5 華蔵世界品
    • 6 毘盧遮那品
  • 第二会 普光法堂会
    • 7 如来名号品
    • 8 四聖諦品
    • 9 光明覚品
    • 10 菩薩門明品
    • 11 浄行品
    • 12 賢首品
  • 第三会 忉利天宮会
    • 13 昇須弥山頂品
    • 14 須弥頂上偈讃品
    • 15 十住品
    • 16 梵行品
    • 17 初発心功徳品
    • 18 明法品
  • 第四会 夜摩天宮会
    • 19 昇夜摩天宮品
    • 20 夜摩宮中偈讃品
    • 21 十行品
    • 22 十無尽蔵品
  • 第五会 兜率天宮会
    • 23 昇兜率天宮品
    • 24 兜率宮中偈讃品
    • 25 十回向品
  • 第六会 他化自在天宮会
  • 第七会 重会普光法堂会
    • 27 十定品
    • 28 十通品
    • 29 十忍品
    • 30 阿僧祇品
    • 31 如来寿量品
    • 32 諸菩薩住処品
    • 33 仏不思議法品
    • 34 如来十身相海品
    • 35 如来随好光明功徳品
    • 36 普賢行品
    • 37 如来出現品(性起品)
  • 第八会 三会普光法堂会
    • 38 離世間品
  • 第九会 逝多園林会

内容

「ヴァイローチャナ・ブッダ」という仏が本尊として示されている。「ヴァイローチャナ・ブッダ」を、「太陽の輝きの仏」と訳し、「毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)」と音写される。毘盧舎那仏は、真言宗の本尊たる大日如来と概念的に同一の仏である。

華厳経にも、如来蔵思想につながる発想が展開されている[6]

陽光である毘盧舎那仏の智彗の光は、すべての衆生を照らして衆生は光に満ち、同時に毘盧舎那仏の宇宙は衆生で満たされている。これを「一即一切・一切即一」とあらわし、「あらゆるものは無縁の関係性(縁)によって成り立っている」ことで、これを法界縁起と呼ぶ。

「六十華厳」の中で特に重要なのは、最も古層に属する「十地品」[7]と「入法界品」の章とされている。

  • 「十地品」には、菩薩が踏み行なうべき十段階の修行が示されていて、そのうち六番目までは自利の修行が説かれ、七番目から十番目までが利他行が説かれている。
  • 「入法界品」には、善財童子(ぜんざいどうじ)という少年が、人生を知り尽くした53人の人々を訪ねて、悟りへの道を追究する物語[8]が述べられている。

天台宗の開祖、隋の智顗の見解では、この経典釈迦の悟りの内容を示しているといい、智顗は五時八教の教相判釈で、華厳経を釈迦が成道後まもなく悟りの内容を分かり易くせずにそのまま説いた経典で粗削りの教えであるとした。対して唐の法蔵は『華厳五教章』において、五教十宗判の教相判釈を行い、華厳の教えを最高としている。

漢訳

漢訳完本として、

がある。

部分訳としては、

  • 支婁迦讖訳 『仏説兜沙経』(大正蔵280) - 「如来名号品」「光明覚品」
  • 支謙訳 『仏説菩薩本業経』(大正蔵281) - 「十住品」
  • 聶道真訳 『諸菩薩求仏本業経』(大正蔵282) - 「十住品」
  • 竺法護訳 『菩薩十住行道品』(大正蔵283) - 「十住品」
  • 祇多蜜訳 『仏説菩薩十住経』(大正蔵284) - 「十住品」
  • 竺法護訳 『漸備一切智徳経』(大正蔵285) - 「十地品
  • 鳩摩羅什訳 『十住経』(大正蔵286) - 「十地品」
  • 尸羅達摩訳 『仏説十地経』(大正蔵287) - 「十地品」
  • 竺法護訳 『等目菩薩所問三昧経』(大正蔵288) - 「十定品」
  • 玄奘訳 『顕無辺仏土功徳経』(大正蔵289) - 「寿明品」(六十華厳)・「如来寿量品」(八十華厳)
  • 法顕訳 『仏説較量一切仏刹功徳経』(大正蔵290) - 「寿明品」(六十華厳)・「如来寿量品」(八十華厳)
  • 竺法護訳 『仏説如来興顕経』(大正蔵291) - 「性起品」
  • 竺法護訳 『度世品経』(大正蔵292) - 「離世間品」
  • 般若三蔵訳 『大方広仏華厳経入不思議解脱境界普賢行願品』(「四十華厳」、大正蔵293) - 「入法界品
  • 聖堅訳 『仏説羅摩伽経』(大正蔵294) - 「入法界品」
  • 地婆訶羅訳 『大方広仏華厳経入法界品』(大正蔵295) - 「入法界品」
  • 仏陀跋陀羅訳 『文殊師利発願経』(大正蔵296) - 「入法界品(末尾)」
  • 不空訳 『普賢菩薩行願讃』(大正蔵297) - 「入法界品(末尾)」

等がある。

チベット語訳

チベット語訳完本も存在し、チベット大蔵経の「カンギュル」(律・経蔵)の主要な一角を占めている。

邦訳

全訳

抜粋訳・編訳

ドイツ語訳

全訳

  • 土井虎賀寿訳 DAS KEGON SUTRA 東大寺の委嘱により漢訳からの重訳(全4巻)独訳華厳経刊行会1983年 c/o土井 佐保

関連文献

  • 鎌田茂雄訳著 『華厳五教章』 <佛典講座28>大蔵出版、1979年、新装版2003年
  • 木村清孝訳注 『華厳五教章』 <大乗仏典 中国・日本篇7>中央公論社、1989年。他に小林円照訳注『原人論』を収録、現代語訳
  • 木村清孝・吉田叡禮校註 『新国訳大蔵経 中国撰述部 華厳五教章 金師子章 法界玄鏡』 大蔵出版、2011年
  • 土井虎賀寿、Die Einfuehrung in das Kegon Sutra 上記の独訳華厳経第4巻に収蔵

脚注・出典

  1. ^ 「華厳経」 - 世界大百科事典 第2版、平凡社
  2. ^ 『ガンダヴィユーハ・スートラ』(Gaṇḍavyūha Sūtra)は、「入法界品」のサンスクリット原題でもある。
  3. ^ 『華厳の思想』 鎌田茂雄 講談社学術文庫 p44
  4. ^ 華厳経 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
  5. ^ 藤谷厚生, 「金光明経の教学史的展開について (PDF) 」『四天王寺国際仏教大学紀要』 平成16年度 大学院 第4号 人文社会学部 第39号 短期大学部 第47号, p.1-28(p14), NAID 110006337539
  6. ^ 「華厳経如来性起品」を参照(『大乗仏典12 如来蔵系経典』に収録。高崎直道訳注、中央公論社のち中公文庫)
  7. ^ 十地品の成立年代は、紀元1世紀から2世紀頃とされる。『仏典解題事典 第二版』(春秋社、1977年)や、『大蔵経全解説大事典』(雄山閣出版、1998年)を参照
  8. ^ 絵巻の関連出版は『華厳五十五所絵巻』がある。『続日本の絵巻.7』(小松茂美編、中央公論社、1990年)や、『新修日本絵巻物全集.25』(田中一松編、角川書店、1979年)を参照。

関連項目


華厳経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 14:01 UTC 版)

善財童子」の記事における「華厳経」の解説

『華厳経入法界品に於いてインド長者の子生まれたが、ある日仏教目覚めて文殊菩薩勧めにより、様々な指導者善知識53人を訪ね歩いて段階的に修行積み最後に普賢菩薩の所で悟りを開くという、菩薩行理想者として描かれている。善知識中には比丘比丘尼のほか外道仏教徒以外の者)、遊女思われる女性童男童女含まれている。

※この「華厳経」の解説は、「善財童子」の解説の一部です。
「華厳経」を含む「善財童子」の記事については、「善財童子」の概要を参照ください。

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