弥勒下生経
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『弥勒下生経』(みろくげしょうきょう)は、大乗仏教の弥勒菩薩に関する代表的な経典の一つである。
概要
竺法護訳とされているが正しくなく、実際には『増一阿含経』(僧伽提婆訳)に収載された経典が独立したものである[1]。
『弥勒大成仏経』、『観弥勒菩薩上生兜率天経』と共に、「弥勒三部経」を構成する[2]。
内容と類似の経典
弥勒如来について仏が弟子の阿難に説く。遠い将来に翅頭城(ケートゥマティー)という美しい都に蠰佉(ジャンカ)という理想的な王が現れ、人間の寿命は8万4千歳まで伸びる。そのとき兜率天から弥勒菩薩が降誕して龍花樹のもとで成道し、初会から三会にわたって説法を行って衆生を解脱に導く[1][3]:112。初会のとき弥勒は釈迦如来の弟子である大迦葉がまだ生きているのに会い、彼から僧伽梨を受け取ると大迦葉の体は星散する[1]。弥勒は弟子たちに向かい、汝らは過去に釈迦如来の法によって善行をなしたり読誦した者だとして偈を説く[1]。
弥勒六部経のうち、『観弥勒菩薩上生兜率天経』を除く『弥勒下生経』、鳩摩羅什訳『弥勒下生成仏経』(T454)、義浄訳『弥勒下生成仏経』(T455)、『弥勒大成仏経』(T456)、『弥勒来時経』(T457)は異同がありつつもいずれも弥勒の下生を説いている。義浄訳『弥勒下生成仏経』には対応する梵本『マイトレーヤ・ヴィヤーカラナ (Maitreya-vyākaraṇa)』、蔵本『'phags-pa byams-pa lung-bstan-pa』がある[4]。
脚注
参考文献
関連項目
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