死霊術師編
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「とある科学の一方通行」の記事における「死霊術師編」の解説
エステル=ローゼンタール(Esther=Rosenthal) 声 - 久保ユリカ 特殊な死霊術を受け継ぐローゼンタール家の23代当主を務める魔術師の少女。常識知らずかつ魔術サイドの人間にありがちな典型的科学オンチで、やや天然で羞恥心に欠ける。メリハリの利いたスタイルの持ち主で、特に胸の大きさに関して打ち止めから嫉妬されている。正義感と義務感の強い善人かつ根っからのお人好しで、他人に利用され命を狙われてもなお善性があることを信じている。 「プロデュース」のスーパーバイザーとして学園都市外から招かれ菱形の研究に協力していたが、唯一の友人である蛭魅が死亡した際に死霊術を使って蘇生させようとして失敗、2度も友を失った後悔から一族の悲願に疑問を抱くようになる。暴走する「檮杌」により蛭魅の遺体と施設の警備職員を人質に取られる形で拘束され、残る3体の「ナンバーズの悪霊」を奪われていたが、自身の過ちを正すためDAの追手を振り切って逃亡し、打ち止めを利用する計画を止めるため一方通行に協力を要請する。 DAに誘拐された10046号を救出するため、人皮の遺体に憑依させた「禍斗」と共にDAのアジトに突入、屍食部隊との交戦に巻き込まれるが一方通行によって救われ、彼を「先生(アニメでは師匠)」と慕うようになる。自らが引き起こした事態に対して責任を感じ、蛭魅の遺体から檮杌を引きはがす事を決断、菱形の研究施設に潜入したが、妹を庇う幹比古を誤って刺し致命傷を負わせてしまい、直後に檮杌からその正体と目的について明かされる。輪廻転生を弄ぶ技術を破棄する命令を拒絶され、蛭魅の自殺も死霊術師である自分が学園都市に来たせいだと檮杌に詰られ一時は戦意を失うが、一方通行に叱咤されて再起し、自らの手で友を救うことを決め、絶対能力者化を始めた檮杌を止めるため一方通行や禍斗、ミサカ10046号と共に戦いを挑み、「舜帝の剣」により撃破に成功する。その後は、再入院した一方通行に礼をして彼の前から姿を消した。 人皮 挟美(ひとかわ はさみ) 声 - 渡部紗弓 二之腕高校1年の少女。異能力者(レベル2)。 能力開発に行き詰まり、本編開始の3日前に川に飛び込み自殺未遂を起こすが、救助に現れたDAの手にかかり殺害された。その遺体はプロトタイプの棺桶に搭載されて利用されるが一方通行により回収され、霊的回路が開いたままとなっていたこともありエステルの手で「禍斗」を憑依させられる。アニメ版では一連の事件が終息した後、擬似魂魄を解除されて返却された。 能力はレベル2の「発火能力(パイロキネシス)」。禍斗(かと) 声 - 渡部紗弓 「薔薇渓谷家参式(ローゼンタールサードナンバー)」と呼称される擬似魂魄。中国の怪物「禍斗」の名を与えられている。 ナンバーズの悪霊ほど強力ではないが、憑依した死体の身体能力や五感を強化することが可能。人間の脳を使っているため高度な知性を持ち、判断力も高く、「ご主人様(アドナイ)」保護を最優先とするよう設定され、エステルからの詳細な指示なしに自律稼働する。 現在は人皮挟美の遺体に憑依し、主人であるエステルに仕える。外見は人皮そのものだが、死体なので肌は土気色、瞳には生気がなく、生前の人格が蘇ったわけでもない。近接戦闘が基本だが、起動してまもないため、全力を出すと肉体が損傷してしまう。エステルのサポートにより土精(グノーム)を使った「死者の鎧」をまとうことで、攻撃力や防御力を増幅できる。檮杌を撃破するまでエステルの護衛を務め、原作では事件後も主人と共に病院を離れたが、アニメ版では憑依を解除されて元の符に戻る。 ミサカ10046号 声 - ささきのぞみ 「妹達」の生き残りの1人。詳細は「妹達#10046号」を参照 菱形 幹比古(ひしがた みきひこ) 声 - 逢坂良太 聖音高等学校に所属する研究者。DAの協力者。 「能力がどこに宿るか」を調べる実験を行なっていた「プロデュース」の研究者で、自分の研究によって誰でも簡単に絶対能力者になれる時代が来ると確信していた。1年から2年後には高い再現性を認めて安全に実験できるようになるとして、絶対能力にこだわる妹の蛭魅を死なせるわけにはいかないと考え、実験体にさせないように根回ししていた。しかし、自殺を図った妹を救うために、エステルと協力して生命維持装置付きの機材に遺体を詰め込み、妹を演じる檮杌の擬似魂魄にコントロールされて研究施設を出奔、溺愛する妹の蛭魅を完全なる肉体と完全なる脳からなる完全な能力者とすることを目指すことになる。 死亡した彼女の肉体に宿る「檮杌」からもたらされた輪廻転生を弄ぶ技術を駆使して「棺桶」を開発し、エステルから奪った「悪霊」を憑依させる。絶対能力者化に必要な「打ち止め」をはじめとする「妹達」を必要としており、協力関係にあるDAに依頼して10046号を確保させ、渾沌を使って彼女を自身の研究所まで輸送させ「妹達」のデータを入手する。 その後、蛭魅を破壊しようとするエステルの前に立ちふさがり、揉み合いになり誤って「舜帝の剣」に腹部を刺され、致命傷を負ってしまう。それでも計画を続行しようとしたが、蛭魅の中身が「檮杌」という別物にすり替わっていることを本人の口から聞かされ絶望。建物の崩落に巻き込まれてしまったが施設内の搬入スペースに逃げ込むことで脱出し、死期が迫る中で妹を取り戻すため一方通行達に協力した。檮杌の消滅による実験の失敗でこのままでは学園都市が吹き飛ぶという事実を伝え、その直後に力尽きて絶命する。 菱形 蛭魅(ひしがた ひるみ) 声 - 真野あゆみ 幹比古の妹で共同研究者。無数のチューブにつながれた少女。「プロデュース」に被験者として参加しており、その縁でエステルと友人になる。 明るく他人を思いやる性格。アニメ8話での生前の描写では、巨大なパフェを好んで食べていたほか、ボクササイズが趣味だがサンドバッグに拳がろくに当たらないなど運動能力は低い。 アニメ版では何らかの病気を患い余命に不安を抱えており、自分が安全に実験に参加できるようになるには2年はかかると知り絶望、本編の1ヶ月ほど前に入水自殺を図り、幹比古とエステルが自分の遺体を実験に使うよう仕向けた。結果蘇生を果たしたかに見えたが、蛭魅本人の魂はこのとき死亡しており、肉体は生前にエステルからくすねた符に宿る「檮杌」の疑似魂魄に乗っ取られている。檮杌(とうこつ) ナンバーズの悪霊の1体。中国の神話の怪物・「檮杌」の名を与えられている。 何よりも悲願の成就を優先するよう設定されているため、低位の疑似魂魄とは違い当主の指示を無視する権限を与えられている。また、疑似魂魄の他に、5代目当主・ネイサンにより、病死する前のローゼンタール家4代目当主・イサク=ローゼンタールの魂魄が転写されている。 エステルは檮杌が狂ってしまったと考えていたが、それは間違いで、蛭魅の体内で起動した際に接触してきた「悪魔」ことイサクの啓示を受けて自発的に行動していた。疑似魂魄を構成するセフィロトに10000回の死の記憶を書き加えることでケテルに至ることができることと、その記憶が既に学園都市に存在していることを告げられ、「完全なるゴレム」の創造という一族の悲願を達成する計画に添って行動していたに過ぎず、起動後に蛭魅の記憶を元に彼女を演じていたのも幹比古を思い通りに操るためであった。 「妹達」から「公式」を得ることに成功し、菱形が致命傷を負ってからは、存在を偽装する必要がなくなったことから檮杌本来の人格に沿って行動を再開。だが、エステルが一族の悲願を放棄しようとしたため、イサクの人格が表面化、以降はエステルの意思を無視する形で絶対能力者へと進化しようとする。魂魄のインストール完了に伴い完全な能力者となるべく、強力な能力を使うために肉体を肥大化させ、聖音高校の校舎と同化しつつグロテスクな触手の塊と化し、中心部から生命の樹や巨大な植物のような構造物を生やした異形の姿へ変貌を遂げる。すさまじい再生能力を有しており、核となる疑似魂魄の符が無事である限り、たとえ全身をバラバラに吹き飛ばされようとも元通り再構築される。肉体の強度そのものも、機関銃の弾丸程度では歯が立たないないほど。アニメ版では捕食した死体を死霊術を使わず操るという能力も見せた。周囲の建材を取り込むだけでは肉体が完全にならなかったため、校舎内にいたDAの残党を捕食することで進化を果たしたものの、彼らの残留思念に意識を乗っ取られ学園都市に真の正義をもたらそうとする。しかし、一方通行に至近まで運ばれたエステル、禍斗、10046号の手で「舜帝の剣」を突き刺されたことで自我を取り戻し、自身がまたしても失敗したことを悟りながら沈黙した。 飯棲 リタ(いいずみ リタ) 声 - 藤田茜 暗部組織「屍食部隊」のリーダー。強能力者(レベル3)。 両手を交差させた絵が描かれたマスクをつけた少女。愛称は「リーダー」。気に入った人材を見ると勧誘したがる癖がある。かつては特別クラスで教育を受けていたが、伸び代がないという理由から教師に虐げられた過去があり、教師および彼らの言いなりである優等生を悪とし、それらを排除することを正義と考えている。 亡本からDAの殲滅任務を受けて行動を開始、能力で標的の居場所を探り交戦中の「警備員」ごと殲滅を実行する。だが、禍斗とナルの戦いに乱入した一方通行に対して、圧倒的な実力差を前に何一つ戦略を考えることができないままメンバー全員が敗北、その恐怖から失禁、失神した。 『超電磁砲』天賦夢路編でその後の様子が描かれている。DAの一件でのミスを返上するため細かい仕事を繰り返すこととなり、その一つでドッペルゲンガー回収任務を任される。能力でドッペルゲンガーを捕捉し行動を封じようとしたが、予想外の抵抗を受け左腕の骨を折られてしまう。その後は仲間の協力で撃退することができたが、不運にも別口で調査をしていた美琴と遭遇してしまう。嘘を重ねて取り繕い何とか即席の協力関係に持ち込み、他のメンバーを引かせて一人で美琴と任務を続行する。依頼人を脅して契約を強引に達成扱いさせた後で危険地帯を脱出したが、建前とはいえ共同作戦を張った義理を通すため、高空から身を投げた操歯の救出を行なうなど美琴のサポートを続行した。「獄門開錠」編ではチーム全員で「脱獄トライアル」に参加し、美琴を陰ながらサポートして最終的にイベントクリアを横取りしようと目論むが失敗に終わる。 能力はレベル3の「鳥瞰把握(プレデター)」。片目を閉じると夜空いっぱいにイメージの目玉が展開され、広範囲を見渡すことが可能となる捜索系の能力(ナル曰く「湿り気多めのストーカーじみた能力」)。昼間は著しく性能が低下するのが欠点。コンビネーション技では相手の位置を正確に特定する役目を負う。 作楽木 ナルハ(さくらぎ ナルハ) 声 - 古賀葵 「屍食部隊」の構成員。強能力者(レベル3)。左目の下に髑髏のマークを入れた少女。愛称は「ナル」。エースを自負しているだけのことはあり、純粋な制圧力ならチームでも随一だが、他のメンバーからは困った悪ガキだと思われており、あまり頭が良くないうえに軽挙妄動が多いため仲間内では「バカ」扱いされる。趣味は美術館巡りで、立体物を好む 。 警備員の中で生き残った黄泉川を殺害しようとしたため、それを阻もうとするエステルと戦うことになる。リーダーのアドバイスを受け禍斗を破壊する直前で一方通行に阻まれ、清ヶを一撃で戦闘不能にした一方通行に襲いかかるが、規格外の能力をその身に受け戦意をへし折られてしまう。 『超電磁砲』の回収任務ではリーダーに攻撃を仕掛けたドッペルゲンガーに対し殴りかかった結果、サイボーグの機体を破壊してしまう。直後自身の能力の制御を奪われ無力化されてしまうが、エースとしての意地でかろうじて撃退させる。その後は気絶した清ヶを回収し、ボロを出して美琴と敵対しないために別行動を取ることになり、飛行船から転落した操歯の回収などを任された。 能力はレベル3の「浸紙念力(パーフェクトペーパー)」。紙を媒介とする念動能力で、能力を通すことで合金並みの高度と布並みの柔軟性を併せ持つようにした紙を操る。紙で作ったウサギ型の着ぐるみを纏ったり、武器や盾を自在に生みだすことができ、変態的な造形と戦闘センスにより実質的に大能力者並の戦闘力を発揮できる。また移動用の道具を作り出して仲間を運搬することもある。普段着ている服も紙製なので、攻撃用に変形させるとその分だけ体を覆う面積が少なくなるだけでなく、ジャマーなどで能力が使えない状況下では全裸になってしまう。露出癖はないが、人前で肌を晒すことに抵抗があるわけでもない。コンビネーション技でも中核をなし、相手の動きを完全に封じるのが主な役割。 清ヶ 太郎丸(せいけ たろうまる) 声 - 貫井柚佳 「屍食部隊」の構成員。舌に刺青を入れている。ロングヘアーで任務中はセーラー服を着ているが、本当の性別は男性。コスプレが趣味。メンバーでは一番の新顔で、それゆえに他の三人との考え方には若干の齟齬があるが、面倒なので同調するフリをしている。 作戦時はDAが持ち出した巨大兵器「タランチュラ」を一人で制圧した。しかし、一方通行には太刀打ちできず、生体電気を操作され一瞬で敗北した。 『超電磁砲』のドッペルゲンガー回収任務では現場から逃走する操歯の追跡を行っていたが、不運にも美琴と遭遇してしまいケンカを売った結果、高圧電流を浴びせられて返り討ちにあう。しばらく感電して失神していたが、他のメンバーに回収されたのちに意識を取り戻した。 能力は半径1mの摩擦係数の制御を行う「摩擦増減(スティックスリップ)」。空気摩擦を制御して120tのタランチュラの突撃すら受け止め、さらに抵抗によって生じる熱で物体を溶かすこともできる。自分の皮膚や衣服の摩擦を消せば打撃・斬撃・銃撃を無効化でき、重量のある物体を相手にぶつけるときにも有用。足元の摩擦を消せば地面を滑って移動でき、ナルが作った移動道具を効率的に動かす時にも協力する。ただし連続での使用は3分が限度。銃火器の推進力を利用すれば爆発的に速度を上げられるが、衝撃までは消せないためかなり痛いらしい。コンビネーション技では、摩擦係数操作で敵の周囲から摩擦を消失させ動きを止める役目を負う。 薬丸 医月(やくまる いつき) 声 - 西田望見 「屍食部隊」の構成員。大きめの帽子をかぶった少女。愛称は「ヤっくん」。リーダーやナルと同じ施設の出身。容姿の良さを自覚しており、それを利用することは可愛く生まれた人間の当然の権利と考えている。帽子はスカウトやナンパを避けるためのものだが、必要とあらば外見を変えることも躊躇しない。他のメンバー同様非情だが、リーダーからは詰めの甘さを指摘されている。 作戦時は薬品を使ってDAを始末していたが、急襲してきた一方通行への対策をリーダーに問いただしているうちに、デコピン一発で吹き飛ばされ気絶してしまう。 『超電磁砲』の回収任務では瞬く間に他のメンバーが無力化されてしまったが、ナルのフォローでドッペルゲンガーが動きを止めた隙を見計らって腕を爆破し難を逃れる。美琴と遭遇してからはナルがボロを出さないようにお目付役として残されリーダーと別行動を取り、ドッペルゲンガー通過予想地域からの避難誘導を任された。 能力は比重を操作して液体を分離する「液比転換(ミックスマスター)」。分離を解かれた液体は混ぜ合わさることで様々な現象を起こす。わずかな量で人体を深部まで瞬間凍結させる冷媒など、様々な危険薬品を安全に持ち運ぶために使っている。コンビネーション技ではリキッドテルミット反応による高熱を利用して敵に止めを刺すという役目。 イサク=ローゼンタール 声 - 寺島拓篤 ローゼンタール家4代目当主。故人。中国で会得した跳屍術をラビの技術に取り入れて、現在に至るまでのローゼンタール式死霊術を作り上げた人物。己の目的のためであれば大量虐殺や人体実験をも厭わない異常者であり、「輪廻転生を弄ぶ技術」にも抵抗を持たず、生前には犠牲者たちから「悪魔」と罵られても平然としていた。傲岸不遜な性格で口が悪く、自分以降の当主たちを見下している。 自分の代で神に至る器を完成させようとしていたが、1万を超える死の記憶を集める前に病に倒れてしまったため、自分の魂が損傷する前に息子のネイサンに命じて魂魄を檮杌に転写させ、以来19代に渡り疑似魂魄の中に潜んできた。 居村(いむら) 警備員。正義感の強い熱血漢。 初春 飾利(ういはる かざり) 声 - 豊崎愛生 柵川中学校1年生の少女。「風紀委員」に所属。詳細は「とある魔術の禁書目録の登場人物#初春飾利」を参照 佐天 涙子(さてん るいこ) 声 - 伊藤かな恵 柵川中学校1年生の少女。都市伝説マニア。詳細は「とある科学の超電磁砲#佐天涙子」を参照 アレイスター=クロウリー 学園都市統括理事長。詳細は「とある魔術の禁書目録の登場人物#アレイスター=クロウリー」を参照
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