司令官(将官)・兵士
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「銀河英雄伝説の登場人物・自由惑星同盟」の記事における「司令官(将官)・兵士」の解説
ジャン・ロベール・ラップ (Jean Robert Lapp) 声 - 田中秀幸(旧) / 小野友樹(D) ヤンの親友。ジェシカの婚約者。第6艦隊参謀。少佐。 ヤンの士官学校時代の同期かつ親友。自然な指導力と下の者から信頼感を寄せられる人望を持ち、ヤンから自分よりも将器があると評される有能な人物。アッテンボローからもヤンよりも早く出世すると見込まれるほどであったが病気療養で出世が遅れた経緯がある。物語開始直後のアスターテ会戦において、ヤンと同じく同盟軍の危機を察知し、上官のムーアに意見具申を行うも却下されてしまう。結局、時間を無駄に浪費する内に、ラインハルト率いる帝国軍の急襲を受け、ムーアと共に戦死する。この死によってジェシカは反戦運動に身を投じることとなる。 外伝ではその経歴がもう少し詳しく明かされており、士官学校時代はヤンと戦史研究科廃止反対運動を行った仲だった。レグニツァの戦い及び第4次ティアマト会戦にはヤンと同じ第2艦隊所属で参戦していた。 藤崎版ではより理不尽な目に遭うように描写されており、アスターテ会戦でムーアから暴行を受け、重傷のまま営倉送りとなってもなお、意見具申しようとし、そこで帝国軍の急襲を受け戦死している。 ノイエ版では士官学校時代やジェシカとの関係が掘り下げられており、ジェシカとは幼馴染で、一度プロポーズするが断られてしまう。その後、アスターテ会戦の少し前に正式に婚約が決まる。後の流れは原作通りだが、第6艦隊の交戦直前に第2艦隊のヤンと通信している。 アンドリュー・フォーク (Andlew Fork) 声 - 古谷徹(旧) / 神谷浩史(D) 准将。帝国領侵攻作戦におけるロボスの幕僚で作戦参謀。 士官学校の首席卒業者という青年将校。26歳という若さだが老けて見え、眉目は悪くないものの血色が悪く陰気さを持つ。軍首脳のロボスに高く評価され、若くして准将の地位にいる秀才であるものの、出世欲と自尊心が極めて強く、しかし、それに釣り合うだけの軍事の才はない。実際、作中では自身の作戦計画を美辞麗句で自賛し、反論にはもっぱら弁舌で封じ込めようとする。同世代のヤンがイゼルローン要塞占領という大功績を挙げたことに強い対抗心を抱く。物語中では、同盟が滅亡する原因となった帝国領侵攻作戦と救国軍事会議のクーデターにどちらも決定的な役割を果たしたこと、さらに物語終盤では地球教に操られていたとは言え、ヤン暗殺にも大きく貢献するなど、終始、同盟勢力側に回復し得ない大きな損害を与え続ける。 上記のヤンへの対抗心や出世欲という動機から、帝国領への大規模侵攻作戦を立案し、サンフォードの秘書やロボスといった私的ルートで、その無謀で無意味な作戦を実施に向かわせる。自身は同作戦の参謀役として指導部に入り込むと、侵攻前の作戦会議では戦争計画としては非常に曖昧で空疎な内容を提示する。これを実際に前線で戦うことになる艦隊司令達から批判されると「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処することになる」と言いのけ、ビュコックからは「要するに行き当たりばったり」と痛烈に皮肉られる。また、実際に侵攻作戦が開始されると無気力なロボスへの取次役として実権を握る。戦役の中盤、補給問題で同盟軍が危機的状況にある最中、ロボス宛てのビュコックの通信に相変わらず取次役として登場する。撤退要求に対し、自らは安全な後方にいるのに、自分なら撤退はしないと勇ましいことを言って、ビュコックが代わりに前線に来いと言われると出来もしないことと拒絶したため、激怒したビュコックに激しく譴責されて「転換性ヒステリー症による神経性盲目」を発症して倒れ、入院加療・予備役編入となる。 戦後、元凶でありながら入院したために特に敗戦の責任を取らずに済む。その後、統合作戦本部長となったクブルスリーに復帰を直訴し、これを拒絶されると忍ばせていた拳銃で彼を撃ち、重傷を負わせ拘束される。軍令のトップであるクブルスリーの負傷は続く救国軍事会議のクーデターを大きく利する(フォーク自身がどこまで救国軍事会議に関与していたかは明示されておらず、あくまでひとりで考えて実行したと考える様に、クーデター勢力に深層暗示にかけられたとある)。 その後は、精神病院に拘禁され、同盟滅亡と前後して発生した病院火災で死亡したものと思われていた。しかし、実は地球教に攫われており、ヤン暗殺の手駒として使われる。地球教に吹き込まれ、自らこそ民主共和国政治の真の救い手と信じ込んでヤンを自ら暗殺しようとしたが、実は帝国軍に扮した本当の暗殺部隊をヤンらに信じ込ませる単なる囮であり、乗っていた武装商船ごと吹き飛ばされ死亡する。そして地球教の狙い通り、ヤン側の警戒が緩み、ヤン暗殺が成功してしまう。 外伝では第6次イゼルローン攻防戦に採用された作戦の立案者として名前のみ登場している(当時は中佐)。また、この時にすでにロボスから目をかけられていた。 シトレからは上記の弁舌以外に「他人を貶めて自分を偉く見せる」と危険視され、ノイエ版ではビュコックから「幼児と同程度のメンタリティしか持たない」と呆れられている。 OVA版で声を担当した古谷は「今まで声を演じた中で一番嫌いなキャラクター」の質問にフォークを挙げ、「思い入れが全くない」と発言している。 マルコム・ワイドボーン 声 - 関智一(螺・千) / 高橋研二(D) ヤンの士官学校での同期生で首席。ワーツの参謀長。大佐(死後二階級特進で少将)。故人。 士官学校時代から10年に1人の逸材と評された青年士官。ヤンの士官学校時代の回想上の登場人物。当時、平凡な成績のヤンと戦略戦術シミュレーションで模擬戦闘を行うが、ワイドボーンの補給線を断ち防戦に徹したヤンの前に退却を余儀なくされ、敗北判定を受ける。これに学年首席としてのプライドを傷つけられ、まともに正面から戦っていれば俺が勝っていたと激昂する。首席で士官学校卒業後は、周囲からの評価通りに順調に栄達し27歳で大佐となっていたが、正攻法に拘って敵の奇襲を受け、戦死したという。 外伝『千億の星、千億の光』にて戦死時の状況がもう少し詳しく明かされ、当時はワーツ分艦隊の参謀長を務めていたが、第6次イゼルローン攻防戦の前哨戦において同数でラインハルト艦隊と戦った際、常識外の中央突破戦術で艦隊中核を直撃され戦死したという。その死は上官のワーツの死よりも総司令部に衝撃を与える。 OVA版ではワーツ分艦隊の実質的な指揮官として登場し、ワーツを通して自分の考えた作戦を実行させる。しかし、原作に描写される通り、ラインハルトの常識外れの艦隊中央突破という奇策の前に指揮下の兵力のほぼ全てを殲滅されるという完敗を喫して戦死する。 藤崎版では原作やOVA版で見られたような人格の欠点は見られず、ヤンとの模擬戦闘の敗北も素直に認める(むしろ、自分の取り巻きが騒いだため、これを諌めている)。第6次イゼルローン攻防戦のエピソードも掘り下げられており、ロボスら司令部が軽視する中、ラインハルト艦隊にかつてのヤンとの模擬戦で感じた得体の知れなさを見出し警戒する。その上で提出した作戦案は巧妙なものであったがラインハルトの方が上手であり、すぐに自分達が危機に陥ったと気がつく。このため、上官のワーツに撤退を進言するも無能な彼に時間を取られてしまい旗艦が被弾、致命傷を負う。ワーツは即死したことを確認すると、軍規違反は承知の上でワーツの名で艦隊の後退を命じ、全滅必至の中、300隻の生還には成功させるが、自身は死亡する。 ファイフェル (Pfeifer) 声 - 梅津秀行(旧) / 岩崎諒太(D) 少佐。ビュコックの高級副官。 長くビュコックの副官を務める軍人(少なくとも第3次ティアマト会戦の時点で現職にあるが、帝国領侵攻時には登場しない(副官はクレメンテ大尉とされている))。目立った登場は少なく、ビュコックとの些細な会話シーンが多い。外伝ではホーランド、本伝ではアイランズなど、上官のビュコックに代わって不満の態度を表すことが多い。一方で軍を批判するジェシカに対する不満や、後の同盟の危機にはいっそ救国軍事会議が成功していればという内心の吐露にはビュコックから窘められている。 ランテマリオ星域会戦の直前に心臓発作で意識不明の重症に陥り、物語から退場する。彼の代役をスールが務めることとなる。 ベイ (Bay) 声 - 池田勝(旧) 大佐(のち少将)。救国軍事会議のメンバー(実は内通者)で後にトリューニヒトの警護室長。 壮年の士官。救国軍事会議のクーデターに加担していたが、実はトリューニヒトのスパイで、トリューニヒトがクーデター時に脱出できたのも彼の情報によるものだという。この功績によってクーデター後にトリューニヒトの警護室長に出世する(同時に少将)。ヤン査問会では、名目上はヤンの身辺警護の責任者として登場するが、実際は監視を担当しており、彼の軟禁を担当する。フレデリカの抗議などにも担当者として対応し、要領を得ない反応で、実質的にこれを拒絶する。トリューニヒトの腰巾着として、ビュコックからは「いたち」と呼ばれ(OVAでは「ゴキブリ」)嫌われる。原作ではこれ以降登場しないが、OVAでは後にマスカーニ少将に対する査問会でオリベイラと共に姿を見せている。 ガティ 中尉。ビュコックの副官。救国軍事会議のメンバー。ノイエ版のオリジナルキャラクター。 →#救国軍事会議 グレドウィン・スコット 声 - 永野善一(D) 帝国領侵攻時の後方輸送艦隊の司令官。階級は不明。第1巻8章の登場人物。 帝国領侵攻作戦において、イゼルローンから帝国側の焦土作戦で物資が欠乏した前線への物資輸送の任務を担当する。帝国が補給艦隊を狙ってくると予期していたキャゼルヌから敵に注意するよう注意を受けるものの、多くの後方勤務の軍人と同じく、これを軽視する。そして趣味の三次元チェスに興じて油断していたところを、キルヒアイス艦隊の奇襲を受け、艦隊は壊滅し、戦死する。 エドモンド・メッサースミス (Edmond Messersmith) 少佐。第3巻6章の登場人物。 ドワイト・グリーンヒルが士官学校副総長だった時の当時の教え子で若い士官。グリーンヒルが娘フレデリカの結婚相手に考えていた節があるとされ、有能な好青年と見える描写がある。ヤン査問会において、ヤンの行方を追うフレデリカがビュコックに会うため宇宙艦隊司令部を訪れた際に偶然に再会し、面談の便宜を図る。その際に「相変わらずきれいだね」と彼女に気があるような素振りを見せるものの、別れた後にフレデリカの脳裏からはすぐに消えたとある。 OVA版では登場しないが、彼とは別に、宇宙艦隊司令部を訪れたフレデリカらをビュコックがいると地下駐車場に誘導し憂国騎士団に襲撃させた若手士官が登場している。 サンドル・アラルコン 声 - 大友龍三郎(旧) 独立部隊の艦隊指令。少将。第3巻の登場人物。 第8次イゼルローン攻防戦においてハイネセンからイゼルローンに戻るヤンの下に配属された小艦隊の司令官の一人。指揮能力に問題はないが、病的な軍隊至上主義という性格上の難を抱えており、幾度も民間人や捕虜殺害の嫌疑で軍法会議に掛けられたという来歴を持つ(いずれも証拠不十分で無罪となったが、単なる身内贔屓で無罪になったのではないかとヤンに疑われている)。思想信条的には一致するはずの救国軍事会議のクーデターに参加しなかったのは幹部のエベンスと個人的な確執があったためで、思想的にはさらに過激だという。 第8次イゼルローン攻防戦においてヤンの指揮下でモートンと共にケンプ艦隊を敗走させる活躍を見せる。しかし、その後、ヤンの命令を無視して、ミュラー率いる残存部隊を同じく性格に難のある猛将であるグエンと共に追撃する。ミッターマイヤーとロイエンタールが救援に来ていることに気づかず、そのまま罠に掛かる形となり、グエンと共に戦死する。 マリネッティ 声 - 岡和男(旧) 独立部隊の艦隊指令。准将。第3巻8章の登場人物。 第8次イゼルローン攻防戦においてハイネセンからイゼルローンに戻るヤンの下に配属された小艦隊の司令官の一人。原作での登場は名前の言及があるのみで、同じく配属されたモートンやアラルコンと違い、ヤンも能力はわからないと触れられるだけである。 OVA版では登場が増えている。第1次ランテマリオ星域会戦でも登場しており、ミッターマイヤー艦隊を相手に、その勇名を恐れたあまりに我武者羅な攻撃を行って不意打ちを食らわすが、結果的には帝国軍に付け入られる隙を作ってしまう。その後、マル・アデッタ星域会戦にも少将として参戦している。マル・アデッタ以降の所在についての描写は無く不明。座乗艦はロスタム。 ザーニアル 声 - 菅原正志(旧) 独立部隊の艦隊指令。准将。第3巻8章の登場人物。 第8次イゼルローン攻防戦においてハイネセンからイゼルローンに戻るヤンの下に配属された小艦隊の司令官の一人。原作での登場は名前の言及があるのみで、同じく配属されたモートンやアラルコンと違い、ヤンも能力はわからないと触れられるだけである。 OVA版ではマリネッティほどではないが登場が増えており、第1次ランテマリオ星域会戦に参加している。 ヴィオラ 声 - 西尾徳(旧) 自由惑星同盟フェザーン駐在弁務官事務所の首席駐在武官。大佐。 比較的長身で肥満というより風船のように膨らんでいるような印象の人物。トリューニヒト派の軍人であることが示唆されており、駐在武官としてフェザーンに着任したユリアンの上司として、史上最年少で駐在武官となったことに対する嫉妬心や、派閥の敵意から、彼に高圧的に接する。間もなく起こった帝国軍のフェザーン占領では、無能な上司ヘンスローを見限ってフェザーン脱出を図るが、帝国に寝返ったボルテックによる臨検で発見され帝国に拘束される。 ブレツェリ シュパーラ星系の通信基地JL77基地司令官代行。大佐。第5巻4章の登場人物。 戦闘要員2000名に、戦闘用艦艇は無しという情報収集・通信に特化した基地の司令官。帝国によるラグナロク作戦においてフェザーン経由で同盟領内に侵攻してきた帝国の大軍に対し、前線基地として有用な情報を発信し続け、結果として敵地に取り残される形となる。見捨てることは出来ず、功績に報いるため、統合作戦本部から5万の戦闘要員と300隻の戦闘用艦艇で支援する旨の連絡を受けるが、むしろ増援を受けた方が敵の標的になりやすいとこれを固辞する。結果としてブレツェリの狙い通り、ミッターマイヤーは戦闘行動の障害にはなりえないとしてあえて攻撃せず素通りし、生還に成功する。 オーブリー・コクラン (Aubley Cochrane) 声 - 麦人(旧) リューカス星域物流基地司令官。大佐。第5巻8章の登場人物。 バーミリオン会戦において、同基地占領のためやってきたミュラー艦隊に対し、物資の破棄もせず無条件降伏を選んだ指揮官。当初は武人であるミュラーから嫌悪されるも、降伏の理由が保有物資が民需品であり、破棄は民間人の生活に支障をきたすこと、売国奴と謗られようとも軍人の都合でそのような選択できないと説明し、一転して彼から好感を抱かれる。このためミュラーから部下に誘われるも、地位欲しさに物資を売り渡したと見られたくないと固辞し、自分と部下達の身柄の安全と、民間人の生活を保障させ、ハイネセンへ戻る。その行動は軍人として高潔であったものの、皮肉なことにミュラーがバーミリオン会戦に間に合ってラインハルトの窮地を救い、結果として同盟滅亡の遠因となる。 ハイネセンに戻るが部下から利敵行為を告発され、極地に近い未決犯収容所に収容される。その後の政治状況の混乱によって存在を忘れられ、半死半生の状態となっていたが、収監から2年後にミュラーに助け出され、彼の主計監として第2の道を歩む(後に第10巻においても軽く言及され、このエピソードがラグプール刑務所の暴動直後の話と明かされる)。 マスカーニ (Mascagni) 声 - 立木文彦(旧) バーラトの和約体制下における艦船破棄計画の責任者。少将。第6巻5章の登場人物。 バーラトの和約に基づき、同盟が保有する1,820隻の戦艦及び宇宙母艦の爆破処分作業を行っていた指揮官。レサヴィク星域での作業中にメルカッツ率いる「動くシャーウッドの森」艦隊の騙し討ちに遭い、自らが人質になった挙げ句に、破棄予定の艦船1000隻以上を強奪され、さらに4000人もの離反者を発生させてしまう(OVA版ではここにアシュールが含まれる)。のち査問会に掛けられ、実際は60隻程度であったにも関わらず、500隻の集団に襲撃されたと報告する(明らかに誇大な数字だったが5000隻だったと報告する者もいたため、相対的にマスカーニの証言が正しいと認められる)。 ジャワフ (Jawaf) 声 - 仲野裕(旧) バーラトの和約体制下でヤン一派の拘束を命令された特命隊の指揮官。大佐。第6巻5章の登場人物。 レベロ政権においてヤン拘束に伴い、元幕僚で危険因子のシェーンコップ及びアッテンボローの身柄拘束をロックウェルから命令された指揮官。2個中隊の武装陸戦隊を率いるも、前もって予期していたシェーンコップらによって、ブルームハルト率いるローゼンリッター連隊の奇襲を受け、大損害を受けて任務に失敗する。ロックウェルに失敗報告する中で、彼の無計画ぶりに警告を発するものの、彼の無責任な返答に呆れる。
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