戦争計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/09/20 08:30 UTC 版)
戦争計画(せんそうけいかく、War Plans, Military operation plan)とは、国家や政府が戦争に対処するために、特定の仮想敵国に対して、戦時の軍事戦略を総合的にシミュレーションすることをいう。なお、War Plans という英語での呼称は、実戦に直結する軍事戦略として、第二次世界大戦期に主に使用され、現代では Military operation plan のほうがよく使われる。
概要
戦争計画は、軍事的な戦略や作戦の計画においても特に大胆で、地理的戦略、軍事戦略、経済や資源、輸送手段など幅広い分野で、よく練られた計画を示す。戦争計画を策定するのにも、長期にわたる高度で精密な研究が必要である。多くは極秘で策定され、計画が不必要となった時期に、初めて公表される場合もある。
多くの場合、交戦の可能性がある国を対象に計画が策定される。また、軍事力が強かったり、軍事面での海外展開が多い国などでは、友好国や同盟国なども万が一の場合に備えて仮想敵国に加える事もある。アメリカが検討していたカラーコード戦争計画のひとつ、レッド計画では、イギリスやカナダのようなアメリカの友好国も対象としていることがのちに分かり、大きな反響をよんだ。
関連項目
外部リンク
- Operation Plans [OPLAN] - GrobalSecurityによる"Operation Plan"の解説。軍事行動の各段階を戦略的("Strategic")、作戦的("Operational")、戦術的("Tactical")に分け、それぞれ脅威分析や計画立案の対象、目的や実施する組織について論じている。
戦争計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 23:08 UTC 版)
クラウゼヴィッツは戦争計画の章では戦争の総括的問題を解明し、本来の戦略とその重要事項について論じている。戦争計画は軍事行動のすべてが総合されたものであり、計画中のさまざまな目標は戦争目的と関係付けられる。戦争は国家の知性である政治家と軍人によって発起され、戦争において、また戦争によって達成すべき目標を決定する。しかしクラウゼヴィッツの戦争理論によって既に明らかにされたように、戦争には純粋な暴力の相互作用の原理が機能する絶対戦争と現実的形態として諸々の抑制が加わる現実の戦争がある。つまり戦争は二種類の目的が設定されうるものであり、敵の完全な打倒という戦争目標と敵国の国土の一部を攻略占領という制限された戦争目標が考えられる。 さらに戦争は政治の道具であり、政治的交渉は戦争においても継続され、また同時に戦争行動は政治的交渉を構成するという見解がクラウゼヴィッツの基本的立場である。つまり戦争が政治に内部的に従属するため、政治の戦争意思が強大になるに従って戦争は絶対的形態へと移行する。また政治の戦争意思が弱小になるに従って、戦争本来の姿から生じる厳しい結果を避け、遠い将来の成果よりも近くの結果に関心が集中する。戦争に必要な主要計画は全て政治的事情に対する考察が必要であり、政府と統帥部の意志が統一されなければならない。その方法の一つとして内閣の一員に最高司令官を加えることを挙げている。クラウゼヴィッツは、攻勢的戦争、防御的戦争それぞれにおいて重要な点を述べている。 クラウゼヴィッツが提案する戦争計画の原則は二つの原則から成り立っている。それは次のように定式化される。 可能な限り集中的に行動する 可能な限り迅速的に行動する 集中的行動の原則をクラウゼヴィッツは次のように説明する。敵の戦闘力を集中させ、その点に対して我の戦闘力を集中することが必要である。しかし戦闘力の最初の配置や参戦諸国や交戦地域の地理的環境などによっては分割も可能である。しかし戦闘の勝敗が重要でない地域に戦闘力を分散する場合にはこの原則に従うことが困難になる場合もある。したがってこの集中の原則は主要な戦闘を必要とする方面に対してのみ攻撃を、その他の方面に対しては防御を実施することが合理的であると考えられる。さらに迅速の原則において時間の浪費は戦力の消耗であり、また時間の要素は奇襲の条件を構成する。したがって戦争においては常に敵の完全な打倒を狙いながら前進し続けることだけが望ましいのであり、一度でも停止すると敵に対する有効な攻撃前進を再開することは不可能となる。
※この「戦争計画」の解説は、「戦争論」の解説の一部です。
「戦争計画」を含む「戦争論」の記事については、「戦争論」の概要を参照ください。
- 戦争計画のページへのリンク