第4次ティアマト会戦
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「銀河英雄伝説の戦役」の記事における「第4次ティアマト会戦」の解説
宇宙暦795年/帝国暦486年9月11日。ラインハルトが大将/左翼部隊の司令官として参加。ラインハルト率いるミューゼル艦隊の戦力は、惑星レグニッツァ上空の戦いでほぼ損害が生じていないとされているので、引き続いてすべて参加していれば12,200隻、将兵130万人ほどの規模を保っていた事になる。 惑星レグニッツァ遭遇戦後も両軍は強大な戦力を維持していた。同盟軍はレグニッツァでの失敗を取り返そうと意気込むパエッタ中将の第2艦隊を前衛として進軍を開始し、一方の帝国軍もティアマト星域で同盟軍を迎撃する作戦が立案された。なお、ミューゼル艦隊はミュッケンベルガー元帥直々に艦隊左翼部隊に指名されたが、これはラインハルトの失敗を狙う帝国上層部の罠であることが会戦当日に判明する。 ラインハルトは、ミュッケンベルガーの策謀によって単独で突出させられ、危うく囮にされるところを、「右に転進して敵の眼前を横断する」という常識外の大胆な運動で敵味方の不意をついて危機を脱した(これについてラインハルトは「こんな邪道は二度と使わぬ」と述べている)。誰もが呆然と見守る中、ミューゼル艦隊は両軍の前面を通り過ぎて同盟軍の左翼側面に回りこみ、有利な占位に成功した。一方、我に帰った両軍の主力は衝突せんばかりの距離に接近しており、そのまま芸のない正面からの乱戦にもつれこんだ。当初はラインハルトの側面攻撃が功を奏し、帝国軍が優勢に戦いを進めた。しかし、同盟軍参謀長グリーンヒル大将の提案により、同盟軍は陽動のため1部隊を派遣して帝国軍の退路を断つ動きをさせると、帝国軍は狼狽し、同盟軍が有利に戦いを進めるようになった。同盟軍の陽動部隊はラインハルトの部下のロイエンタールにより壊滅させられた。その後も同盟軍が優勢に戦いを進めたが、ラインハルトは同盟軍が疲労しているのを見てとり、部下のミッターマイヤーを先鋒として同盟軍の後方から中央突破を図った。疲労してエネルギーを消耗していた同盟軍はこの攻撃に苦戦したが、同盟軍のウランフは後背のラインハルトに対しては後退し、逆に前方に打って出て帝国軍本隊に突撃、優勢に戦いを進めた。しかしラインハルトはウランフ艦隊を追撃して帝国軍本隊を救援し、巧みな指揮で同盟軍を翻弄し大損害を与えた。 相次ぐ大損害を受けた同盟軍はついに撤退したが、帝国軍本隊もまた同盟軍に勝るとも劣らぬ損害を被り、同盟領への進撃を断念して撤退した。結局この戦いもまたなんらの戦略的意義もなく、ただラインハルトたちの株を上げ、ゴールデンバウム王朝の終わりを早めただけに終わった。 なお、劇場版第1作では一部描写が異なっている。会戦序盤、ラインハルトが敵前横断を行った際にその意図を見抜いたヤンがパエッタに攻撃を強く具申するが、罠だと踏んだパエッタは指揮権を盾に頑なに却下するというOVA特有の彼の頑迷さを表す描写が追加されている。会戦中盤~終盤の陽動作戦についても、少数の無人操縦艦で構成された陽動部隊を送り込み、その指揮をヤン・ウェンリーが執るよう変更されている。陽動部隊は大量のデコイを放出して帝国軍を動揺させるが、策を見抜いていたミッターマイヤーが指揮下の高速戦艦を送り込み、撃破されている。ヤンの乗るユリシーズはこの攻撃を切り抜けたが、陽動作戦は失敗し帝国軍は全面攻勢を開始した。その後、同盟軍が包囲殲滅され、帝国軍が勝利する寸前の所でヤンが戦艦ユリシーズで単艦敵陣に侵入、旗艦ブリュンヒルトの下方に密着してラインハルトを人質にとり、同盟軍本隊の脱出を成功させるという演出が盛り込まれた。したがってOVA版では、この戦いで二人が互いの存在を知った事になっている。 また、ウランフやボロディンは登場しない。パエッタについても、この戦いにおいてヤンの献策を容れなかった不明を恥じてヤンの能力を認めることになるが、その続編となるOVA版/劇場版第2作においては原作に準じて再びヤンの進言を却下しており、彼の描写がいささか苦しくなっている。 帝国軍はラインハルト、ミュッケンベルガー以外の艦隊司令官については描写がないが、ボーステック社のゲームではアイゼナッハ、シュターデン、エルラッハ、フォーゲルらが参戦している。 この戦いの後ラインハルトは上級大将に昇進し、さらに断絶していたローエングラム伯爵家の名跡を継いで、名ばかりの貧乏貴族から本当の貴族へと立身出世した。
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