千億の星、千億の光
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「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の記事における「千億の星、千億の光」の解説
リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン (Richard von Grinmelshausen) 声 - 槐柳二(千) 艦隊司令官。中将(後に大将に昇進し軍務省高等参事官兼宮廷顧問官)。子爵家当主。76歳。乗艦はオストファーレン。配下にラインハルトやケスラー、リューネブルク。「グリンメルス」と略されることもある。外伝『千億の星、千億の光』の主要人物。 軍部、宮廷、貴族、部下と多くの者から軽んじられている老提督。外見は老耄としており、居眠りが多いことから「居眠り子爵」「ひなたぼっこ提督」などとも呼ばれる。後述する皇帝との関係によって現在の不相応の地位にいることを自他共に認めており、言われた相手が困惑するほど、自分は無能者だと平然と言う(曰く18歳の時には既に自分の才能や将来性に見切りをつけていたという)。作中では素なのか意図的なのか、のらりくらりとして、何が狙いかわからない相手を戸惑わせる言動が多く、良くも悪くもラインハルトやキルヒアイスをも困惑させる。編の終盤で本性は明敏であったことが明かされ、ラインハルトを高く評価し、その死に際しては自身が集めた秘聞情報を遺す。また、軍上層部に疎まれていたケスラーの庇護者となっており、ラインハルトとケスラーが邂逅するきっかけとなっている。 元は子爵家の三男で士官学校での成績も凡庸であったが、兄2人が相次いで亡くなったため偶然に家を継ぐことになる。青年時代はフリードリヒ4世の侍従武官兼放蕩仲間で、帝位に就くまで何かと尽力したため信頼も厚く、今も皇帝と仲が良い。また、誰からも軽んじられる存在であったがゆえに貴族社会や官僚界、軍部の秘密や醜聞など、聞き知ったことを生涯にわたって収集することができ、それらを克明に記録していた(秘聞情報、いわゆるグリンメルスハウゼン文書)。 作中の初登場はヴァンフリート星域会戦からで、同戦役中ではミュッケンベルガーやラインハルトを苛立たせたり困惑させるなど、迷惑な指揮官として描かれる。あまりの酷さに前線から遠ざけられるが、それが結果的にラインハルトやリューネブルクの活躍でヴァンフリート4=2の同盟軍基地攻撃という功績を挙げることに繋がる。この功績と皇帝の好意により、大将に昇進して後方勤務(軍務省高等参事官かつ宮廷顧問官。名誉職で実質的な退役)となる。戦役中はラインハルトの足を引っ張っているだけのように見えたが、キルヒアイスの昇進を特に推薦して感謝され、さらには返礼の挨拶に来た彼に対し、ラインハルトを高く評価した上で、その野心にも気づいている素振りを見せる。また、続く皇帝との会話でもラインハルトを高く評価し、皇帝がローエングラム家を下賜する遠因となる。その後、第6次イゼルローン攻防戦の直前頃に夏風邪を引き、そのまま死去したことが示唆される。死の直前にはエリザベートにマチアスの死の真相を教えることでハルテンベルク家(ひいてはリューネブルク)を破滅させ、ラインハルトの将来に役立たせて欲しい(大貴族や高官に対する脅迫に使え)と信頼する部下であるケスラーを通して秘聞情報を託す。 ヘルマン・フォン・リューネブルク (Hermann von Luneburg) 声 - 野沢那智(千) 陸戦隊指揮官。准将(後に少将)。元同盟軍大佐で第11代薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊長。35歳。外伝『千億の星、千億の光』の主要人物。 生まれながらの帝国貴族といった容姿を持つ、長身で銀灰色の髪の白兵戦技の達人。元部下で作中随一の陸戦隊の長であるシェーンコップをして陸戦の指揮官として高く評価され、自分以外では倒せないとまで評される。陸戦に関わらぬ部分でも優秀であり、ヴァンフリート4=2の地上戦では元はラインハルトの策とはいえ、同盟軍の基地発見の功績を立てた上、すぐに先制攻撃を進言し、さらには同格のラインハルトの発言を封じるなど、キルヒアイスから危険視される。『千億の星、千億の光』におけるラインハルトの対立者という人物であったが、一方で野心家で逆亡命者という反感を買い易い立場であったことや、私生活において恵まれなかったことなどは、後に自身の境遇と重なったラインハルトから複雑な心境を抱かれる。 元は帝国の爵位持ちの家柄だったが同盟に亡命し、後に第11代ローゼンリッター連隊長として名を馳せる。作中の3年前に理由は不明だが、再度帝国に亡命し、陸戦隊の隊長として准将の地位を得る。野心家で帝国での栄達を望み、ハルテンベルク伯の思惑もあって、彼の妹エリザベートと半ば強引に結婚する(マチアスの死が背景にあり、夫婦仲は自嘲するほど最悪だった)。その来歴や野心家であるための普段の言動、さらにはその結婚の経緯から、周囲からは非常に疎まれていた。真偽は不明だが、実は皇族の落胤という噂話もあったという。 作中ではヴァンフリート4=2の地上戦においてグリンメルスハウゼン艦隊麾下のラインハルトと同格の同僚として登場する。ラインハルトの地上偵察の提案に対し、陸戦隊の長である自分の方がふさわしいとして彼の手柄を横取りするような形となるが、ローゼンリッター連隊長であるヴァーンシャッフェを戦死させ、続く即座の同盟基地攻撃の進言や、そこでの活躍などラインハルトも認める戦功を挙げる。ラインハルトからその存在を危険視されるのと同時に、リューネブルクもまたラインハルトの野心や才幹を見抜いて危険視し、以降、水面下で暗闘する。しかし、オフレッサーに取り入ろうとして、逆に拒絶されるなど、自分の人望の無さなどの不手際を晒し、追い込まれていく。第6次イゼルローン攻防戦では、復讐に燃えるシェーンコップの策で戦場に引きずり出され、彼との一騎討ちの果てに右腕を斬り飛ばされて敗北し、「俺は死んでやる、死んで解放してやる」と妻に対して独白して絶命する。戦死後、大将に昇進した。 エーリッヒ・フォン・ハルテンベルク (Erich von Haltenberg) 声 - 佐々木功(千) 内務省警察総局次長。ハルテンベルク伯爵家当主。エリザベートの兄で、リューネブルクの義兄。外伝『千億の星、千億の光』の登場人物。 現実的な視野と貴族のプライドを併せ持つとされ、まだ若手ながら、いずれは警視総監、そして内務尚書の座を占めると噂されている実力者。かつて妹がうだつの上がらない貴族子弟カール・マチアスと付き合うことに反対し、その上でマチアスがサイオキシン麻薬の密売をしていると知ると、妹と家名、そして将来の栄達を守るために、彼をフォルゲン伯と組んで謀殺する。その後、最愛の人の死で廃人同然に陰鬱とする妹を見かね、元薔薇の騎士連隊の連隊長という経歴を持つリューネブルクと婚約させた。これについてケスラーは最愛の人を奪った者を夫とする憎しみの対象を与えることで妹の心を救おうとしたのではないかと推測している。 最終的にグリンメルスハウゼンがマチアスの死の真相をエリザベートに教えたために妹から恨まれ、睡眠薬を飲まされて階段から突き落とされた上に、顔に植木鉢を叩きつけられるというその職位と爵位に合わない悲惨な死を迎える。 エリザベート・フォン・リューネブルク (Elisabeth von Luneburg) 声 - 麻上洋子(千) リューネブルク の妻。ハルテンベルク伯爵家令嬢(現当主エーリッヒの妹)。外伝『千億の星、千億の光』の登場人物。 かなりの美貌を持つ伯爵令嬢。かつてカール・マチアスという最愛の恋人がいたが同盟との戦闘中に亡くなり、ショックで廃人同然になっていたという過去を持つ。兄の斡旋で、そのマチアスを殺した薔薇の騎士連隊の元連隊長という経歴を持つ亡命者ヘルマン・リューネブルクと半ば強引に結婚させられた。そのため、当然のことながら夫婦仲は最悪だった。なお、エリザベートはマチアスがサイオキシン麻薬の密売に手を染めていたことや、それによって兄とフォルゲン家が共謀して彼を最前線に送り戦死させたことを知らなかった。 第6次イゼルローン攻防戦とほぼ同時期にグリンメルスハウゼンの画策によってマチアスの死の真相を知らされる。これによって兄への復讐心が芽生え、睡眠薬入りの紅茶を飲ませた上で階段から突き落とし、さらに鉢植えを顔面に投げ落として殺害する。 カール・マチアス フォルゲン伯爵家の四男。准将(軍官僚)。エリザベートの恋人。故人。外伝『千億の星、千億の光』の登場人物。 エリザベートのかつての恋人で将来を誓いあった仲であった青年。極めて能力に乏しく、家のおかげで斡旋された軍務(主計)も怠りがちであったが、エリザベートへの愛は最終的には本物だった。ハルテンベルクとフォルゲン両家の反対を押し切って結婚しようとし、さらに結婚生活の生活費のためにサイオキシン麻薬の密売に手を出す。それが警察総局に務めるエリザベートの兄エーリッヒに知られ、カールの長兄で現当主のフォルゲン伯爵と相談の上で、エリザベートとそれぞれの家名を守るために最前線に送られ戦死した。なお、この時の相手が薔薇の騎士連隊であったことが、リューネブルクの人生に影響を与える。 マルティン・ブーフホルツ (Martin Buchhortz) 声 - 三木眞一郎(千) キルヒアイスの小学校時代の旧友。外伝『千億の星、千億の光』5章の登場人物。 ヴァンフリート星域会戦後に実家に帰ったキルヒアイスと偶然に再会した幼馴染。その時、18歳で国立オーディン文理科大学で古典文学について研究していたが徴兵され戦場に送られることを憂慮し(古典文学研究は徴兵免除の対象にならない)、思わずキルヒアイスにあたってしまう。その半年後、憲兵隊による学生たちの地下反戦組織の摘発で逮捕され、政治犯収容所に送られてしまう。さらに2年後に、地位と権限を得たキルヒアイスが行方を追った時には栄養失調で既に亡くなっていたことが判明する。
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