箪笥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 08:37 UTC 版)
概要
元来「箪笥」とは、日本の古典的な家具の名称であり、英語で"Tansu"と呼ぶのは、そうした引き出しを主とした収納家具である。現在ではこれらを和箪笥とも呼ぶ。一方、近代になって西洋風の収納家具が用いられるようになった時にも、これらを箪笥に含めて、洋箪笥や洋服箪笥などと呼ぶようになった。英語でいう"Wardrobe"(外来語としてのワードローブ)、"Closet"(クローゼット)などがそれにあたる。
日本では家庭用品品質表示法の適用対象となっており、雑貨工業品品質表示規程に定めがある[2]。
助数詞として、棹(さお)という語を使って数える。和箪笥には、両脇に棹通し金具がつけられており、長持と同様に、棹を通して持ち運べるようになっている。これが箪笥の数え方「棹」の由来である。
種類
収納するものによって様々に分かれる。衣服を収納する整理箪笥、衣装箪笥、洋服箪笥や、食器を収納する茶箪笥などが一般的であるが、手回り品を入れる用箪笥、帳面を入れる帳箪笥、薬屋で生薬を入れるのに使われた百味箪笥、武家の刀箪笥など、入れるものに合わせて様々な大きさや形の箪笥が作られてきた。
また、婚礼箪笥といわれる、結婚時に用意される一式揃いのものがあり、標準的には整理箪笥、洋服箪笥、和箪笥(この場合引き出しとして和服用の特別の設備をしたもの)の3点セットである。
また形態的には、盗難防止のからくりを施したからくり箪笥というものや、逆に非常時に箪笥ごと押して持ち出せるように車輪を付けた、車箪笥というものもある。日本では他にも階段の形をしており、実際に階段として利用される箪笥階段(階段箪笥や箱階段とも)がある。この場合建物の構造の一部(背面が壁や柱そのもの)となっているものもあり、そういったものは建設時に作り付けとして設置され移動できない。後付で設置される場合は大きさを揃えた引き出しを並べただけの物も多く、その場合は移動可能である(後付でも固定されている場合もあるので一概には言えない)。
江戸時代には北前船など廻船に積み込み、難破時には水に浮いて貴重品を保護する「船箪笥」(柳宗悦が提唱した呼称)も作られた[3]。
材質別では、関東の和箪笥では、桐で作られた桐箪笥が高級品として有名である。他に、スギ、タモ、サクラ、ケヤキ、ナラなどの木材がよく使われる。
- ^ 簞は印刷標準字体である。
- ^ “雑貨工業品品質表示規程”. 消費者庁. 2013年5月23日閲覧。
- ^ 勝木憲二郎「船箪笥に詰まる技術と粋◇難破しても水に浮く構造 独学で復元し製法ひきつぐ◇」『日本経済新聞』朝刊2018年12月17日(文化面)2018年12月21日閲覧。
箪笥と同じ種類の言葉
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