歴代の衣装
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シンプルな黒地や友禅などの高価な着物を着ることも多いが、普段からなにかときらびやかでゴージャスなファーやドレスなどの衣装を身にまとっており、音楽番組などでは衣装を何着も用意してコンサートのように度々衣装チェンジをして着替えている。コンサートやテレビ出演用のドレス・着物などは2019年6月に完成・引越しした自宅へ保管されており、島倉千代子から贈られた本人の着物の端切れを集めて出来た半纏、恩師・古賀政男に一番最初に選んでもらった着物も保管されている。 紅白歌合戦ではさらに趣向を凝らしたゴージャス衣装を数多く用意している。豪華衣装を着始めた理由は「市川猿之助さんのスーパー歌舞伎を生で見て、私もこんな派手な衣装を着てステージで歌いたいなと感銘を受け、猿之助さんの楽屋へ挨拶に行ってコスチュームデザイナーを紹介して頂いたのがスタートでファンの皆さんに自分の歌以外にも派手な衣装を見ていただいてビジュアル面でも楽しんでいただきたかったから」と語っており視聴者の間で毎年話題となっている。小林自身も今までの衣装代に財産をつぎ込まなければ今頃は大豪邸を建てて左団扇で暮らしているだろうと冗談で語ったことがある。 「ワイヤーで吊り上げたり、特殊リフトで上昇したりする」「電飾を大量に使用する」「毎年彼女専用に新規に製作される特注品であり、製作費が億単位と非常に高価なためこの世に1着しか存在しない」という特徴を持ち、紅白終了後は1か月公演や全国ツアーでも披露されるのが習わしとなっている。 製作した衣装は処分したりせずに、湯河原や都内の自宅、倉庫などに全て保管しており、維持費だけでも毎年かなりの金額になるとNHK『スタジオパークからこんにちは』のゲスト出演時で語っていた。紅白で使われた歴代の豪華衣装は解体して保管している。 1992年の紅白では推定4億円とされる電飾衣装で登場したが、本番中にショートしてコンピュータが故障し、約3分の2が点灯しないというトラブルに見舞われた。 映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』では、この派手な衣装をネタにした「小林幸子アクションミレニアムビーム発射装置」なる武器が劇中劇に登場。ビーム発射音は小林本人の声であった。また、この映画の主題歌も小林が歌っている。なおその際に劇中に登場したのは1993年の紅白にて披露された【ペガサス】という衣装である。 2006年はデザイナーに生澤美子を新たに採用、「火の鳥」デザイン画を忠実に再現したため重量化してしまったため、コンサート用に軽量化したものを後に2着作製。 アニメ『ヤッターマン』2008年12月15日放送の第28話には、この派手な衣装をモチーフとしたドロンボーメカ「サチコDX(ディーエックス)」が登場。声も小林本人が担当しているほか、劇中では小林本人が「天才ドロンボー '08」を熱唱するシーンや2000から2007年までの衣装を再現するという演出があった。また、「ドクちゃんの豆知識」では、2008年の実際の紅白衣装で「世界一軽い布を探しているらしい」というヒントも披露された。 2011年の衣装は東日本大震災の発生で自粛を検討していたが、私達を元気づけるつもりなら豪華衣装をやってください。との被災者らの声により10月1日より製作開始し12月30日のリハーサル当日の朝に完成した。大きいトラックの荷台に乗せNHKホールの搬入口から搬入しようとしたところ獅子の頭が大きすぎで入らなかったため、トラックより下ろし鼻の一部分を削って搬入した。 2015年の紅白では特別企画枠で4年ぶりに復帰した小林は動画サイト「ニコニコ動画」とコラボした巨大衣装で初音ミクのボカロ曲として有名な「千本桜」を披露。リハーサルでは白のドレス姿の小林の背後からメガ幸子が登場する演出の途中で、スタッフから「いったん止めます! 後ろのメガ幸子の調子が悪いです」との声が上がり、一時中断となったが、翌日の本番では大成功となった。 衣装には毎年、曲目に合わせたコンセプトから名前が付けられている。 衣装担当・デザインは桜井久美子や上迫美恵子、生澤美子、加藤昌孝、森脇裕之、デューク松山、秋元メカステージなどが歴代参加している。 年度衣装名歌唱曲備考1979年(昭和54年) 『白いドレス』 おもいで酒 シンプルなドレス、まだ衣装を大きな要素とはしていなかった。 1980年(昭和55年) 『青いドレス』 とまり木 青いドレス、マイクを持つ手に椿の花。 1981年(昭和56年) 『鳥の青ドレス』 迷い鳥 鳥の透かし模様を入れた、左手を上げ羽をモチーフにみえる演出、後を予感させる手の込んだものとなり始めた(作・永島正)。 1982年(昭和57年) 『白いドレス』 おもいで酒 肩を出したドレス、パールをあしらったもの。 1983年(昭和58年) 『宝塚"ベルサイユのバラ"』 ふたたびの 前年の成功もあり、この回から本格的に衣装へのこだわりが見受けられる。 1984年(昭和59年) 『チャイナドレス』 もしかして 白を基調とし、鳳凰の模様を描く。白い大きな羽の扇子を持つ。 1985年(昭和60年) 『十二単』 夫婦しぐれ 赤い十二単を身にまとい「夫婦しぐれ」を歌う。 1986年(昭和61年) 『クレオパトラ・カムバック』 別離 金とエメラルドグリーンの衣装。小林の背後には多くの孔雀の羽根が付けてある。間奏では「洋風『十二単』のよう」と紹介された。 1987年(昭和62年) 『平安王朝絵巻』 雪椿 昭和天皇療養中ということもあり前年と比較するととてもシンプル。紅白で初めて着物を身にまとう。色は白。 1988年(昭和63年) 『唐織の壺織装束』 雪椿 オレンジの着物のような衣装。頭に金や銀の髪飾りを使用。 1989年(平成元年) 『21世紀の天女』 福寿草 天女をイメージした衣装。歌い始める前に大きな羽衣のようなものをもっていた。1番を歌い終わると小林は自分で銀の衣装を脱ぐ。すると小林のドレスの袖にキラキラと光る飾りが出てくる。 1990年(平成2年) 『東洋の神秘』 天命燃ゆ インドの職人が何日もかけて織り上げた衣装。全体的に赤や黒で刺繍が施されており、小林の背後には炎をイメージしたカーテンが取り付けてある。そして、ヘッドドレスは高さが約30センチメートルあり、中には水晶が取り付けてある。 1991年(平成3年) 『冬の鳥』 冬化粧 この年は小林が紅白で初めて空中浮遊に挑戦した。金の冠と黒や銀に光る衣装で登場。一番を歌い終わると、直径5ミリのワイヤーで小林は上昇し、それと同時に衣装が鳥のように大きく開く。衣装になかには大きなバネが取り付けてあり、その力で衣装が開く仕組みになっている。 1992年(平成4年) 『光のファンタジー』 恋蛍 62500個の電球が色々な色に輝きながら衣装が動くはずだったのだが、紅白当日に衣装のコンピューターが故障し、電球が光らないという事態に見舞われた。しかし翌年、30周年記念リサイタルの際にオープニングでこの衣装を成功させた。 1993年(平成5年) 『ペガサス』 約束 大きな衣装の衣装の真ん中で青いドレスを着て登場。1番を歌っているときに青いドレスが金のドレスに早変わりする。その後、金の衣装の後ろにペガサスの絵が付いている金色の大きな羽が登場。真ん中から風が送られヒラヒラと揺れる。高さ8メートル。幅14メートル。この衣装をリスペクトし生まれたのが、2016年のコンサートから使用されている「フェニックス」となる。 1994年(平成6年) 『人間ナイアガラ』 雨の屋台酒 ピラミッドのような物の上で青いドレスを着て登場。1番を歌い終わるとピラミッドのような物に取り付けてある青く丸いボールのような物が回転し、ドライアイスが大量に出される。 1995年(平成7年) 『21世紀の観音様』 母ひとり 銀色の衣装で登場。1番を歌い終わると同時に小林がリフトで上昇。衣装が銀から黒に早変わりする。2番の途中で小林の背後に大きな傘のようなものが現れる。くるくると回転をし続ける。 1996年(平成8年) 『雪女』 越後情話 1番は黒い着物で登場。間奏で着物が滑り落ち金のドレスが出現。それと同時に大きな雪の結晶が開く。最後に宇宙をイメージした星のカーテンが出現する。 1997年(平成9年) 『生命誕生』 幸せ 小林の入った卵が高い位置まで上がって1番が始まる。1番の途中でスカートが滑り落ち紫のスカートに早変わり。間奏で蝶々をイメージした大きな羽が舞台いっぱいに広がり前後に動く。同時に小林のスカートも紫からオレンジに変化する。最後に小林の頭上に角のような物が現れる。 1998年(平成10年) 『ヒューマンファンタジー』 風といっしょに 一番が始まる前に稲妻が割れ、その中から小林が黄緑とピンクのドレスを着て登場。歌い始めると小林の左右に24色に輝く光ファイバーの布が出現。歌う間に上下する。2番が終わるころに小林が黄緑とピンクのドレスから、緑でヒラヒラ揺れるドレスに変わりながらリフトで上昇。それからさらに薄さ0.1ミリのボディースーツのドレスが出現する。 1999年(平成11年) 『2000年のかぐや姫』 やんちゃ酒 赤い着物での登場。1番を歌い終わると赤い着物が滑り落ち、緑の着物が登場。同時に小林はリフトで上昇し、後ろに竹をイメージしたカーテンのようなものが現れる。最後、2番を歌い終わると同時に、舞台の左右から金に輝くカーテンのようなものが現れる。 2000年(平成12年) 『愛×2傘』 泣かせ雨 舞台袖から赤い傘を持ち歩いて登場。橋を登り真ん中で歌い始める。間奏で小林の下から緑色のカーテンが現れ隠す。それと同時に後ろに大きなピンク色の傘が登場。緑色のカーテンが開くと橋も開き大きなスカートになる。全体的にピンクの衣装。 2001年(平成13年) 『Flower of dream』 夢の涯て〜子午線の夢 小林の仮面をかぶったダンサー約20人が小林の下で赤いドレスを着て踊る。1番を歌い終わると小林の衣装が赤から金に変わり後ろには大きな花のようなものが出現する。ヘッドドレスや衣装には黄金の安全ピンが多く使用されている。 2002年(平成14年) 『氷の女王』 雪泣夜 赤いうち掛で登場。1コーラス歌い終えると、うち掛が滑り落ち、氷をイメージした白い衣装に早変わり。背後にはパイプのようなもので形成された巨大なブロックが現れる。 2003年(平成15年) 『孔雀』 孔雀 金色の卵が割れて小林が赤いドレスを着て登場する。1番を歌っている途中で後ろに銀色の回転するものが出現。この後、左右に白く大きな羽が広がり、最後に孔雀をイメージしたカーテンのようなものが開く予定だったが本番、電気トラブルによりこの3つが作動せずに終わってしまった。しかし、その後何度も調整をして『NHK歌謡コンサート』でリベンジを果たした。その時小林は成功したことに嬉し涙を流していた。 2004年(平成16年) 『アテネの女神』 いそしぎ 2004年紅白未発表 衣装。2005年1月の『NHK歌謡コンサート』で披露した。多数の赤い花で炎をイメージした衣装で登場。間奏で滑り落ち、茨をイメージした緑色の衣装にチェンジ。背後に羽根が生え背景にはヴィーナスをイメージしたものが現れる。なお、小さなホールでお披露目した際はカーテンが瞬時に滑り落ちる仕組みに代えられたという。 2005年(平成17年) 『冬から春へ』 越後絶唱 水色の衣装で登場。氷の岩のようなものの上で1コーラス歌い終えると、小林が下降し、つぼみと背景(冬)が上昇。つぼみが開くと小林がピンクの衣装で登場。2コーラス目を歌い終えると背景(冬)が滑り落ちてピンク(春)に変わる。 2006年(平成18年) 『火の鳥』 大江戸喧嘩花 黄金のドレスで登場。間奏でNASAが開発した特殊リフトで高さ8メートルまで上昇し、同時に青龍も上昇。青龍が倒れると、黄金の巨大ドレスが現れ、回転する。2016年3月19日~5月8日開催「ダイバーシティ劇的4周年 幸せが舞い降りる」「小林幸子特別展 幸コレ」で一般公開された。2020年1月現在、この衣装が多く使用されている。 2007年(平成19年) 『桜の万華鏡』 恋桜 桜の花びらが沢山あしらわれている黒い着物で登場。1番を歌い終わると銀色で光る布が小林を隠す。それと同時に回転する大きなブロックが出現。それからまもなく銀色の布が開き小林は青や水色に光るドレスに早変わりしリフトで上昇。小林の左右には桜の万華鏡をイメージしたカーテンが登場。総重量2トン。高さ8メートル。全幅15メートル。 2008年(平成20年) 『砂漠に突然現れるオアシスの女王』 楼蘭 砂漠をイメージした黄土色の衣装で登場。1コーラスの途中でオアシスのイメージのピンク・紫・水色の衣装に一瞬にして早変わり。間奏で高さ8メートルまで上昇。同時に羽根が生える。背景に巨大ジェット4機を使用して世界一軽いといわれる布が浮上。横12メートル、奥行き4メートル。 2009年(平成21年) 『メガ幸子』 万葉恋歌 ああ、君待つと 本人と同様の衣装を着用した高さ8.5メートル、横幅8メートル、奥行き5.4メートル、総重量3トンの巨大な胸像が登場。 2010年(平成22年) 『母鶴』 母ちゃんのひとり言 歌のタイトルどおり故郷とお母さん という暖かいイメージから鳥をイメージ、歌い始めは約5.5メートルの位置からのスタート。間奏で黒幕がはずれ後ろ向きのうずくまった鶴が登場、そのまま鶴のみが回転し前向きに。小林は鶴の背中に乗った状態。鶴は羽を広げ2番の歌唱中上下左右に動くほか首も動き羽もはばたく。鶴は羽を広げると幅13メートル、高さは最高8メートル。2016年3月19日~5月8日開催「ダイバーシティ劇的4周年 幸せが舞い降りる」「小林幸子特別展 幸コレ」で一般公開された。 2011年(平成23年) 『メガ獅子』 おんなの酒場 2009年に続くメガ第2弾。衣装のテーマは五穀豊穣となっている。暗闇に包まれながら一番を歌うと間奏部分で暗幕がはずれ大きく口を開けたメガ獅子が登場。小林は獅子の口の中に立った状態になり獅子のみが上昇。小林が獅子の口に飲み込まれ口が閉じた後、獅子の頭部から小林が登場し獅子も後ろの部分が大きく広がる。耳や獅子の顔や口、全体が本物の獅子舞のように動く。獅子は高さ6メートル全長8メートル重さ2・5トン。小林が身にまとっている衣装には幸子田で収穫された稲穂がちりばめられている。2016年3月19日~5月8日開催「ダイバーシティ劇的4周年 幸せが舞い降りる」「小林幸子特別展 幸コレ」で一般公開された。 2015年(平成27年) 『NEO幸子』 千本桜 動画サイト「ニコニコ動画」とコラボしたステージ。4年ぶりの出演ということで原点に戻る意味で白色を基準とした衣装。つまみ細工やレジンで作られた桜モチーフの装飾がコスチュームに多数ついている。イントロを歌い終わると衣装が上昇し背中のLEDパネルの羽が広がり後ろから2009年衣装のメガ幸子が登場する。サビに入ると衣装が5.5メートルまで上昇し、最後には背景などにニコニコ動画のコメントが流れる弾幕が演出された。2016年1月放送「中居の金スマ」にて衣装が最お披露目、同年開催「ニコニコ超会議2016」でも展示された。 2013年~2015年(平成25年~平成27年) 『茨のティアラ』 茨の木/越後に眠る 2012年紅白でお披露目予定だったが落選。翌年、自身の50周年記念コンサートで初披露。序盤は緑の照明に照らされた茨(呪縛)の中で歌唱、間奏で照明が変わり高さ最大7mまで上昇、茨はツリー状になり黒いドレスが出現し2番を歌唱する。ここでは「呪縛からの解放」をイメージしたという。終盤では茨がティアラの形になり、横幅は約6m。 従来の巨大衣装はNHKホールのステージを想定した大きさだが、地方の公演では完全な大きさでは搬入・お披露目出来ないこともあるため比較的コンパクトなサイズに。 2019年、自身の55周年記念台湾公演で2日に渡り披露された(その時の歌唱曲は「千本桜」)。
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