日本の政治的な動向
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「日本の消費税議論」の記事における「日本の政治的な動向」の解説
(導入 - 2014年現在に至るまで) 1988年(昭和63年)12月 - 消費税法が成立。1989年(平成元年)4月1日より税率3%で施行される。 1989年(平成元年)6月に竹下首相が退陣し、宇野宗佑が後任の首相となったが、7月の第15回参議院議員通常選挙で消費税廃止を公約した日本社会党が躍進し自民党は大敗。宇野首相も退陣に追い込まれる。 12月 - 野党が過半数を占めていた参議院において消費税廃止法案が可決されるが、衆議院では与党が多数を占めていたため廃案となる。 1990年(平成2年) - 第39回衆議院議員総選挙で自民党を含む全政党が食料品などへの非課税を公約。選挙の結果、社会党が議席を伸ばすも自民党が多数を維持。その後家賃など一部のものが非課税になるも、食料品への非課税という公約は果たされなかった。 1994年(平成6年)2月3日 - 細川首相(日本新党)が深夜の記者会見において、消費税3%を廃止して税率7%の国民福祉税を導入すると発表(国民福祉税構想)。しかし、事前の根回しを全くしていなかったため連立していた社会党、民社党、新党さきがけや世論の反発を受け翌日撤回。 6月 - 非自民非共産連立政権は崩壊し、日本社会党を首班とする村山内閣(自民党と新党さきがけが連立)が発足。同年9月この政権は1997年(平成9年)4月から消費税率を5%に引き上げることを決定し同年11月に法案を可決・成立させる。翌年の第17回参議院議員通常選挙で日本社会党は大敗北。 1996年(平成8年)1月 - 村山首相が退陣し橋本龍太郎自民党総裁が自社さ連立政権を継承。橋本首相は9月に衆議院を解散。野党第一党の新進党は20世紀中は消費税率を3%に据え置くことを公約したものの、党の公約と候補者の公約にねじれがあったことを自民党に突かれるなどの影響で新進党が後退し、自民党が大幅に躍進する。 6月25日 - 橋本内閣は「1997年4月1日から消費税を5%に引上げる」ことを閣議決定。 1997年(平成9年)4月1日 - 消費税税率が5%に引き上げ。消費税引き上げに伴う消費の落ち込みや、同年夏のアジア通貨危機、秋には不良債権問題を要因として大手金融機関が相次いで破綻した影響で、バブル崩壊後緩やかに回復基調にあった景気が腰折れする。結果、増税による増収効はその年だけに留まり、財政はかえって悪化した。 1998年(平成10年)の第18回参議院議員通常選挙では、日本共産党は消費税率を3%に戻すことを公約。選挙の結果野党第一党の民主党及び共産党が大幅に議席を伸ばし、一方で景気対策が二転三転した自民党は議席を激減させ参議院の過半数を割り込む。橋本首相は敗北の責任をとって退陣。その後日本共産党や自由連合により消費税減税法案が提出されるが、成立はしなかった。一方与党自民党は、小渕内閣により所得税や法人税を減税するも、景気対策という名目で大型予算を組むなどしたため財政再建はますます困難となった。 2003年(平成15年)の自由民主党総裁選挙において小泉純一郎首相は「任期である3年間は消費税率の引き上げを行わず無駄な税金の使い方を正していく」と公約し再選された。公約通り増税はされなかったものの財政再建は達成できなかったとされる。 民主党及び民主党代表就任直後の岡田克也は、2004年(平成16年)の第20回参議院議員通常選挙で「消費税を8%に上げる」と公約。その参議院選挙では辛勝したが、翌年の第44回衆議院議員総選挙(郵政選挙)で小泉劇場の前に民主党は大敗した。その後、2007年(平成19年)の第21回参議院議員通常選挙では小沢一郎代表のもと「消費税率の据え置き」に方針を変更し、同年の参議院選挙では大勝した。 2006年自民総裁選で、谷垣禎一財務相は「2010年代には消費税を10%にする」「社会保障目的税化」と表明した。同選挙で当選した安倍晋三官房長官(当時)は消費税議論に関しては明言を避けていた。 2007年(平成19年)、テレビ番組に出演した 安倍首相は「消費税を上げないと言ったことはない」「税制の抜本改革は近いうちに信を問うことになっている(=国民に審判を仰ぐ)」と税率を上げる可能性があることを示唆した。直後には、「出来るだけ上げないように努力する」と発言している。 同年10月、内閣府直属の経済財政諮問会議が「財政を黒字化した上で医療・介護給付の水準を維持するためには2025年度に約14-31兆円分の増税が必要となり、消費税でまかなうなら11-17%まで税率を引き上げる必要がある」と現行と比べて最大12パーセント消費税率を引き上げる可能性がある試算を公表した。 2008年(平成20年)10月30日、麻生太郎首相は消費税率について、「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で」と断った上で、「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と述べた。また、2009年(平成21年)2月3日には衆院予算委員会で、生活必需品などに配慮する複数税率についても言及。 2009年(平成21年)の第45回衆議院議員総選挙では、自民党は「景気回復後に消費税引き上げ」と公約、一方、民主党の鳩山由紀夫代表は「4年間は引き上げず、議論もしない」と公約した。選挙の結果民主党が圧勝し、自民党は大敗して下野した。 2010年(平成22年)6月18日、就任間もない菅直人首相は民主党本部に主要閣僚を呼び、福祉財源獲得のために消費税を、谷垣総裁率いる自民党が2010年(平成22年)の第22回参議院議員通常選挙で公約したのと同じ10%まで引き上げる案を提示。同時に年収400万以下であれば納税額を全額還付する方式や食料品に低めの税率(軽減税率)を設定するなど低所得者への配慮を盛り込むことを主張した。また鳩山前首相の「4年間は引き上げない」といった公約を撤回し、最速の場合は2012年(平成24年)の秋にも増税を実施するとした。これに対し日本総研は社会保障の機能を強化するためには10%では足りないとの試算している。 消費税を導入した直後に行われた1989年(平成元年)の参議院選挙で宇野内閣を構成する自民党が、5%増税後に行われた1998年(平成10年)参議院選挙で橋本内閣を構成する自民党が、10%増税論議となった2010年参議院選挙では菅内閣を構成する民主党、国民新党がいずれも惨敗している。このように、消費税率の引き上げ問題は近年では(1989年以降参議院では政権与党が単独で過半数を維持していないため)ねじれ現象を起こし政治空洞化の遠因となっている。 2011年(平成23年)1月内閣改造を行う。菅首相は2011年(平成23年)半ばまでに消費税引き上げ問題に関する結論を出すと表明している。また、たちあがれ日本を離党した増税論者である与謝野馨を閣僚に登用するなど増税路線を明確にした。 菅総理は、社会保障と税制の一体改革について「6月までに成案を得る」と表明で説明。「消費税(率)引き上げを実施するときには国民の審判を仰ぐと従来言っており、その方針に変更ない」と述べた。 6月30日、政府・与党は「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」ことを決定。国民新党は会議で反対したが打ち切られ、同じく反対した与党会派の新党日本は議事録がとられなかったとしている。また内閣府は同年5月、逆進性対策としての食料品への軽減税率適用は「他の手段による対応に比べ、効果が小さいという見方が一般的」だとして、否定的な見方を示した。 9月19日、野田佳彦総理は消費税増税は社会保障の財源確保のために行うべきであり、東日本大震災の復興財源を確保するための臨時増税からは除外する考えを示した。また同年6月の菅内閣による増税案について民主党は、2013年10月に7-8%、2015年度中に10%とする案を軸に検討し政府の合意を得る方針。同総理はフランス・カンヌで始まったG20首脳会議の場で(2011年11月3日午後、日本時間同日夜)、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」と表明し、関連法案を2011年度内に提出すると明言した。 12月30日、民主党税制調査会は社会保障と税の一体改革に伴う消費税率の引き上げについて、当初原案(2013年10月に8%、2015年4月に10%)で示した増税時期を半年先延長させ、「2014年4月に8%、2015年10月に10%とする」ことで決着。党として一体改革の税制部分の素案が決定した。 2012年(平成24年)2月17日、政府が消費増税を柱とした税と社会保障の一体改革の素案を大綱として閣議決定した。 3月30日午前、政府は消費税率引き上げ関連法案を閣議決定した。 6月15日夜、民主党・自民党・公明党は消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の修正で合意した。社会保障制度改革は事実上先送りされた。 6月21日、民主党・自民党・公明党の幹事長が会談を行い、先に実務者間の協議によって合意に至った項目について、あらためて誠実に実行することが確認され、三党合意が成立した。 6月26日、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が衆議院本会議で採決され、民主党・国民新党・自民党・公明党の賛成多数で可決された。なお、民主党から57名の反対、16名の棄権・欠席者が出た。 7月19日、消費増税法案を巡る参議院の審議で、安住淳財務相は新聞の社説を根拠に消費増税の必要性を訴えた。 8月10日、同法案が参議院本会議で採決され、民主党・国民新党・自民党・公明党の賛成多数で可決・成立した。なお、民主党からは数名の反対・欠席者、自民党及び公明党からは数名の棄権・欠席者が出た。 8月22日、同法が公布された(平成24年法律第68号)。 2013年(平成25年)1月4日、安倍晋三首相は、年頭記者会見での質問に対して、「消費税の引き上げの実施については、4-6月の経済指標を含め、経済状況を総合的に勘案して判断をしていく」と述べた。 4月19日、麻生太郎財務相は、ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の記者会見で「予定通り消費税を引き上げる決意を説明した」と述べ、消費税増税を国際社会に公約し財政再建をアピールした。 8月8日、8月23日、消費税率引上げに係る経済状況等の総合的勘案の参考とするため、幅広く国民各層の有識者・専門家を招いて集中的に意見を伺うべく、「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」を同年8月26日から同月31日まで総理大臣官邸で開催することとされた。なお、有識者・専門家には、学者やエコノミスト、首長ら計59人が選定されたが、後日、横倉義武日本医師会会長が追加された。 8月28日、甘利明経済財政・再生相は消費増税の影響を巡る集中点検会合後の記者会見で、消費増税賛成の意見が多くなっていることについて「なるべくバランス良く(賛成派と反対派の)人を入れようと相談したが、人選をしていく中で反対派の対象者が少ないことは実感した」と述べた。 8月31日政府の「集中点検会合」は最終日の議論を終え、7回に及んだ会合で計60人の有識者が意見表明、予定通り増税を容認したのは7割超の44人で、増税時期の先延ばしや税率上げ幅の変更などの見直し案は11人、増税反対は3人で、2人は賛否を明確にしなかった。 自民党の石破茂幹事長は、消費増税について、「引き上げは党として決定している」と述べた。 9月3日安倍首相は、甘利明経済財政・再生相から「集中点検会合」の報告を受け、消費増税について、「判断は10月上旬にする」と表明し、10月1日に日本銀行が発表する全国企業短期経済観測調査(日銀短観)を「最後の経済指標として確認したい」述べた。なお、10月1日には、日銀短観の他、完全失業率、有効求人倍率、家計調査、毎月勤労統計調査(賃金の動向)の8月分結果も公表され、同日までに主要な経済指標の最新結果が出そろう。 自民党の高市早苗政調会長と野田毅税制調査会長は、国会内で会談し、消費増税に関する党内ヒアリングを9月9日に実施することで一致、政府から消費増税の影響を検証する集中点検会合の報告を受け、出席者から意見を聞き取るが消費増税はすでに党議決定済みとして意見集約はしない方針を示している。 9月8日、安倍首相は、2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催決定が消費増税の判断に与える影響について、「直接、関係はない」と述べた。さらに、(消費増税は)経済情勢を見極めてこの秋に判断していくという方針に変わりはないと示した。 9月12日朝日新聞、読売新聞、共同通信、時事通信、中日新聞、東京新聞、夕刊フジ などは、安倍首相が消費税率を予定通り2014年4月に8%に引き上げる意向を固めたと報じた。 菅義偉官房長官は記者会見で、安倍首相が消費税率を予定通り2014年4月に8%に引き上げる意向を固めた、との一部報道に関して「首相が決断したという事実はない」と述べた。 ロイター通信は、政府が2014年4月に消費税率を8%へ予定通りに引き上げる方針を固めたと報じた。 9月13日、毎日新聞・スポーツニッポンは、安倍首相が2014年4月に消費税率を8%に法律通り引き上げる方針を固めたと報じた。 9月16日、読売新聞は、安倍首相が消費税率を2014年4月から予定通り8%に引き上げる意向を固めたと報じた。 9月18日、産経新聞は、安倍首相が消費税率について、2014年4月に8%に引き上げることを決断したと報じた。 9月20日フジテレビは、安倍首相が消費税率を2014年4月に8%に引き上げる意向を固めたと報じた。同日、朝日新聞は安倍首相が消費税を2014年4月に8%に引き上げることを決断した報じた。 菅官房長官は記者会見で、2014年4月からの消費税率引き上げを安倍首相が決断した、との報道について「総理ご自身がもう決断したということは私はまったく聞いていない」と述べた。 9月21日、NHKは、安倍首相が消費税率を2014年4月から8%に引き上げることを10月1日に表明する見通しとなったと報じた。 9月22日、時事通信は、安倍首相が10月1日に8%への引き上げを正式表明する方針と報じた。 9月23日、読売新聞は、安倍首相が10月1日に消費税率を8%へ引き上げることを発表する方針と報じた。 9月24日、安倍首相は「消費税を引き上げるかどうか決めていない」と同行記者団に語った。 9月25日、時事通信は、安倍首相が消費税率を予定通り、2014年4月に8%へ引き上げる方針について、10月1日午後6時から記者会見をして正式に表明すると報じた。 9月30日産経新聞は、安倍首相が10月1日夕に記者会見を行い、消費税率を2014年(平成26年)4月から8%に引き上げることを表明すると報じた。 共同通信は、政府が「消費税率を2014年4月1日に8%へ引き上げることを確認する」と消費税増税に関する閣議決定案に明記したとし、安倍首相は10月1日夕に記者会見し、増税方針を説明すると報じた。 10月1日午後、安倍首相は、官邸で開かれた政府与党政策懇談会で、2014年4月に消費税率を8%に引き上げると表明し「経済政策パッケージの実行により、消費税率を引き上げたとしても、その影響を緩和することができ、日本経済が再び成長軌道に、早期に回復することが可能と考えている」と述べた。同日、安倍首相は、首相官邸で記者会見し、2014年4月から消費税率を8%に引き上げる決定を発表し「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために財源の確保は待ったなし」と述べ、増税に理解を求めた。 2014年(平成26年)4月1日、消費税率が8%に増税。 7月22日、麻生副総理兼財務相は、横浜市内での講演で、2015年10月に予定されている消費税率10%引き上げについて「財政再建にはあと2%増税をやらなければならない」と予定通り行うべきだと強調し「(安倍政権は)約束したことを実行することで信任を得ている。将来はよくなるという確信のもとに、国民の信頼を得ている」と述べた。 9月13日、自民党の谷垣禎一幹事長は、消費税率10%への引き上げについて「上げなかった時のリスクは打つ手が難しくなる」と述べ、予定通り実施すべきだとの考えを示した。 11月14日、東京新聞は、安倍晋三首相が2015年10月に予定されていた消費税率の8%から10%への引き上げを延期し、一年半後の2017年4月からとする意向であることが分かったと報道した。 11月18日、安倍晋三首相は記者会見で、消費税再増税の先送りを正式に表明した。 2019年(令和元年)6月11日、消費税の10%引き上げを10月に行う政府方針を発表。 7月21日、第25回参議院議員通常選挙にて消費税増税をかがけた政府与党が過半数を獲得したことを受け麻生財務大臣は予定通り10月増税を行うとした。その一方消費税の廃止を掲げた新興政治団体れいわ新選組が政党要件を獲得した。 2020年(令和2年)2020年度において、消費税21.7兆円、所得税19.5兆円、法人税12.1兆円と、歳入の租税及印紙収入において消費税が最大の歳入になっている。なお、国債発行による歳入である公債金は、新型コロナ対策のための予算確保の都合もあって90.2兆円にまで肥大化し、国債の利払い費用だけで9兆円にも及んでいる。
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