社会保障制度改革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 03:23 UTC 版)
「社会保障国民会議」も参照 日本の総人口は、2004年をピークに2005年は死亡数が出生数を上回り約2万人の減少となり、人口減少社会を迎えた。急速な少子高齢化の進行により、年金、医療、介護等の社会保障制度は、給付の面でも負担の面でも国民の生活に大きなウエイトを占め、家計や企業の経済活動に与える影響も大きくなった。人口の高齢化や支え手の減少に対応した持続可能な社会保障制度改革が必要であり、給付と負担のバランスや世代間・世代内の公平性が求められているとされる。 2004年7月に「社会保障の在り方に関する懇談会(内閣官房長官主宰)」が、社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとしていくため、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行う必要があるとの問題意識の下で議論を開始し、2006年5月に取りまとめた「今後の社会保障の在り方について」が「骨太の方針2006」に盛り込まれた。 自助・共助・公助や税・保険料の役割分担、世代間・世代内の公平性等に留意しつつ、社会保障制度全体を捉えた一体的見直しを推進する。 社会保障の給付については、国民が負担可能な範囲となるよう不断の見直しを行う。 社会保障のための安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りをやめる。 2007年には社会保障国民会議が設置され、また1月の閣議決定「日本経済の進路と戦略(経済財政運営の中期方針)」では、持続可能で信頼できる社会保障制度の構築のため、自助・共助・公助の適切な役割分担の下、世代間の公平を図るとともに、サービスの質の維持向上を図りつつ、効率化等により供給コストを低減させていくとされた。 社会保障強化のための必要財源額、および消費税率換算 (2013年 社会保障国民会議)2015年度 見込み2025年度見込み年金 社会保険方式の場合 2.6兆円 (+1%弱) 2.9兆円 (+1%弱) 税方式の場合 12〜28兆円 (+3.5〜8.2%) 15-31兆円 (+3.5〜8%) 医療・介護 4兆円 (+1%強) 14兆円 (+4%弱) 少子化対策 1.3〜2.1兆円 (+0.4-0.6%) 1.6〜2.5兆円 (+0.4〜0.6%) 計社会保険方式の場合 7.6〜8.3兆円 (+2.3〜2.5%) 19〜20兆円 (+5%) 税方式の場合 17〜34兆円 (+5〜10%) 31〜48兆円 (+8〜12%) 2012年民主党政権下では、三党合意において民主党・自由民主党・公明党の実務者間で「社会保障・税一体改革に関する確認書」が交わされ、提言は社会保障制度改革国民会議が行うとされた。2012年成立の社会保障制度改革推進法においては、社会保障制度改革の理念が以下と定められた(第2条)。 自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。 社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化とを同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現すること。 年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とすること。 国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすること。 2013年の自公連立政権下で社会保障国民会議が復活し、そこでは社会保障の機能強化の充実のために2015年には消費税率換算で+2.3〜10%強、2025年度には+5〜12%ほどの財源が必要との最終報告がなされた(社会保障と税の一体改革)。 2014年4月には、消費税が8%に引上げられている。さらに社会保障制度改革推進会議が設置された。2015年からは社会保障・税番号制度(個人番号。通称:マイナンバー)が導入された。 2015年のOECD対日審査では、最優先事項として病院平均入院日数の短縮が挙げられており、OECD平均の4倍(31.2日)である状況を短縮し、彼らを在宅ケアや介護施設に移行するよう勧告されている。介護受給者は年8%のペースで増加しているが、日本の介護施設はOECD平均の半分しかないため、病床を介護施設に転換することの利点を裏付けている。
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