フェアリィ空軍
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フェアリイ空軍(フェアリィくうぐん、Fairy Air Force FAF)は、神林長平のSF小説『戦闘妖精・雪風』シリーズ及び関連作品に登場する架空の軍隊である。
フェアリイ空軍
フェアリイ戦争初期、国際連合にて地球防衛機構が結成されたが、フェアリイ星が発見されると、通路の管理を如何するかで各国がもめ、戦いの主力だった大国が独占管理することは宇宙天体条約を盾に反対された。それによって地球防衛機構は国連から独立、超国家組織フェアリイ空軍を設立する。なお、強大な軍事力を持つFAFが独立する事を防ぐために、フェアリイ星で食料を自給する事は禁じられており、食料は地球側の食糧管理機構を通じて地球から輸入されている。
基地
フェアリイ星側の超空間通路を中心とした半径200キロの同心円状に、童話の妖精の名を冠したシルヴァン、ブラウニィ、トロル、サイレーン、ヴァルキア、フェアリイの六つの大型基地が設置されている。この中でもフェアリイ基地は全軍の中枢部であり、最も規模が大きい。これらの六大基地の地下には巨大な地下空洞が広がっており、その内部には一つの地方都市ほどの規模がある居住エリアが存在している。六大基地の他にも補給基地や戦略拠点として用いられるSAB(Strategical Air Base、戦略基地)や、前線基地であるTAB(Tactical Air Base、前線戦術航空基地)など複数の基地を持つ。TABはTAB-1~TAB-16までの16つが存在している。SABの総数は不明。
また、地球側のFAF及び地球防衛機構の本部はオーストラリアに置かれており、同地にはFAFの訓練施設も存在する。また、この他にも世界各地に出張機関を持つ。
組織
FAF全軍に対する意思決定権を有しているのは、フェアリィ基地に存在する統合参謀本部であり、その指揮下に各軍団と監理部が存在する。各軍団と監理部、及びその下部組織は以下の通り。
- 戦術空軍団
- 総司令官はシェーナー大将、後にギブリール・ライトゥーム中将。指揮下の部隊に戦術戦闘航空団と戦術開発団がある。後述する特殊戦も、戦術戦闘航空団内の一部隊である。
- 航空宇宙防衛軍団
- 防衛戦闘航空団と防衛偵察航空団を指揮下に置く。戦術空軍団とはライバル関係にある模様。また、空中移動基地として2隻のバンシー級原子力空中空母を保有している。
- 航空支援軍団
- 補給センター、通信管制団、航空救難団を指揮下に置く。
- システム軍団
- FAFの各種装備の開発を手掛ける軍団。飛行試験センター、基礎技術センター、技術開発センターを指揮下に置く。基本的には実戦には参加しない。なお、装備の設計は機械知性隊群によって行われている。「グッドラック」では本軍団内に、ジャムによるコピー人間の可能性のある人を集めた「再教育部隊」が編成されている。
- 気象軍団
- 気象管理センターと気象観測センターを指揮下に置く。
- 整備軍団
- 航空整備団と施設整備団を指揮下に置く。施設整備団は基地の除雪などを担当している。
- 情報軍団
- 情報収集団と解析センターを指揮下に置く。対ジャム戦だけではなく、FAF内部や地球相手の諜報活動をも行っている。総司令官はハインリッヒ・リンネベルグ少将だが、実際の指揮権は解析センター司令のアンセル・ロンバート大佐にある。
- 教育軍団
- 航空教育団と技術教育団を指揮下に置く。
- 医療軍団
- 戦闘心理研究所、航空医療研究所、医療センターを指揮下に置く。特殊戦に赴任してきたエディス・フォス大尉は、戦闘心理研究所に所属している。
- 監理部
- 経理局
- 各部隊の会計関係全てを管理する部署。各部隊に会計係を置いている。
- 人事局
- 各部隊の人事を担当する部署。入隊者の管理もこの部署が行う
- 厚生局
- 各部隊の衛生/生活管理や福祉、慰安関係の準備を行う部署。医療軍団と密接な関係にある。
- 装備局
- 建設資材や各部隊の装備などを調達、管理する部署。
- 施設局
- 基地などの各施設の保全や管理を行う部署。
- 保安局
- FAF内での警察や司法を管轄する部署。憲兵隊などを指揮下に置く。
- 広報局
- FAF内外への広報を担当する部署。
階級制度
惑星フェアリイに暮らすすべての人はフェアリィ空軍所属の軍人である。パイロットや指揮官はもちろんのこと、医官や文官、技官、市街地で商業に従事する者、地球からフェアリイに出向しているサラリーマン、娼婦に至るまで全員に階級が与えられている。また、最下級の階級は少尉であり、「将校のみで編成された軍」という、他国の軍隊から見れば極めて異質な制度が敷かれている。少尉という階級であっても一軍隊の中で最下級であることには変わりないため、およそ将校がすべきではない業務(除雪業務など)についている者も数多く、実質的には一般的な軍隊の下士官・兵卒としての扱いを受けている者も少なくは無い。 しかしながら、逆に階級にそぐわぬ大きな任務にあたる者も多い。一例を挙げれば、特殊戦第5飛行戦隊のジェイムズ・ブッカー少佐は各パイロットの出撃管理や作戦立案などにあたっているが、実質的には大佐クラスが行うべき業務である。また、戦隊の責任者であるリディア・クーリィ准将は、戦隊の性格上、一軍団長クラスの発言力を有する。このように、現場レベルにおいては階級が「上官と部下を区別するための記号」としての意味でしか扱われない場合も多く、ある程度の柔軟性を有すると推測される。
FAF語
フェアリイ空軍では、地球から離れた環境と正体不明の知性体との戦闘が行われていることからか、英語を基礎に徹底的に無駄を省いた言語が話されている。 この言葉は形容詞も少なく、簡素で高速に情報を伝えることが可能な、合理的であるが非人間的な語感がある。このことから、この特殊な言語をFAF語と称する場合もある。
特殊戦
特殊戦とは、『戦術空軍団・フェアリイ基地戦術戦闘航空団 特殊戦第5飛行戦隊』の事を指す。制式の部隊略号はSAF-Vとなっているが、FAF内では基本的にSAFのみで通じる。
高度な中枢制御体を搭載したスーパーシルフが配備されており、通称ブーメラン戦隊の名で知られている。 特殊戦第五飛行戦隊は、戦術航空軍団・フェアリイ基地戦術戦闘航空団に所属する一部隊に過ぎないが、 実際には独立した司令部と指揮系統を持つ軍団レベルの存在である。
あらゆる電子情報の収集を任務とし、その中でも主なものは戦術分析の為の戦闘のモニタリングである。配備されている13機が全て発進することは先ず無く、大抵は一機、多くても二機が他戦隊機の後についていく。特殊戦のパイロットに課せられた至上命令は「必ず生還しろ」であり、たとえ味方の戦隊が全滅しようとそれを援護することなく、味方機が危険な状態であろうと警告を発する程度でそれ以上の支援は一切しない。FAF内でも「最強の機体を持ちながら味方を見殺しにする冷血人間の集団」と忌み嫌われており、実際「他人に一切関心を持たない」という性向の人間ばかりが集められている。
使用機体
詳細は戦闘妖精・雪風#登場兵器を参照。
- FFR-31MR シルフィード/スーパーシルフ(Sylphide/Super Sylph)
- 通常のシルフィードを戦術偵察向けに改良したモデル。原型の格闘型戦闘機シルフィードからベントラルフィンが省略され、より高性能なコンピュータを搭載している。特殊戦の主力機体。
- FFR-31MR/D シルフィード/スーパーシルフ
- スーパーシルフを戦略偵察向けに改良を施したモデル。通常はラムジェットブースタを装備しているが特殊戦に配備されているD型には装備されていない。
- FRX-99 レイフ(RAFE)
- 無人戦術偵察機。開発目的は乗員を前線の脅威から退けるためではない。卵のように脆弱な人間のことを考慮せず、高機動を発揮させることを目論んだものである。
- FFR-41MR メイヴ(MAVE)
- FRX-99を有人機に改造したモデル。開発ナンバはFRX-00。機体の無人化により戦術がパターン化してジャムに付け込まれる事を恐れた特殊戦出撃管理士官ブッカー少佐の要請により製作された。現在FAF内に「雪風」一機のみしか存在しない。
フェアリイ戦争
フェアリイ戦争とは、突如南極に出現した超空間通路を通じ、謎の異星体ジャムがファーストコンタクトと共に地球へと侵略をはじめたことにより勃発した戦争。
フェアリイ戦争初期、人類は地球防衛機構を結成する。この侵略に対抗するため、地球防衛軍の偵察部隊が<通路>を潜り抜け、その先で未知の惑星を発見することとなる。人類はその惑星をフェアリイと名づけ、フェアリイ側の通路を中心に六つの基地を建設、フェアリイ空軍を設置した。フェアリイ戦争は開戦から既に30年が経過している。
フェアリイ星
現在フェアリイ戦争が行われている惑星「フェアリイ」についてはその位置、生態系、地理など未だに詳しいことは分かっていない。フェアリイ星の太陽は近接連星であり、その一方から吹き出したガスが高空では赤い帯となって目視でき、ブラッディロードと呼ばれる。連星はその形成過程で惑星系の材料をすべて取り込むか蹴散らしてしまうため、フェアリイ星は自然の惑星ではないと考えられている。また、その周囲は強力な磁場と放射能帯に包まれている。フェアリイ星側の通路の周囲には六大基地が設置されている。密林や砂漠、山脈などが確認されており、とりわけ密林は様々な木々が折り重なり、非常に分厚い層のようになっているため、開拓は困難を極める。フェアリイ星に空軍しか置かなかったのはそれが一因であるとも言われる。また、ここには「原住恐竜」と呼ばれる恐竜のような生物が生息していて、撃墜された機体の乗員が被害に遭うこともある。原住恐竜の他にも、密林の上層部を歩く動物などが存在しているという。
超空間通路
超空間通路は、地球南極点から1000km、西経約170度、ロス氷棚の一点に存在する。最大直径は約3km、高さは10kmを超え、紡錘形をした巨大な霧の柱である。これにより地球とフェアリイ星は繋がれている。航空機で突入することで通過することができるが、自動車や徒歩などでも通過できるのかについては触れられていない。一般には<通路>と呼ばれているが、詳細は不明であり超光速航法の一種ともその中にフェアリイ星があるとも言われている。
ジャム
ジャムとは、超空間通路を通じ地球へと侵略してきた謎の異星体である。小説では、ジャムの機体にはまるで空間を切り取ったかのような黒のカモフラージュがされており、その黒さは立体感や距離感が得られないほどである。カモフラージュの中は銀色。OVAでは銀色の機体に目まぐるしく変化する縞模様が浮かび上がり、さらに常に振動(?)しているため、パイロットの目にかなりの負担をかける。
ジャムについては殆どわかっておらず、姿も現さないため、機体そのものがジャムではないか、フェアリイ星自体がジャムではないかなどとも言われている。ジャムを目撃したと証言する者によると黒い細かな金属片の塊のような形をしているとのことであるが、それがジャム本体であるという証拠は何もない。
ジャムは人間側が新しい兵器や機体を開発しても通常では考えられない短期間で対抗手段を打ち出しており、こちら側の技術レベルに合わせて手加減をしているのではないかとも思われている。またジャムに空戦兵器しか見られないのも同様の理由と考えられており、そのためFAFは陸戦兵力の投入に慎重になっている。
現在ではジャムは「人間」を認識しておらず(知覚出来ておらず)、実際に戦うFAFの戦闘機やコンピュータ群だけを知覚していると推定されている。これはジャムという存在が物理的・時限的性質上、人間を知覚できる領域に存在しないためとする説が有力である。ジャムと結託しクーデターを起こした情報軍大佐アンセル・ロンバートも、ジャムが人間を捕捉するために人間的な身体を有するジャム人間、“ジャミーズ”を作ったのであるという見解を示している。
参考文献
- 神林長平 『戦闘妖精・雪風〈改〉』 ハヤカワ文庫、2002年、ISBN 4-15-030692-3
- 神林長平 『グッドラック戦闘妖精・雪風』 ハヤカワ文庫、1999年、ISBN 4-15-030683-4
- 早川書房編集部 『戦闘妖精・雪風 解析マニュアル』 早川書房、2002年、ISBN 4-15-208431-6
外部リンク
- 戦闘妖精雪風 - OVA版公式サイト
- FAF ACTION REPORT web.archive.orgからのアーカイブ 2023年11月4日閲覧
フェアリィ空軍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 00:47 UTC 版)
FA-1 ファーン フェアリィ空軍の主力戦術戦闘機。綴りには「Fern」と「Fand」の二種類がある。単発単座で、エンジンノズルは三次元スラストベクタリング。下反角が与えられた前進翼を持ち、水平尾翼及び機首下面のカナードと合わせて「3サーフィス」の翼配置を構成している。主翼には下反角が与えられているため、横方向の機動性が高い。また、ジャムの地上補給基地を自動で捕捉して攻撃する対地戦闘攻撃システムを備えている。 ジャム戦争勃発時には地球で実用評価中であり、フェアリィ星への侵攻にあわせて優先的にフェアリィ空軍に配備された。当時の水準では非常に機動性に優れた戦闘機であり、実戦投入直後はジャムに対する優位を有していたが、ジャム側の性能向上によって優位を失い、戦闘爆撃機や対地攻撃機として運用されることが増えている。しかし、新たな主力機のFFR-31 シルフィードが高価であることから、前線の部隊によってはいまだに制空戦闘機として運用されているケースもある。単座のA/B型と複座の練習機C/D型が存在するほか、C型の一部を改修した、FA-1C(SEAD)という対レーダー攻撃/対空火器制圧用の機体(通称:フェアリィ・ウィーズル)が存在する。スペック 全長:16.45m 全幅:11.56m 全高:4.83m 自重:11,876kg 基準離陸重量:16,662kg 最大離陸重量:24,669kg エンジン:FNX-5010-Kターボファン×1基(最大推力8,221kg(地球大気内・ミリタリー推力)、12,877kg(地球大気内・アフターバーナ使用時)) 最大速度:マッハ2.1 巡航速度:マッハ0.8 限界高度:17,700m 武装:20mmガトリング砲×1 翼下ハードポイント×4 胴体下ハードポイント×3AAM、ASM、精密誘導爆弾など最大5,800kgを搭載可能 FA-2 ファーンII(ファーン・ザ・セカンド) FA-1の後継機として開発された新型戦術戦闘機。単発単座。エンジン出力はシルフィードの60%ほどだが、自重は60%を超えない。また、前進翼などの先進的な空力設計により、スーパーシルフよりも優れた機動性を発揮することができる。自動操縦による無人化も考慮されており、限界性能を発揮した場合、パイロットが耐えられないほどの重力加速度を発生させるため、テストフライトを担当したヒュー・オドンネル大尉は、戦闘に巻き込まれた際に作動した自動操縦による高機動に耐えられずに死亡している。 OVA版では、もとは高機動無人戦闘機の概念研究のための技術実証機だったが、運用柔軟性の不足やソフトウェア開発の難航等の問題が発覚したため、暫定的に操縦システムのみを有人研究機を製作してテストすることとしたとされている。機体形状は後退翼と前進翼を組み合わせた一種のW型翼で、エンジン及び操縦席部分が翼面部分の上にアームを介して乗せられた形状になっており、それぞれが独立して動くことで高い機動性を発揮する。劇中では開発当初の想定通り、無人戦闘機として運用されることも多い(無人化に伴う機体への改修は行われていない)。スペック 全長:15.16m 全幅:12.60m 全高:4.76m 自重:11,022kg 基準離陸重量:16,112kg 最大離陸重量:不明 エンジン:FNX-5010-K フィーニクスMk.XIFターボファン(推力10,220kg(地球大気内。ミリタリーパワー)、14,780kg(アフターバーナ使用時))×1 最大速度:マッハ1.8 巡航速度:マッハ0.9 限界高度:20,880m 武装:20mmガトリング砲×1 主翼〜胴体下ハードポイント×5AAM、ASM、精密誘導爆弾など最大6,400kgを搭載可能 FFR-31 シルフィード フェアリィ空軍の主力制空戦闘機で、FAF初の独自開発機。綴りは「Sylphide」。双発機で、原作では複座、OVA版では単座となっている。翼型はクリップトデルタの主翼と上反角のついたカナード、外反角のついた双垂直尾翼と水平尾翼で、エンジンノズルは3枚のベーンによる可変ベクタリング方式を採用している。スーパーシルフとの区別のため、「ノーマルシルフ」と呼ばれることもある。 それまでの主力機であったFA-1に代わる主力機として設計された。開発当初の設計案は長射程AAMを有する長距離迎撃機であったが、開発中に格闘戦能力を持たせるという要求が高まり、超音速巡航と高機動を両立できる機体として完成した。しかし従来の機体に比べ生産コストがはるかに高額となり、配備数は少ない。OVA版ではステルス性を重視した形状となっている。大きく分けてブロック0 - 10とコスト面から部品構成を見直したダウングレード版のブロック20以降に二分されている。性能面での違いはないとされているが、実際には素材の違いによる機体剛性やソフトウェアの簡略化などからわずかな性能差があるらしく、パイロットの間ではブロック10までが本物だという意味を込めて「オリジナル・シルフィード」と区別されることもある。 また、「アンブロークン・アロー」では、雪風と同じフェニックスMk.XIを搭載したシステム軍団所属のエンジン性能評価用機、TS-1も登場する。スペック 全長:18.50m 全幅:13.77m 全高:5.01m 自重:不明 基準離陸重量:35,660kg 最大離陸重量:不明 エンジン:FNX-5010-H/J フィーニクスMk.Xターボファン(推力9,677kg(地球大気内・ミリタリー推力)、12,664kg(地球大気内・アフターバーナ使用時))×2 最大速度:マッハ2.7 巡航速度:マッハ1.4 限界高度:18,800m 武装:20mmガトリング砲×1胴体内ウェポンベイ×7 左右エンジンポッド外側ハードポイント×2AAM、ドロップタンクなどを搭載可能 FFR-31MR(FRX-47) スーパーシルフ 機体強度に優れるオリジナルシルフのうち13機を戦術電子戦闘偵察機としたもの。双発複座。より高度な電子頭脳の搭載や索敵機能の高度化、超音速巡航に適したエンジンの搭載といった改修が行われ、「まったくの別物」と表現されている。OVAでは開発予算獲得のためにシルフィードの派生機として登録されたまったく別種の機体であり、外観も異なる。下記のD型を含めて13機が特殊戦第5飛行隊に配備されている。また、バリエーションとしてD型のほかに、長距離迎撃戦闘機型のA型や、アビオニクスを改良したB型、エンジンを更に強化したC型が計画されたが、いずれも計画中止となっている。 FFR-31MR/D スーパーシルフ FFR-31MRの空力特性や操縦面を改善したもの。D型のほとんどはラムジェット・ブースターを装着した超高速戦略偵察機として防衛偵察航空団に配備されたが、数機がラムジェット・ブースターを装着せずに完成した。「雪風」のパーソナルネームで特殊戦第5飛行隊に3番機 (B-503) として配備されている機体は、ラムジェット・ブースターなしで完成したうちの1機。機体制御は高度に自動化されており、パイロットの安全より任務遂行や機体の保護を優先してパイロットから操縦権限を奪う例もある。 FRX-99 レイフ FFR-31MRの後継機として開発された、双発の無人戦術偵察機。綴りは「Rafe」。搭乗者への負担を考慮しないことで、従来の機体を大幅に上回る機動性を発揮する。 FRX-00の原型となった機体であり、レイフのみで編成された新特殊戦の設立計画もあった。名前の由来は「知恵の狼」。小説版では一機が特殊戦に13番機として配備されており、OVA版では、この機体に雪風のセントラルコンピュータがみずからのプログラムを転送するほか、雪風がプログラムを転送した機体以外にも、システム軍団のTS-X1という機体が登場する。 小説版では、ステルス性を意識した形状を持つ。翼型は胴体に滑らかに繋がる、前縁フラットのないシンプルなクリップドデルタで、ストレーキ部分を持つ。尾翼は二組存在し、最適な位置を自動選択するため、垂直、水平双方を兼ね備えていると言える。また、機首に前進角のついたカナードを有する。エアインテークを機体上下左右に計4基持ち、二次元推力偏向ノズルを持つ。 OVA版では、主翼は折り畳み可能な軽い上反角のついた前進翼で、最高速度で飛行する際は裏返って後退翼となり、着陸時には垂直に立ててエアブレーキとして使用する。垂直尾翼は存在せず、機首には後退角のついたカナードを装備。有人機においてコクピットが存在する部位には、セントラルコンピューターユニットのセンサー類が存在する。エアインテークは胴体下部および上部左右の計3基。エンジンノズルはベクタードノズル。スペック 全長:18.0m 全幅:14.52m 全高:6.28m ヌード重量:11,860kg 基準離陸重量:不明 最大離陸重量:34,220kg エンジン:FNX-5011-D-20 フィーニクスMk.XIターボファン(10,220kg(ミリタリー推力時)、14,930kg(アフターバーナー使用時)) 最高速度:マッハ3.3 巡航速度:マッハ1.75 限界高度:24,800m 武装:20mmガトリング砲×1 主翼上ハードポイント×2 主翼下ハードポイント×2 胴体下ハードポイント×6短距離空対空ミサイルAAM-III、中距離空対空ミサイルAAM-V、長距離空対空ミサイルAAM-VIIを搭載可能 その他、各種可視光・赤外線カメラ、赤外線ラインスキャン、コンフォーマル・マルチバンドESMセンサー等の各種偵察装備を装備可能 FRX-00 (FFR-41/FFR-41MR)メイヴ FRX-99と同時に試験的に開発された有人戦術偵察機。双発複座。原作とOVA版ではメイヴの開発経緯が若干異なる。 スーパーシルフ雪風が本機にプログラムを転送したため以後は特殊戦1番機 (B-501) として運用されることになり、同時にパーソナルネーム「雪風」を引き継いで、パイロットも零が担当する。OVA版では同時開発されず、特殊戦に配備されたレイフを有人化改修したものとなっており、1番機ではなく3番機として引き続き運用されている。レイフを原型として開発されたため、無人機なみの優れた機動性を発揮する。のちに心理分析用ソフト「MAc Pro II」をインストールされ、その言語エンジンを応用することで、ある程度の人語によるコミュニケーションが可能となり、人語の命令を理解することもある。OVA版後半では、機体表面にジャム機のような赤い紋様を発生させる視覚的な迷彩「ジャムセンスジャマー」を装備する。 フリップナイト・システム システム軍団のカール・グノー大佐が提唱した無人戦闘機システム。母機の指令を受けてジャムを迎撃するが、完全な自動行動も可能。無人機特有の高機動と、カートリッジ式で連射可能な光学兵器「レーザー機関砲」を備えた最新兵器。OVA版ではレイフの派生型として開発され、さらに機首部分に核弾頭を装備し、自爆兵器としての運用も視野に入れられている。その機首の形状から「ハンマーヘッド」とも呼ばれ、ジャムの総攻撃に際して3機のフリップナイトがFFR-41に随伴して出撃する。 バンシー級原子力空中空母 フェアリィ星上空を航行し続ける空中航空母艦。2機が存在し、防空圏外環の要となっている。綴りは「BANSHEE」。FAFの航空宇宙防衛軍団所属。全長687m、全幅1,400m、自重は9,650t、搭載機40機に達する巨大航空機であり、16基の原子力推進ターボファンエンジンによって飛行する。実証試験機であるバンシーI、着艦訓練用の地上設置モデルバンシーIIを経て実用化されたバンシーIIIとバンシーIVの二隻が任務に就いており、絶対防空圏と呼ばれる防空網外環部の要として運用されていた。バンシーIIIは建造中に電子機器などの変更が行われたため、就役順はバンシーIVが先となっている。OVA版でのバンシーIVの形式番号はAAC-04。 原作とOVA版では扱いが異なり、原作でのバンシーIVは謎の敵性体「ジャム」との交戦後、突如制御不能になり乗員が退艦。その後、調査中にアクシデントが発生し、制御系を破壊され墜落し、バンシーIIIはジャム大規模侵攻の際、自爆して空中で崩壊する。OVA版でのバンシーIVは原作同様のトラブルに見舞われたあと、絶対防空圏を突破してFAF基地への接近を図ったため、防衛用の短距離弾道ミサイルの直撃によって撃墜される。バンシーIIIはバンシーIV喪失の穴を埋めるため大規模な改修を受け、多数のFAF人員を搭載して惑星フェアリィからの脱出に用いられる。 海上航行する現実の航空母艦の様に、空中で艦載機の発着を行う。巨大なため、地上で建造したエンジンつきの外殻を気球で吊り上げたあとに滑空させ、空中で艤装を行うという特異な工法で完成されている。地表へのランディングは考慮されておらず、半永久にフェアリイ星防衛圏外縁を一定の軌道で飛び続けるという設定。原子力推進は、惑星フェアリイが人類にとって墜落した際のリスクがない環境なので採用された。 バンシー級空中空母の実戦配備数は4隻の予定だったが、建造予算がかかり過ぎることと、二隻でも空域を十分に防衛できることから、バンシーVとバンシーVIの建造は中止された。 船体(機体)は三層に別れている。トップデッキ:管制区画・対空砲区画・居住区画。 ミドルデッキ:離着艦区画・推進区画・格納庫区画。 ロワデッキ:原子炉区画・対空防御区画・格納庫区画・発艦区画。 胴体中央の滑走路は水上空母と違い、飛行中の戦闘機や輸送機の前輪を拘束装置で捕まえて下ろす。着艦した大型機による重心移動を無くすため、バランスウェイトを移動させて姿勢を保ったり、方向転換に利用する。内部には各基地からのクルーが勤務するための居住区や医療施設や食堂などもあり、生活水準は比較的高い。 OVA版でのバンシーは飛行軌道を大きく変更して絶対防空圏への突入やフェアリィ星からの撤退に利用されるなど、巨体らしからぬ機動性を発揮するが、原作では遠心力で飛んでいるため下手に動かすと落ちるとの理由から、変針角度や傾斜率には大きな制約がかかっている。 FEP-1AWACS 早期警戒管制機。バート・ルータンの設計した航空機のような特異な形状の三胴機で、機体下面に大型の回転式レーダードームを持つ。主翼は高アクペスト比のガル翼で、機首に下向きのカナードを有する。原作では同様の役割を持つ機体は登場しているが、具体的な名称などは設定されていない。OVA版では地球環境観測用の大型機を改造したものとなっており、長大な主翼と二重反転プロペラを持つ燃費の良いターボプロップエンジンで長時間の滞空が可能。 FEP-1ACC 空中指揮管制機。AWACSと同系統の機体で、レーダードームの代わりにセンサーポッドを装備しており、通信能力が強化されている。劇中では主にFRX-99の管制を行う。 C-31F フェアリィ空軍で使用される大型輸送機。原作では単なる無名の輸送機であり、OVA版で名称などの設定が付与された。胴体部と主翼部分は別々にブロック化されており、仕様変更が容易な設計となっている。輸送機タイプのC-31Fのほか、胴体と主翼部に銃座を追加した対地攻撃機AC-31、無人戦闘機フリップナイト・システムを輸送するC-31M、人員輸送を目的とした旅客機型のC-31Pなどのバリエーションが存在する。派生型の種類と運用する部隊によって「フィンバック」、「ゴーレム」、「トロル」、「リングレイス」、「マルコチャン」など、さまざまな通称で呼ばれる。 無人空中給油機 『アンブロークン・アロー』に登場。給油を必要としている機の通信に応じて自動的に合流し、空中給油を行う。作中では「ミルキー」のコールサインで呼ばれ、「ミルキー3」が登場する。 訓練用標的機 原作にのみ登場。ターボプロップエンジン、可変ピッチプロペラ搭載のラジコン無人機である。劇中ではFAFを訪れた日本空軍の参謀司令に対してFFR-31と偽って紹介する。 巡航爆撃機 原作にのみ登場。記述のみで具体的な形状、性能は描写されていない。 BAX-4(バックス・フォー) 実験評価中の陸戦兵器。将来的にはこれを用いた陸戦部隊を創設し、海兵隊ならぬ空兵隊としてジャム基地へ侵攻することも視野に入れられていた。システム軍団で試験中の機体が再教育部隊の反乱の際に持ち出され、フェアリィ基地を混乱に陥れる。原作では人が乗って操縦する二足歩行人型兵器で「パワード・アーマー」と表現されているが、ほかのコンピューターが制御することにより無人戦闘も可能。武装としては腕部に対人機関砲を装備している。型番は制式化された暁には「BAR-1」といったものになるらしい。 OVA版では空挺戦車として登場する。8輪の装輪戦車であり、前部と後部を連結した連接車となっている。車体下部のスラスターと前部と後部にひと組ずつ配置された折り畳み式補助翼を用いて、ある程度の滑空を行うことが可能となっている。武装として前後部にファランクス状のガトリング砲塔を1基ずつ、計2基を装備し、車体前部には兵員乗降用のハッチを2基有している。劇中ではフェアリイ基地の地下都市上部にある、モノレール路線に配備された専用車両に搭載された状態から空挺降下を行う。 モーターグレーダー 原作に登場。基地整備軍団の機械除雪隊が保有する大型除雪車両。重量は16トン、エンジン出力は約300馬力で、燃料は戦闘機と同じジェットフュエルを用いている。有人車両だがビーコン波によって進路を管制されており、乗組員が操縦する必要はない。 戦闘機械知性体 戦闘機搭載のセントラルコンピュータ、特殊戦の戦術コンピュータ、FAFの中枢コンピュータなど、軍事支援用のコンピュータシステムをブッカーなどがこう表現している。「ジャムに勝て」という根本的な命令や、そのための自己保存に必要ならば、人間の排除すら選択することもある。 機械知性体内でも考え方には差があり、一部の人間の有用性を理解している特殊戦の戦闘知性体たちは、最終的に、ジャムに対する特殊戦との共闘体制が必要と選択する。この状態をエディスは「新種の複合生命体」という造語で説明する。 人間とは異なる認識手段や思考によって、機械知性体は「ジャムがどのような存在なのか」を個体差こそあれ大まかに理解しているとされ、ブッカー達から問いただされた際には、ジャムから非戦協定を提案されたことを明かす。また、人間側が感知していない、ジャムからの宣戦布告のようなものもすでに受けていたと考えられている。OVA版には登場しない。
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