予算獲得
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:51 UTC 版)
兵器を製作するには予算が必要である。機密保持のための偽装はこの段階で既に行われていた。③計画では2隻(大和、武蔵)を計画したが、1隻あたりの予算額を大きくすると諸外国に規模が察知されてしまう恐れがあることから64,000t級戦艦2隻分の建造費とせず、金剛型の代艦として35,000t級戦艦2隻(ワシントン海軍軍縮条約の新規建造戦艦の排水量上限が35,000tだった)を建造するということで国会に予算要求した。その際それらしい偽のスペックを付記し、それも軍極秘に指定した。実際に建造するのは35,000戦艦ではなくそのままでは予算が不足する。そのため陽炎型駆逐艦3隻と伊一五型潜水艦1隻を架空計上している。つまり大和型戦艦1隻の建造費は35,000t級戦艦1隻+駆逐艦1.5隻+潜水艦0.5隻分ということになる。この他にも同時に計上された他の艦の建造費が一部流用されているとされる。さらに③計画計画関係の書類からも戦艦またはBという略字の入ったものは軍機扱いとされ、1ランク下の機密度である軍極秘の書類からはBに関する事項は一切省かれた。 なお④計画では3・4番艦である信濃と111号艦の建造を計画したが、同様の偽装により40,000t級戦艦2隻の要求とし、駆逐艦2隻と潜水艦1隻を架空計上している。つまりこのときは大和型戦艦1隻の建造費は40,000t級戦艦1隻+駆逐艦1隻+潜水艦0.5隻分となっていた。 海軍士官の中でも防諜が徹底していた一例として1939年1月軍令部に異動し、⑤計画の航空関係の策定作業に関わった三代一就は、「艦艇の建造計画については担当外でもあり、また知らされてもいなかった」と述べている。しかも、要求した航空兵力の増強はほぼ全て取り入れられたため、大和型に予算を削られたという意識すら抱いていなかった。
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