フェアリオン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 14:09 UTC 版)
リクセント公国の依頼と資金援助によりテスラ・ライヒ研究所で開発された小型AM。 リクセント公国観光局が、DC戦争の傷跡によるイメージダウンの回復を図るために戦後間もなく観光キャンペーンを企画、その一環で誕生した公国のイメージキャラクター「マジカルハートプリンセス セント・リクセ」をモチーフとした観光式典用ロボットの制作をテスラ研に依頼した。しかし東京宣言後の世界情勢やノイエDCの蜂起による公国を取り巻く状況、そして国家元首であるシャイン・ハウゼン王女の意志により式典用機ではなく、地球連邦軍から派遣された公国親衛隊の旗機となりえるように開発コンセプトが変化した。ただし特別自治区であるリクセント公国は自らの意志で戦闘用機動兵器を開発することができず、テスラ研が進めるプロジェクトTDシリーズ77の亜種として開発されることとなった。こうした紆余曲折を経て「超音速の妖精」フェアリオンは完成した。 シャイン王女専用機であるタイプGと、彼女の友人で連邦軍特殊戦技教導隊所属のラトゥーニ・スゥボータ少尉専用機であるタイプSの2機が存在。「シリーズ77機の極限までの小型と軽量化」「防御の向上」「シャインのような一般人にも扱える容易さ」「2機による連携戦闘」をコンセプトとして設計された。自軍の人型機動兵器では最も小型である。 今後地球圏に起こりうる戦争を予期したジョナサン・カザハラ所長とフィリオ・プレスティによって、プロジェクトTDのノウハウが導入され高い戦闘力を持つ。シャイン王女の意向により、当初から王女自身とラトゥーニが専属パイロットとして指定されている。 アステリオンのテスト用機体フレームから8割近くの部品を流用している。プロジェクトTD機の心臓部とも言えるテスラ・ドライブはアステリオンの開発過程で作られた試作型を流用。これにタイプG、タイプS間での対T・ドットアレイ排斥用の調整と小型化等の改造を施して搭載している。これら肩部のテスラ・ドライブ2基に加え、リアスカート部にラムジェットエンジンと「ベクトロメナ」と呼ばれるテスラ・ドライブ改四肢駆動システムを搭載、合計で7基ものテスラ・ドライブを備える。これにより「フライバイフィールド、パワーバイフィールド」を実現している。極限までの軽量化が図られているため、アステリオンに追随する高い機動性・運動性を持つ。頭部デザインには逸話があり、開発者のジョナサンとフィリオとの間で「縦ロール」にするか「ツインテール」にするかで揉めたらしい。 セント・リクセの意匠を受け継いだ外装は、実戦を考慮したものではなく「公国旗機と搭乗者に相応しい装飾」となっているが、ハイパージャマーによる分身機能や対ミサイルジャマー、パイロット保護機能、小型化したエネルギーフィールド発生装置を搭載するなど、王族が乗るという前提があるために防御面が充実している。またラトゥーニの発言から、高速戦闘用機のためGキャンセラー類も充実していることが窺える。パイロットとしては素人の王女が高運動性の機体に搭乗できる所以である。 軍人ではないシャインが搭乗するタイプGは、グルンガストにも使用された脳波制御装置を搭載した専用のコックピットを備える。なお、2機のフェアリオンはリクセント公国の所有機体であるため、国外での使用には国家元首である王女の許可が必要となる。そのため、平時にはラトゥーニは教導隊で運用しているビルトラプター(後にビルトラプター・シュナーベルに改修)を使用する。 AMの中でも特に小型・軽量の機体であり、武器搭載量は自軍PT・AMの中でも最低クラスとなっている。 名前の由来は妖精「フェアリー」から。パイロット2名がゴスロリ風の服装であることや、機体自体のデザインもどこかゴスロリ風であることからゴスロリオンの通称がある。開発中、スタッフからもこの通称で呼ばれていた。 機体デザインやBGM、合体攻撃のアニメーションなどもそれらしく作られているなど、ある意味製作スタッフの悪ノリの結晶ともいえる機体。寺田P曰く、フェアリオンに関わるスタッフ(デザイナー、ライター、グラフィッカー、声優、造形師)はみんなノリノリで仕事をしてくれるとのこと。 武装 アサルトブレード バースト・レールガン 状況に応じて装備する。機体のエネルギー容量が低い分、固有のバッテリーを備える武装が選ばれている模様。2種の詳細はガーリオンの項を参照。 ロール・キャノン 後頭部に4門設けられた自由口径砲。ゾル・オリハルコニウムの研究過程で生み出された新素材が用いられている。本来は対ミサイル用の防空兵装だが、能動的な運用が可能。配置や配色とあいまってさながら縦ロールのようである。 ボストーク・レーザー 肩部テスラ・ドライブ先端部に搭載された多連装レーザー砲。焦点制御を行うことにより大口径レーザーと同等の威力を期待できる。T・ドットアレイによる補正効果により威力・命中率ともに優れる。防空用の散弾制御は未実装となっている。 ソニック・スウェイヤー 両腕に装備された打突用兵装。電磁誘導加熱した金属粒子を固定させ対象を切り裂く。ガーリオン系のソニック・ブレイカーに連なる兵装であり、ソニック・ドライバーはこれと両肩の誘導子を併用して行う戦法である。ただしソニック・ドライバーは慣性ゲインを高く取らざるを得ず大量の電力を消費するため、ガーリオン以上のジェネレーター出力を持つ当機でなければ使用は不可。パターンRHBにも使用。 必殺技 パターンRHB(ロイヤルハートブレイカー) フェアリオン2機の連携による攻撃で、ゲーム中では合体攻撃として扱われる。 シャイン王女の予知に従ってラトゥーニがタイプG・S両機を一度に操作、ペアで舞い踊るような連携機動で敵を包囲・撹乱し、挟撃する。そのモーションはフィリオとジョナサンが二人でアイドルの振り付けを元に作成した(2人とも「ダンスのビデオを見ているうちに踊れるようになってしまった」らしい。このことをツグミから聞いたアイビスがショックを受ける幕間話がある)。 GBA版『OG2』では「水面に降り立つ2機」「片方が攻撃している間、もう片方がリズムに乗って踊る」「エネルギー波がハートマークを描く」など、作中でもひときわ異彩を放つ戦闘アニメーションであった。『OGs』ではさらに強化され、「アイドルグループの振り付けがモーションデータの元」という設定通り、アイドルのコンサートステージの如く(『第2次OG』では実際に背後に大型モニタが設置されたステージ上での攻撃となっている)イルミネーションが点滅し、スポットライトの下で踊りながら敵を攻撃、その後「顔を寄せ合ってから、フラッシュに囲まれて満面の笑みを振りまくドレス姿のラトゥーニとシャイン」のアニメーションが挿入され、2機が並んでブレイクフィールドを発生させ突撃するという演出がなされている。 『第2次OG』ではトドメ演出がさらに強化され、敵をブレイクフィールドでの突撃で虹の光跡を残しながら打ち上げて敵をステージに叩きつけ、ステージ上に2機が舞い降りてお辞儀をすると敵が爆散する。それと同時に、大歓声の中、無数のケミカルライト・スポットライトで照らされながら無数の紙吹雪が舞い散るという、アイドルコンサートのフィニッシュの如き演出が行われる。 デザイン シャイン王女のタイプG(ゴールド)は赤・金、ラトゥーニのタイプS(シルバー)は青・紫のカラーリング。タイプGの赤い塗装はシャインの戦いへの覚悟の証(自他問わず血を流す覚悟)であるらしい。機体デザインはジョナサンとフィリオによって「それらしい外見」とされ、「ロール髪の少女」とはイルムの談。テスラ研脱出後にスレイは「金持ちの道楽」と馬鹿にしていた。 劇中での活躍 テスラ研がインスペクターに襲撃された際にパーツ状態のまま輸送機に積み込まれ、グルンガスト参式の1・2・3号機、αプロトであるアステリオンと共に脱出。その後、ノイエDCの南欧方面侵攻の橋頭堡となっているリクセント公国を奪還する際に王女の要請により組み上げられ、奪還作戦の要として後発別働隊にて初の実戦投入。その高機動力をもって陽動に乗った敵中を突破し、半ばぶっつけ本番でパターンRHBを敢行。アーチボルド率いるノイエDCの部隊にリクセントを放棄させることに成功している。その後は戦う覚悟を決めた王女と共にハガネ・ヒリュウ改に預けられ、インスペクター事件、アインストシリーズとの戦闘終結まで運用された。戦後はリクセント公国に返還されていたが、修羅軍侵攻の際に共に戦場へと舞い戻り、再び同隊に預けられる。『第2次OG』ではタイプGがシャイン共々ラ・ギアスに転移し、帰還後はラトゥーニのタイプSとセットで運用される。 『OGIN』『第2次OG』ではラトゥーニもシャインと同様の専用スーツを着用(『第2次OG』ではセリフ枠の顔写真は眼鏡と軍服のままだが、ソニック・ドライバー使用時などのカットインは専用スーツになっている)。またコックピットは立ち乗り式になっている。『OGIN』第10話で初登場した際は、専用BGM「Fairy Dang-Sing」が歌付きで流れた。 採用技術 W-I3NK(ウィンク)システム 互いの機体を遠隔操作することができるシステム。「Warfare Information Integrated Inter-Nurval and Kinetic」 の略。直訳すると「内部神経系と動力系を統括した戦闘情報」となる。基本的には戦闘経験がなく操縦技術の未熟なシャイン王女の腕を補うために付けられたものであり、王女の予知能力により敵の動きや攻撃を予測し、それを受けてラトゥーニが王女の機体を遠隔操作し操縦を補助する(脳波コントロールシステムもあるため、王女単独でも操縦自体は問題ない模様)。王女の特殊能力とラトゥーニの優れた技術がなければ成り立たないシステムで2人の連携が必須ではあるが、危険性の高いゲイム・システムよりも予知能力を最大限に生かせるシステムであるといえる。単機で使用する際のシングルモードと連携攻撃用のダブルモードが存在する。2人の台詞からラトゥーニがシングルモードを使用する際は王女の予知能力を、王女が使用する際はラトゥーニの遠隔操縦補助を相互利用している模様。 ベクトロメナ フェアリオンに導入されている新方式の駆動システム。ジョナサンとフィリオによって考案された。四肢の「応力フリー・動力フリー」を開発コンセプトとしている。四肢駆動用に制御系が最適化された機能限定型テスラ・ドライブがスカート部分に5機配置されており、それらが発生するフィールドを用いて四肢を駆動させる。通常の機体では内側から機械的駆動装置を用い関節を駆動させるのに対し、外側から操り人形のようにフィールドで四肢を牽引し駆動させるものである。そのため四肢内部にはタキシング用を除く全ての在来アクチュエーターの類が組み込まれておらず、T・ドットアレイが超微小空間に対し各々作用し応力が抑制されるため補助桁も排除されているが、バレリオン等の本体構造にも適用されているドットアレイによる構造材の強化もあり駆動には問題ない。また本体フレームごと力場に浸されているためフィールドによる防御が付加されるという副次的効果により、式典用の外装ながら高い防御力を持つ。
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