初の実戦
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「アドミラル・クズネツォフ (空母)」の記事における「初の実戦」の解説
2016年夏、複数のメディアが「クズネツォフ」が秋にもシリア内戦に投入されると報じ、9月21日にはセルゲイ・ショイグ国防大臣がシリア沖に「クズネツォフ」を中心とする艦隊を派遣すると発表した。10月15日、「クズネツォフ」は、原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」やウダロイ級駆逐艦「セヴェロモルスク」「ヴィッセ・アドミラル・クラコフ」などと共に、5回目の地中海展開のため出航した。「クズネツォフ」は地中海でNATO諸国の艦艇や航空機の追跡を受けつつ東進し、シリアでの作戦には介入しないとの見方もあったが、11月15日、シェイグ国防大臣は翌16日までに「クズネツォフ」がシリアのイドリブとホムスで「テロリスト」を標的とする戦闘任務を開始すると発表した。同艦が戦闘任務に加わったのは史上初のことである。11月15日、アドミラル・グリゴロヴィチ級フリゲート「アドミラル・グレコロビッチ」からのカリブルNK巡航ミサイルとシリア本土に進駐したP-800(SSC-5)地対地ミサイルによるミサイル攻撃に加えて、「クズネツォフ」から飛び立った第279独立艦上戦闘機連隊のSu-33がイドリブとホムスに空爆を行った。また、第100独立艦上戦闘機連隊のMiG-29KR/RKRも投入されたが、作戦開始前の11月13日には、MiG-29KRが着艦時に事故を起こして空母の着陸装置を壊したため、後続機のパイロットが緊急脱出を行う事故も起きている。12月3日にはSu-33も墜落事故を起こしたが、いずれの残骸も深海調査艇により回収された。なお、「クズネツォフ」にはSu-33やMiG-29のほかに、Ka-29強襲ヘリコプターとKa-52K攻撃ヘリコプターも搭載されており、既存のKa-27やKa-31などと共に、700以上の飛行をこなしたとしている。 2017年1月6日、駐シリアロシア軍司令官のカルタポロフ大将は、「クズネツォフ」の艦載機が2017年1月初頭までに420回の任務を行い、うち117回は夜間任務であったと発表した。これらの任務でシリア反体制派の目標を1,252破壊できたとしている。公表された写真によると、地上目標への攻撃はFAB-500M54/M62 500kg無誘導爆弾が用いられたと考えられ、誘導爆弾こそ用いられていないが、Su-33による空爆ではSVP-24-33照準システムによる精密爆撃が行われたとされている。なお、11月20日頃にはロシア空軍が拠点に使っているシリア沿岸のフメイミム空軍基地に、8機のSu-33が駐機しているのが衛星写真で確認されており、11月23日の衛星写真でもSu-33が7機、MiG-29KR/KUBRが1基駐機していることから、航続距離や搭載重量の制限を緩和するために、地上からも艦上機を運用した可能性が指摘されている。 2017年1月上旬、「クズネツォフ」はシリア沖を離れて原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と合流してリビアに寄港した。その後、2017年に1月24日に英国近海に出現し、英海軍の監視を受けながら、2月9日に帰還した。後にプーチン大統領は、自身の発案で「クズネツォフ」を派遣したと述べており、反体制派の拠点であったアレッポの陥落やドナルド・トランプ米大統領の就任に合わせて空母機動艦隊を派遣することで、アメリカに対する軍事的優位性をアピールする目的があったと指摘されている。 「クズネツォフ」の運用期間について、2008年9月6日、ロシア海軍航空隊司令官代理ニコライ・ククレフ少将は記者団に「確実に2020年まで、或いは、2025年まで存在する」と語った。
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