通信 通信の概要

通信

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 01:13 UTC 版)

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日本語では小学館から出版された『日本大百科全書』においては、「人間が自然にもっている発声能力や聴覚、身ぶりなどを認識する視覚などによって直接に情報を伝えうる距離的な限界を超え、なんらかの道具や媒体を使用して意志、情報、感情などの交換を行う知的な活動[2]。」との説明を記載している。

古代から用いられている手紙のやりとりから、18世紀に使われた腕木と望遠鏡による通信、19世紀から使われている電信電話、そして20世紀以降に使われるようになったラジオ放送テレビ放送インターネットでのやりとりといったものまでさまざまなものがある。

語源
  • telecommunication = tele(離れた) + communication(コミュニケーション
  • 漢字の「信」は、「しるし」「合図」「手紙」などの意味。「通信」で「合図をかよわせる」「手紙を交わす」などという意味になる。

種類、分類

物理的な手紙を用いた通信(郵便) / 電気通信...などと分けることもできる。また印刷物の(大量の)配布も一種の通信である。

電気を用いた通信は 無線通信 / 有線通信に分類できる。 有線通信と言っても、歴史の長い銅線を用いたものだけでなく、近年では光ファイバーを用いた通信もある。

受信する人の数に着目し、 1対1の通信、1対多の通信に分類することもでき、特に不特定多数を相手にする通信はマスコミュニケーションと言う。

歴史

先史時代

先史時代から使われていた狼煙という通信方法。この絵はのろしで通信するアメリカの先住民。

狼煙による通信は、先史時代、つまり人類が文字も使っておらずまだ歴史を文字に残していなかった太古の昔から世界的に使用されてきたものである[2]アメリカの先住民が近・現代にいたるまで使っていることでも、広く知られている[2]

古代

火の目視のリレー

ギリシアの神話では、トロイア戦争でギリシア軍が勝利した時、戦地のギリシア人はを燃やすことで「戦勝のしるし」を伝え、そのしるしをリレーして故郷の仲間に戦勝を知らせた、とされている。トロイア戦争を現代にまで伝えているのは「神話」ではあるが、この神話の中には実際の出来事や要素も多く織り込まれている、と考えられていて、トロイア戦争の物語に「火のリレー」のエピソードが織り込まれているからには、実際にギリシア人らは紀元前13世紀~14世紀ごろには火を燃やす場所を複数設置してそこに人員を配置しそれをリレーしてゆく方式で遠隔地間の通信を行っていた、と考えられている。

大声のリレー

ペルシアの王キュロス2世(在位 紀元前559年~529年)は、その首都から放射状にの列を設置し、それぞれの上に兵士を配置しメッセージを塔から塔へと大声で伝える方式で、王からのメッセージを遠隔地に伝えるシステムを構築した[2]。(これはひとりの王から多くの臣下・部下へメッセージが送ることができ、一対多の通信も行えた。)(なおアレクサンドロス大王紀元前356年 - 紀元前323年)は、同様の塔を配置しそこに巨大なメガホンを設置し兵士の声を19kmほど先まで届かせたという[2]。)

アフリカのドラムを用いた通信

アシャンティ人英語版が通信に使うドラム

ガーナアシャンティ人英語版は、2000年以上も昔からドラム太鼓)による通信方法を先祖代々継承してきた歴史があり、今日でも使用できるといわれる[2]。アシャンティ人が発明したこのドラム通信はFontomfromと呼ばれており英語では「talking drum(喋る太鼓)」と言われており、アシャンティ人は「drum language ドラム言語」という言語を発達させていて、これを用いてかなり細かな内容、具体的な内容も伝えることができる。ドラムの大音量のおかげではるか離れた場所まで伝えることができ、メッセージを多人数でリレーしてゆくこともでき、300km以上先まで電信並みのすばやさでメッセージを伝えることができる。このおかげでアシャンティ人は「Ashanti Empire アシャンティ帝国」と呼ばれる広大な国を築いた。西アフリカにはアシャンティ人以外にもドラム言語を操る民族・部族がいくつもいる。

手紙の登場

文字が発明されてからの通信の多くは手紙という方式で行われるようになった[2]。たとえばメソポタミアでは粘土板楔形文字で、古代エジプトではパピルスヒエラティックデモティックコプト文字で、古代ローマではエジプトから輸入したパピルスあるいは代用品の動物の革にローマン・アルファベット英語版で、古代中国では木簡竹簡漢字で、手紙が書かれた。文字を持たなかったインカ帝国では紐の結び目(キープ)を用いた表現が高度化しそれで手紙が書かれた。

メソポタミアの粘土板の手紙

紀元前3000年以前に粘土版楔形文字が書かれるようになっており、メソポタミアつまり現代のイラクあたりでさかんに用いられていたのであり、粘土板は近年、数十万個規模で大量に発掘されているわけだが、この楔形文字が理解される圏域では粘土板での手紙のやり取りが広くなされるようになっていた。王族などから一般人たちまで広く手紙のやりとりをした。たとえば王族が遠隔地にいる部下・臣下にメッセージ、命令などを伝える場合は、粘土板に書かれた手紙を自分の部下に持たせて宛先の人物に直接届けさせればよかった。一般人の場合でも、いくつかやり方はあったが、たとえば二つの場所の近辺を行き来する旅の商人などを見つけて手紙を託し、手渡すことができ返事も受け取って帰ってきた場合の報酬などを決めておき、宛先の人物の名前や居所などを伝える、というやり方で行えた。無事に手紙を相手に届け、返事も受け取って戻って来たら依頼者は約束のお金を払えばよかった。一般人が行っていた日常の手紙のやりとりの雰囲気が判る例を挙げると、たとえば発掘後に大英博物館に展示されている粘土板のひとつを解読してみたところ、その内容は、ナンニという人から貿易商のEA-ナシルという人に宛てた手紙で、概略としては「あんたから買った銅のインゴットは品質が悪すぎる! 一体どういうことだ! 払った金を返金してくれ!」という内容のもので、つまり顧客から商人に対するクレームの手紙だったという[3]。つまり現代人が手紙やe-mailで日常的にしているようなやりとりとさほど違いが無いような、日常感が溢れる内容の通信が行われていたことが分かる。

ちなみに粘土板に書かれたメッセージは、さらに粘土の「封筒」で覆い封印し秘匿性を高めること、つまり運ぶ途中で宛名人以外に読まれることを防止したり、万が一 途中で開封され読まれたら読まれたと分かるようにすること、もできた。

インカ帝国の通信システム
広大なインカ帝国を支えるのに必要な通信に活躍した「チャスキ」と呼ばれる公設の飛脚。メッセージの手渡しリレーを行った駅伝走者である。 左手に持っているのがメッセージを結び目で表現した「キープ」。

インカ帝国というのは南北の長さがおよそ5,000Kmにも達した広大な帝国であったが、全長5万kmにおよぶインカ道が整備されていて、情報を迅速に首都のクスコに届けるためのシステムとして、インカ道に5kmの間隔で道沿いに駅が設けられ、「チャスキ」と呼ばれる公設の飛脚の制度も設けられ、各駅に常時2名の飛脚が駐在していた。文字を持たないインカ帝国では「キープ」と呼ばれる紐の束が情報の表現に使われていたわけだが、このキープを次から次へとリレーして引き渡してゆくことで情報を伝えており、その速度は時速20kmほどに達したとも言われている[4]。このシステムを用いてインカ帝国の王や各地の責任者は互いに通信することができた。

「早馬」や「飛脚」の利用、駅伝制、伝書鳩

手紙というのは、前述の「のろし」や「火のリレー」などに比べると、伝えられる内容の正確さや内容の詳細さ、という点では良くなったが、スピードという点ではかなり劣っている[2]。概して、手紙は遅いが、どうしても手紙を早く届けなければならない場合には、脚の速い人を手紙を届けるための人として選んで専門職のように扱い(「飛脚」)その人に託したり、脚の速いを選んで手紙を届けるためだけに借り切って「早馬」とする、そのために高い報酬を(走者や馬の持ち主や乗り手などに)払う、という解決策は古代から世界各地で行われた。

世界史上、広大な地域を支配する中央集権国家が成立すると、その支配体制を維持するために中央と地方とを常時連絡する手段が必要となった。 たとえば紀元前5世紀に、アケメネス朝ペルシア帝国の大王ダレイオス1世によって、王の道(おうのみち、英語: Persian Royal Road)が構築されたことが世界史上では有名であるが、この例に限らず、適当な間隔で人・馬・馬車などを常備した施設を置き、施設から施設へと人や馬などが行き来することで、情報をリレー形式で伝える通信制度は、世界各地で一般的となっていった。

1150年にはバグダッド伝書鳩が使われはじめた。だが目的地にたどり着かないことも多く、確実性が低い通信方法だった[2]

セマフォール

セマフォール通信の塔、および塔の上の「腕木」

望遠鏡が発明されると、それを用いて新たな通信手法が開発され、1793年にフランスのクロード・シャップは、フランスの首都パリとベルギーとの国境あたりのリールの間の230kmに通信塔(fr:semaphore セマフォール)を約10km間隔で配列し、腕木通信とよばれる通信を行い、230km先までかなりすみやかにメッセージを送ることを可能にした。これは塔の上に形を変えられるようにした大きな「腕木(うでぎ)」を設置し、この形の変化を望遠鏡で観測して文字や記号などとして読み取り、塔から塔へと中継していく仕組みである[2]。このセマフォールがうまく機能し、各地の戦況が素早くパリの政権に伝えられたことで、フランス革命政府は通信システムの重要性を認識するようになり、フランス国内にセマフォールの通信網を張り巡らす計画が立てられ、1795年にはフランス国内が556のセマフォールによる総延長4800kmのネットワークで網羅された[2]。このセマフォール通信は当時としては非常にすぐれており、アメリカやイギリスなどでも採用された。(その後他のもっと便利な通信方法が現れ現代では陸上ではセマフォール通信は使われなくなったが)セマフォール通信は、船舶海運の世界では今日でも使われ続けている。現代でも船員は信号旗を用い、それをマストの張り出しの異なる位置に掲げることで他船に信号を送り、周辺を航行する船舶の乗組員は望遠鏡で信号旗の位置や種類を観測し、その船が置かれている状態の表示やその船が周囲の船に伝えたいことを読み取る。また船舶間では手旗信号による通信も行われている。

電気を用いた通信の登場

1787年、スペインのアグスティン・デ・ベタンクルはマドリードとアランフエス間で電信を送るための実験を行った。1798年にはバルセロナのフランシスコ・サルバ英語版(1751―1828)がマドリード―アランフエス間の42kmを1本の電線で結ぶ実験に成功。1816年にはイギリスの通信技術者フランシス・ロナルズ英語版がロンドン郊外クイーンスクエアーの広大な自宅の庭で実験を積み重ね、新しい方式を発明した。これは、アルファベットを書いた回転ダイヤルを送・受信双方に設け同期して回転させ、送信側において希望の文字が目前にきたときに放電させ、受信側では木の髄でつくった小球が弾かれて、それを見れば送信したい文字が分かる、というもので、これはイギリス海軍に採用された[2]

1809年サミュエル・トーマス・ゼンメリンクドイツ語版が『ミュンヘン・アカデミー・オブ・サイエンス』誌(Munich Academy of Science)で電気化学的通信のアイディアについて述べ、それを読んだシリング男爵Baron Pavel L'vovitch Schilling(1780―1837)がそれを実現しようと実験に没頭し、それをロシア皇帝から認められサンクトペテルブルクとペテルホーフ宮殿の間に電気通信設備を設けるよう命じられたが不幸にもまもなく没してしまった。一方で、1833年ゲッティンゲン大学教授のカール・フリードリヒ・ガウスヴィルヘルム・ヴェーバーが最初の電磁検流針電信装置を実用化し、1km離れた研究施設の間で通信を行った[2]。これは4つの基本的なシグナルの単位で動作するものであった[2]

コンピュータを用いた通信の登場

1950年代あたりからコンピュータネットワークを用いた通信が行われるようになり、1990年代からはインターネットを用いた通信が盛んになっている。

会計用語、経理用語

通信に掛かった費用、又は簿記で通信を処理する勘定科目のこと。電話料金等は、銀行振替日か請求書の日付で継続的に計上する。

請求書の日付で計上する場合は、発生主義の観点から未払金とする。


  1. ^ 世界大百科事典第二版「通信」
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 小学館『ニッポニカ』「通信」
  3. ^ [1]
  4. ^ [2]


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