つうしん‐そくど【通信速度】
通信速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 00:29 UTC 版)
詳細はを参照。 規格と最高通信速度ITU-T勧告名複信最高通信速度 (bps)変調搬送波周波数 (Hz)制定年備考2線4線速度 (baud)最大ビット数方式V.21 全二重 最高300 最高300 1 FSK 1080±100 1964 G3ファクシミリの制御通信は、この規格の高群信号により75bpsで行われる。この規格では、着信時のアンサートーン(2100Hz)を出さずに直接高群のマーク信号(1650Hz)を出しても良い事になっていた。MMモデムでは必然的にこの実装になるが、初期のインテリジェントモデムでもこの実装のものがある。 1750±100 V.22 1200 600 2 QPSK 1200/2400 1980 V.22bis 2400 4 16QAM 1984 V.23 半二重 600 600 1 FSK 1500±200 1964 600bpsの規格(前者)と1200bpsの規格(後者)がある。日本ではナンバーディスプレイの番号通知に利用されている。オプションで75bpsのバックワードチャネル(420±30Hz)の追加が可能。この場合は2線式で全二重通信になる 1200 1200 1700±400 V.26 半二重 全二重 2400 1200 2 DQPSK(Alternative A)π/4 DQPSK(Alternative B) 1800 1968 V.26bis π/4 DQPSK 1972 V.23同様、オプションで75bpsのバックワードチャネル(420±30HzのFSK)を追加可能。 V.26ter 全二重 DQPSK 1984 エコーキャンセラ使用 V.27 半二重 全二重 4800 1600 3 8PSK 1800 1972 V.27bis 1976 G3ファクシミリの画像通信。V.23同様、オプションで75bpsのバックワードチャネル(420±30HzのFSK)を追加可能。 V.27ter 全二重 1976 V.29 半二重 全二重 9600 2400 4 16APSK 1700 1976 G3ファクシミリの画像通信(オプション) V.32 全二重 9600 2400 4 16QAM 1800 1984 V.32bis 14400 6 TCM128QAM 1991 V.33 全二重 1988 V.17 半二重 G3ファクシミリの画像通信(オプション) V.34 全二重 28800 3200 10.7 TCM960QAM 1994 スーパーG3ファクシミリ1996年に改定 33600 3429 TCM1664QAM 1996 V.90 ISDN→アナログ TCMPCM 8000 サンプリング 1998 中継回線がISDN化されており、通信相手がISDNで接続されている場合アナログ回線側の交換機でD/A変換 56000 8000 7 アナログ→ISDN TCM1664QAM 1800 33600 3429 10.7 V.92 ISDN→アナログ TCMPCM 8000 サンプリング 2000 中継回線がISDN化されており、通信相手がISDNで接続されている場合アナログ回線側の交換機でD/A変換 56000 8000 7 アナログ→ISDN 48000 8000 6 FSK変調を採用した規格は、Bell 103を除き低群・高群ともマーク(1)信号が低位、スペース(0)信号が高位である。FSK以外の変調を採用した規格では、同じシンボルが連続すると搬送波に変化がなくなり復調に支障をきたすため、一定のアルゴリズムでマークとスペースを入れ替える処理が行われる。これをスクランブルという。 2400bps以上の速度のものは、後述のMNPやLAPMによる圧縮を行うことから、パソコンとモデム間の通信速度は、回線上の通信速度よりも高く設定することがほとんどである。この場合、RS-232CのRS・CS信号のオン・オフでフローコントロールを行う。 V.90/V.92 V.90は中継回線がISDN化されており、通信相手がISDNで接続されているのを前提に、ISDN→アナログ回線の通信に、デジタルデータをサンプリング周波数8kHz・量子化ビット数7ビットのPCM信号として伝送することにより最高56,000bpsを達成できる規格である。ISDN側からはデジタルデータのまま伝送し、アナログ回線側の交換機でD/A変換する。サンプリング周波数8kHzである電話回線での理論上の上限である8000baudに達した。サンプリング周波数は動的に変化し、通信速度は1,333.3bps(4000/3)刻みである。なお、アナログ→ISDNはV.34と同様の33,600bpsまでである。K56flexやX2も似たような規格であるが互換性はない(K56flexは速度が2,000bps刻みである等)。 V.92ではアナログ→ISDN方向をサンプリング周波数8kHz・量子化ビット数6ビットのPCM信号として伝送することにより、最高48,000bpsを達成できる規格である。アナログ回線側の交換機でA/D変換する。ISDN→アナログ方向はV.90同様に最高56,000bpsである。さらに、2対のモデムを用いて更なる高速化(最高で2倍)を図る事も可能である。なお、アナログ回線用のV.92モデム同士ではV.92で応答せずV.34での通信になるため、最高速度は33,600bpsである。 Bell規格 Bell規格は北米で普及した。元々はAT&T製モデムの商品名である。Bell 103、Bell 202、Bell 212Aなどがある。高速通信の規格はなくITU-Tの規格を使用する。 ITU-Tの規格との違いは、着信時のアンサートーンがBell 103の高群のマーク信号(2225Hz)である点である。 Bell 103やBell 202は有線通信の他、パケット通信などでも使用された。 Bell 103 Bell 103(1962年発売)は300bps、全二重の規格である。1958年発売、110bpsのBell 101を改良したもの。搬送波周波数は1170±100Hzおよび2125±100HzのFSKであるが、低群・高群ともV.21とは逆にマーク信号が高位、スペース信号が低位である。 Bell 212A Bell 212Aは1200bps、全二重の規格である。1200Hzおよび2400HzのQPSKである点はV.22と同じであるが、スクランブルのアルゴリズムが異なり互換性はない。 Bell 202 Bell 202は1200bps、半二重(4線式では全二重)の規格である。1700±500HzのFSKである。北米で、日本のナンバーディスプレイに相当するCaller IDの番号通知に使用されている。オプションで、5bps(387HzのASK)または150bps(437±50HzのFSK)のバックワードチャンネルを追加できる。 HST Dual Standard HSTはUS Roboticsにより16,800bpsでの通信を実現したものである。V.FC/V.34の16,800bpsとは互換性がない。普及せずローカルな実装となった。Dual StandardとはHSTとV.32bisの両方に対応するという意味である。 V.32terbo AT&TによりV.32bisをさらに発展させ、19,200bpsでの通信を実現したものである。V.FC/V.34の19,200bpsとは互換性がない。これも普及せずローカルな実装となった。 V.FC 別名V.FAST。V.34以前に28,800bpsでの通信を実現した。V.34の制定が遅れたため、前二者より普及した。V.34にある送信と受信で異なる速度を利用する実装はない。接続から通信開始までの時間がV.34より長い。V.34とは互換性がないが、V.34対応機種の多くがV.FCにも対応している。
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