エーディー‐へんかん〔‐ヘンクワン〕【AD変換/A/D変換】
読み方:えーでぃーへんかん
《analogue-to-digital conversion》アナログ信号をデジタル信号に変換すること。アナログデジタル変換。→AD変換器
A/D変換 (Analog to Digital Conversion)
A/D変換
読み方:エーディーへんかん
A/D変換とは、アナログの信号をデジタルの信号に置き換える操作のことである。
一般に、コンピュータは、1か0か、有るか無いか、といったデジタル情報しか取り扱うことができず、連続的な中間量を含むアナログデータを扱うのは苦手である。そこで、A/D変換を行い、入力されたアナログ量を、最も近いデジタル量にあてはめて取り込む。
例えば、音声や絵などは、アナログデータのため、直接扱うことができない。アナログのデータをコンピュータで扱うには、それらをいったんデジタル化しておく必要がある。そこで、スキャナーで画像の形や明るさ、色などを読み取り、デジタル信号に変換してコンピュータに送り込む。
逆に、デジタルの信号をアナログの信号に戻すことをD/A変換という。デジタル信号の画像データをディスプレイで表示するグラフィックボードは、デジタルなデータをアナログ信号に変換している。
アナログ-デジタル変換回路
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2020年8月) |
アナログ-デジタル変換回路(アナログ-デジタルへんかんかいろ、A/D変換回路)は、マイクが受け取った音声信号やアンテナに入力された電波またはデジタルカメラに入力された光といったアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換する電子回路である。デジタル化された信号はCPUといったデジタル信号処理回路で処理可能となるため、センシング及び通信システムに必須となる電子回路である。A/Dコンバーター(ADC(エーディーシー)、英語: Analog-to-digital converter)とも言う。
また、アナログ-デジタル変換(アナログ-デジタルへんかん、A/D変換)は、アナログ信号をデジタル信号に変換することをいう。
逆はデジタル-アナログ変換回路である。
名称 | サンプリングレート(Hz) | 分解能(bit) | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|---|
フラッシュ型 (並列比較形) | 1G~100G | 4~8 | 高速・大規模 | 高速測定器 |
パイプライン型 | 10M~10G | 8~14 | 高速・高分解能 | 映像、通信 |
逐次比較型 | 10K~10M | 8~16 | 低消費電力 | マイコン、通信 |
デルタシグマ型 | 100~40M | 12~24 | 高分解能 | 音声処理、計測、通信 |
二重積分型 | 10~1K | 12~20 | 高精度 | 計測 |
変調方式の一種として見た場合は、A/D変換はパルス符号変調である。A/D変換のような操作をデジタイズということがある。
基本的なA/D変換の操作は、まずサンプリング周波数で入力を標本化し、それを量子化することでおこなう。標本化にともなう折り返し雑音は、重要な問題である。また、量子化にともなう量子化誤差による量子化雑音もある。
原理
「比較器」とは、入力電圧を基準電圧と比較して、基準より高いか低いかを出力する回路であり、1bitのAD変換器と言える。
フラッシュ型(並列比較型)
入力は1bitでAD変換され、この結果は+1と-1の列からなる。しかし積分器により量子化誤差が蓄積されていくので、入力を単純に1bit AD変換した値とは異なる値の列が出る。入力の変化が遅い場合、例えば入力が0Vであれば+1と-1が交互にほぼ等しい回数出力され、高い電圧ならば+1が多くなる等、+1と-1の個数の比が入力電圧に比例するように出力される。つまり一種のディザ化を行っている。この+1と-1の個数をmステップ分だけ数えれば、それに応じたbit数のAD変換となる。
1 bit AD変換なので各瞬間での量子化誤差は非常に大きいが、変換時間と比較して十分長い時間での平均出力で見れば、誤差を帰還させているので誤差をなくすよう動作する。これにより、高いサンプリング周波数の低ビットAD変換を用いて、低いサンプリング周波数の高ビットAD変換を実現している。あるいは「mステップ分だけ数えた後の結果」という最終的なAD変換のサンプリング周波数から見ると、1bitのAD変換器はそのm倍のサンプリング周波数で変換を行っている、すなわちオーバーサンプリングを行っている。
ここで見方を変えると、この回路は量子誤差を帰還させる一種のフィルタになっている。実際この回路は、入力信号に対しては1次ローパスフィルタ、量子化誤差に対しては1次ハイパスフィルタになっている。入力信号では、最終的なナイキスト周波数以下の部分が必要であり、高い周波数成分は除去したい。一方量子化誤差に起因するノイズは出来るだけ除去したいが、これはフィルタにより高い周波数帯に残っている(上記の0Vの例では+1と-1の交互列、すなわちオーバーサンプリングのナイキスト周波数で出力されている)。そこで、1bitオーバーサンプリングで量子化された出力に対しデジタルフィルタを適用し、量子化ノイズを可能な限り除去して、目的のbit数とサンプリング周波数の出力に仕立てる。上記の「mステップ分だけ数える(連続したmステップのデータを単純平均する)」というのも、一種のデジタルフィルタになっている。
実際にはもっと複雑な帰還をかけて高次のデルタ・シグマ・モジュレータを構成し、フィルタとしての特性を急峻にする。 しかし他の方式のAD変換及びアンチエイリアスフィルタと比べるとアナログ回路部分は簡単であり、その分デジタル回路で処理する部分が増える。
AD変換器の性能表示
AD変換器の性能を表示するため、以下のような項目がある。
分解能
測定可能な最大値(または最大値と最小値の幅、フルスケール)が、離散化の最小単位でみていくつになるかを表したもので、通常は2進数の桁数(すなわちビット)で表示する。ただしデジタル電圧計など目読する場合は10進数の桁数などで表す。いわば表示可能桁数であるが、他の要因の誤差があるので必ずしも有効桁数とは言えない。
誤差
理想的なAD変換をグラフで表示すると、原点を通る傾き一定の階段状であり(量子化誤差を除けば直線であり)、フルスケールが指定値通りとなる。 しかし現実にはこれからずれており、それを許容誤差として表示する必要がある。
誤差の表示方法としては、平均直線からのずれ(積分非線形性誤差)、部分的な傾きのずれ(微分非線形性誤差)、原点やフルスケールでのずれ、これらの温度依存性などがある。
変換時間とサンプリング周波数
入力がデジタルに変換されて出力として現れるまでの時間、または変換開始のための合図を入力して結果が出るまでの時間が変換時間である。
一方、サンプリング周波数は1秒間に変換(測定)を行う回数であり、時間方向の分解能と呼べるものである。単純な構造であればサンプリング周波数は変換時間の逆数より小さいが、パイプライン型のように変換処理を同時並行で行える場合はそれより早くなる。
時間方向の誤差
音声信号など、最終的にアナログ信号に復元するためのデジタル化のケースを考えると、サンプリングのタイミングのずれ(ジッター)も重要な誤差の要素になる。 入力信号の周波数が高いと、短い時間の間でも値が変化してしまい、誤差の要因になる。
電気記号
関連項目
参考文献
A/D変換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 08:30 UTC 版)
まず、アナログ信号は、4倍オーバーサンプリング・マルチビット逐次比較型A/D変換回路で20bit176.4kHzでデジタル符号化される。その後標本化周波数は1/2の88.2kHzに間引かれた後で1/4の44.1kHzにデシメーションされる。デシメーション回路ICは20bitだが、インターフェースは24bitに対応している。 現在主流の⊿∑変調器を用いた高速標本化低bitA/D変換回路に比較するとノイズフロアが平坦なので、どのようなパワースペクトル密度を有する楽曲でも“キャラクター”が付くことなく自然な音質で収録できるという利点がある。しかし、4倍という低速な標本化周波数であるためにLPFは急峻な減衰特性を要求されるという弱点があるが、この課題に関してHDCDはLPF次数を可変させる回路で対処した。常時入力信号の高域特性を監視し、高域信号が弱い場合にはLPF次数を短くし、減衰特性は比較的緩やかな特性とする。パルシブな信号が入力された時は急峻なLPFが挿入される。コンサートホールで収録するクラシック音楽などでは、元々のアナログ信号の高域エネルギーは小さいので、常時急峻なフィルターを挿入する必要は無いと考えた訳である。
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