ローパスフィルタ
英語:Low-pass Filter
ローパスフィルタ(Low-pass filter、低域通過濾波器)とは、電子工学の領域で用いられる用語である。特定の周波数以下の信号を通過させ、それ以上の周波数の信号を遮断するフィルターの一種である。この特性から、ノイズ除去や信号の平滑化などに利用される。ローパスフィルタは、アナログ信号とデジタル信号の両方に対して使用可能である。 ローパスフィルタの具体的な使用例としては、オーディオ機器の音質調整や、画像処理でのエッジ抽出などがある。また、通信分野では、帯域制限を行うためにローパスフィルタが用いられることがある。これらの例からも、ローパスフィルタの役割と重要性が理解できるだろう。
ローパスフィルタ
【英】Low Pass Filter, LPF
ローパスフィルタとは、特定の周波数以外の信号を遮断する機能を持つフィルタのうち、低域周波数のみを通過させるフィルタのことである。
ローパスフィルタは、特定の閾値よりも高い周波数信号を減衰させて遮断し、低域周波数のみを信号として通過させることができる。高周波域が雑音として入りやすいデジタルカメラなどにローパスフィルタがよく用いられている。
なお、低域周波数を通過させるローパスフィルタに対して、高域周波数を通過させて低域周波数を遮断する性質を持ったフィルタは、ハイパスフィルタ(HPF)と呼ばれる。また、特定の周波数の範囲のみを通過させ、それ以外の周波数を遮断するフィルタはバンドパスフィルタ(BPF)などと呼ばれている。
ローパスフィルタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/04 02:17 UTC 版)

(実際にはこのような周波数特性は取れない)
ローパスフィルタ(英語: Low-pass filter: LPF、低域通過濾波器)とは、フィルタの一種で、なんらかの信号のうち、遮断周波数より低い周波数の成分はほとんど減衰させず、遮断周波数より高い周波数の成分を逓減させるフィルタである。ハイカットフィルタ等と呼ぶ場合もある。
言い換えると、高い方の周波数を遮断して、低い周波数を通すフィルターのことである[1]。
電気回路・電子回路では、フィルタ回路の一種である。「ロー・パス・フィルター」(Low Pass Filter)とも呼ばれる(参考書籍:「たった1人のフルバンド YMOとシンセサイザーの秘密」松武秀樹、勁文社、1981年、p218)。
ローパスフィルタはハイパスフィルタと対称の関係にある。こういったフィルタには他にバンドパスフィルタとバンドストップフィルタがある。
伝達関数
連続時間のフィルタは、入出力の利得と位相の特性をラプラス変換を使用して伝達関数で表すことができる。伝達関数は通常有理関数であり、分母の次数が分子の次数よりも大きい。分母がn次であるとき、n次ローパスフィルタという。
1次ローパスフィルタの伝達関数は、
最も簡単なローパスフィルタは、入力信号に並列するコンデンサと入力信号と直列する抵抗器から成る1次ローパスフィルタである。抵抗値と容量値の積(R×C)は時定数(τ)といい、遮断周波数に逆比例する、またこのときの出力電圧は入力電圧の
オペアンプを用いて、アクティブローパスフィルタを構成することが可能である。右図の回路は1次アクティブ・ローパスフィルタであり、遮断周波数(Hz)は、
となり、遮断角周波数(rad/s)は、
で表される。通過域での利得はであり、減衰域での減衰傾度は1次のフィルタ回路で−6dB/oct=-20dB/dec となる。
LCローパスフィルタ
コイル(L)とコンデンサ(C)により2次以上のローパスフィルタを構成できる。受動素子のみであり、理想的なコイルとコンデンサのみであれば電力消費がない。そのため信号のフィルタリングの他、電源回路や電力増幅、特にスイッチング電源やデジタルアンプの出力から高調波成分を除去する目的でも使用される。
さらにオペアンプを加えたアクティブなLC(またはRLC)ローパスフィルタも作る事が出来る。しかしLCのみの場合の利点である「電力消費がない」が無くなり、入出力(特に出力電流)はオペアンプの動作範囲に限られる。また、RCとオペアンプの組合せだけでも高次フィルタを構成可能である(バターワースフィルタ#フィルタ設計等を参照のこと)。特別な理由がなければコイル無しの回路設計が行われる。
復調、高周波・雑音の除去、アナログ-デジタル変換の際のアンチエイリアスフィルタなどに利用されている。
画像処理
画像処理においては、空間周波数、つまり画像中の模様の粗い細かいによるフィルタリングを指す。要するに「細かい模様をぼかす」という事である。なお、デジタルカメラやビデオカメラでは、画像の標本化で起こるエイリアス(モアレ)を防ぐために、撮像素子の前、すなわち標本化以前に、光学的に「ローパスフィルタ」をアンチエイリアスのために入れている[2]。
光学
光学フィルターでは、ローパスフィルタに相当する長波長側を透過するものをロングパスフィルタと呼び、ハイパスフィルタに相当する短波長側を透過するものをショートパスフィルタと呼んでいる。デジタルカメラにおいて、前節のアンチエイリアスフィルタとは別に、不自然な画になるのを防ぐため赤外領域をカットするフィルタを入れているが、これはショートパス(すなわちハイパス)フィルタである。人体に有害などといった理由で紫外領域をカットするフィルタは同様にロングパス(すなわちローパス)フィルタ、可視領域のみを通すフィルタはバンドパスフィルタである。
変調
パルス符号変調において複合化回路で複合した出力からアナログ信号を復調するための補間フィルタとして用いられる[3]。また、同期検波による位相偏移変調の復調器にも用いられる[4]。
脚注・参考文献
- ^ 松武秀樹『たった1人のフルバンド YMOとシンセサイザーの秘密』勁文社、1981年、218頁。ISBN 978-4766900132。
- ^ トランジスタ技術2005年2月号p.159
- ^ 第一級陸上特殊無線技士無線工学試験 JZ16B
- ^ 第一級陸上特殊無線技士無線工学試験 JZ12B
関連項目
ローパスフィルタ(LPF)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 20:41 UTC 版)
「VCF」の記事における「ローパスフィルタ(LPF)」の解説
ロー(低域)をパス(通過)させるフィルタ。周波数成分を高域からカットする機能を持つ。
※この「ローパスフィルタ(LPF)」の解説は、「VCF」の解説の一部です。
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