伝達関数
構造物のある点からの入力と、ある点の出力の関係を表す関数。伝達関数にはいろいろな表し方があり、力と変位、力と速度、力と加速度のそれぞれの比をとる場合などがある。
応答関数
伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 07:28 UTC 版)
「状態空間 (制御理論)」の記事における「伝達関数」の解説
連続時不変状態空間モデルの伝達関数は、次のように導出できる。 まず、次の式 x ˙ ( t ) = A x ( t ) + B u ( t ) {\displaystyle {\dot {\mathbf {x} }}(t)=A\mathbf {x} (t)+B\mathbf {u} (t)} のラプラス変換を求める。 s X ( s ) = A X ( s ) + B U ( s ) {\displaystyle s\mathbf {X} (s)=A\mathbf {X} (s)+B\mathbf {U} (s)} 次に X ( s ) {\displaystyle \mathbf {X} (s)} に着目すると次のように変形できる。 ( s I − A ) X ( s ) = B U ( s ) {\displaystyle (s\mathbf {I} -A)\mathbf {X} (s)=B\mathbf {U} (s)} X ( s ) = ( s I − A ) − 1 B U ( s ) {\displaystyle \mathbf {X} (s)=(s\mathbf {I} -A)^{-1}B\mathbf {U} (s)} これを使って、出力方程式の X ( s ) {\displaystyle \mathbf {X} (s)} を置き換える。 Y ( s ) = C X ( s ) + D U ( s ) {\displaystyle \mathbf {Y} (s)=C\mathbf {X} (s)+D\mathbf {U} (s)} であるから、 Y ( s ) = C ( ( s I − A ) − 1 B U ( s ) ) + D U ( s ) {\displaystyle \mathbf {Y} (s)=C((s\mathbf {I} -A)^{-1}B\mathbf {U} (s))+D\mathbf {U} (s)} となる。伝達関数 G ( s ) {\displaystyle \mathbf {G} (s)} はシステムの出力と入力の比であるから、次のようになる。 G ( s ) = Y ( s ) / U ( s ) {\displaystyle \mathbf {G} (s)=\mathbf {Y} (s)/\mathbf {U} (s)} 従って、上で求めた Y ( s ) {\displaystyle \mathbf {Y} (s)} で置き換えれば U ( s ) {\displaystyle \mathbf {U} (s)} が約分され、次の式が得られる。 G ( s ) = C ( s I − A ) − 1 B + D = C a d j ( s I − A ) d e t ( s I − A ) B + D {\displaystyle \mathbf {G} (s)=C(s\mathbf {I} -A)^{-1}B+D=C{\frac {\mathrm {adj} (s\mathbf {I} -A)}{\mathrm {det} (s\mathbf {I} -A)}}B+D} 式の中には、 d e t ( s I − A ) {\displaystyle \mathrm {det} (s\mathbf {I} -A)} が s I − A {\displaystyle sI-A} の行列式であり、 a d j ( s I − A ) {\displaystyle \mathrm {adj} (s\mathbf {I} -A)} が s I − A {\displaystyle sI-A} の余因子行列である。 G ( s ) {\displaystyle \mathbf {G} (s)} は明らかに q {\displaystyle q} × {\displaystyle \times } p {\displaystyle p} の次元を持ち、全体で q p {\displaystyle qp} 個の要素から成る。従って、個々の入力に対して q {\displaystyle q} 個の伝達関数があり、それぞれが個々の出力に対応している。そのため、複数入力/複数出力システムでは状態空間表現の方が好まれる。 なお、 d e t ( s I − A ) {\displaystyle \mathrm {det} (s\mathbf {I} -A)} は特性多項式と呼ばれる。その多項式の根(固有値)から、システムの伝達関数の極が得られる。それらの極を使って、そのシステムの安定性を解析できる。 G ( s ) {\displaystyle {\textbf {G}}(s)} の分子にあるゼロも同様に、システムが最小位相かどうかの判定に使うことができる。 ( s I − A ) − 1 {\displaystyle (s\mathbf {I} -A)^{-1}} を計算するため、下記のアルゴリズムがある。
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 03:40 UTC 版)
連続時間のフィルタは、入出力の利得と位相の特性をラプラス変換を使用して伝達関数で表すことができる。伝達関数は通常有理関数であり、分母の次数が分子の次数よりも大きい。分母がn次であるとき、n次ローパスフィルタという。 1次ローパスフィルタの伝達関数は、 H ( s ) = V o u t V i n = K 1 1 + s τ {\displaystyle H(s)={\frac {V_{out}}{V_{in}}}=K{\frac {1}{1+s\tau }}} となる。ここで、 s = j ω s=j\omega はラプラス変換の変数であり、τはフィルタの時定数、Kは通過域での利得である。このとき、遮断角周波数ωc(rad/s)は、 ω c = 1 τ \omega _{\text{c}}={\frac {1}{\tau }} となる。
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 15:13 UTC 版)
ベッセル・ローパスフィルタの伝達関数は以下のようになる。 H ( s ) = θ n ( 0 ) θ n ( s / ω 0 ) {\displaystyle H(s)={\frac {\theta _{n}(0)}{\theta _{n}(s/\omega _{0})}}\,} ここで、θn(s) は逆ベッセル多項式であり、これが命名の由来である。また、ω0 は遮断周波数である。
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/17 15:35 UTC 版)
連続時間のフィルタは、入出力の利得と位相の特性をラプラス変換を使用して伝達関数で表すことができる。 ハイパスフィルタの伝達関数は、 H ( s ) = V o u t V i n = K s τ 1 + s τ {\displaystyle H(s)={\frac {V_{out}}{V_{in}}}=K{\frac {s\tau }{1+s\tau }}} となる。ここで、 s = j ω {\displaystyle s=j\omega } はラプラス変換の変数であり、τ はフィルタの時定数、 K は通過域での利得である。
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 06:35 UTC 版)
「チェビシェフフィルタ」の記事における「伝達関数」の解説
上記の式で利得 G の極が得られる。それぞれの複素極について、複素共役な極があり、それらの対となる極の符号を反転させた別の極の対も存在する(つまり、実数軸と虚数軸を対称軸として4つの極が対称な位置にある)。伝達関数は安定でなければならないので、その極は利得の極のうち実数部が負のものであり、複素周波数平面の左半分に存在する。伝達関数は次のようになる。 H ( s ) = ∏ m = 0 n − 1 1 ( s − s p m − ) {\displaystyle H(s)=\prod _{m=0}^{n-1}{\frac {1}{(s-s_{pm}^{-})}}} ここで s p m − {\displaystyle s_{pm}^{-}} は、上述の極の式のうち最初の実数項が負の極だけを意味する。 (次節の図のように) ω {\displaystyle \omega } =0 での利得を 1 にするには、伝達関数 H(s) を定数で正規化する必要がある。
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 06:35 UTC 版)
「チェビシェフフィルタ」の記事における「伝達関数」の解説
伝達関数は利得関数の左半分の平面にある極で与えられる。また、零点も同じだが多重度は1になる。
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/18 09:02 UTC 版)
コンデンサの伝達関数は次のようになる。 H C ( s ) = V C ( s ) V i n ( s ) = 1 1 + R C s {\displaystyle H_{C}(s)={V_{C}(s) \over V_{in}(s)}={1 \over 1+RCs}} 同様に抵抗器の伝達関数は以下の通りである。 H R ( s ) = V R ( s ) V i n ( s ) = R C s 1 + R C s {\displaystyle H_{R}(s)={V_{R}(s) \over V_{in}(s)}={RCs \over 1+RCs}}
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 10:19 UTC 版)
「伝達関数 (撮像)」も参照 Rec. 2100は知覚量子化器(PQ)およびハイブリッド・ログ=ガンマ(HLG)の2種類のHDR伝達関数を定義している。HLGはRec. 2100でサポートされており、1,000 cd/m2の公称ピーク輝度で、システムのガンマ値は背景の輝度に応じて調整可能である。リファレンスとなる視聴環境では、ディスプレイのピーク輝度は狭い領域のハイライトで1000 cd/m2、黒レベルは0.005 cd/m2以下であることが望ましい。周辺の照明は5 cd/m2の標準光源D65の中性灰色である必要がある。画面に光が当たらないようにする。 それぞれのセットで文書化された伝達関数には以下のものがある: 電気光伝達関数(EOTF):非線形の信号値をディスプレイの光に割り当てる 光光伝達関数(OOTF):相対的な線形のシーンの光を線形のディスプレイの光に割り当てる 光電伝達関数(OETF):相対的な線形のシーンの光を非線形の信号値に割り当てる
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伝達関数 (transfer function)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 09:17 UTC 版)
「古典制御論」の記事における「伝達関数 (transfer function)」の解説
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 01:24 UTC 版)
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/29 14:05 UTC 版)
「バターワースフィルタ」の記事における「伝達関数」の解説
n次バターワース・ローパス・フィルタの利得 G ( ω ) {\displaystyle G(\omega )} は、伝達関数 H(s) から次のように得られる。 G 2 ( ω ) = | H ( j ω ) | 2 = G 0 2 1 + ( ω ω c ) 2 n {\displaystyle G^{2}(\omega )=\left|H(j\omega )\right|^{2}={\frac {G_{0}^{2}}{1+\left({\frac {\omega }{\omega _{c}}}\right)^{2n}}}} ここで n はフィルタの次数 ωc は遮断周波数(約 -3dB となる周波数) G 0 {\displaystyle G_{0}} はDC利得(ゼロ周波数での利得) である。 n が無限大に近づくと、利得は矩形関数となり、ωc 以下の周波数は利得 G 0 {\displaystyle G_{0}} で通過し、ωc 以上の周波数は抑止される。n が小さいほど、遮断は緩やかになる。 s = σ + j ω {\displaystyle s=\sigma +j\omega } の伝達関数 H(s) を決定することを考える。s = jω のときの H(s)H(-s) を計算すると |H(jω)|2 と同じになるため、次が得られる。 H ( s ) H ( − s ) = G 0 2 1 + ( − s 2 ω c 2 ) n {\displaystyle H(s)H(-s)={\frac {G_{0}^{2}}{1+\left({\frac {-s^{2}}{\omega _{c}^{2}}}\right)^{n}}}} この式の極は半径 ωc の円上に等間隔で現れる。伝達関数自体は複素平面 s 上の実数が負の側の極で決定される。k番目の極は次の式で決定される。 − s k 2 ω c 2 = ( − 1 ) 1 n = e j ( 2 k − 1 ) π n k = 1 , 2 , 3 , … , n {\displaystyle -{\frac {s_{k}^{2}}{\omega _{c}^{2}}}=(-1)^{\frac {1}{n}}=e^{\frac {j(2k-1)\pi }{n}}\qquad \mathrm {k=1,2,3,\ldots ,n} } 従って、次が得られる。 s k = ω c e j ( 2 k + n − 1 ) π 2 n k = 1 , 2 , 3 , … , n {\displaystyle s_{k}=\omega _{c}e^{\frac {j(2k+n-1)\pi }{2n}}\qquad \mathrm {k=1,2,3,\ldots ,n} } 伝達関数はこれらの極を使って次のようにも表せる。 H ( s ) = G 0 ∏ k = 1 n ( s − s k ) / ω c {\displaystyle H(s)={\frac {G_{0}}{\prod _{k=1}^{n}(s-s_{k})/\omega _{c}}}} 分母は、s におけるバターワース多項式である。
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伝達関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/13 17:19 UTC 版)
伝達関数 (transfer function) とはシステムへの入力を出力に変換する関数のことをいう。伝達関数は、すべての初期値を 0 とおいたときの、制御系の出力と入力のラプラス変換(または Z 変換)の比で表される。すなわち、連続システムのとき、出力信号 y(t) のラプラス変換を Y(s)、入力信号 x(t) のラプラス変換を X(s) とすれば、伝達関数 G(s) は G ( s ) = Y ( s ) X ( s ) = L [ y ( t ) ] L [ x ( t ) ] {\displaystyle G(s)={\frac {Y(s)}{X(s)}}={\frac {{\mathcal {L}}\left[y(t)\right]}{{\mathcal {L}}\left[x(t)\right]}}} と表される。 離散システムに対して、伝達関数は Z 変換によって、 H ( z ) = Y ( z ) X ( z ) = Z [ y ( n ) ] Z [ x ( n ) ] {\displaystyle H(z)={\frac {Y(z)}{X(z)}}={\frac {{\mathcal {Z}}\left[y(n)\right]}{{\mathcal {Z}}\left[x(n)\right]}}} と表される。 この伝達関数法では、時間領域の関数を、ラプラス変換(または Z 変換)によって複素平面に写像を取り、さらに周波数領域に変換することにより、系の特性や安定性を解析するのに用いる。ただし、対象となる系が 1 入力 1 出力(線形関数)に限られているため、複雑な系(多入力多出力、非線形)の解析には状態空間法を用いる。しかしながら、この伝達関数法は、今日の制御理論においても基礎となる重要な理論である。
※この「伝達関数」の解説は、「伝達関数法」の解説の一部です。
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