多項式の根
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/11 07:55 UTC 版)
数学における多項式 P(X) の根(こん、英: root)は、P(α) = 0 を満たす値 α を言う。すなわち、根は未知数 x の多項式方程式 P(x) = 0 の解であり、また対応する多項式函数の零点である。例えば、多項式 X2 − X の根は 0 および 1 となる。
ある体に係数を持つ非零多項式は、「より大きい」体の中にしか根を持たないこともあるが、根の数はその多項式の次数より多くなることはない。例えば X2 − 2 は次数 2 で有理数係数だが、有理根を持たず、二つの根を実数体 R に(したがって 複素数体 C の中に)おいて持つ。ダランベール–ガウスの定理は次数 n の任意の複素係数多項式が(必ずしも異ならない)n 個の根を持つことを述べるものである。
多項式の根の概念は、多変数多項式の零点の概念に一般化される[1]。
定義
以下、不定元 X に関する多項式 P(X) は適当な体あるいはより一般に可換環 A に係数を持つものとする(実際に現れる係数はしたがってその適当な部分環に属している)。
したがって、多項式 X2 – 2 は、有理数体 Q に(また R または C に)係数を持ち、有理数体 Q における根は持たないが R に(したがって C に)二つの根(つまり、2の平方根