出力と入力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/05 15:23 UTC 版)
側坐核からは腹側淡蒼球(ventral pallidum)に投射する(GABA作動性出力)。その後、腹側淡蒼球からは視床の背内側(MD)核に投射し、視床背内側核は大脳新皮質の前頭前野に投射する。他に側坐核からの出力として、黒質、橋網様体(脚橋被蓋核など)への結合がある。 側坐核への主な入力として、前頭前野、扁桃体、海馬からのものや、扁桃体基底外側核のドーパミン細胞から中脳辺縁系を経て入力するもの、視床の髄板内核、正中核からの入力がある。そのため、側坐核は皮質-線条体-視床-皮質回路の一部としてみなされることもある。 腹側被蓋野からのドーパミン性入力は側坐核の神経活動を調節すると考えられている。モルヒネなどは、腹側被蓋野でドーパミン神経を刺激し、側坐核へ投射する神経(A10神経)の末端からドーパミンの分泌を促し、シナプス間隙のドーパミンが増えることにより、シナプス後細胞が非生理的な興奮状態となって、モルヒネ摂取者は「何ものにも代えがたい幸福感」を味わい、依存のうち精神依存はこの機序で形成する。一方、嗜癖性の高い薬物でもコカインやアンフェタミンなどは側坐核において主にシナプス前細胞に作用する。 メチルフェニデートやコカインは、シナプス前細胞によるドーパミンの再取り込みを阻害して、ドーパミン濃度の上昇を来す機序による。 アンフェタミンやメタンフェタミンといったいわゆる覚醒剤は、ドーパミンの再取り込み経路から逆行性にシナプス前細胞に侵入し、ドーパミンの産生を亢進させるとともに、再取り込み経路の流れを逆転させ、そこからもシナプス間隙にドーパミンが分泌されるという非生理学的な振る舞いを起こさせる(無論、生理的な再取り込みは起こらない)。さらには不要なドーパミンを分解してドーパミンの作用の安定化に寄与するモノアミンオキシダーゼ(MAO)の働きを阻害する。これらの効果のため、ドーパミン量の調整機構が部分的に機能しなくなる。このように、ドーパミンを増加させることで嗜癖作用を有する。
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