応答関数
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応答関数(おうとうかんすう、英: response function)とは、ある入力が来たときにそれに対応して決まった出力を出すような物理系があるとき、一定の規格を持つ時間の関数である入力に対して出力される時間の関数のことである。また以下に示すインパルス応答関数のことを応答関数と呼ぶ場合もある。電気回路、粘弾性体、誘電体、光学系、制御工学などの分野で用いられる。
例
入力の形に対応していろいろな応答関数があり、分野によって命名もまちまちである。
- インパルス応答関数(余効関数、重み関数)
- デルタ関数型の入力の場合の応答関数。
- 緩和関数
- 一定の大きさの入力が突然入った場合、あるいは突然無くなった場合の応答関数。入った場合の応答関数をステップ応答関数(インディシャル応答)とも呼ぶ。
- 周波数応答関数
- 入力が正弦波の場合の応答関数。複素感受率(複素アドミッタンス)と呼ぶこともある。
- 伝達関数
- 入力が exp(pt) (p は複素数)の場合の応答関数。
線形応答理論
入力と出力の関係が線形性を持つなら、すなわち重ね合わせができるなら、任意の入力に対する出力は応答関数を用いて表すことができる。これを線形応答理論と呼ぶ。
インパルス応答関数 φ(t)がわかっているとき、入力 x(t) に対する出力 y(t) は次の畳み込みで表せる。
ステップ応答関数 ψ(t) の場合は、右辺が
となる。
周波数応答関数を Φ(ω) (一般に複素数)、入力 x のフーリエ変換を X(ω) とすると、出力のフーリエ変換は
となる。
遅延グリーン関数
ある系に対する外力 X(t) に対する影響をとするとき、この系の物理量Bの応答を表す応答関数は、遅延グリーン関数を使って次のように表される
参考文献
- 『物理学辞典』培風館、1984年。
周波数応答関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:37 UTC 版)
「線形多自由度系の振動」の記事における「周波数応答関数」の解説
強制振動の特解から、周波数応答関数あるいは伝達関数が求められる。周波数応答関数は、振動系への入力が調和振動の形で与えられるときの、出力と入力の振幅比および位相差を周波数の関数として表す。比例減衰系において、角振動数 Ω の調和外力が q 番目の自由度のみに加わるとする。このときの p 番目の自由度の振動応答は G p q ( Ω ) = ∑ r = 1 n u p r u q r K r { 1 − ( Ω ω r ) 2 + j 2 ζ r Ω ω r } {\displaystyle G_{pq}(\Omega )=\sum _{r=1}^{n}{\frac {u_{pr}u_{qr}}{K_{r}\left\{1-\left({\dfrac {\mathit {\Omega }}{\omega _{r}}}\right)^{2}+j2\zeta _{r}{\dfrac {\mathit {\Omega }}{\omega _{r}}}\right\}}}} (5.16) と表される。この場合の周波数応答関数 G(Ω) は[変位]/[力]の単位を持ち、コンプライアンスとも呼ばれる。q 番目加振・p 番目応答の周波数応答関数と p 番目加振・q 番目応答の周波数応答関数は、相反定理によって互いに等しく、Gpq(Ω) = Gqp(Ω) の関係である。不減衰系の場合は、周波数応答関数は次式となる。 G p q ( ω ) = ∑ r = 1 n u p r u q r K r − M r Ω 2 {\displaystyle G_{pq}(\omega )=\sum _{r=1}^{n}{\frac {u_{pr}u_{qr}}{K_{r}-M_{r}{\mathit {\Omega }}^{2}}}} (5.17) これらの周波数応答関数によって、系の周波数特性が把握できる。線形多自由度系の場合は、固有角振動数と固有モードを求めれば、調和外力による強制振動に対する周波数特性も同時に理解することができる。横軸に振動数や強制振動比を取り、縦軸に調和外力に対する振幅比や位相差を図示したものを応答曲線や共振曲線と呼ぶ。縦軸をデシベルにして図示したものは特にボード線図と呼ばれる。系の振動特性を振動実験から同定する実験モード解析では、実験値に上記の周波数応答関数でカーブフィッティングして系の各種パラメータを推定する。 上述のように、励振力の振動数が系の固有角振動数に一致すると、振動は極大化する。一方、多自由度系では共振して振幅が発散する現象だけでなく、励振力が特定の角振動数のときに周波数応答関数が極小になる現象もある。このような現象を反共振と呼ぶ。ただし、共振が系全体で起こるのに対して、反共振は一組の加振点・応答点ごとにしか起こらない。周波数応答関数の絶対値を縦軸にした応答曲線上では、共振点は曲線の鋭い山のように現れ、反共振は曲線の鋭い谷のように現れる。反共振は、代表的な制振器である動吸振器の原理として活用される。振動を抑えたい対象にばね・ダンパを介して付加質量を取り付けることによって振動を抑制でき、地震や強風に対する建築構造物の防振や回転機械の防振などに使われる。
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