固有モード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:37 UTC 版)
「線形多自由度系の振動」の記事における「固有モード」の解説
得られた固有値あるいは固有角振動数の値を式3.4に代入すれば、0 以外の u の解が得られる。ここで得られる u の各成分は一意な値を持たず、定まるのは各成分の互いの比 u1 : u2 : … : un だけである。一つの固有値あるいは固有角振動数に対応して一つの u が定まり、u は n 個存在する。このような固有値と固有ベクトルの組は固有ペアと呼ばれる。r 次の固有角振動数 ωr に対応する u を ur を表現すれば、 ur は u r = ( u 1 r u 2 r ⋮ u n r ) {\displaystyle {\boldsymbol {u}}_{r}={\begin{pmatrix}u_{1r}\\u_{2r}\\\vdots \\u_{nr}\end{pmatrix}}} (3.8) というベクトルである。ただし、上記のとおり、各成分 u1r, u2r, …, unr は互いの比の値を表している。 式3.8で表されるベクトルが式3.4における固有ベクトルであり、振動工学では固有モード、振動モード、固有振動モード、基準振動モード、モードベクトルなどと呼ぶ。n 自由度系には n 個の固有角振動数があり、固有角振動数それぞれに対応する形で n 個の固有モードが存在している。各自由度の振幅比を決める固有モードは、固有角振動数が「振動の速さ」を表しているのに対して、「振動の形」を表していると言える。自由度の数の分だけ固有角振動数が存在し、それら固有角振動数に対応して固有モードが存在していることが、線形多自由度系の特有な性質といえる。 各々の固有モードを、対応する固有角振動数が小さい順に1次固有モード、2次固有モード、…、r 次固有モード、…、n 次固有モードと呼ぶ。特に、基本振動数(1次の固有角振動数)に対応する固有モードは基本モードと呼ばれる。固有モード ur を次数が低い順に並べて作る、下記のような行列をモード行列やモードマトリックスという。 U = ( u 1 , u 2 , ⋯ , u n ) = ( u 11 u 21 ⋯ u 1 n u 21 u 22 ⋯ u 2 n ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ u n 1 u n 2 ⋯ u n n ) {\displaystyle {\boldsymbol {U}}=({\boldsymbol {u}}_{1},\ {\boldsymbol {u}}_{2},\ \cdots ,\ {\boldsymbol {u}}_{n})={\begin{pmatrix}u_{11}&u_{21}&\cdots &u_{1n}\\u_{21}&u_{22}&\cdots &u_{2n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\u_{n1}&u_{n2}&\cdots &u_{nn}\end{pmatrix}}} (3.9)
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