周波数推定における計算例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/23 06:14 UTC 版)
「Multiple signal classification」の記事における「周波数推定における計算例」の解説
MUSICは信号、もしくは自己相関行列の周波数成分を固有空間法によって推定する。本手法では、ガウス分布のホワイトノイズ存在下に、 p {\displaystyle p} 個の複素正弦波を含む次元 M {\displaystyle M} の信号 x {\displaystyle {\boldsymbol {x}}} を仮定し、これに対して、自己相関行列 R x {\displaystyle R_{x}} を考える。自己相関行列の固有値が降べきの順にソートされているとし、最初の p {\displaystyle p} 個の固有値に対応する固有ベクトル(すなわち、分散が大きな方向に対応する固有ベクトル)が張る部分空間を信号部分空間と呼ぶ。残りの M − p {\displaystyle M-p} 個の固有ベクトルは信号部分空間に直交する部分空間を張り、内部にはノイズのみが含まれている。なお、 M = p + 1 {\displaystyle M=p+1} としたときのMUSICはPisarenko harmonic decompositionと同一となる。本手法のキーポイントは、Pisarenkoの推定式の性能を向上させるため平均化を用いることである。MUSICの周波数推定関数は、 P ^ M U ( e j ω ) = 1 ∑ i = p + 1 M | e H v i | 2 {\displaystyle {\hat {P}}_{MU}(e^{j\omega })={\frac {1}{\sum _{i=p+1}^{M}|{\boldsymbol {e}}^{H}{\boldsymbol {v}}_{i}|^{2}}}} である.ここで、 v i {\displaystyle {\boldsymbol {v}}_{i}} はノイズ固有ベクトルであり、 e = [ 1 e j ω e j 2 ω ⋯ e j ( M − 1 ) ω ] T {\displaystyle {\boldsymbol {e}}={\begin{bmatrix}1&e^{j\omega }&e^{j2\omega }&\cdots &e^{j(M-1)\omega }\end{bmatrix}}^{T}} である。周波数推定関数の p {\displaystyle p} 個のピークは、信号成分における p {\displaystyle p} 個の周波数推定値を与える。 MUSICはPisarenko法の一般化である。Pisarenko法では、ただ1つのみの固有ベクトルと自己回帰係数のセットが使用された。これらの零点は解析的な手法か、多項式の根を求めるアルゴリズムを使用して求めることができる。これと比較して、MUSICはいくつかの関数を仮定するため、零点は存在しない可能性があり、代わりにいくつかの極小値が存在する.これらの極小値は、推定関数のピークを数値的に探索することで得ることができる。
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