周波数標準と日本標準時
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 07:03 UTC 版)
「情報通信研究機構」の記事における「周波数標準と日本標準時」の解説
電波法に基づき、周波数標準値を設定し、標準電波を発射し、日本標準時(JST)を通報している。 NICTが運用する小金井局の18台のセシウム原子時計の時刻を1日1回平均・合成することによって協定世界時(UTC)を生成し、これを9時間進めたものが日本標準時(JST)となる。なお、この協定世界時(UTC)は、国際度量衡局(BIPM)が決定する協定世界時(UTC)との差が±50ナノ秒以上にならないように決定される。 このようにして決定された日本標準時(JST)は、標準電波(JJY)やNTPサーバ、電話回線を通じて供給されている(参考:国立天文台、産業技術総合研究所計量研究所)。2006年2月7日から、セシウム原子時計に加えて水素メーザー原子時計を使用することなどにより、協定世界時(UTC)との時刻同期精度が±50ナノ秒以内から±10ナノ秒以内に向上した。さらに、セシウム原子時計や水素メーザー原子時計を3系統に分けて相互比較・データ合成を行うことで信頼性の向上ならびに、JJYの冗長化に寄与している。 標準電波は、福島県のおおたかどや山標準電波送信所と、佐賀県のはがね山標準電波送信所の2か所から発射している。周波数は40kHzおよび60kHz。2局ともにセシウム原子時計が設置されており、NICT本部から常時遠隔監視・時間比較されて運用されている。 さらに、2018年(平成30年)6月10日から日本標準時の冗長化を目的に、兵庫県神戸市の未来ICT研究所内に分散局として神戸副局を設置した。また、おおたかどや山送信所・はがね山送信所の原子時計も分散局として、人工衛星を仲介した3つの分散局データを合成して、日本標準時(JST)をバックアップ供給する体制に移行した。神戸副局にはセシウム原子時計(CS)5台と水素メーザー2台及び送信所との高精度衛星時刻比較システムなど、日本標準時生成に必要な基本機能を備え、小金井本部と並行して常時合成原子時(神戸時系)を生成できるという。 また本部の供給サービスがダウンした場合に備え、小金井本部同様に日本標準時を供給できるようにするほか、NTPサーバー及び光テレホンJJYシステムのバックアップ、標準電波送信所の周波数調整機能を整備しているという。今後は小金井と神戸両局の相互比較・データ合成を行うことで更に精度向上に寄与するほか、神戸副局からも日本標準時が供給できる体制がとれるようになるという。
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