はがね山標準電波送信所とは? わかりやすく解説

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はがねやま‐ひょうじゅんでんぱそうしんじょ〔‐ヘウジユンデンパソウシンジヨ〕【はがね山標準電波送信所/羽金山標準電波送信所】

読み方:はがねやまひょうじゅんでんぱそうしんじょ

時刻周波数基準となる標準電波送信する施設佐賀県佐賀市福岡県糸島市境界位置する羽金山(はがねやま)山頂付近にあり、情報通信研究機構管理・運営している。

[補説] 国内には他にも福島県おおたかどや山標準電波送信所があり、二つ送信所全国網羅している。電波重複する地域干渉による信号減衰避けるため、おおたかどや山は40キロヘルツ、はがね山は60キロヘルツ出力周波数送信している。


はがね山標準電波送信所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/26 08:11 UTC 版)

はがね山標準電波送信所
送信波 標準電波
送信放送局 情報通信研究機構(NICT)
空中線電力 50kW
開局 2001年10月1日
設置場所 佐賀県佐賀市[1][2]
はがね山標準電波送信所
はがね山標準電波送信所 (佐賀県)
はがね山標準電波送信所
はがね山標準電波送信所 (日本)

北緯33度27分56.160秒 東経130度10分32.160秒 / 北緯33.46560000度 東経130.17560000度 / 33.46560000; 130.17560000座標: 北緯33度27分56.160秒 東経130度10分32.160秒 / 北緯33.46560000度 東経130.17560000度 / 33.46560000; 130.17560000
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はがね山標準電波送信所(はがねやまひょうじゅんでんぱそうしんじょ)は佐賀県佐賀市福岡県糸島市の境の羽金山の山頂付近にある、日本標準時のデータを送信する標準電波JJYの送信施設(送信所)である[3][4]JJYの送信所として、福島県所在のおおたかどや山標準電波送信所とともに電波の送信を行っている[3]

送信所詳細

国立研究開発法人情報通信研究機構が管理する[3][1]。交代制の監視員と遠隔監視により24時間連続運用が行われ、これをおおたかどや山送信所と並行運用する体制となっている[5]

市販の電波時計で利用できる電波強度では、送信所から概ね1,000km圏内で受信可能[7][8]。資料の図示によれば、日本国内では九州地方から関東地方付近および奄美から沖縄本島付近まで、また国外では北部の一部を除く朝鮮半島の大部分、中国華東の沿海部の一部がその圏内になる[8]

送信所にはアンテナのほか、原器室、時刻信号管理室、送信機室、整合器室、自家発電機などがある。原器室は標準時の基準信号を作る原子時計を備えた部屋で、温湿度管理と電磁界の遮断が行われている(シールドルーム)。原子時計は3台以上あり、相互比較や交換などのため冗長性が保持されている。生成された信号は衛星を通じて情報通信研究機構本部などの日本標準時(JST)標準信号と比較・調整され、ノイズ除去のための光信号への変換を経て、送信機により電波に変換増幅されアンテナから発射される流れ。異常時の代替と定期的な交代による安定運用のため、送信機も2系統設けられている。発電機は停電が1週間程度続いても電波を発射できる設計[9]

山岳にあり高い鉄塔を持つことから害対策が重要で、検知による保護システムがあるものの、被害を受けることがある[10]。例えば、2005年12月に落雷被害があった[11]。送信所周辺の10 km四方のエリア内の落雷を2014 - 2018年の5年間のデータで見ると、夏を含む5 - 10月に1,309回/5年、冬を含む11 - 4月に122回/5年となっている[10]。また、2018年度には雷害回避のための停波が92時間余り、保守作業などの停波を含めた発射時間率は98.2%となっているが、おおたかどや山送信所を含め少なくとも1か所が送信を行っている発射時間率は99.9%であり、相互補完がなされている[12]

そのほか、送信所に至る道路でも倒木や雨による路肩崩壊など通行に支障となるような被害が年に1回程度発生していて、例えば2018年7月の大雨(平成30年7月豪雨)では送信所の手前の市道が被害を受けた[10]

歴史

羽金山山頂には従前、海上保安庁が管理するデッカ航法のための送信所、前原デッカ局があった。1969年(昭和44年)5月1日に運用開始、1999年(平成11年)3月10日に廃止となっている(詳細は羽金山#送信所を参照)。この跡地にJJY送信所が建設された理由として、標高が高くかつ開けた土地がある点、道路や電線・電話回線が整備されている点、デッカ運用の際に得られた電波伝搬特性のデータが活用できる点が挙げられる[13]

JJY送信所の整備は前原デッカ局の廃止から間もなく1999年度(平成11年度)に始められ、2001年(平成13年)10月1日に運用を開始した[6]

送信所の開設以降、所属は独立行政法人通信総合研究所(開設当初)、独立行政法人情報通信研究機構(2004年4月1日以降)、国立研究開発法人情報通信研究機構(2015年4月1日以降)と変遷してきた[11][14]

脚注

注釈

  1. ^ 無線局免許状の記載などにあるその他の諸元は以下の通り。 * 無線局の目的 : 公共業務用[2] * 通信事項 : 標準周波数及び標準時の通報[2] * 通信の相手方 : 受信設備[2]
  2. ^ おおたかどや山標準電波送信所のアンテナ効率は約25%で開きがあるが、土質の違いなどによる接地効率の違いが原因と考えられる[6]
  3. ^ 傘型アンテナについてはen:T-antenna#Capacitance 'hat'参照。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 標準電波の出し方について”. 情報通信研究機構日本標準時グループ. 2025年1月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 無線局免許状等情報 DFCD:0000000414”. 総務省. 2025年1月16日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 長波標準電波施設 はがね山標準電波送信所”. 情報通信研究機構日本標準時グループ. 2025年1月16日閲覧。
  4. ^ <平成 この日、>羽金山から日本標準時発信=平成13年10月1日(17年前)”. 特集 平成 この日、. 佐賀新聞 (2018年10月1日). 2025年1月16日閲覧。
  5. ^ a b 土屋ほか 2019, p. 32.
  6. ^ a b c 森川容雄. “通信総合研究所の時間・周波数標準と標準電波” (pdf). 資料室 長波標準電波シンポジウム資料. 情報通信研究機構日本標準時グループ. p. 61. 2025年1月16日閲覧。
  7. ^ 土屋ほか 2019, p. 30.
  8. ^ a b カシオ. “電波の受信できる範囲の目安はどれくらいですか?”. 2016年11月7日閲覧。
  9. ^ 土屋ほか 2019, pp. 30–32.
  10. ^ a b c 土屋ほか 2019, pp. 32–33.
  11. ^ a b 標準電波/周波数標準/標準時 年表”. 資料室. 情報通信研究機構日本標準時グループ. 2025年1月16日閲覧。
  12. ^ 土屋ほか 2019, pp. 34–35.
  13. ^ 加島篤「北九州デッカチェーンをめぐる無線技術史―中距離航行用長波電波標識の建設と運用―」『北九州工業高等専門学校研究報告』第53号、2020年1月31日、21-40頁、NCID AA12510939 
  14. ^ 令和5年度事業報告書” (pdf). 情報通信研究機構. p. 61. 2025年1月16日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク



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