周波数応答(振動・音)
振動入力を受けた構造体が、入力に応じて出力(応答)するなんらかの量を、周波数を独立変数として表したもの。入力としては加振力、応答としては変位、速度、加速度、音、応力、ひずみなどが扱われる。単位入力に対するこれらの応答を周波数ごとに表示するのが一般的である。自動車の振動、騒音に関する開発では、各部品および、それらを結合した構造体の周波数応答が把握される。例えばパワープラント、懸架系などの取付け部における、振動入力に対する車体振動や車内音の周波数応答をもとに、敏感な周波数について、車体のみでなくパワープラント、懸架系などの振動にも注意が払われ、シェイクやこもり音などの問題への対応がなされる。
周波数応答(操縦安定性)
クルマへの操舵入力が、正弦波の場合の定常応答を周波数応答という。通常、ハンドル角入力に対するヨーレート、横加速度、ロール角、横滑り角などの伝達関数を求め、周波数領域におけるゲインおよび位相遅れを評価する。ハンドル角入力波形には、パルス、ランダム、連続サイン波などを用い、高速フーリエ変換のアルゴリズムや、同定技術を用いて伝達関数が導かれる。伝達関数はボード線図で表示する。
参照 周波数特性、定常応答周波数特性
周波数特性(しゅうはすうとくせい)とは、周波数と何らかの物理量との関係を表したものである。英語で"frequency response"となることからf特、f特性と呼ばれることもある。
音響分野における周波数特性
音響機器や回路等の入力を一定にした状態で、周波数を変化させた時、出力がどのように変化するかを表した物である。Y軸に出力レベル、X軸に周波数の目盛りを取ったグラフに描いた曲線で表される。この場合、Y軸はdBでX軸は対数目盛りで表されることが多い。
スピーカーやマイクロフォンの周波数特性は、機械的振動と電気的信号の変換効率を周波数の変化に対して測定したもの。
電子回路/電気回路/電子機器における周波数特性
電気・電子回路や電子機器においては、周波数特性は温度特性と並んで重要な特性である。周波数特性の評価にはスペクトラムアナライザやネットワークアナライザが用いられる。無線機の場合は、測定者が通信周波数を変えながら測定をおこないグラフ用紙にプロットするか、パーソナルコンピュータを組み合わせて自動測定をする。 回路や機器では、部品自体の周波数特性の変化が激しいため、振幅特性のみならず、ほとんどすべての特性が周波数によって変化する。
キャパシタの周波数特性

理想的なキャパシタのインピーダンスは、周波数に反比例する。しかし(キャパシタに限らず)一般に、現実の素子は様々な寄生成分を持つ。しばしば、図のような等価回路にモデル化される。ここで重要なのが直列等価抵抗(ESR)や直列等価インダクタンスまたはリードインダクタンス(ESL)である。これらの存在により、ある周波数まではインピーダンスは理想的な場合に似たように降下していくが、ESRとESLの存在により、ある周波数で極小値に到達した後は、さらに周波数を上げていくとインピーダンスは上昇していく。このような傾向があるのはあらゆる現実のキャパシタにおいて共通だが、アルミ電解コンデンサでは比較的低い周波数でそうなるのに対し、積層セラミックコンデンサではインピーダンスの極小値を得る周波数が比較的高い。[1]回路での利用のしかたによっては、これらをよく考慮する必要がある。キャパシタでは、インピーダンスが極小値を取る周波数が高いことを、周波数特性が良いと呼ぶ。
無線工学
アンテナは一般に給電する高周波の周波数に対して入力インピーダンスが変化する。周波数ごとのインピーダンスを測定するにはアンテナ・アナライザを用いる。
電波伝播において、電波の伝播経路上に周波数特性が時間とともに変化する媒体が存在すると受信側で信号が歪む。これを選択性フェージングという。
脚注
- ^ トランジスタ技術 2004年9月号 p109
関連項目
周波数応答
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 17:21 UTC 版)
フィードフォワード型で α {\displaystyle \alpha } を様々な正の値にしたときの応答特性(振幅のみ) フィードフォワード型で α {\displaystyle \alpha } を様々な負の値にしたときの応答特性(振幅のみ) Z領域で表される離散時間系の周波数応答を得るには、 z = e j ω {\displaystyle z=e^{j\omega }} と置き換える。すると、フィードフォワード型コムフィルタの伝達関数は次のようになる。 H ( e j ω ) = 1 + α e − j ω K {\displaystyle \ H(e^{j\omega })=1+\alpha e^{-j\omega K}\,} オイラーの公式を使うと、周波数応答は次のように表すこともできる。 H ( e j ω ) = [ 1 + α cos ( ω K ) ] − j α sin ( ω K ) {\displaystyle \ H(e^{j\omega })=\left[1+\alpha \cos(\omega K)\right]-j\alpha \sin(\omega K)\,} 位相を無視して振幅の周波数特性だけを必要とすることが多い。それは次のように定義できる。 | H ( e j ω ) | = ℜ { H ( e j ω ) } 2 + ℑ { H ( e j ω ) } 2 {\displaystyle \ |H(e^{j\omega })|={\sqrt {\Re \{H(e^{j\omega })\}^{2}+\Im \{H(e^{j\omega })\}^{2}}}\,} フィードフォワード型コムフィルタでは、これが次のようになる。 | H ( e j ω ) | = ( 1 + α 2 ) + 2 α cos ( ω K ) {\displaystyle \ |H(e^{j\omega })|={\sqrt {(1+\alpha ^{2})+2\alpha \cos(\omega K)}}\,} ( 1 + α 2 ) {\displaystyle (1+\alpha ^{2})} という項は定数であり、残る 2 α cos ( ω K ) {\displaystyle 2\alpha \cos(\omega K)} は周期関数である。したがって、コムフィルタの周波数特性は周期的である。 右の2つの図は様々な α {\displaystyle \alpha } の値について、周波数特性の周期性を表したものである。次のような特性が重要である。 応答は周期的に局所最小値に落ち込み(「ノッチ」などと呼ぶ)、周期的に局所最大値になる(これを「ピーク」などと呼ぶ)。 最大と最小は常に 1 から等しい距離にある。 α = ± 1 {\displaystyle \alpha =\pm 1} のとき、最小の振幅がゼロになる。この場合の局所最小値を「ヌル」などと呼ぶ。 α {\displaystyle \alpha } が正のときの最大と α {\displaystyle \alpha } が負のときの最小は同じ周波数であり、逆も同様である。
※この「周波数応答」の解説は、「コムフィルタ」の解説の一部です。
「周波数応答」を含む「コムフィルタ」の記事については、「コムフィルタ」の概要を参照ください。
「周波数応答」の例文・使い方・用例・文例
- 周波数応答のページへのリンク