ICT
「ICT」とは・「ICT」の意味
ICTとは「情報通信技術」を意味する言葉であり、教育や医療、介護、土木など様々な分野で使われている。ICTの概要
ICTは、「Information and Communication Technology」の頭文字をとった略称だ。「Information」は情報、「Communication」は通信、そして「Technology」は技術という意味を持っている。なお、ICTの読み方は「アイ・シー・ティー」である。
日本政府は、人類がこれまで歩んできた社会を、以下のようにいくつかの段階に分けて定義している。
・Society 1.0:狩猟社会
・Society 2.0:農耕社会
・Society 3.0:工業社会
・Society 4.0:情報社会
ICTは、その次に続く社会として、Society 5.0の段階に位置づけられている。Society 5.0は、日本政府によって2016年に策定された、「第5期科学技術基本計画」の中で発表された。それまでの社会であったSociety 4.0には、ITが主流だった時代が該当する。しかし、人と人との知識や情報の共有といった面で、新たな課題も生じるようになってきたのである。そこで、さらに先に進んだ段階として提唱されたのが、Society 5.0だ。Society 5.0では、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムによって、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会という考え方が基本となる。つまり、IoTやAI技術が活躍する社会のことを目指しているのである。
2000年に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(通称「IT基本法」)が制定され、日本ではITという言葉が主流となっていた。ITは、「Information Technology」の略称である。日本語に訳すと「情報技術」になり、デジタル化したデータや技術、デジタル機器という意味で使われることが多い。コンピュータ関連の技術そのものを表すニュアンスが強い言葉である。しかし、国際的にはICTの方が主流だったこともあり、次第にICTの方が広く使われるようになってきた。総務省では「IT政策大綱」を発行していたが、その流れを受けて、2004年からはその名称を「ICT政策大綱」へ変更している。
ICTは、通信を使って、デジタル化されたデータをやりとりする技術や、活用方法のことを指している。つまり、ITの時よりも、コミュニケーション技術により重点を置いたものと言える。このように、ITとICTは似たような意味合いで使われることもあるが、両者の間には明確な違いがあるのだ。ICTには、インナーネットなどを通して、人と人とをつなぐ役割が期待されている。また、ICTを導入することで、次のようなメリットがあると考えられている。
・コミュニケーションがさらに円滑になる
・効率化が図れるため、生産性がアップする
・サービスのクオリティ向上が期待できる
ICTの活用方法
教育現場では、ICTの活用が進んでいる。2021年度からは文科省の「GIGAスクール構想」に基づき、小学校や中学校では生徒一人あたり端末を一台持つ取り組みが進められている。もともとは、長期的に進めることが計画されていたが、新型コロナウィルス感染症の影響によってオンライン授業の需要が高まり、本格的な運用時期が前倒しされた。教育現場におけるICT活用の具体例としては、パソコンやタブレットなどのIT機器を、画像や動画を使った説明のために役立てたり、生徒が作成した資料を、発表の際にまわりと共有したりするケースが挙げられるだろう。視覚や聴覚に訴えることで、授業がより分かりやすく、楽しくなるというメリットがある。教科書やプリントなどを電子化すれば、紙代や印刷代の削減も可能だろう。また、生徒情報の管理に使い、教員が抱えている業務の効率化を図ることもできる。さらに、ICTは、クラウドサービスを利用すれば、離れた場所にいても活用できるという特徴も持ち合わせている。遠隔地でのやりとりが可能になれば、不登校など、何らかの事情で学校に通えない子供たちも、自宅にいながら教育を受けられるようになるのだ。オルタナティブ教育にも活用できる技術だとして、教育現場では大きな注目を集めている。
医療や看護の分野でも、ICTは大いに期待されている。代表的な例としては、遠隔医療が挙げられるだろう。患者の中には、様々な事情で通院できない人もいる。オンライン診療が可能になれば、離れた場所にいる患者でも、医師による診療が可能になるのだ。遠隔医療は、感染リスクを減らす方法としても注目を集めている。また、医療過疎地域に住んでいる患者も、オンライン診療が可能になれば、都心部にある病院の診療を受けることができるだろう。その他には、収集、蓄積した情報の共有といった面でも、大きな期待が寄せられている。病院や地域といった枠にとらわれず、患者や症例などの情報を共有し、他の病院や施設と連携する体制をつくれば、より効率的で的確な医療が可能になるのだ。
介護業界では、このICTを見守りシステムとして積極的に活用している。人手不足が深刻な問題となっている介護業界では、少子高齢化社会に伴い、問題解決のために早急な対策が求められているのだ。ICTを活用すれば、離れた場所で暮らす高齢者の状況を確認することができるため、人手不足の解消にもつながることが期待されている。家族が、高齢者の見守りツールとして使うことも可能だ。また、取得した情報を介護担当者だけでなく、医師や看護師などの関係者とも共有すれば、より強いサポート体制が整えられる。高齢者が健康で暮らしやすい社会の実現が目指せるのだ。
地方活性化の面でも、ICTは重要な役割を担っている。テレワークやリモートワークなど、多様な働き方がクローズアップされる中、会社から通勤しやすい範囲に住む理由が薄れてきているのだ。都心から離れた場所に住んでいても、ICTを活用し、Web会議などが可能であれば、働くことができる。企業にとっても、住んでいる場所に関係なく、優秀な人材を確保できるようになるのだ。地方へ移住する人が増えることで、地方の活性化も期待されている。
国土交通省では、土木の分野においても、ICTの導入と活用を推進している。「i-Construction」と呼ばれるもので、2016年度から本格的にスタートした取り組みである。土木分野では、長い間、労働環境の改善や人材不足の解消が問題として掲げられていた。i-Constructionは、それらを解消する方法の一つとして掲げられたもので、施工時期の平準化や、コンクリート工の規格の標準化など、様々な施策が盛り込まれている。そして、その中にICTの全面的な活用も盛り込まれているのだ。建設現場にICTを積極的に取り入れることによって、現場の効率化や生産性の向上を目指している。具体的には、CIMと呼ばれる情報システムやドローンの活用、そして自動制御が可能なICT建機の導入などによって、生産性の向上が期待されているのだ。
IoTとICTの違い
IoTは、「Internet of Things」の略称である。直訳すると、「もののインターネット」ということになるが、あらゆるものが、インターネットにつながっている状態、そしてその技術のことを指している。そのため、ICTとは細かい意味合いの部分で異なってくる。なお、IoTは、ICTの活用例のひとつでもある。パソコンやスマートフォンといった端末はもちろん、身近な例としては家電や自動車などが挙げられるだろう。例えば、外出先から洗濯機の操作をしたり、冷蔵庫に入っている食材の管理をしたりすることが可能になるのだ。その他には、声で家電の操作や情報が得られる、スマートスピーカーなども、IoTの活用事例として知られている。さらに、工場の機器なども、インターネットにつなげる対象とされている。これによって、それぞれのものが持っているデータができるようになり、遠隔地からでも、制御や管理ができるようになるのだ。
アイ‐シー‐ティー【ICT】
読み方:あいしーてぃー
《information and communication technology》情報通信技術。
[補説] ITとほぼ同義。日本では、情報処理や通信に関する技術を総合的に指す用語としてITが普及したが、国際的にはICTが広く使われる。
アイ‐シー‐ティー【ICT】
読み方:あいしーてぃー
ICT
情報(information)や通信(communication)に関する技術(Technology)の総称。わが国ではIT(Information Technology:情報技術)の方が普及していますが、国際的にはICTが定着しています。総務省の「IT政策大綱」は2004年から「ICT政策大綱」に名称を変更しました。わが国が目指しているユビキタスネット社会では、ネットワークを利用した多様なコミュニケーションが実現するとされており、情報通信におけるコミュニケーションの重要性が増大しています。
いつでもどこでも(ユビキタス)コンピューターがあり、自由に使える環境。コンピューターが、私たちの時間・空間を把握しながらに常に最適な情報・サービスを提供できる技術。その実現には、無線・有線に限らずシームレス(継ぎ目なし)に使えるネットワーク環境が不可欠です。高速・大容量の通信技術、モノや情報を把握できるICタグ(電子荷札)など認証技術やセキュリティ問題など基盤技術の開発が課題といえます。しかし、わが国が得意とするデジタル情報家電と融合すれば、産業革命に匹敵する技術革新が、日本から発信できるかも知れません。
(掲載日:2006/12/06)
ICT
Image Constrain Tokenの略で、BSデジタルの新しいコピーガードシステムのこと。ICTのフラッグを認識することで受信機器が1080iの出力可否を判断する。デフォルトは可。そのため、特別なプログラムを除き1080iでのアナログ出力は許可される模様。
(執筆:オーディオビジュアル評論家 麻倉怜士)
※この情報は「1999~2002年」に執筆されたものです。
ICT
読み方:アイシーティー
別名:情報通信技術
ICTとは、情報処理および情報通信、つまり、コンピュータやネットワークに関連する諸分野における技術・産業・設備・サービスなどの総称である。IT(情報技術)のほぼ同義語。2000年代半ば以降、ITに替わる語として、主に総務省をはじめとする行政機関および公共事業などで用いられている。
ITもICTも共に、工学や情報科学といった学問領域にはじまり、事業としての研究開発、技術、インフラ、市場と産業、デバイス、サービス、コンテンツ、および、それらの総体としての情報化社会に至るまで、あらゆる要素を包含する。共に情報通信の分野全般を包括的に指す語であり、概念上とりたてて区別されることはあまりない。ICTとITとの目立った違いは表記の「C」の有無であるが、この「C」はコミュニケーション(communication)を意味する。ICTは通信・伝達・交流といった要素を明示した呼び名であるといえる。
日本政府は2000年に「日本型IT社会の実現」を標榜する「e-Japan」の構想を打ち出し、内閣官房に「IT戦略本部」を設置、同年内に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(通称「IT基本法」)を成立させ、翌2001年に施行した。また、将来的に実現すべき高度情報化社会のあり方を示す「IT政策大綱」の刊行も開始した。2000年代前半は「IT」が中心的キーワードであったといえる。
2003年夏、IT戦略本部は「e-Japan」の戦略の練り直しに取り組み、「ユビキタスネットワークの形成」をはじめとする幾つかの指針を新たに追加、2004年に「e-Japan」を改定し、呼び名も「u-Japan」へと改めた。同時に、情報通信におけるコミュニケーションの重要性をより一層明確化することを主眼として「IT」を「ICT」の表現に置き換えると表明した。総務省が刊行している「情報通信白書」では、平成17年度版から「ICT」の語がメインに使用されている。
平成17年版情報通信白書の序文では、当時(2005年)すでに国連やアジア・ヨーロッパ・中南米など各国の国際機関においては「ICT」の語が定着している、と述べられている。国際的な機関・組織が「ICT」の呼び名を使用している例としては、2005年5月に世界情報サービス産業機構(WITSA)が発表した文書「ICTの将来の展望」(Information and Communication Technology Prospects for the Future)、大手調査会社ガートナーの2006年のレポート「中国のICT産業」(China's ICT Industry)、あるいは2012年に日米間で締結された「日米ICTサービス通商原則」(Japan-United States Trade Principles for Information and Communication Technology Service)、国連の途上国支援プロジェクト「ICT4D」、等々を挙げることができる。
総務省などは2000年代後半以降、「ICT政策」「教育ICT活用実践発表会」「スマートICT」「xICT」などのように、「ICT」の語を積極的に用いているが、必ずしも官公庁全体・産業界全体が「IT」を「ICT」に置き換える取り組みを推進しているいうわけでもない。例えば経済産業省が主催している、中小企業のIT戦略に関する顕彰制度「中小企業IT経営力大賞」では、2013年現在も「IT」の語が用いられている。民間企業やエンドユーザーの間でも、「グリーンIT」「ITパスポート試験」「IT断食」「シャドーIT」などのように、依然としてICTよりは従来通りITの語を用いる傾向が強い。
ICTの語を積極的に使用している総務省は、情報通信分野の所轄庁であり、通信インフラの整備などに政策レベルで対応する機関である。比較的「Communication」の要素が強く意識される機関であるといえる。
ちなみに、日本標準時や宇宙天気予報の運用、産官学連携プロジェクトの推進などを行っている独立行政法人情報通信研究機構、通称「NICT」は、英語名を「National Institute(国立研究所) of Information and Communications Technology(ICT)」という。NICTは通信総合研究所と通信・放送機構を統合する形で2004年に発足した。
参照リンク
情報通信(ICT政策) - (総務省)
はじめに:平成17年版情報通信白書 - (総務省)
日米ICTサービス通商原則の公表 - (総務省)
Information and Communication Technology (ICT) Prospects for the Future - (World Information Technology and Services Alliance)
China's ICT Industry: Current State and Future Direction - (Gartner)
ICT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/31 13:33 UTC 版)
ICT
- ウィチタを表すIATA都市コード
- ウィチタ・ドワイト・D・アイゼンハワー国際空港を表すIATA空港コード
- 情報通信技術 (Information and Communications Technology)
- 感染制御チーム (Infection Control Team)
- インサーキットテスタ (InCircuit Tester) - 実装基板の検査装置 (en:In-circuit test)
- Image Constraint Token - アナログ出力を規制するシステム
- インドシナ時間 (Indochina Time) → UTC+7
- 通信用ケーブルの一種 (Indoor cable for Computer Telephone)
- 国際観光専門学校 (International College of Tourism)
- 国際高等専門学校(International College of Technology, Kanazawa)
- ケーブルテレビ局
ICT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 10:08 UTC 版)
「国家憲兵隊 (フランス)」の記事における「ICT」の解説
IT関連の導入・維持・管理費用を削減するため、オープンソースのソフトウェアを積極的に取り入れている。2013年現在、3万7000台のコンピュータでUbuntuを使用しており、2014年夏には7万2000台まで台数を増やし、ほぼすべてのコンピュータにオープンソースのOSを入れる予定。フランス議会上院やウィーン市政府を抜いて、単一組織としては世界最大のUbuntuユーザーとなる。
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