不減衰系とは? わかりやすく解説

不減衰系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:37 UTC 版)

線形多自由度系の振動」の記事における「不減衰系」の解説

任意の励振力を受ける減衰の無い系の運動方程式は以下のように表されるM x ¨ + K x = f {\displaystyle {\boldsymbol {M{\ddot {x}}}}+{\boldsymbol {Kx}}={\boldsymbol {f}}} (5.1) 例えば、励振力が角振動数 Ω の余弦関数与えられるとすればM x ¨ + K x = f a cos ⁡ Ω t {\displaystyle {\boldsymbol {M{\ddot {x}}}}+{\boldsymbol {Kx}}={\boldsymbol {f_{a}}}\cos {\mathit {\Omega }}t} (5.2) となる。ここで、fa は、以下のような各自由度に対す励振力の振幅値の縦ベクトルである。 f a = ( f a , 1 f a , 2 ⋮ f a , n ) {\displaystyle {\boldsymbol {f_{a}}}={\begin{pmatrix}f_{a,1}\\f_{a,2}\\\vdots \\f_{a,n}\end{pmatrix}}} 式5.2に対して特解x = u cosΩt と仮定し、式5.2代入すれば ( M − Ω 2 K ) u = f a {\displaystyle ({\boldsymbol {M}}-{\mathit {\Omega }}^{2}{\boldsymbol {K}}){\boldsymbol {u}}={\boldsymbol {f_{a}}}} (5.3) となるので、u および x は、 u = ( M − Ω 2 K ) − 1 f a {\displaystyle {\boldsymbol {u}}=({\boldsymbol {M}}-{\mathit {\Omega }}^{2}{\boldsymbol {K}})^{-1}{\boldsymbol {f_{a}}}} (5.4) x = ( M − Ω 2 K ) − 1 f a cos ⁡ Ω t {\displaystyle {\boldsymbol {x}}=({\boldsymbol {M}}-{\mathit {\Omega }}^{2}{\boldsymbol {K}})^{-1}{\boldsymbol {f_{a}}}\cos {\mathit {\Omega }}t} (5.5) となる。ここで "−1" は逆行列意味する。したがって逆行列 (M − Ω2K)−1 を計算すれば式5.5から x の値が分かる。しかし、この逆行列解析的に解くことは困難で、数値計算を行うにしても自由度の数が増える膨大な計算量になる。もし励振力の角振動数 Ω を変えると、そのたび逆行列計算する必要がある。そのため、実際に x の解を求めるために行われるのは、下記のようなモード解析による手法である。 解を得るために、x を複素数拡張し励振力 f を複素指数関数 fae jΩt の形で与えるとする。この場合計算して解が得られた後に実部あるいは虚部を取ることで、実際の解が得られる運動方程式5.1右辺を 0 としたときのモード行列 U が、事前に求められているとする。モード座標への変換式3.21を運動方程式5.1適用して、左から U⊤ を掛け、式3.14と式3.15の対角化適用する。すると、励振力を受ける不減衰系の運動方程式は { M 1 q ¨ 1 + K 1 q 1 = F 1 e j ω t M 2 q ¨ 2 + K 2 q 2 = F 2 e j ω t ⋮ M n q ¨ n + K n q n = F n e j ω t {\displaystyle {\begin{cases}M_{1}{\ddot {q}}_{1}+K_{1}q_{1}=F_{1}e^{j\omega t}\\M_{2}{\ddot {q}}_{2}+K_{2}q_{2}=F_{2}e^{j\omega t}\\\vdots \\M_{n}{\ddot {q}}_{n}+K_{n}q_{n}=F_{n}e^{j\omega t}\\\end{cases}}} (5.6) という独立・非連成の n 個の運動方程式帰着する。ただし、右辺Fr次のような値である。 F r = u r ⊤ f a {\displaystyle F_{r}={\boldsymbol {u}}_{r}^{\top }{\boldsymbol {f_{a}}}} (5.7) 式5.6は線形1自由度系同じなので、強制振動を表す特解は、 q r = F r K r − M r Ω 2 e j Ω t {\displaystyle q_{r}={\frac {F_{r}}{K_{r}-M_{r}{\mathit {\Omega }}^{2}}}e^{j{\mathit {\Omega }}t}} (5.8) となる。式3.21を使ってモード座標物理座標逆変換し、固有角振動数使って整理すれば強制振動の解は次のうになる。 x = ∑ r = 1 n F r K r − M r Ω 2 u r e j Ω t = ∑ r = 1 n F r M r ( ω r 2 − Ω 2 ) u r e j Ω t {\displaystyle {\boldsymbol {x}}=\sum _{r=1}^{n}{\frac {F_{r}}{K_{r}-M_{r}{\mathit {\Omega }}^{2}}}{\boldsymbol {u}}_{r}e^{j{\mathit {\Omega }}t}=\sum _{r=1}^{n}{\frac {F_{r}}{M_{r}(\omega _{r}^{2}-{\mathit {\Omega }}^{2})}}{\boldsymbol {u}}_{r}e^{j{\mathit {\Omega }}t}} (5.9) 式5.9から分かることは、励振力の角振動数 Ω が系の固有角振動数 ω1, ω2, …, ωn のどれかに近いとき、係数極限が 0 となってその振動成分極めて大きくなり、共振が起こるという点である。Ω が固有角振動数いずれかに一致するとき、x の振幅無限大発散する

※この「不減衰系」の解説は、「線形多自由度系の振動」の解説の一部です。
「不減衰系」を含む「線形多自由度系の振動」の記事については、「線形多自由度系の振動」の概要を参照ください。

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