Ethernetとは? わかりやすく解説

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イーサネット【Ethernet】


イーサネット [ethernet]


イーサネット

読みいーさねっと
英語:Ethernet

現在,最も利用されているLAN(Local Area Network)の方式名.同軸ケーブル等の媒体を各端末共有し発信する端末は,媒体空き状況検出し放送的にデータ送出し,受信側自分アドレス対応したデータのみを受け取方式である.より線を用いた10BASE-Tや,それを高速化した100BASE-T等に進化している.

イーサネット

【英】Ethernet

イーサネットとは、IEEE 802.3として標準化されLANケーブルとして一般的に使用されている、ネットワークケーブル規格のことである。XeroxDECによって、ロバート・エトカルフェ中心として開発された。

イーサネットの規格は、OSI参照モデルにおける物理的な接続法規定である物理層と、同じく機器間の信号やりとり規定であるデータリンク層規定している。物理的な仕様と、ピン通信速度などによって複数規格分類される

イーサネットでは、送信されるデータは、通信路送出される際にあらかじめフレームMACフレーム単位分割されるそれぞれのフレームは、宛先などを記載したヘッダ情報と、誤り訂正などを行うための情報付与されることにより、データ欠損などを防止する仕組みとなっている。フレーム単位で扱うことにより、ネットワーク上を流れデータまとまりは常に一定以下の容量を保つため、送受信転送にかかわる処理を簡素化することに成功している。

イーサネットでは、各端末自由に信号発することができる。しかし、複数端末から同時に信号送出され、ネットワーク上で信号衝突コリジョン)が発生すると、情報失われるこのため、イーサネットではCSMA/CD呼ばれる技術用いてコリジョンによるデータ喪失回避している。CSMA/CDでは、ネットワーク上の端末信号監視し衝突検出され場合には、乱数用いてランダムな時間だけ待機した後、次の理に移る。

イーサネットの規格として、当初は、同軸ケーブル利用されていた。これは現在の10Base5相当する1cm程度同軸太ケーブル用いる10Mbpsの速度ベースバンド方式通信規格である。また、同じく10Mbpsのベースバンド方式で、10Base5よりも細い同軸ケーブル用い10Base2よばれる規格がある。

2008年現在、同軸ケーブルよりもツイストペアケーブルより対線)を用い方式一般的となっている。ツイストペアケーブル用いる100Mbpsのベースバンド方式である100Base-Tや、1000Mbpsのベースバンド方式である1000Base-Tなどがある。また、100Base-T1000Base-Tにおける信号干渉問題改善した規格として、100Base-TX1000Base-TXがある。

イーサネットで用い代表的な装置としてはハブ集線装置)がある。ハブは各端末からのケーブル相互に接続する役割を持つ。その他、物理的な信号減衰等を補い接続するリピータや、データリンクレベルで接続するブリッジなどが用いられる。なお、MACアドレス識別してパケット配送先切り替える装置は、特にスイッチと呼ぶ。

ちなみに、イーサネット(Ethernet)の名の元となったEther」とは、物理学で光の媒体となる物質として仮想的考えられていた「エーテル」に由来するものである。

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IEEE:  ジョン・プレスパー・エッカート  ジョン・モークリー  AirMac Express  イーサネット  イーサネット型LAN  Bluetooth  CSMA/CA

イーサネット

(Ethernet から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/21 03:51 UTC 版)

イーサネット (Ethernet) は、家庭・企業・データセンターなどで使用されるコンピューターネットワークにおいて、LANWANを構成する有線ローカルエリアネットワークの主流な通信規格である。その技術仕様はIEEE 802.3で規定されている。

概要

初期の同軸ケーブルによるLANから発展を続け、ツイストペアケーブル光ファイバーケーブルを主に用いた有線LANの技術の進歩に合わせて、より通信速度が高速な、新たな規格が登場し続けている。今日では世界中のLANの多くがイーサネットを採用し、より広い範囲のネットワークであるMANWANでも一部の技術は「広域イーサネット」という名称でイーサネット規格が取り込まれている。 大小さまざまな組織でパソコンワークステーションサーバ、大容量データストレージデバイスをサポートするために不可欠なものとなっている[1]。製造技術の進歩や普及に伴う量産効果から比較的安価に導入でき、家庭でも当たり前のように用いられている[2]

イーサネットではOSI参照モデルの下位2つの層である物理層データリンク層に関して規定しており、2021年現在ではTCP/IPと組み合わせて利用される。物理層は伝送速度の違いや物理的な仕様により多種の規格に分かれるが、データリンク層は新旧の規格同士や無線LANとの間にも互換性がある。

通信速度は、1980年代初期の10メガビット・イーサネットから始まり、2000年代にはその10倍の伝送速度を持つ100メガビット・イーサネット、100倍の伝送速度を持つギガビット・イーサネットが普及している[3]。さらに、2.5Gbps・5Gbps10Gbps25Gbps・40Gbps・100Gbps200Gbps・400Gbpsなどの通信速度を持つ規格がIEEE 802.3で策定されている[4]

日本では、「Ethernet」、「イーサネット」は富士フイルムビジネスイノベーション(旧:富士ゼロックス)商標登録している[5][注釈 1]

歴史

仕様開発

  • 1973年5月22日、メトカーフが上記システムを「イーサネット」と名付ける[8]。この名称は、物理学の廃れた用語「エーテル」(ether, イーサ)に由来し、光の媒質として遍在すると考えられていたことになぞらえている[9]。メトカーフはこの日をイーサネットの誕生日としている[10]
  • 1975年3月31日、イーサネットが特許出願され、1977年12月に登録された[11]。その後、ゼロックス社は特許を開放してオープンな規格とした。
10BASE5の接続概観。太い同軸ケーブルにタップトランシーバを取り付けて端末や他の同軸ケーブルと接続するバス型トポロジー
  • 1979年、「DIX仕様」が策定される。この名称は、仕様開発に関わったDECインテル・ゼロックスの3社の頭文字をとったものに由来する。バス型トポロジーにおける半二重通信で10Mbpsの多元接続を達成した。
  • 1982年11月、「Ethernet 2.0規格」の改版・公開[13]
  • 1983年6月23日、Ethernet 2.0をもとに「IEEE 802.3 CSMA/CD」として標準化[14]。初版で用いられた伝送媒体は50Ω同軸一芯ケーブルで、直径1cmの堅く重たいものだった (10BASE5)。
  • 1985年 - 1990年、伝送媒体として以下のものが追加拡張された。
イーサネットの発展 下の小さな箱は元ライバル達[6]

製品実装

1980年代は、オープンなイーサネットに対して世界中の企業・技術者が技術の仕様策定と製品の開発に加わり、様々な商品が生み出されていった。メトカーフ自身もゼロックス社を退社してスリーコム社を創設し、このネットワーク製品開発競争を主導していった。当時は、米IBM社が「トークンリング」を、米Apple ComputerAppleTalkという「ローカルトーク」をそれぞれネットワーク製品として強力に推進していたが、結局、規格を公開して多くの賛同者を得たイーサネットが勝ち残った[20]

1983年に標準化されたIEEE 802.3は、Ethernet 2.0 の仕様 (DIX仕様)とわずかに異なりがあった。当時の製品実装ではEthernet 2.0を採用することも多く、しばらく「イーサネット」と「IEEE 802.3」が異なるものとして扱われていた[21]。1997年の規格改版でこれら仕様上の差異は解消[22]し、2012年の規格改版では「IEEE 802.3 Ethernet」[23]と改称している。

初期の10メガビット・イーサネットの時代は、OS側でのネットワーク・サポートは限定的であり、PCではNovell社のNetWareマイクロソフトLAN Managerといった専用ソフトを購入しないとファイル共有といった基本的な機能すら得られなかった。(ワークステーションとしては、例えばSun社のNFSがあった。)

100BASE-TXのLANポートがあるPCIカード(NIC)

1980年代から1990年代にかけては、ネットワーク・インターフェース・カード (NIC) やイーサネット・カードと呼ばれるISA/EISA/NESA/PCI形式のドーターカードがPCのオプションとして別売されることが多く、これをPCのマザーボードに差し込んでイーサネット環境を利用できた。

2000年代前半にはチップセットに最初からイーサネットのLAN機能が回路の一部に含まれ、マザーボード上にツイストペアケーブル接続用のRJ-45ジャックが装備されるようになった。この頃にはイーサネットの機能実装が当たり前になるとともに、イーサネット以外の有線LAN規格がほとんど淘汰されたこと、イーサネットの標準化仕様が広範に拡張されたこともあり、「イーサネット」を用語として使うことがまれになった(単にネットワーク・インターフェースと呼ばれることが多くなった)。2015年現在では、家庭用・業務用問わずネットワーク・ポートを最初から2つ持つマザーボードも容易に入手できるようになった。

通信技術

イーサネットは、OSI参照モデルにおけるレイヤー1の物理層およびレイヤー2のデータリンク層を規定するものであり、IEEEによりIEEE 802.3としてその技術仕様が公開されている[24]。物理層はその伝送媒体が有線に限定されており、無線媒体における通信規格はIEEE 802.11IEEE 802.15などで別途規定されている。

イーサネットの物理層は、初期のものとその後の拡張されたものとでは、仕様や電気的構成が大きく異なる。一方でデータリンク層は、ジャンボフレームVLANによる拡張はあるものの、基本的には信号的な互換性があり、メディアコンバータ無線LANなどのネットワーク機器を用いて各規格を繋ぎ合わせることで、相互にデータをやりとりすることができる。

イーサネットでは元の送信すべき通信データをデータリンク層がまず一定の長さ以下の決められた形式をもつデータの塊に分割する。このデータの塊のそれぞれをイーサネットフレーム、または単にフレームと呼ぶ。データは物理層で物理信号に変換されて伝送路上で送受され、常にフレームの形で伝送路を流れている。通信データがフレーム単位に分割されているために、ネットワーク機器は一時には一定以下の長さのフレームのデータを扱うだけで済むので、情報転送に関わる全ての処理は非常に単純な作業の繰り返しに帰着する。

イーサネットの接続構成は、PCやルータ等のノードスイッチングハブなどのネットワーク機器、ケーブルなどの伝送媒体から成る。各ノードのネットワークインタフェースは各端末同士を識別するための固有値を持ち、これをMACアドレスと呼ぶ。ノードは自身や宛先のMACアドレス情報をフレームに含めて送信し、スイッチングハブや端末ノードはそのアドレス情報に基づいて受信や中継処理を行う。

レイヤー1(物理層)では電気信号が処理され、レイヤー2(データリンク層)ではスイッチング・ハブイーサネットフレームを中継する。

初期の実装

初期のイーサネット構成、端末が1つのバスを共有する
主流のイーサネット構成、各端末はスイッチングハブとのみ全二重通信し衝突が発生しない
CSMA/CD
初期イーサネットを特徴づけるものとして採用された制御方式。複数の端末を1本の共有バスで接続するバス型構成では、1つの端末からの送出信号はバス上の全端末へ届き、信号内容に応じて必要な端末のみがそれを処理する。複数の端末がほぼ同時に送信するとバス上の信号を正しく読み取れなくなる。これを衝突(コリジョン)と呼び、CSMA/CDではバス上の衝突検出時に送信を中断し待機後にフレームを再送することで対応している[25]
衝突ドメイン(コリジョン・ドメイン、コリジョン・セグメント、レイヤー1・セグメントとも)
バス上を同じデータが到達するネットワーク範囲。衝突検出の物理的な制約によって最大伝送路長が規定されている。機器間の距離が規定より長い場合、データリンクを確立できない可能性がある。
規定以上の長さの伝送路が必要な場合はリピータまたはリピータハブ(多ポートのリピータ)により延長することができる。さらにブリッジスイッチングハブ(多ポート化のブリッジ)の登場により衝突ドメインの分断が可能となった。
全二重通信と半二重通信
  • 全二重通信: 1つの伝送路上の端末間で、常時、送信と受信が同時に可能なもの。電話などが該当する。
  • 半二重通信: 各端末が送信か受信のどちらか一方を切り替えながらでしか行えないもの。CSMA/CDが該当する。
端末やネットワーク機器が自分の発した信号さえ把握していれば、受信信号から送信信号(とノイズ)だけをフィルタすることは可能であり、伝送信号の反射成分を消し去るエコーキャンセラ技術によって全二重通信が可能となった。端末とスイッチングハブとの接続のみで構成される全二重通信のイーサネットが主流となってからは衝突が発生しなくなり、CSMA/CDは廃れている。

階層モデル

表: イーサネットの階層モデル (100Mbps以上)[26]
レイヤー2:
データリンク層
LLC Logical Link Control
レイヤー3の複数のプロトコルと相互通信を行う。これはイーサネットの範囲外で、IEEE 802.2で規定される。
MAC Medium Access Control
イーサネットフレームの処理。初期のものではCSMA/CD処理も含む。
レイヤー間接続 RS Reconciliation Sublayer
物理層からのエラー通知処理、フレームデータのシリアル・パラレル変換処理。
MII Medium Independent Interface
MACと物理層間の接続バス。速度に応じてGMII, XGMIIなどと名称が変わる。
レイヤー1:
物理層
PCS Physical Coding Sublayer
伝送路符号処理(スクランブルなど)、リンク確立判断。
PMA Physical Medium Attachment
シリアルパラレル変換処理(オクテット同期など)。
PMD Physical Medium Dependent
物理信号処理。SFPトランシーバなどの実装がある。
MDI Medium dependent Interface
ケーブルと接続される。

イーサネットでは、OSI参照モデルの物理層・データリンク層をさらに細分化したモデルを用いてその仕様を明確化し、物理媒体に依存しない柔軟性を持たせている。レイヤー間接続は階層モデルと異なる実装でもよいが、互換性のある設計が求められる[26]

物理層

レイヤー1にあたる物理層では、イーサネットフレームと相互変換される電気信号や光信号の物理仕様を規定している。この処理デバイスをPHYと呼ぶ。

1983年に規定された初期のものは、同軸ケーブルによるバス型構成で半二重通信を可能にしたものである[27]。その後、ツイストペアケーブル光ファイバーケーブルが使われるようになると、スター型構成による接続が基本となった[28]。さらに、1Gbps以上の通信規格が登場してからは、通信開始前のリンク確立時にオートネゴシエーションが必須となり、全二重通信が前提となっている[29]

信号伝送に用いられる変調方式は、ほとんどがパルス変調によるベースバンド伝送であるが、一部規格にRF接続を用いたブロードバンド伝送[30]や、デジタル変調を用いたパスバンド伝送[31]を行う方式がある。

ベースバンド伝送の変調で用いる伝送路符号は、それぞれの物理媒体・通信速度に適したものが規定されており、例えば10BASE-Tではマンチェスタ符号[32]100BASE-TXでは4b/5bMLT-3[33]1000BASE-Tでは8B/1Q4 (PAM5)[34]1000BASE-Xでは8b/10b[35]などが用いられる。さらに、10Gbps以上の通信規格では、符号化にあたり誤り訂正を付加するものがある[36]

データリンク層

レイヤー2にあたるデータリンク層では、送信するフレームの作成や受信したフレームの解釈に関する作業を規定している。このプロトコルまたは処理部をMACと呼ぶ。

データリンク層は、IEEE 802全体に渡ってLLCとMACの2つの副層に分かれており、イーサネットは、このうちのMAC副層のみを主対象として取り扱っている。

フレームの送信

ネットワーク端末であるイーサネット通信装置は、データを送信するために、まず元データをいくつかの塊(ペイロード)に分割し、46 - 1500バイト(オクテット)[注釈 2]の大きさに分ける。データリンク層では、このペイロードの前後にアドレスやチェックシーケンスなどの付加情報を加え、以下のようなフレームを完成させる[37]

  • 宛先MACアドレス: 6バイト
  • 送信元MACアドレス: 6バイト
  • VLAN: 4バイト)
  • EtherType: 2バイト
  • ペイロード: 46 - 1500バイト
  • FCS: 4バイト (エラー検出用チェックシーケンス)

このフレームは物理層で物理信号に変換され送信される。 フレームを連続して送付する場合は、96ビット分のフレーム間隔を空けて送信することが規定されている[38]

フレームの受信

イーサネット通信装置は受信データを物理層で受け取り、フレームとして再構成する。

端末ノードは、自分のMACアドレスが「宛先MACアドレス」でなければそのまま破棄する。フレーム全体からFCSを切り出して計算し、誤りがあれば伝送誤りとして破棄する。また、ペイロードの長さが46-1500バイトの範囲外となる場合も破棄する。破棄がなければペイロード部分を上位レイヤーへ渡し1フレームの受信作業は終わる[39]。破棄された受信フレームについては、イーサネットで再送処理は用意されていない。一般的に上位レイヤーは多くのネットワークではTCP/IP規格が使用されており、イーサネットで破棄がある場合はTCPからの指示で再送要求を送ることができる。

スイッチングハブなどのネットワーク機器では、FCSやペイロード長に異常があれば破棄するのは端末ノードと同様であるが、受信フレームから送信元アドレスを読み取り、それぞれ接続されたポートごとに所属する端末のMACアドレスを一覧リストとして保持している。フレーム受信する度に宛先アドレスをアドレス一覧リストから高速で比較して転送先を決定している[40][41]。 こういったレイヤー2スイッチング・ハブの動作はIEEE 802.1Qで規定されており、全ての速度・形式のイーサネット規格で同一である。

機器及びケーブル

イーサネットを構成するための機器及びケーブルについて説明する。

ネットギア社のスイッチングハブ

機器

イーサネットの中継を行う機器は、その接続構成や役割によって4つに大別される。

リピータ
物理層をサポートする機器。物理信号を中継・再生し、ネットワークを延長する。
リピータハブ(ダムハブ、カスケードハブ、ハブとも)
物理層をサポートする機器。リピータを多ポート化したもの。複数の端末と接続し物理信号の中継・再生を行う。
ブリッジ
データリンク層をサポートする機器。イーサネットフレームをMACアドレスに基づいて中継する。中継機能がソフトウェア処理されるものを主に指すことがある。
スイッチングハブ(レイヤー2スイッチ、LANスイッチ、スイッチ、ハブとも)
データリンク層をサポートする機器。ブリッジを多ポート化したもの、またはリピータハブにブリッジの機能を持たせたもの。複数の端末と接続しイーサネットフレームをMACアドレスに基づいて中継する。中継機能がハードウェア処理されるものを主に指すことがある。最も代表的なイーサネットのネットワーク機器。

ケーブル

イーサネットの接続に用いられる伝送媒体として、以下のものがある。

10Gbps通信用のダイレクトアタッチケーブル

同軸ケーブル

導線を筒状の導体で覆ったケーブル。ケーブルの両端に信号の反射防止のために終端抵抗(ターミネーター)が必要である。

初期イーサネットである10BASE510BASE2では、共に50Ωインピーダンスの同軸ケーブルが使用された。10BASE5は直径10mmの通称Thick Ethernetケーブル(またはイエローケーブル)を使用[42]している。後発の10BASE2ではRG-58英語版タイプの通称Thin Ethernetケーブルを使用し、直径5mmに改善されている[43]10BROAD36ではRF接続による通信路としてケーブルテレビで用いられる75Ωインピーダンスの同軸ケーブルが用いられた。

10GBASE-CX4100GBASE-CR4では、データセンター内の高速短距離用途で2芯同軸ケーブル(Twinaxケーブル)[44]が用いられ、主にダイレクトアタッチケーブルの着脱モジュールとして実装されている。

光ファイバーケーブル。SMFは黄色、MMFは橙色の被覆を用いる。

光ファイバーケーブル

光信号を伝送するケーブル。多くは送受信号用に2本を用いるが、異なる2つの波長信号を1ケーブル内で同時に送受する方式もある。

短距離用にマルチモードファイバー(MMF)、長距離用にシングルモードファイバー(SMF)を使用する。

  • MMF: 芯線(コア)が太いもの。曲げに強く、伝送損失が大きい。安価。
  • SMF: 芯線(コア)が細いもの。曲げに弱く、伝送損失が小さい。高価。

10BASE-F100BASE-FX1000BASE-SX/LX10GBASE-SR/LR/ER100GBASE-Rなどで使われる。イーサネットの光ファイバー通信におけるケーブルは、おおむねファイバーチャネルSONET/SDHで用いられている技術を踏襲し、以下のようにISO 11801で仕様が規定されているものを用いる[45]。1kmあたりの減衰量や帯域幅などの信号特性によってカテゴリに分類されており、特にMMFは通信速度向上に伴い上位のケーブル仕様が要求される。

ファイバーケーブル規格一覧
モード カテゴリ コア/クラッド径
[μm]
減衰量
[dB/km]
全モード帯域幅
(850nm波長)
イーサネットでの主な利用 備考
MMF OM1 62.5/125 3.5 200 MHz・km 100BASE-FX: 2km
1000BASE-SX: 275m
10GBASE-SR: 26m
25G以上は非対応
OM2 50/125 3.5 500 MHz・km 100BASE-FX: 2km
1000BASE-SX/LX: 550m
10GBASE-SR: 82m
25G以上は非対応
OM3 50/125 3.0 1500 MHz・km 10GBASE-SR: 300m
100GBASE-SR2/SR4: 75m
100GBASE-SR10: 100m
OM4 50/125 3.0 3500 MHz・km 10GBASE-SR: 400m
100GBASE-SR2/SR4: 100m
100GBASE-SR10: 150m
400GBASE-SR4.2: 100m
OM5 50/125 3.5 4700 MHz・km 400GBASE-SR4.2: 150m
SMF OS1 9/125 1.0 - 100BASE-FX: 20km
1000BASE-LX: 5km
10GBASE-LR: 10km
10GBASE-ER: 40km
100GBASE-LR4: 10km
100GBASE-ER4: 40km
OS2 9/125 0.4 -
ノートパソコンに接続されたイーサネット用のツイストペアケーブル。
一般的なイーサネット用の接続ポート(RJ-45

ツイストペアケーブル

両端にオス型RJ-45コネクタのついたケーブル。一般に「LANケーブル」と呼ばれる。

銅線8本による4対の撚り対線よりついせんで構成され、平衡接続で100Ωの特性インピーダンスを持つ。終端抵抗(ターミネーター)は仕様上不要で、端子の振動の影響も仕様の範囲内であるため、8本のうち使わない端子がある場合でも何も接続する必要がない[注釈 3]圧接工具を使えば容易に任意の長さのケーブルにコネクタを接続することもできる。

ケーブルには配線構成によっていくつかの種類がある。

カテゴリによる分類
転送速度に応じた周波数特性を満たすケーブルがカテゴリとして分類されている。TIA/EIA-568およびISO/IEC 11801など複数の規格で横断的に仕様が規定されており、カテゴリ1, 2, 3, 4, 5, 5e, 6, 6A, 7, 7A, 8 の名称が広く用いられている[46][47]。「Cat.5」や「Cat.5e」などのカテゴリ略称が用いられる。
シールドの有無による分類
  • UTP (Unshielded twisted pair): ノイズシールドのないもの。
  • STP (Shielded twisted pair): ノイズシールドのあるもの。高い周波数特性を持っているが、機器にアース線を取り付けるなど接地の必要があり、既存のUTPを単純にSTPに置き換えることはできないことが多いため、特にカテゴリ6A以上を用いる場合は注意を要する。
ピン接続による分類
  • ストレートケーブル: 両端のコネクタが同じピン番号同士で接続されているもの。通常使うケーブル。
  • クロスケーブル: 両端コネクタの送受ピンが交差接続されているもの。旧型の機器などで、ハブを複数台カスケード接続する場合や、端末同士を1対1で接続する場合に用いられた。1000BASE-T以降ではほとんど場合、Auto MDI/MDI-Xと呼ばれる送受ピン自動判別機能が機器に備わっている[48]ため、クロスケーブルは必要がない。

物理層の規格仕様

通信媒体・伝送速度の違いにより多種の物理層仕様が規定されている。主要な規格名のおおむねの付け方を以下に示す[49]


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