デジモンクロスウォーズ 概要

デジモンクロスウォーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 05:49 UTC 版)

概要

シリーズ一覧
作品名 放送時間 話数
1 デジモンクロスウォーズ 2010年7月6日 - 2011年3月8日 全30話
2 デジモンクロスウォーズ 〜悪のデスジェネラルと七つの王国〜 2011年4月3日 - 9月25日 全24話(通算54話)
3 デジモンクロスウォーズ 〜時を駆ける少年ハンターたち〜 2011年10月2日 - 2012年3月25日 全25話(通算79話)

特徴

従来のシリーズ作品において、デジモンの成長やパワーアップは「進化」がメインに据えられていたが、本作品では主人公デジモンたちがデジクロスと呼ばれる「合体」をメインにしてパワーアップするというスタイルが採られた。「合体」という要素は『デジモンアドベンチャー02』でもジョグレス進化として用いられた手法ではあるが、本作品ではそれとはまた異なり単純なパワーアップだけに留まらず、デジモンの組み合わせ次第であらゆる形に変化するといった描写もなされている。

また、主人公側のデジモンおよび本作品が初出のデジモンは、成長期・成熟期・完全体といった「世代」とワクチン・ウィルス・データといった「属性」が設定されていないという、従来のシリーズ作品とは一線を画した設定となっている。これは本作品に登場する既存デジモンにおいても言及されず、後述のように個々の設定における重要な役割を果たさない。なお、本作品が初出のデジモンの一部は2020年になって世代や属性が改めて設定された。

こういった要素とは裏腹に、前作『デジモンセイバーズ』で意図的に避けられた「名前の頭文字が『タ』か『ダ』」「頭にゴーグルを着けている」という主人公の定番要素が、本作品で再度盛り込まれるなど、従来のシリーズ作品の定番要素も組み込まれている。反面、ナレーションが新たに登場したデジモンのデータ解説をするシーンはなくなっている[注 2]。また、番組終了後のミニコーナーでは、その回に登場するデジモンが1匹紹介されている(デジモンデータコレクションではクロスローダーと連動しているため、紹介されるデジモンは劇中には登場しなかったデジモンがほとんど)。

1期および2期では、ジェネラルと呼ばれるデジモンを統率する人間、もしくは強力なデジモンが存在し、従来のように人間がただ進化や合体を促すだけでなく、大局的に戦場を見て自分の軍に所属するデジモンたちに指示を出すという設定が盛り込まれている。そのため人間の存在が従来のシリーズ作品とは別の形で重要なものとなっており、本作品ではそういった性質上仲間のデジモンが軍の仲間として多く登場する。他方で明確なパートナーデジモンというものは劇中において存在せず、デジクロスにおいて誰が中心になるかという点が多く言及される。シャウトモン自体は「自分が一番のパートナー」と自称していたが、3期などでは公式サイトなどでいくつかのデジモンが改めて、「パートナーデジモン」として言及がなされている。

第3期

2期の完結と共に「バグラモンを打倒し、デジタルワールドに平和をもたらす」という、それまでの物語の主軸に区切りが付いたことから、3期では作品内容にも大幅なリニューアルが図られた。時系列上では2期終了時点より1年後の世界として設定され、また「デジタルワールド」から新たな世界「デジクオーツ」に物語の舞台も移り、デジモンハンターたちがデジモンを捕まえ、コレクションしていくことが物語の主眼となった。

この3期の制作は突然決まったもので、三条が2期の脚本のクライマックスをほぼ書き終えたところで、シリーズディレクターの貝澤から3期が決まったと話がきたという。貝澤が「ハンター」「デジクオーツ」といった新たな世界観の設定を提案し、三条がそのビジョンを受け取った翌週にキャラクター設定や序盤の話の流れを作り、3期の決定から三週間で第1話の初稿まで作った。タイキは視聴者を切らさないためという意図で、ユウは成長要素が一番あるという理由で、それぞれ続投レギュラーとして選ばれた[2]。3期の終盤では『デジモンアドベンチャー』から『デジモンセイバーズ』までの歴代アニメシリーズのキャラが世界観を越えて集結した。世界観を同じくする『アドベンチャー』と『02』を除き、他シリーズの人間キャラが客演するのはシリーズ作品において初めてのことである。

放送時間

第1期
キーステーションが、従来のシリーズ作品を放送してきたフジテレビからテレビ朝日へ移行。さらにデジモンシリーズとしては初めて、本放送が日本全国同時放送・ゴールデンタイムでの放送となった[注 3]。キー局がテレビ朝日に移行したのは、東映アニメーション社長・高橋浩の意向であるとされる。この他、シリーズ初のフライングスタートも行われた。
2011年3月8日放送分(第30話)をもって物語上一区切りを迎え、同時に火曜夜での放送も終了した。2023年現在、ゴールデンタイムに放送された最後の東映アニメーション制作アニメとなっている。
第2期
第2期の放送開始に合わせ、放送曜日・時間も日曜6:30 - 7:00に移動[注 4]。第2期より作品名に副題が付記されるようになり、物語的にも新展開を迎えたが、話数のカウントは改題後も引き継がれた。
2011年7月24日放送分(第15話、通算第45話)を最後に地上アナログ放送(地アナ)が終了したため、本作品は地上アナログ放送で視聴可能だった最後の作品となった[注 5]
第3期
第2期より引き続き日曜朝での放送となった。第2期は中盤まで地上アナログ放送だったため、第3期よりシリーズ初となる完全地上デジタル放送作品となった[注 5]。一方第3期より連動データ放送には非対応となった。
2012年3月25日放送分(第25話、通算第79話)をもって、本作品は完結を迎えた。

デジモンの設定

公式サイトの文章などでは、以前の設定に触れられている個体もいるが、前述・後述の諸設定を踏まえ、あくまで既存の設定は作中において撤廃されている。

まず本作品に登場するデジモンは、従来のシリーズ作品の多くで採用されてきた「デジタマによる復活」という要素が存在せず、『デジモンテイマーズ』と同様に倒されたデジモンは消滅するものとして扱われる。他方、『テイマーズ』のように倒したデジモンをロード(吸収)するという設定は踏襲されていない。「消滅してもデジモンの魂は不滅」という設定があり、肉体が滅んでもそのデータ自体は残留し、コードクラウンの力などが発揮されることで、場合によっては復活する場合もある。一方でこのような復活は、とても稀有なこととして作中では捉えられており、「デジモンはただのデータではなく、死すべき定めを持つ生き物であり、その命を弄んではならない」ということがしばしば強調される。さらに復活後は必ずしも同じ姿で登場するとは限らず、ツワーモンがダメモンを基本としたデジモンとして生まれ変わったり、バグラモンが人間として転生するという事例なども見られた。また兄弟や両親など家族がいるデジモンも存在し、性別に対する言及が多少存在するがこれが全てに適用されているかなどは明かされていない。

世代についての扱われ方も、従来のシリーズ作品と比べて様々な点で差異が見られる。本作品初出のデジモンで、世代が言及されているのは究極体のクオーツモンのみであり、それ以外のデジモンで世代について設定されているのは過去作品からのゲストデジモンのみである。また従来の設定に準拠した形で登場するデジモンもいるが、世代に関する言及はない。その都合上、必ずしも以前存在した世代の設定において強さや階級が決まるわけではなく、従来なら世代の低いデジモンが高いデジモンを率いていることも見受けられる。

パワーアップも一部の例外はあるものの、基本的にデジクロスか吸収合体のみとなっている。「進化」の概念が本格的に登場したのは30話からであるが、これはオメガモン曰く「オメガシャウトモンはシャウトモンの未来の姿」であり、クロスローダーの力によって発現する進化は「超進化」と呼称され、これもまた以前の設定とは異なる意味を持つ。タクティモン曰く、本来進化するまで多くの年月を要するのが普通であるため、それを踏まえた上で驚愕するという描写も見られた。

第1話冒頭におけるタイキの夢の中でタイキの後ろに控えていたデジモンたちの中には、従来のシリーズ作品でパートナーとして抜擢されたデジモンたちがシルエットで多く登場しており、デジメモリの中にも同様に元パートナーデジモンだった種類が多く選抜されている。3期からはデジクオーツという空間において、デジモンを戦闘の末に捕獲することが出来るという設定が新たに登場、デジモンは人間の欲望などを糧にすることで自分をパワーアップさせることが出来るということがデジモンの間で流布され、それを狙い人間の感情を利用しようとするデジモンが多く登場した。

商業面

1期の商業展開は非常に苦戦を強いられる形となり、2期に入ってからは玩具展開はほぼ終了[注 6]。その後も新規の玩具の発売はほぼ皆無なまま、テレビアニメの放送は3期まで続くという、東映アニメーション制作のキッズアニメとしては異例な形態のアニメとなった。DVDもレンタルのみで、デジモンシリーズとしては唯一のセルDVDがない作品である。Blu-rayは現在、リリースされていない。


注釈

  1. ^ デジモンアニメシリーズ最多話数となる全79話を記録した。
  2. ^ ただし北米での放送の際、デジモンと技の名前が表記されている。
  3. ^ 従来のシリーズ作品では、それまで地域ごとに時差放送を行なっていた。
  4. ^ 2011年3月までの同時間帯はローカルセールス枠で、テレビ東京系列のアニメ・子供向けバラエティを放送している局が多かった。本作品の放送が始まった4月以降、ネットワークセールス枠としてフルネット24局全局ネットとなった。
  5. ^ a b 東日本大震災で被災した福島県宮城県岩手県を除く。
  6. ^ デジモンクロスローダーの拡張ソフト・コードクラウンのインターネットによるデータ配信と、デジモンクロスウォーズ 超デジカ大戦のデータの更新は行われた。
  7. ^ データ放送の解説では「技カード」と表記されている。
  8. ^ a b 1期の時点で楽曲は発表されていたが、使用されたのは2期に入ってからである。
  9. ^ ※初回限定盤のみ「デジモンクロスウォーズ」スペシャルジャケット仕様(10,000枚生産限定)。
  10. ^ a b c オリジナルデジモンの公募第2弾で採用されたデジモン。

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