EP 盤とは? わかりやすく解説

コンパクト盤

(EP 盤 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/22 22:16 UTC 版)

17cmレコードのコンパクト盤

コンパクト盤(コンパクトばん)は、「シングルレコードのサイズ(17cm=7インチ)で、1分間の回転数がLP盤と同じ33回転(33 1/3rpm)」のレコードの通称。「17cm LP」とも呼ばれる。

EP盤extended play、エクステンデッド・プレイ)はシングル盤と同じ45回転で収録されており、別種である。アメリカやイギリスではコンパクト盤はEPが主流になるとともに廃れたが、日本ではその後も主流であった(アメリカでコンパクト盤が発売されたのは1959年頃まで。60年代以降に商業用33回転7インチ盤はほぼ存在しない)。

すなわち、直径7インチで回転数を33 1/3に落として収録時間を長くしたものをコンパクト盤またはコンパクトLPと呼ぶ。曲数が多く安価だったことから、学生などの若年層に1960 - 1970年代初頭にかけ好評だった。ただし音質は通常のLPでの内周部にあたるために劣る。

中心部の穴の大きさはLPと同サイズである。ただしイギリスでは折り取ることのできる中心部がつけられていた。

日本ではシングルレコードのことをEP盤と呼ぶことがあるが、Extended Playとは本来、「収録時間がLP(フル・アルバム)よりは短いが、シングルよりは長い」という意味である。そのため、英語圏ではあくまで、EPは「シングルより長いもの」を指す。

歴史

小さいので扱いやすいが収録時間の短い17センチ・シングル盤と、収録時間は長いが大きく比較的高価な30cm LP盤の中間に位置するもので、シングルと同じサイズながら収録時間が長いため「Extended Play」と呼ばれ、その略称がEPである。「各面に2曲 - 3曲ずつ収録した、計4 - 6曲入り」(シングルレコードは通常、各面に1曲ずつ収録)、「1曲の演奏時間の長い楽曲の収録」などの目的に用いられた。収録曲数が多いといっても「アルバム」として作成される30cm LPと異なり、片面に2 - 3曲なので実際には「お徳用」としての性格が強い商品が多かった。

コンパクト盤は33回転のため、実質LPの内周分に当たることから、45回転やLP外周に比べて音質が劣ってしまう。一方EP盤は回転数がシングル盤と同じため、音質で勝っている。

ポピュラー音楽の場合、1960年代半ばまでをピークとして多数のコンパクト盤がリリースされたが、徐々に廃れ、1970年代半ばから、リミックス・ヴァージョンが増加した1980年代以降は、現在のレコード復刻も含め、より音質の良い45回転で30cm(12インチ)の製品(12インチ・シングル)に取って代わられることが多くなった。

アニメソングの場合、1970年代に日本コロムビアから多数発売された「アクション・シリーズ」などがコンパクト盤の形態を取っていた。

ちなみに、シングル盤は「45回転レコード」「7インチ(7インチ盤)」「ドーナツ盤」、または単に「シングル」と呼ばれる。

デジタル・ストリーミング時代のEP

その後に主流となったCDデジタル・ダウンロードの形態ではミニ・アルバムマキシシングルに相当し、同時に「EP」の名も残っている。

音楽のダウンロードストリーミングの人気の高まりによって、より短い間隔で作品をリリースするためにEPをフル・アルバムと分けてリリースすることがポップミュージシャンにとってマーケティング戦略の一つとなっている。SpotifyのCEOダニエル・エクは、アーティストがストリーミングサービスにおいて高い収入を得るためには3~4年に一度のレコーディングでは十分ではなく、ファンとの継続的なエンゲージメントを作ることが必要であると述べている[1]

名称としてのEPの使用例は2010年代後半から増加しており、その要因として音楽ストリーミングサービスの業界標準となっているApple MusicやSpotifyの存在が挙げられる。Apple Musicのガイドラインでは、「曲数が1~3曲で、少なくとも1曲が10分以上かつ合計演奏時間が30分以下」または「曲数が4~6曲で、合計演奏時間が30分以下」の作品がEPのカテゴリとなる[2]

主な作品

EP盤はあくまで7インチだが、12インチ・シングルの例も参考までに挙げる。

EP盤

12インチ・シングル盤

製品名

脚注


EP盤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 22:47 UTC 版)

シングル」の記事における「EP盤」の解説

盤形はシングルと同じ17cmで回転数45回転だが、盤面中心の孔はLPと同じ小径である。シングル同形ながら収録時間延びたことからextended play(エクステンディド・プレイ)と称されEPと略称される日本ではシングル盤とEP盤の錯誤を防ぐために「4曲入りEP」とも称されEP複数内容アルバムとして収録したものも多く出回りCD以降は「ミニ・アルバム」として扱われる回転数33回転のものは、小型LPの意味から「コンパクト盤」とも称される

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EP盤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/15 10:07 UTC 版)

プッシーキャット・ドールズのディスコグラフィ」の記事における「EP盤」の解説

作品名備考2006 Sessions@AOLライブ・アルバム 発売日2006年7月4日 iTunesデジタル・ダウンロードとしてリリース 2007 PCD [Essentials EP]5トラックEP 2009 Doll Domination: The Mini Collection 6トラックEP編集 発売日2009年4月27日イギリス)、2009年7月7日カナダ) 4UKシングルと2曲の新曲UK Album Chartsで最高9位 Doll Domination: 3.0 イギリスバージョン 発売日2009年8月10日イギリス

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EP盤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 14:59 UTC 版)

マジカル・ミステリー・ツアー」の記事における「EP盤」の解説

特記除き作詞作曲レノン=マッカートニーよるものアナログA面#タイトル作詞作曲・編曲リード・ボーカル時間1.マジカル・ミステリー・ツアー」(Magical Mystery Tour) ポール・マッカートニー ジョン・レノン一部) 2:48 2. 「ユア・マザー・シュッド・ノウ」(Your Mother Should Know) ポール・マッカートニー 2:33 合計時間: 5:21 アナログB面#タイトル作詞作曲・編曲リード・ボーカル時間1.アイ・アム・ザ・ウォルラス」(I Am The Walrus) ジョン・レノン 4:35 合計時間: 4:35 アナログC面#タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間1.フール・オン・ザ・ヒル」(The Fool On The Hill) ポール・マッカートニー 3:00 2. 「フライング」(Flying) レノン=マッカートニーハリスンスターキー インストゥルメンタル 2:16 合計時間: 5:16 アナログD面#タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間1.ブルー・ジェイ・ウェイ」(Blue Jay Way) ジョージ・ハリスン ジョージ・ハリスン 3:50 合計時間: 3:50

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EP盤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 05:57 UTC 版)

ユハ・ヴァイニオ」の記事における「EP盤」の解説

ヴァイニオの作品のみ収録したのはJuha "Watt" Vainioの1作だけだった。 4 iskelmää(1966年Juha "Watt" Vainio(1967年) Kotimaista huumoria(1968年) Kotimaista huumoria 2(1968年) Taljan tuottamia liikennelauluja(1969年

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EP盤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:05 UTC 版)

コンパクト盤」の記事における「EP盤」の解説

ビートルズマジカル・ミステリー・ツアー」(1967年) - イギリス2枚組EP盤として発売その後、米キャピトル編集LP元にCDアルバムとして復刻発売された。 アリス・イン・チェインズ「アナザー・サイド・オブ・アリス」(1994年) - ビルボードアルバム・チャートで1位を獲得した初めてのEP盤。

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EP盤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:03 UTC 版)

レコード」の記事における「EP盤」の解説

この盤は物理的には「7インチシングル盤」と全く同じであり、違い収録される曲数である。 回転数 : 45r.p.m. 直径 : 17cm(7インチ45回転シングル盤と同じ大きさ、同じ回転数であるが、片面に2曲 - 3曲程度ずつ収録したものをこう呼ぶ。穴の大きさ大小両方存在するアメリカは大、日本では小がほとんど)。アメリカでは45回転専用プレーヤー向けで)ほぼ1959年まで 。流行歌映画サントラ盤新曲発表済み楽曲収録されたものが多く、曲数の割り比較安価だったことから、LP購入する予算がない、または目的の曲+α聴ければ満足とする学生などの若年層アメリカ以外1960 - 1970年代初頭にかけ好評だった。イギリスではザ・ビートルズの『マジカル・ミステリー・ツアー』が2枚組EP片面1-2曲)として、ミニアルバム的に綴じられ形態発売された。イギリスではシングル同じようセンターシングル盤の項参照)が設けられることが多かった日本では誤って45回転シングルEP呼称することがあるので、厳密に区別して4曲入りEPとも呼ばれるが、EP盤は4曲とは限らない。あくまでシングルよりも収録曲数が増えた形式である。概して音が小さく音質はあまり良くないまた、33回転コンパクト盤別種とされる

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