『将太の寿司』の寿司職人たち
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「将太の寿司」の記事における「『将太の寿司』の寿司職人たち」の解説
清川流也(きよかわ りゅうや) 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場した「牛若丸」の異名を持つ寿司職人。名店「寿司玄」の店主で「愛宕の大天狗」と呼ばれる父・参次郎から5歳の頃からスパルタ指導を受け、10歳でツケ場に立ち、大会参加時にはベテラン職人の小政でさえ「化け物」と呼ぶほど凄腕の職人になっていた。彼の経歴を聞いた慎吾は思わず「そんな人が新人のコンクールに出てくるなんてインチキだ」と突っ込んでいる。性格は「天狗」と呼ばれる父に似て傲慢でエリート意識が強く、自分の作った寿司の味は凡人には分からないと考えている。 流也の父の参治朗はかつて鳳寿司で働いており、征五郎の兄弟子だった。しかし先代の親方は傲慢な参治朗ではなく征五郎を跡継ぎに選んだ。参治朗は征五郎を恨んで、30年以上も鳳寿司にたび重なる嫌がらせをしてきた。息子の流也も父の憎しみを受け継いでおり、対決が始まる前は将太を完全に見下していた。 将太とは新人コンクール2回戦・早握り勝負で対決。普通の職人は寿司を5手で握るが、流也は長年の修業で体得した「小手返し」という技を使って3手で握る。そのため、早握り勝負では流也が圧倒的に有利かと思われたが、新たな技「たて返し」を会得した将太は流也と互角の勝負を行う。その結果、数ではわずかに流也が上回ったが、味では早握りの中でも寿司を握る際の基本を守った将太が勝っており、流也は敗北した。敗れた流也を参治郎は罵倒と共に激しく打ち据え、それを見ていた審査員に、親子共々「実の親子でありながら修羅の心で戦いに明け暮れるばかり」と評された。 下山鉄雄(しもやま てつお) 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している将太と同年代の母親思いの職人で「芝浜鮨」にて修業。物心付く頃から父親の漁船でエビに触れるようになり、父親が他界してからは海女をしている母親を助けるべくエビの勉強をしていた(彼のその生い立ちに将太は彼も自分と同じだと涙した)。その結果、エビの見立てと扱いに関しては百目の辰も一目置くほどのエビ名人となった。中学卒業と共に海女を続けて心臓が弱くなった母親を楽にさせてあげたいと、生活のために得た知識を生かせる寿司職人を目指して、芝浜鮨で修業を始めた。 将太と勝負する前はエビについて気楽に考えて、質の落ちたエビばかりを選んでいた将太を叱咤した。将太との勝負で使ったクルマエビとボタンエビは共に母親から送られてきたものである。エビ対決で将太に不覚を取ったが、将太は下山に対しての感謝の言葉を述べている。 将太との勝負は鮮度の差で敗れ、母親のために寿司職人を辞める決意を固めていたが、応援に駆けつけた母親の説得により思い留まった。 『全国大会編』の終盤でも登場し、母親と一緒に「鮨しもやま」を経営している。その後最終話の巴寿司開店日には小樽の空港内に姿を見せている。 紺屋碧悟(こうや へきご) 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している、高級寿司割烹「碧寿司(みどりずし)」の2代目店主兼寿司職人。 父親義郎は技術と共に人間性に優れていたが、息子の碧悟は幼い頃から甘やかされて育ったために手に負えないくらいワガママになり、その結果、天才的な技術と欲求のためには手段を選ばない上に負かした相手をも徹底的に罵倒する高慢な心を持つ職人になった(小学生時代、自分より足が速かったというだけで同級生を階段から突き落としたことすらあった)。その悪評ぶりは征五郎の耳にまで届いており、将太に忠告した程。 コンクールではその技術を(恫喝混じりに)見せつけることで相手を棄権負けに追い込み、将太との勝負ではテーマの「光りもの」を築地中から買い占め、さらに将太達が苦労して取って来た黄金のサバが入っている冷蔵庫のコンセントを抜いて腐らせようとした。自身は鯛の子供カスゴを使った姿寿司で挑むも材料の良さとテクニックへの自惚れにより敗北(碧寿司の常連であった五十嵐大臣に「今の碧悟は親の七光りをまとっている未熟なカスゴでしかない」と評された)。さらにそれに激高して自身の悪事を思わず白状してしまったために寿司協会から追放され、碧寿司を廃業することとなった。 その後は日本料理界に身を置き(ここでも自分をしごいた先輩職人が気に食わず、車で大怪我させた)、武藤鶴栄の力を借りて料理番組で将太と対決した。その際にも自ら指定したテーマの「サンマ」を築地中から買い占め、番組の打ち合わせを騙って部下の黒スーツの男達(二人おり、コンクールの時点ですでに登場している。片方はサングラスを掛け、もう一方を「牧さん」と呼んだ)に将太を自身の車に乗せてドアで左手を挟んで怪我をさせ、さらに一般審査員を金で買収した。しかしながらサンマを自分で獲る、右手だけで寿司を握るといった将太の頑張りに黒スーツの男達は心を動かされ、インチキの採点(1人5点の3人の審査員は全て将太の寿司にポイントを入れていたが、1人1点の一般審査員30人を買収していた)で碧悟が勝利した後に彼が働いた悪事の全てを白状し、突っかかってきた碧悟を殴り飛ばしてノックアウトし「次は俺達よりも性根の腐ったやつを雇うんだな」と切り捨てた。その結果、日本料理界からも追放されるハメになった。 『全国大会編』の終盤にもわずかに登場し、ここでは高いプライドと上記の悪事が災いして職にもありつけずどん底の生活を送っていたところ、たまたまテレビ中継されていた新人寿司職人コンクール決勝戦での将太の努力に触発され、再起する決意を固め、一度門前払いを食った寿司店に再訪し、雇って欲しい旨を再度伝えたであろう様子が描かれている。 『2』では再起と改心の末に「碧寿司」を営業再開した。息子・翠の高慢な態度を謝り倒すほど腰が低くなり、初登場の面影から一転して老人のような表情となった。 奥万倉新一(おくまぐら しんいち) 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している包丁の名人で、落ち着いた雰囲気の漂う長身の若者。包丁技術を生かした細工寿司を得意とする。家庭の事情から不良になっていたところを「磯銀」の親方に救われ、寿司の道に入った。 東京大会の開会式で将太と隣同士になり、緊張のあまりアクシデントで飲み物を上着にこぼしてしまい、涙目でオロオロする将太に自分の上着を貸して慰め、そのおかげで将太は落ち着きを取り戻す。 さらに一回戦でいきなり将太と対戦するが、包丁技術の向上のみにとらわれていた将太と違い、味の点にまで心を配る余裕があり、勝負は奥万倉の完勝。本来なら将太はここで敗退するはずだったが、将太自身の包丁技術も一回戦で落とすには忍びない腕と審査委員長の溝口安二郎に評価され、特例で二回戦進出を許され、九死に一生を得る。 その後も勝ち進み(破った相手には「この道12年のベテラン」もいた)、決勝戦で将太を始め、清水、藤吉と共に決勝を争うが、他者の技術に(一回戦では全く寄せ付けなかった将太にさえ)驚く描写が多い、藤吉と共に途中経過順位で最下位争いをすることが多いなど、一回戦での余裕ぶりとはあまりに対照的であったが、得意の包丁技術などで最後まで食い下がった。 右利きであるが、亡き後輩・修一の形見である左利き用の包丁も大切に持っている。 幼くして亡くなった息子の面影を自分に重ねていた養父母と縁を切ったことが、長く心のわだかまりとなっていたが、東京大会決勝戦で思い出の炙りイカを作り和解する。 年齢は当初は28歳となっていた(そのため自己紹介でも、28歳でありながら修業はまだ3年、歳が高いのに不思議に思われるでしょうが、と語っている)が、後に23歳に変更されている。 なお将太のことも当初(東京大会・1回戦前後)は「将太くん」と呼んでいたが決勝で再会してからは「関口くん」と呼んでいる。 『全国大会編』最終話の巴寿司開店日には小樽まで足を運び、清水、藤吉、大年寺らと相席になる。 『2』では「磯銀」の店主であり、落ち着いた中年となった。息子大斗を「瑞穂」技能試験に参加させる。 木下藤吉(きのした とうきち) 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場している海苔作りと米利きの名人で、将太と同年代。元々農家の跡取りで裕福なため傲慢なところがあったが、あるきっかけで自分を変え今に至る。 最初に将太と出会ったのは佐治との巻物勝負で海苔を探していたときである。また、イタリアで苦心する兄弟子、織田信郎のために必死で金を稼いで寿司向けの米を作ってもらうなど、行動はひたむきである。 活発でともすれば不遜とも見られるような性格をしているが、料理人の第一である「食べる者のことを考える」という基本をしっかりと押さえており、課題が得意な米なのもあって決勝戦前半を大きくリードする。 海苔作りのルーツとなっているのは佐治の父・重人が書いた本。 『全国大会編』最終話では巴寿司開店に合わせて小樽に飛び、行きの飛行機内の時点でハイテンションになっており、同乗していた清水に呆れられていた。 『2』では、外国人客向けのモダンな寿司店「SUSHI KINOSHITA」の店祖となった。白髪交じりの長髪を後ろで縛っており、若手時代の面影がほとんどなくなっている。息子秀吉を「瑞穂」技能試験に参加させる。 清水哲也(マグロ哲/しみず てつや) 新人寿司職人コンクール・東京大会に出場しているマグロ寿司の名人で、新人コンクールとしては年嵩な方。「マグロ哲」の通り名は伊達ではなく、マグロのみならずカツオ類の扱いでも他の追随を許さない。 あくどい経営をする「寿司金」の雇われ職人で、マグロを安値で買い叩き高値で売り捌くという非道な商売をしていたが、これは初美という心臓病を抱えた妹の手術費用を稼ぐためのものだった。その寿司金に見捨てられるが、将太達対戦相手や大和寿司の親方の助けによって初美は全快、譲り受けた大和寿司の屋号を「初美寿司」と変え独立し、再び東京大会決勝戦に臨み、将太とのプレーオフでもその実力をいかんなく発揮する。 決勝戦スタート直後の米勝負では、藤吉の目利きに驚く、不用意にいきなり米を研いで征五郎にダメ出しされるなどつまずくが、その後将太のミスもあり立て直す。得意のマグロ以外でも年季に裏づけられた技術と知識を持ち、決勝に残った4人の中で唯一最下位になったことがない実力を持つ。 『2』でも「初美寿司」は健在だが、体力の衰えによりマグロなどの仕入れを跡取り息子である健一郎に継がせて引退した(ただしツケ場では健一郎に付き添って共に経営を続けている)。 大和寿司の親方 中国残留孤児の息子・北川潤一を待ち続けてアナゴの寿司を作り続ける老人。佐治との三番勝負のヒント探しに奔走していた将太と知り合って以来、彼を自分の息子のようにかわいがっており、数々の助けを行う。 後に息子との再会を果たし中国へ渡るが、この際に「自分の信頼する将太が助けたいと思っているなら、その者は信頼できる人物である」という理由で初対面の清水哲也に妹の手術費用として数百万円と、無用となった大和寿司の物件を譲渡している。その後現地で開店した寿司屋が、アナゴ以外のネタが受けずに苦境に陥っている事が来日した潤一によって語られ、将太と清水、更に途中から奥万倉と藤吉も加わって様々な「中華寿司」を考案する事で恩返しを受けた。 吉野寿司のお内儀 伊豆半島で亡き夫の跡を継いで寿司職人をしている。代変わりで客が離れる中、小学生の息子・裕一が懸命に育てた芽ネギで作った握りで客を呼び戻すが、その息子までも失い生気を失っていた。将太の再現した息子の芽ネギを見て、生きる気力を取り戻す。 富寿司の親方 出前を中心とした寿司屋の職人。鳳征五郎と共に働いたことがある。昔気質で、あまりの指導の厳しさに弟子がつかなかったが、将太は食らいついてきた。ぶっきらぼうではあるが、ひたむきに食べる人間のことを考えている。将太に出前寿司のイロハを叩き込んだ。 武藤剛(むとう つよし) 武藤鶴栄の息子で、自身も優れた料理人である。しかし料理人殺しの異名を持つ評論家である父には認められず、一時は料理それ自体に挫折していた。 鶴栄が将太に難題を吹っかけていた時期に、関わらないように忠告に鳳寿司に現れた。恋人と父によって引き裂かれていたが、将太とともに父の課題を解きあかして恋人との再会に成功する。その時点で恋人は父に唆されて別の人物と婚約していたが、その婚約者が剛と彼女の再会の様子を目の当たりにして自ら身を引いたため、晴れて結ばれた。 大年寺三郎太(東北の竜/だいねんじ さぶろうた) 作中で「東北の竜」「幻の寿司職人」「ハイパー寿司職人」などと評される超人。佐治安人と並び『将太の寿司』『全国大会編』の二編に跨って将太と対戦する寿司職人である。 『将太の寿司』では、鳳征五郎の命によって仙台寿司コンテストに参加した将太の前に、仙台笹寿司の職人として現れている。コンテストでは将太と同等の寿司を作り二店同時優勝を飾るが、笹木のやり口を知り笹寿司と絶縁。その直後に武藤鶴栄の計らいで将太との三番勝負を行い、大年寺はこれに圧勝。いい勝負だったと語り、将太との再戦を誓う。 その後の『全国大会編』では、既に決まっていた代表を飛び入りで退けて宮城県代表として新人寿司職人コンクール・全国大会に参加。将太が乗り越えるべき巨大な壁として立ちはだかる。彼に敗れた後も、ちょくちょく将太の応援に現れる。 無駄も隙もない完璧な技術は長い経験に裏打ちされたもので、27歳にして既に15年の修業期間を経ている。だが実際に寿司職人として店に入っていた期間は短いために定義の上では「新人」であり、新人寿司職人コンクールへの参加資格を持っていると征五郎によって説明されている。 常識外れの体力と頑強さを持っており、特に『全国大会編』では、「熟れ寿司を作るために寿司を持ったまま数十kmを全力疾走する」「崖から冬の海へと飛び込み素潜りを決行し、5分以上耐えてタコを捕獲する」「濡れた身体を闘気で乾かす」「あまりの握りの早さと正確さに腕がたくさん生えたように見える(千手握り)」「電車にはねられたその日にアンコウを解体して寿司を握る」「10m以上の高さから飛び降りて無傷で着地する」「嵐で大時化状態の海を単独の手漕ぎ小船で走破する」などの技術もさることながら規格外の精神力と熱意を持ち、その精神力や体力には将太も絶対に近い信頼を置いている。また学識にも長けているようであり、ネイティブの外国人をして「美しい英語」と言うほどの語学力も有する。 同じ作者の漫画『ミスター味っ子II』に登場しており(キャラクターの設定や肩書異名なども変わっていない)、出張料理人久島健男とタッグを組んで、「元祖ミスター味っ子」味吉陽一組、「皇帝の料理番 味仙人」劉虎峰組と三つ巴の勝負を繰り広げている。 『2』では全日本寿司協会会長に就任し、超大型店「瑞穂」をジェネシスに隣接して宣戦布告する計画を立てており、精鋭選抜の為、若手寿司職人にマグロ寿司での技能試験を開始する。実際には日本の寿司の将来のため、裏では後述のダビッド・デュカスと連携しての行動だったと推察されている。元々老け顔だったとはいえ『全国大会編』当時と容姿がまるで変わらず、飛男に不思議がられている。 高山信一郎(たかやま しんいちろう) 第一部終盤で登場した雅子の婚約者(ただし親が勝手に決めたことであり、雅子本人は否定している)。フランス料理にも精通しており、パーティーでフォアグラの寿司を披露したり、オレンジに漬け込んだサバでフランスの大統領を絶賛させるなど料理人としての腕前は超一流であるが、パーティーで小政の足を踏みつけながら挑発する、小政の元へオレンジに漬け込んだサバを送りつけた後わざわざ電話をかけてきて嘲笑する、雅子に接近した理由が実は財産目当てであったなど性格の悪さは笹木剛志や紺屋碧悟に匹敵するほどである。 婚約の座を賭けての対決で小政の編み出した豆腐を使ったサバ寿司の前に敗れた挙句、豆腐を馬鹿にしたことで雅子の父親の逆鱗に触れてしまい、逃げ出した。 黒川哲也(くろかわ てつや) ドラマオリジナルキャラクター。小樽の「司寿司(つかさずし)」で16歳からたった3年でトップに立ち、司寿司が笹寿司に吸収合併された後もすぐそのトップに立った。将太との対決に負けて、寿司の心を取り戻し応援する。 鬼村龍二(おにむら りゅうじ) ドラマオリジナルキャラクター。笹寿司の職人。黒ずくめの不気味な風体の男だが、黒川を破る程の高い寿司の能力を持つ。コンクール一回戦では、原作の奥万倉と同じ方法で将太に勝つが、やはり原作の一回戦と同じ方法で復帰した将太と決勝戦で再戦して敗れ、即笹寿司を見限り去って行った。また、彼のコンクール中に握った寿司は原作では藤吉と奥万倉と清水が握ったもの。
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