カトリック教会 組織

カトリック教会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/27 21:31 UTC 版)

組織

「唯一の教会」という世界観

カトリック教会においては、自派を「唯一の教会」だとする世界観がある[注 9]。この世界観は、父なる神とその右に座するイエス聖母マリア聖人たちのとりなし[注 10]、天国の鍵を管理するペトロ、信者たちの集う天国等で構成されている[注 11]。こうした世界観にもとづく組織構造がペトロの権威を引き継ぐローマ教皇という現実の人間を中心に展開されている。

ローマ教皇

現在のローマ教皇・フランシスコ

ローマ教皇とは、カトリック教会の総代表者で、全カトリック教会の裁治権と統治権を持つものである(日本語では「法王」と呼ばれることも多いが、カトリック教会での正式名称は「教皇」であり、「法王」という言い方は日本国にとってのバチカン市国の首長を表す外交用語でしかない)。ローマ教皇は使徒ペトロによる使徒座の後継者であり、現在はバチカンに居住する。

枢機卿団

枢機卿団は、教皇庁で働く高位聖職者や世界の重要な司教区の司教たちの中から教皇によって任命される。教皇選挙に参加できるのは80歳未満の枢機卿である。

司教

司教は使徒たちの後継者であり、教え、聖化し、統治する務めを与えられた者であるとされる。ローマ教皇もまた司教の一人であるが、使徒ペトロの権能を引き継いでいるとみなされ、司教団の中における特別な地位を認められている。なお、東方教会では「総主教」や「カトリコス」と呼ばれる者が名誉上の最高位聖職者・かつまた自らに直属する教会の首長であり、さらに府主教大主教などが各国の教会の首長となっている場合がある。

司教の本来の職務は、教区の責任者として教区内の教会を統治することで、キリストの代理者として、司祭助祭の協力を得て司牧の務めを果たすものとされている[16]。通常の司教(教区司教)のほかに、(大司教など職務の多い)司教を補佐するために「協働司教」や「補佐司教」が任命されることがある[17]

司祭と助祭

司祭助祭は司教の職務を補助している。司祭には、教区に属する教区司祭(かつて「在俗司祭」とも呼ばれた)と、修道会に属する修道司祭とがあり、どちらにも属さないフリーの司祭というものは存在しない。

また、教皇パウロ6世の時代まで、守門、読師、祓魔師、侍祭という下級聖職(下級品級)および副助祭という聖職位階が存在したが、1972年8月15日に発布された自発教令「ミニステリア・クエダム」によって1973年に廃止され、現代では聖体奉仕者と祭壇奉仕者の2つの「奉仕職」に改められて、かつてのような聖職位階として扱われることはなくなった[18]

カトリック教会の聖職者(司教・司祭・助祭)は、独身男性に限られ、叙階の秘跡を受けることでその地位に就く。

信徒

カトリック教会の洗礼を受けた者、または他教派から転籍し堅信を受けた者は、信徒と呼ばれる。


注釈

  1. ^ この場合は現在のカトリック教会と正教会を含む。
  2. ^ 東方教会ではこの言葉に由来して、総主教首座主教などが持つ「カトリコス: Catholicos)」という称号がある。
  3. ^ 原典は古代ギリシア語: Εἰς μίαν, ᾱ̔γίαν, καθολικὴν καὶ ἀποστολικὴν Ἐκκλησίαν, ラテン文字化: Eis mian, hagian, katholikēn kai apostolikēn Ekklēsian;現代ギリシア語: Εις μίαν, αγίαν, καθολικήν και αποστολικήν Εκκλησίαν, 発音 [is ˈmian aˈʝian kaθoliˈkin ce apostoliˈkin ekliˈsian]
  4. ^ 西方典礼とほぼ同義語。第2バチカン公会議後の1969年に発布された「新しいミサ」の導入まで、東方典礼カトリック教会を除くローマ・カトリック教会は、ミサなどの典礼を世界中で全てラテン語で行っていた。
  5. ^ 中世には「来世の裁き」の観念が発達し、最後の審判を描く図像には天国の場所に神が裁判官として座し、マリアや聖人たちが仲介者として周りを囲んでいた[8]
  6. ^ 神の母という信仰は、3世紀初めからアレクサンドリアの教父によって行われている。428年ネストリオスはこれに反対し「キリストの母」と呼ぶべきだと唱えて、激しい論争が起こった[9]
  7. ^ マタイによる福音書』の第16章18-19節の箇所にのみ出てくる、ペトロはイエスより天国の管理人に任命されたとされる[10]
  8. ^ これらの教義は1992年に『カトリック教会のカテキズム』(CCC) として教皇庁により編纂され、順次各国語に翻訳されている。これは、いわゆるローマ・カトリック教会だけでなく東方典礼カトリック教会の規範にもなっている。なお、イエズス会フランシスコ会などはローマ・カトリック教会の組織内部の修道会であり、教義(カテキズム)については同じであるため、「イエズス会派」「フランシスコ教団」などと呼んだりプロテスタントの各教派と同列に扱うのは誤りである。
  9. ^ 教皇#地位と権威参照。
  10. ^ 中世には「来世の裁き」の観念が発達し、最後の審判を描く図像には天国の場所に神が裁判官として座し、マリアや聖人たちが仲介者として周りを囲んでいた[14]
  11. ^ マタイによる福音書』の第16章18-19節にある「天国の鍵」の記述の中で、ペトロが天国の管理人をするところの教会を、イエスは「自分の教会」と言ったという記述がある[15]
  12. ^ 主日のミサは、日曜日だけでなく前日の土曜日の夜のミサも含む。
  13. ^ カトリック教会では、聖母マリアや諸聖人を神として敬っているわけではないため、「マリア崇拝」等と称するのは誤りである。
  14. ^ ガリレオは、ニコラウス・コペルニクスヨハネス・ケプラーアイザック・ニュートンと並び、科学革命の中心人物とされている。

出典

  1. ^ 八木谷涼子 『なんでもわかるキリスト教大事典』p.58、朝日新聞出版 ISBN 9784022617217
  2. ^ DOGMATIC CONSTITUTION ON THE CHURCH LUMEN GENTIUM The Holy See(バチカン公式サイト)
  3. ^ 小高毅 よくわかるカトリック-その信仰と魅力 教文館 2002.15.May p.10
  4. ^ “教会への愛、教会における責任”. http://opusdei.org/ja-jp/article/kyoukaiheno-ai/ 2018年4月10日閲覧。 
  5. ^ Paul Kwong; Philip L. Wickeri (2015), “Chapter18: Sheng Kung Hui - The Contextualization of Anglicanism in Hong Kong”, in Mark David Chapman; Sathianathan Clarke; Martyn Percy, The Oxford Handbook of Anglican Studies, Oxford University Press, ISBN 978-0198783022, https://books.google.co.jp/books?id=JijYCgAAQBAJ&pg=PA256&lpg=PA256&dq=literally+means+%22Holy+Catholic+Church%22+in+Chinese.+It+was+the+Chinese+name+used+in+the+Church+since+mid-nineteenth+century&source=bl&ots=8gq7rvDwB9&sig=ACfU3U2Pv9lLiztONzx1h4nsc6A8QOKuIw&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwivgYWBtNDyAhVIE6YKHWdGD1AQ6AF6BAgREAM#v=onepage&q&f=false (英語)
  6. ^ An Introduction to the Christian Orthodox Churches, By John Binns, page 28 [1]
  7. ^ 小高毅『よくわかるカトリック-その信仰と魅力』(教文館 2002年(平成14年)5月15日)p.10
  8. ^ 岩波キリスト教辞典、P.779
  9. ^ 岩波キリスト教辞典、P.767
  10. ^ 岩波新約聖書2004年P131
  11. ^ 偶有性とは - コトバンク”. 2021年8月10日閲覧。
  12. ^ 全実体変化”. 護教の盾 (2014年5月2日). 2021年8月10日閲覧。
  13. ^ カトリック教会のカテキズム』194,195 (p65) ISBN 4877501010
  14. ^ 岩波キリスト教辞典P779 天国の項目 安發和彰
  15. ^ 岩波新約聖書2004年平成16年)、P.131
  16. ^ 『カトリック教会のカテキズム 要約(コンペンディウム)』175頁
  17. ^ 東京大司教区に補佐司教任命”. カトリック中央協議会 (2004年12月2日). 2005年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月17日閲覧。
  18. ^ 『カトリック教会の教え』251-254頁
  19. ^ ANNUARIUM STATISTICUM ECCLESIAE: Published for 2000”. 2015年9月4日閲覧。
  20. ^ カトリック教会のカテキズムより。(『カトリック教会のカテキズム 要約(コンペンディウム)』137頁、カトリック中央協議会 ISBN 978-4-87750-153-2
  21. ^ “結婚の神秘”. http://opusdei.org/ja-jp/document/kekkonno-shinpi/ 2018年4月6日閲覧。 
  22. ^ “オプス・デイへの召し出し”. http://opusdei.org/ja-jp/article/opusudeiheno-meshidashi/ 2018年4月6日閲覧。 
  23. ^ 『カトリック教会の教え』252頁
  24. ^ クリスチャン神父のQ&A - カトリック松原教会 - 2014年(平成26年)10月31日閲覧
  25. ^ COMMON CHRISTOLOGICAL DECLARATION BETWEEN THE CATHOLIC CHURCH AND THE ASSYRIAN CHURCH OF THE EAST The Holy See(バチカン公式サイト)
  26. ^ 教皇庁教理省 (2007年6月29日). “教会論のいくつかの側面に関する問いに対する回答”. カトリック中央協議会. 2013年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月17日閲覧。
  27. ^ 主の祈り 日本聖公会/ローマ・カトリック教会共通口語訳”. カトリック中央協議会. 2012年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月17日閲覧。






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