千刻シニア
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「最後は?ストレート!!」の記事における「千刻シニア」の解説
睦月、大河、神無が生徒を寄せ集めて結成した硬式野球チーム。白服を中心に構成されているが、野球経験者は大河や慶などごく一部のみ。後に白服メンバーが各自の専門競技に専念するのをきっかけに、野球経験のある新メンバーを加え再編される。 高津 睦月(たかつ むつき) 本作の主人公。1年生。白服(特待生)ではあるが、勉学、運動共に並みの成績であり今まで何の才能も見出せず、周囲からは「白服(特待生)でも黒服(一般生徒)でもない灰色」という意味の「灰色の天才(グレージーニアス)」と影で揶揄されてきた。極度のサボり魔で中学に入ってからほとんど授業に出ず中庭や屋上でゲームをしている。そのためクラス内で影が薄く、白服であるにも関わらず周りの人間に全く意識されなかった。しかしある日大河に御角に間違われたことがきっかけとなり野球を始め、徐々にその才能が開花し始める。 負けず嫌いな性格ではあるが、少しの壁にぶつかるだけでいじけてしまう根性無しの一面も持つ。自分に才能が無いことにコンプレックスを持っているため才能や天才の話をすると怒りから頭に血が上る。家族構成は両親と姉の神無。 本当の父親は元千刻シニアの投手・御角雄一で現在は故人。現在の父親(神無の実父)は母の再婚相手の継父。御角の父親と睦月の実父は双子の兄弟、母親同士も双子の姉妹(睦月の母が姉)である為、御角とは従兄弟の間柄。しかし御角同様、両親からはその関係は常に隠され続けていた。 ポジションはピッチャー。背番号は「1」。右投右打。初心者ながら投球フォームは非常に綺麗で完成されており、野球を始めて1ヶ月で投球のコツを掴むなどセンスは持っている様子。自分の投げた球を相手が空振りすることに快感を覚え、常に空振りを狙う投球をする。その為、球威が落ちるクイックモーションを嫌う。投げ終えた後の派手なフォロースルーも守備意識の低さを露呈してしまう為、他チームからは弱点としても隙として突かれることもある。しかし、持ち前のセンスから打撃・守備いずれにおいても本能的にビックプレーを起こすこともある。 野球を始めた頃は球持ちが良く制球も良いが、球速はお世辞にも速いと言えず、体が元々小柄でフォームが完成されているためこれ以上の球速が望めないという弱点を持っている。カペラボーイズの紀藤に指摘された直球の遅さを改善するためリリースポイントでのスピンのかけ方を特訓し、打者が球速以上に速く感じる直球を習得。渋谷シニア対戦時には現在の持ち球では思うような空振りが取れないと感じ、試合中にスプリットを習得する。渋谷シニア敗戦後は御角の特別メニュー、横沢高校での打撃投手での経験から体の鍛え方と更なる投球術を学ぶ。横沢高校エースの菅生の一旦左投げにして一からフォームを作り直すという荒療治もあり、球速も120km/hを超えるなど中学一年生離れした速さとなり、十分な武器になるほど上昇した。ミズタカップでは学んだ実力を存分に発揮し1,2,3回戦と投げた試合ではいずれも完璧な投球を見せる。特に2回戦の新城シニア戦ではノーヒットノーランも達成している。 中学卒業後は御角、慶、梶谷と共に平輪学園へ進学。御角とのWエースで甲子園春夏5連覇の偉業をやってのけ、高校卒業後に父親同様アメリカへ渡り大リーグに挑戦。マイナーリーグで1試合の奪三振記録を塗り替え、メジャーに昇格。ファイナルシリーズの第7戦の先発に抜擢される。 溝口 大河(みぞのぐち たいが) 本作の準主人公。1年生で「野球の白服」として外部から中等部にやってきた転校生。かつて完敗を喫した御角にリベンジを果たすため広島から上京、千刻学園に転校してきた。普段の生活の中では猫をかぶり優等生を演じているが、本来の性格は凶暴であり柔道の白服である梶谷を投げ飛ばすほどのパワーを持っている。長身でルックスも良く、前述の通り猫をかぶっていたため当初は女子からの人気は高かったが、本性を隠すことが出来ず、現在は女子からの株は大暴落している。当初御角そっくりの睦月のことを「ニセモノ」と呼んでいたが、ゴードンカップの途中から「高津」と呼んでいる。神無のことは「ちゃん」付けで呼んでいる。非常にプライドが高くうぬぼれ屋で負けず嫌いであり、普段は好人物風に振舞っているのもプロへ入った時模範的な生徒だったというエピソードを残すためである。家族構成は両親と「大地」という名前の兄がいるが、上京を反対していた父親に反抗し家出をして東京では1人暮らし。そのため、食事はインスタント食品やコンビニ弁当がほとんど。 ポジションはファースト。背番号は「3」。右投左打。かつては投手をやっていたが、自分自身で諦めてしまった試合を期に限界を感じ打者に専念する。野球の天才とも称されるほどの打撃センスを持っており本来のパワーも相まってシニアの野球界でも屈指のスラッガー。何よりも長打を狙い、引っ張り方向に力強い打球を飛ばすためのバッティングフォームをしているのが災いし、当初は手元で小さく変化をする変化球を打ち損じてしまうという弱点を持っていた。しかし、スイングスピードは群を抜いており、天性のパワーヒッターとしての才能から並みの投手なら直球のタイミングで待っていても変化球に対応でき本塁打にできる。また、ここぞという時に決め切るだけの勝負強さも持っており、試合で放ったホームランの多くは、試合を決める一打である事が多い。 ミズタカップ終了後に睦月との勝負を約束し広島へ戻る。その後、恭平、蝶子とともに横澤高校に進学。春夏合わせて3度の甲子園出場により恭平と共にSMコンビとして名を広める(本人たちは嫌がっている)が、平輪学園の睦月、御角コンビには手も足も出ず優勝はならなかった。高校卒業後に「打倒!高津睦月!」を掲げ馬澤大学へ進学。課題だった守備力の底上げと英語をマスターする。稲城とともに大学ビッグ2として世間に名を広めドラフト会議にて3球団競合の末に地元の広島に指名されるがプロ入りを拒否し睦月を追って大リーグに挑戦する。 高津 神無(たかつ かんな) 2年生。「数学の白服」。睦月の姉。小学3年生から5年連続で数学オリンピックで金メダルを獲得している。睦月の世話を焼くのが趣味であり、野球に興味を示した睦月を全面的にバックアップしていく。非常に雄弁家であり学校内外に多くのコネを持っているためシニアチーム設立を非常に短期間で成し遂げた。 実は睦月とは互いの親が再婚した際の連れ子同士であり、血の繋がりはない。ふとしたことからその事実を知り非常にショックを受けるが、睦月に励まされ更に強い絆で結ばれる。 ポジションはライト。右投右打。プレーに関して本編で触れることはないが学術系の特待生であるため決して上手いというわけではなく、主に作戦の考案など頭脳面で活躍する。他のチームからは寄せ集めの1人として考えられている。秋の大会からはメンバーが増えたこともあり、監督として指示を出すことに専念している。 10年後にはMITの助教授としてアメリカで暮らしている。大河とはいい関係らしく代理人も務めている。 波木 美姫(なみき みき) 1年生。「テニスの白服」。入学して日も浅いが学園内ではアイドルのような人気を持つテニスプレイヤー。愛称は「ミキミキ」(睦月からは「みっちゃん」と呼ばれている)。由緒正しい家柄の出身であるためプライドが高くお嬢様言葉を使う。幼馴染である睦月に頼まれ千刻シニアに入る。自分が認めた男としか付き合わないと公言しており学校内で寄り付く男を振り続けているが、昔から仲が良かった睦月に対しては「早く自分に釣り合う男になって欲しい」という旨の発言をしており、睦月にだけ弁当を作ってくるなど友達以上の想いを持っている。元々は睦月同様白服の中でも落ちこぼれのような存在であり、自身の家柄もあり睦月を格下程度にしか思っていなかったが、才能の適性検査に落ちた際に睦月が予定を全てキャンセルしてまで自分を励ましてくれた過去から睦月を意識するようになる。睦月のことを「むっくん」と呼んでいる。大河、梶谷とはやや仲が悪い。 ポジションはショート。背番号は「6」。右投左打。動体視力が非常に良いためバットが届く範囲内であればほとんどバットに当てることができる。そのため、多少のボール球でも無理やり打ちにくる傾向がある。足も速く、打球反応も良いので守備も上手い。しかし、野手の基本的な動きを知らなかったり、睦月のためにやる行動が裏目に出て失敗することもある。ゴードンカップ終了後は本職に専念しているためチームの練習には中々参加できておらず、ミズタカップ3回戦の日はテニスの試合を控えていたが、睦月を助けたい一心で強敵相手に1ポイントも落とさないストレート勝ちを収め再びチームに合流。 10年後では女子テニス世界ランキングトップ10入りしたにも関わらず睦月との結婚によりテニス界から引退し、主婦になっている。また、睦月との子供(高津睦月Jr.)もいる。 梶谷 康介(かじがや こうすけ) 1年生。「柔道の白服」。体が大きく、元は性格の悪い学校内のガキ大将の座にいた。転校してきた大河にケンカを売るが投げ飛ばされて返り討ちに遭い、チーム結成の際大河にそれをネタに脅される形で加入する。性格は悪いがスポーツに関しては至って真面目に取り組む。渋谷シニア相手に逃げずに最後まで立ち向かう睦月を「同じ白服」として認めるようになる。 現在のポジションはライト。慶の加入以前はキャッチャー、慶が加入してから中之島が加入するまではサードを守っていた。背番号は「55」。右投右打。体格に似合わずバントやしぶとく粘り強いバッティングなどの小技が得意で際どい球を見極める選球眼も持っている。バットを極端に短く持って打席に立ったこともある。柔道をやっているため手首が非常に強く、フォームを崩されてもライト方向にホームランを打つことができるが、変化球を打つのは苦手。手首同様に肩も強くホームベース上からライトの定位置にライナーのボールを投げることができる。ゴードンカップ後は本職に専念している為、チームの練習に参加できていなかったが、ミズタカップ3回戦から再びチームに合流。完敗を喫した御角にリベンジを果たすため、柔道の白服を辞退する決意まで見せ教頭を説得した。ミズタカップに合流するまで野球の練習をしていなかったわけでは無く大和の打撃を参考にギリギリまで引き付けてボールを見極めることができるようになった。 その後、柔道を引退し、睦月と同じ平輪学園に進学し4番を務めるなど春夏5連覇にも貢献した。高校卒業後は明次大学へ進学し大学卒業時にソフトバンクにドラフト5位で指名される。 火堂 隼磨(ひどう はゆま) 2年生。「フィギュアスケートの白服」。フィギュアスケートのジュニア大会において多数の上位入賞を果たしているほどの実力者で“フィギュアスケートの王子様(プリンス)”の異名を持ち追っかけのファンがいる人気選手。仮チーム結成時、誰にも誘われてもいないのに「暇だったから」という理由で協力、そのままチームに加入した。長らく何の白服であるか不明だったが、野球をやっている噂を聞きつけたファンが試合を見に来たことで正体が発覚する。練習中に居眠りを始めたり、大河の話を聞かなかったり我が道を行く性格。元来、個人主義者で個人種目のフィギュアスケートの競技性が相まって「自分以外の人間を頼る」ということをしてこなかったが渋谷シニアに一矢報いる睦月の奮闘を見てチーム競技に面白みを覚えるようになる。感情表現の変化が全く無く、喜怒哀楽が全て同じ表情になるが、睦月やフィギュアのコーチのように分かる人間には感情の変化が読み取れる。 ポジションはセンター。背番号は「8」。右投左打。センターでありながらライトフェンスに登ってホームランボールを取るなど人並み外れたプレーを見せるなど守備は上手い。わざと打球を詰まらせて内外野の間に打球を落としたりする細かいプレーが得意。フィギュアスケートの実力者であるため足腰は常人より遥かに強く、打席においてタイミングを外されたとしても同じ体勢のまま外されたタイミングを修復することができる。ゴードンカップ後は本職に専念しているため、チーム練習には参加できていなかったが、千刻シニアに参加したことで豊かな表現力が身についたとフィギュアのコーチが判断し野球を続ける許可が降りた為、ミズタカップ3回戦から再びチームに合流。 10年後ではフィギュアスケートの大会で金メダルを獲得するほどの一流プロスケーターとなっている。 佐宗 慶(さそう けい) 1年生。一般生徒。睦月や御角同様小柄な体格。かなりの無口で簡単な会話なら単語だけ発することもある。軟式野球部に所属していたが毎日レギュラーの先輩のパシリを続けているうちに1人で練習する睦月と知り合い特訓の手伝いを始め、その後彼と親友になる。軟式野球部のレギュラー勝負で先輩に勝利しレギュラーの座を掴み取るが、才能のない睦月の成長ぶりに興味を示し軟式野球部を退部し千刻シニアに入る。睦月と仲良くしているため美姫から嫉妬されており、彼女から「こけし男」呼ばわりされている。学校の中では意外と女子人気が高く睦月から嫉妬されている。小学生(リトルリーグ)の間は御角とずっとバッテリーを組んでいた過去があり、御角のことを「威斗」と呼んでいる。 ポジションはキャッチャー。右投右打。キャッチングがとびきり上手く彼に受けてもらった投手が揃って「投げやすい」と感じ、気分よく投げさせることができる。さらに的を絞らせない配球、状況把握、投手のコンディション確認の能力に関しても群を抜いており、大河からも一目置かれている。バッティングに関しては相手キャッチャーを騙しながら駆け引きを行う戦法を取る。 中学卒業後は睦月と共に平輪学園へ進学。睦月、御角のWエースをリードする天才捕手として名を広める。しかし、それ以上にアイドル性で人気を博し、芸能事務所にスカウトされ無口アイドルという新ジャルを確立、一躍トップアイドルとなっている。 加瀬 元太(かせ げんた) 1年生。一般生徒。高津姉弟に対する呼称は「高津」、「高津先輩」。軟式野球部にいたが硬式野球部設立の話を聞き入部した。リトルリーグ時代は御角、慶と同じチームに所属していた。ポジションはセカンド。 生田 比郎(いくた ひろ) 1年生。一般生徒。軟式野球部にいたが硬式野球部設立の話を聞き入部した。加瀬同様リトルリーグ時代は御角、慶と同じチームに所属していた。ポジションはレフト。 王禅寺 若菜(おうぜんじ わかな) 1年生。千刻シニアの入団テスト後に入団した千刻学園の生徒ではない選手。美姫の遠い親戚。王禅寺家は代々名家だったが自分の祖父と父のせいで没落してしまった為、現在は平凡なサラリーマン家庭で育っている。元々、名家の出身である為、誰と話すときでも敬語を使う。自分では認めていないが相当なオタクであり、野球を始めたのも漫画がきっかけ。素はとても気が弱い内気な少女だが、怒りが限界を超えると容赦のない攻撃的な性格へと変貌し、見る者を凍りつかせる(通称・ブラック若菜)。 ポジションはピッチャー。左投。リトル時代に監督の無理難題な課題を全てクリアしたことからカーブ、シュート、フォーク、スライダー、チェンジアップ、カットボール、スクリュー7つの変化球を投げることができる。しかし、変化は悪くないが脅威となる程のものではないため、佐宗のリードがあってこそのボールとなっている。前述の性格から闘志が足りないことを指摘されており、特に打者のインコースに投げ込もうとすると弱気な心から失投してど真ん中に投げてしまったりすることもある。ブラック状態になったときにはデッドボールも恐れず打者の打ちにくいコースへ真っ向から投げ込むなど投球内容にも大きな変化が現れる。 ミズタカップ3回戦では大会ルールの都合で先発するも序盤は変化球の制球に苦しみ相手の強力打線に打ち込まれて試合を壊してしまうが、観戦していた恭平からアドバイスを受けるとたちまち中盤から立ち直り、チームの逆転勝利に貢献した。 10年後には早稲多大学の4年生となっており、同級生の稲城と付き合いながら漫画家を目指している。 中之島 照政(なかのしま てるまさ) 元々は若菜が所属していたリトル・シニアでプレイしており、若菜がリトル時代に1度もマウンドに上がれなかったきっかけとなった選手。チームに高価な用具を寄贈する建設会社の社長である父親のコネによりチームのエースをやっていたが投手としての才能はなく、球速も120km/hにも満たない。自分でも投手としての才能が無いことは理解している。かつてはチームメイトで補欠だった若菜のことを見下していたが、練習試合で若菜の迫力ある球により三振し、彼女を投手として認めるようになった。その後自ら野手として千刻シニアに加入した。 ポジションはサード。右投右打。前述の通り投手としてはイマイチだが、バッティングにおいては長打性の当たりを打てるパワーと、厳しいコースの変化球にもついていける技術を兼ね揃えており、大河からも好打者と評価されている。 布田 敦士(ぬのだ あつし) 千刻シニアの入団テストを経て入団した選手。ポジションはショート。 末長 瑛久(すえなが あきひさ) 千刻シニアの入団テストを経て入団した選手。ポジションはライト。 南原 結人(なんばら ゆいと) 千刻シニアの入団テストを経て入団した選手。ポジションはセンター。 宮崎 昇(みやざき のぼる) 千刻シニアの入団テストを経て入団した選手。ポジションはキャッチャー。 土橋 郁男(どばし いくお) 千刻シニアの入団テストを経て入団した選手。ポジションはレフト。 50m6秒5で、チーム1の俊足。テスト生で入団した選手の中では唯一のレギュラー。 津田山 慎矢(つだやま しんや) 千刻シニアの入団テストを経て入団した選手。ポジションはセカンド。 狛江 栞(こまえ しおり) 千刻学園1年1組担任で1年白服の主任教師。喫煙者。高津姉弟に対する呼称は「高津さん」、「睦月君」。若い女性教師で野球に対して全く興味がないが顧問となった。試合中も携帯電話で野球に無関係の作業を行っているが、睦月の野球へのやる気に興味を持っている。
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