親族 親族の範囲

親族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 06:35 UTC 版)

親族の範囲

階級等親制と世数親等制

親族の範囲の定め方には、「等親」という階級を用いて各種の親族ごとに法定する階級等親制と、世数を「親等」という単位で数えて客観的に定める世数親等制がある[11][10]

  • 階級等親制
階級等親制(列記主義)とは、親族の範囲について「祖父母」、「夫の」、「前夫の子」、「の子」という具合に、各種の親族ごとにそれぞれ個別的に列記する形で定める法制[11]。日本では大宝律令新律綱領第5条がこの方式をとっていた[11]。階級の単位には「等親」を用いるが、等親は法定されたものであり客観的な世数とは一致しない(日本の新律綱領第5条は5等親までを親族とし、「夫」や「子」などを1等親、「妻」「妾」や「孫」などを2等親、「庶子」や「継父」などを3等親、「兄弟ノ妻」や「前夫ノ子」などを4等親、「妻ノ父母」や「玄孫」などを5等親として規定していた[15])。
  • 世数親等制
日本の民法などで採用されている方式。世数1世をもって1親等として数え、その親等の数によって客観的に親族の範囲を定める法制で、単位には「親等」を用いるが、親等の数え方には下のローマ法式とカノン法式とがある[16]

親等の数え方

親等とは親族関係の親疎・遠近をなす尺度をいい[12]、 親等の数え方にはローマ法式とカノン法式がある。

  • ローマ法式
ローマ法に由来する方式。直系親族の場合には血族間の世数を数え、傍系親族間の場合にはそれぞれの共同始祖(同一の祖先)に至る世数を合算して親等とする方式(本人から世数を起算して共同始祖にまで遡ったのち一方の者まで下って世数を数える)[11][10][9]。日本の民法は親族の範囲について、直系親族の場合には「親族間の世代数を数えて、これを定める」とし(民法第726条第1項)、また、傍系親族の場合には「その一人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数による」(民法第726条第2項)としており、ローマ法式の数え方を採用している。この法制では兄弟姉妹間は2親等(本人→共同始祖である父母で1親等→兄弟姉妹で2親等)、伯叔父母とは3親等(本人→父母で1親等→共同始祖である祖父母で2親等→伯叔父母で3親等)、従兄弟姉妹は4親等(本人→父母で1親等→共同始祖である祖父母で2親等→伯叔父母で3親等→従兄弟姉妹で4親等)となる。日本民法での親等の数え方については#日本国の法に基づく親族も参照。
  • カノン法式
カノン法に由来する方式。寺院法主義あるいは教会法主義ともいう[11]。直系親族間の数え方についてはローマ法式と同じだが、傍系親族間においては共同始祖(同一の祖先)に対する本人及び一方の者の世数をそれぞれ数え、数に差がある場合には多い方の数を親等とする方式[10][9]。この法制では兄弟姉妹間は1親等(本人と兄弟姉妹の共同始祖である父母から起算するため1親等)、伯叔父母とは2親等(本人と伯叔父母の共同始祖である祖父母から起算し、伯叔父母側は1親等、本人側は2親等となるが多い方をとるため2親等)、従兄弟姉妹も2親等(本人と従兄弟姉妹の共同始祖である祖父母から起算するため2親等)となる[12][14]。歴史的には教会が親族間の婚姻障害の範囲を広く適用するためにとられた方式とされるが、現在、この法制を採用している国はない[10][9]

注釈

  1. ^ a b 1日でも早く出生していれば年長者に該当する。

出典

  1. ^ a b c 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、5頁
  2. ^ a b c d e 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、91頁
  3. ^ 前田陽一・本山敦・浦野由紀子著 『民法Ⅵ 親族・相続』 有斐閣〈LEGAL QUEST〉、2010年10月
  4. ^ a b 久貴・右近・浦本・中川・山崎・阿部・泉(1977)46頁
  5. ^ a b c d 久貴・右近・浦本・中川・山崎・阿部・泉(1977)47頁
  6. ^ a b c 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、103頁
  7. ^ a b c d 遠藤・原島・広中・川井・山本・水本(2004)40頁
  8. ^ a b 久貴・右近・浦本・中川・山崎・阿部・泉(1977)49頁
  9. ^ a b c d 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、7頁
  10. ^ a b c d e f 遠藤・原島・広中・川井・山本・水本(2004)41頁
  11. ^ a b c d e f g h 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、106頁
  12. ^ a b c 久貴・右近・浦本・中川・山崎・阿部・泉(1977)50頁
  13. ^ 遠藤・原島・広中・川井・山本・水本(2004)40-41頁
  14. ^ a b c 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、5頁
  15. ^ 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、84頁
  16. ^ 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、107頁
  17. ^ Schwimmer, Brian. “Systematic Kinship Terminologies”. 2016年12月24日閲覧。
  18. ^ Lounsbury, Floyd G. (1964), “A Formal Account of the Crow- and Omaha-Type Kinship Terminologies”, in Ward H. Goodenough (ed.), Explorations in Cultural Anthropology: Essays in Honor of George Peter Murdock, New York: McGraw-Hill, pp. 351–393 
  19. ^ 金泰虎 (2008). “日韓社会の人間関係における「兄」について ─ 呼称と名称を中心とした特徴の比較─”. 言語と文化 (甲南大学国際言語文化センター) 12: 123-150. https://doi.org/10.14990/00000469. 
  20. ^ a b 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、7頁
  21. ^ a b 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、96頁
  22. ^ 遠藤・原島・広中・川井・山本・水本(2004)37頁
  23. ^ a b 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、39頁
  24. ^ 遠藤・原島・広中・川井・山本・水本(2004)42頁
  25. ^ a b 遠藤・原島・広中・川井・山本・水本(2004)44頁
  26. ^ a b c 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、8頁
  27. ^ 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、85頁
  28. ^ 我妻榮編著 『判例コンメンタール〈Ⅶ〉親族法』 コンメンタール刊行会、1970年、45頁
  29. ^ 我妻榮・有泉亨・川井健『民法3 親族法・相続法 第2版』勁草書房、2005年10月、32頁
  30. ^ a b 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、40頁
  31. ^ 二宮周平著 『家族法 第2版』 新世社〈新法学ライブラリ〉、2005年1月
  32. ^ 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、43頁
  33. ^ a b 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、92頁
  34. ^ 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、93頁
  35. ^ 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、43-44頁
  36. ^ 谷口知平編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、95頁
  37. ^ a b c 泉久雄著 『親族法』 有斐閣〈有斐閣法学双書〉、1997年5月、44頁
  38. ^ 谷口知平編『新版 注釈民法〈21〉親族1』有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉1989年12月、99頁以下






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