西暦 西暦と各国の紀年法の関係

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 生活 > 時間 > > 西暦の解説 > 西暦と各国の紀年法の関係 

西暦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 03:54 UTC 版)

西暦と各国の紀年法の関係

日本

日本には、16世紀カトリック教会の宣教師によって西暦がもたらされた。しかし、江戸時代になって禁教令が出されると、西暦はキリスト教と結びついた紀年法であったため、使用が禁じられた。実際、1641年における、平戸オランダ商館出島への移転は、西暦が使われたことを、長崎奉行が問題視したために実行された。

再び西暦が使われるようになったのは、西洋に合わせる形で1872年(明治5年)に天保暦太陰太陽暦)からグレゴリオ暦太陽暦)への移行が決まってから(改暦の詳細については「グレゴリオ暦#日本におけるグレゴリオ暦導入」を参照)のことであり、日常生活に普及し始めたのは第二次世界大戦後のことである。

日本国憲法政教分離規定・信教の自由の観点から、日本の政府機関や地方公共団体などが作成する公文書住民票など)における年の表記は、基本的に元号のみが用いられて、西暦の使用を事実上禁止している。

気象測器検定規則(平成14年3月26日国土交通省令第25号)[8]に定められた気象機器の検定証印の年表示(第13条)や、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に定められた食品の賞味期限表示、日本国旅券の名義人の生年、運転免許証個人番号カードの有効期限のように、(ごく一部の例外として)西暦を使用する法令も存在する。また外交青書は、西暦主体の表記となっている。

西暦年自体を公的に定義している例として、情報における日時データ形式を規定する日本産業規格 JIS X 0301 においては、国際規格 ISO 8601 に準じて、西暦年をメートル条約の調印年を「1875年」として、この起点から年の値を増減両方向に定義する紀年法として定めている。

今日の日常生活では、「2000年平成12年)」のように元号と併記する場合がある。主要なマスメディア新聞テレビなど)の多くは、主に西暦を使用しており、法令番号判例など、元号で記される公文書を示す場合は、西暦に換算するか西暦を併記している(その他日本国内における元号との使い分け事例等については「元号#元号使用の現状」を参照)。

西暦と同様の紀年法として、日本には神武天皇即位紀元(皇紀、神武紀元)が存在する。明治期から太平洋戦争終了までは元号と共に皇紀も用いられた。現在でも有効である閏年の置き方に関する勅令閏年ニ関スル件、明治31年5月11日勅令第90号)で神武天皇即位紀元が使われているが、戦後は用いられていない。

西暦に対して、元号を用いた日本独自の紀年法のことを和暦、あるいは邦暦と呼ぶことがある[9]

中国

中華民国では、辛亥革命勃発(1911年)の翌年に当たる1912年に元号を廃止し、中華民国が樹立された1912年を元年とする民国紀元(中華民国暦)を採用した。中華民国では宣統の次の元号のように「民国」という表記で扱われている。中華民国が台湾に逃れた1949年10月以降も、政府機関が公的な場で使用している紀年法であり、民間では西暦と共に使用されている。

1949年10月1日に成立した中華人民共和国では、民国紀元も廃止され、政府機関も民間も西暦(公元)に統一されている。歴史に関する話題で元号を使用(あるいは併用)していても、1912年以降は元号が廃止されているので、西暦のみを使用する(中華民国時代についても民国紀元を使わない)。

朝鮮半島

朝鮮半島で南北に存在する大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、同一の朝鮮民族を主体とする2つの国家が独自の紀年法を西暦と併用して維持している。

韓国では朝鮮神話における最初の王朝、檀君朝鮮の初代王である檀君の即位年とされる紀元前2333年を紀元とした檀君紀元[10]が提唱され、建国直後の西暦1948年(檀君紀元4281年)から1961年(同4294年)までは公文書に記載されていたが[11]1962年1月1日からは廃止された[12]。ただし、その後も檀君紀元は民間の中で使用が続けられている[13]

北朝鮮では西暦1948年の建国から西暦のみが使われてきたが、1997年9月9日から主体暦の使用が告知され、公式行事や同国の報道機関[14]で使用されるようになった。これは同国の初代かつ唯一の国家主席である金日成の生誕年である西暦1912年を紀元としたもので[15]、結果として民国紀元(中華民国暦)と同年となる。日本語で表記する場合には「主体□□年」、ないし朝鮮語の発音をカタカナにした「チュチェ□□年」となる[16]

東南アジア・南アジア地域

東南アジア・南アジア地域のうち、仏教、特に上座部仏教の信徒が多数を占めているタイカンボジアラオスミャンマースリランカなどでは、仏教の開祖である釈迦入滅(死去)した年を基準とする仏滅紀元(仏暦)が普及している。なお、ミャンマーとスリランカでは釈迦の入滅年とされる紀元前544年を紀元元年、タイ・カンボジア・ラオスではその翌年である紀元前543年を紀元元年とし、1年のずれが生じている。

特に王室が仏教を厚く保護するタイ王国ではこの仏暦が公式文書で使われている。この場合、タイ語では仏滅紀元、西暦が普及している国で広く使われる英語や日本語では西暦で表記される例がある[17]。また、西暦1940年(仏滅紀元2483年)に仏暦が9月で打ち切られて元日が揃えられ、「西暦□□年△△月◇◇日=仏滅紀元△△+543年△△月◇◇日」の計算式が成立したが[18]、一部では整理前の年号が使用されているともいわれる(詳細は「仏滅紀元」も参照)。




  1. ^ J・D・ブルゴワン『暦の歴史』池上俊一(監修)、南條郁子(訳)、創元社〈「知の再発見」双書〉、2001年5月20日、66頁。ISBN 978-4-422-21156-5
  2. ^ 当時のローマは東ローマ帝国の承認を受けた東ゴート王国テオドリック大王による支配下にあり、ローマ教皇は管轄地域である西方地域での影響力を持っていた。
  3. ^ a b c 岡崎 1996, 第二章 中世における普遍史の展開,ディオニシウス・エウシグウス
  4. ^ a b c d 岡崎 1996, 第二章 中世における普遍史の展開,ディオニシウスの算定方法
  5. ^ たとえばウィクショナリー「AD」英語版)を参照。
  6. ^ “AD and BC become CE/BCE”. (2002年2月9日). オリジナルの2011年12月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111220120909/http://www.thisislondon.co.uk/news/article-531644-ad-and-bc-become-cebce.do 2012年2月5日閲覧。 
  7. ^ World History Subject Test(カレッジボード SAT (大学進学適性試験) 歴史テストのページ)
  8. ^ 気象測器検定規則”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2015年2月14日閲覧。
  9. ^ 邦暦の使用例 新潟県庁:新潟県の教育統計:図説「新潟県教育20世紀のあゆみ」:教育史年表(教育法制・教育改革)
  10. ^ 檀君紀元と西暦では新年のずれは生じない。西暦2021年は檀君紀元4354年となる。
  11. ^ なお、同年8月15日の建国直後には大韓民国臨時政府(上海亡命政府)が成立した1919年を紀元とする「大韓民国暦」が使われたが、1か月で使用が停止された。
  12. ^ 韓国の初代大統領は1919年の臨時政府でも大統領を務めた李承晩で、彼は強いナショナリズム政策を取っていたが、李の失脚後に1961年の軍事クーデターで政権を奪取した朴正煕は強権による近代化路線への変更を準備していた。
  13. ^ 韓国の歴史教育では檀君自体は実在するとされている。
  14. ^ 一例として、北朝鮮の国営通信社である朝鮮中央通信の公式サイトでは、朝鮮語と英語の双方で主体暦と西暦の併記が行なわれている。
  15. ^ 金日成は主体暦導入3年前の1994年に死去していた。この主体暦導入決定は彼の長男で、北朝鮮の2代目最高指導者となった金正日により実施された。
  16. ^ 西暦2021年は主体(チュチェ)110年。
  17. ^ たとえば、西暦2017年(仏暦2560年)に日本で開催される「第18回タイ・フェスティバル2017」では、タイ語の案内では仏暦(実例)、日本語の案内では西暦(実例)の紀年法が採用されている。出典:在東京タイ王国大使館、「公式サイト」、2017年5月1日閲覧。
  18. ^ 例えば、西暦2021年は仏滅紀元2564年。


「西暦」の続きの解説一覧





西暦と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「西暦」の関連用語

西暦のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



西暦のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの西暦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2021 Weblio RSS