ベネディクト会とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > ベネディクト会の意味・解説 

ベネディクト‐しゅうどうかい〔‐シウダウクワイ〕【ベネディクト修道会】

読み方:べねでぃくとしゅうどうかい

ベネディクトゥス英語名ベネディクト)の修道会規にもとづくカトリック教会修道会の一。清貧貞潔従順誓い祈祷(きとう)と労働標語とし、中世以来学術美術・教育大きな業績残した女子修道会もある。


ベネディクト会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/25 02:44 UTC 版)

ベネディクト会
Ordo Sancti Benedicti
聖ベネディクトゥスのメダル英語版
聖土曜日晩課を歌うベネディクト会の修道士達(アメリカニュージャージー州、2009年4月撮影)
設立 529年
設立者 ヌルシアのベネディクトゥス
種類 カトリック教会の修道会
目的 観想生活
ウェブサイト https://www.osb.org/
テンプレートを表示

ベネディクト会(ベネディクトかい、ラテン語: Ordo Sancti Benedicti, 英語: Benedictine Order)は、現代も活動するカトリック教会最古の修道会

概略

529年ヌルシアのベネディクトゥスローマナポリ間のモンテ・カッシーノに創建した[注釈 1]。その戒律は「服従」「清貧」「童貞(純潔)」であった[1]。ベネディクト会士は黒い修道服を着たことから「黒い修道士」とも呼ばれた。

ベネディクトゥスが修道院の生活の規範とした戒律(「聖ベネディクトゥス戒律」)は、12世紀に至るまで西方教会唯一の修道会規であり、フランシスコ会ドミニコ会以後の多くの修道会の会憲・会則のモデルとなった[2]。ベネディクトゥスの妹スコラスティカも、同じ精神を持って生活する女子修道院を開いている。同会の会員は「清貧」「従順」「貞潔」および「定住」の誓願をたて、修道院において、労働と祈りの共同生活を送った。これが観想修道会の基準となった[注釈 2]

モンテ・カッシーノの岩山とベネディクト修道院

同会の伝道範囲・活動範囲は、イタリア半島のみならず現在のイギリスドイツデンマークスカンジナヴィア半島アイスランドスイススペインに及んだ。中世ヨーロッパにおいて、伝道神学歴史記録・自然研究・芸術建築土木のそれぞれにおいて果たした役割は大きい[2]

修道院が広大な領地財産を有するようになった時代、教会刷新をめざしてクリュニー会がベネディクト会の中から派生し、910年、クリュニー改革運動が起きた[2]12世紀中ごろ以降のベネディクト会は、世俗化により衰退した時期もあったが、1400年頃から再び改革運動が起きた[2]。ベネディクト会からはクリュニー会の他にも、カマルドリ会、シトー会厳律シトー会(トラピスト会)など、多くの修道会が派生したが、ベネディクト会そのものも存続し続けている[2]

画像のような荘厳な建物のひとつは、エステ家の枢機卿イッポーリト2世・デステにより1565年ごろから改修工事などが行われ、現代(2001年)において世界遺産に登録されたものまである。

宗教改革時代に修道会は打撃を受け、イギリス、デンマーク、ノルウェースウェーデンの修道院は解散させられ、ドイツでは全体の3分の1を喪失した[2]19世紀初頭には世俗化する西欧各国の動向によりほとんどの修道院が解散もしくは廃止させられたが、その後、1830年頃から次第に復興のきざしがみえ、近代に入って学問研究、典礼運動などを契機に復興を果たし、今日にいたっている[2][3]。日本においては、厳律シトー会に属する北海道北斗市トラピスト修道院でベネディクト会の活動の様態を知ることができる[3]

ベネディクト会出身の人物 

脚注

注釈

  1. ^ モンテ・カッシーノはローマの南東130キロメートルに立地する標高519メートルの岩山である。
  2. ^ ベネディクト会が観想修道会であるのに対し、フランシスコ会・ドミニコ会は托鉢修道会である。

出典

参考文献

  • 日本基督教協議会文書事業部 編『キリスト教大事典』教文館、1963年。ASIN B000JAIAZ8 
    • (改訂新版)キリスト教大事典編集委員会 編『キリスト教大事典』教文館、1985年10月。ISBN 4764240025 
  • 堀米庸三『世界の歴史3 中世ヨーロッパ』中央公論社中公文庫〉、1974年12月。 
  • 赤池憲昭 著「ベネディクト会」、小学館 編『日本大百科全書』小学館〈スーパーニッポニカProfessional Win版〉、2004年2月。 ISBN 4099067459 

関連項目

外部リンク


「ベネディクト会」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ベネディクト会」の関連用語

ベネディクト会のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ベネディクト会のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのベネディクト会 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS