同性愛 文化・宗教における同性愛

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同性愛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/16 04:20 UTC 版)

文化・宗教における同性愛

同性愛に対する文化・宗教の態度は様々である。文化・宗教で同性愛に言及する場合、そのほとんどは男性同性愛への言及であり、女性同性愛についての記述は非常に限られている。

宗教における同性愛

同性愛に対する宗教上の解釈も人や宗派によりさまざまであるが、同性愛をさほどタブー視しない日本に比べ、概ね欧米の伝統的な文化では同性愛は否定的に評価されている。同性愛を表向き禁止している文化・宗教は幾つか存在し、例えば、アブラハムの宗教の中の少なからぬ宗派は同性愛を禁じている。欧米の否定的評価は、この宗教的倫理によるものである。[要検証]

キリスト教の中でも比較的保守的な宗派においては、『コリントの信徒への手紙一』の6章9節、『ローマの信徒への手紙』の1章26-27節などを基に、同性愛を罪であると見做している場合が多い。そのためカトリック教会では、ヨーロッパにおいて中世・近世を経て近代に至るまで、同性愛者に対する厳しい迫害が行われ、多数の者が処刑された。現代では、同性愛は異性愛と同様に神の意思に従った自然な存在であると考える宗派もある。同性間の性的行為についても、容認している教派と許されないとする教派に分かれる[16]。2020年10月21日、カトリック教会の最高位聖職者であるローマ教皇フランシスコは、「彼らは神の子であり、家族になる権利がある」と、同性カップルの法的権利を認めるパートナーシップ制度「シビル・ユニオン」への支持を表明した。

また、イスラム教も教義上は同性愛については否定的な見解を示している信者が少なくない。『クルアーン』の7章80節~81節と26章162節~166節には、預言者ルート聖書ではロト)が男性に性欲を抱く人々を非難する記述がある。これを受けてイスラム国家では同性愛が犯罪として処罰の対象となり、現在でもサウジアラビアイランのように同性愛者を死刑に処する国や地域も存在する。その一方、前近代イスラームにおいて同性間性行為が許容された地域があり、同性間性行為を謡った詩なども多く詠まれている。現代では同性愛差別に反対しているムスリムも存在する[17]。同性愛者やトランスジェンダーのムスリムの団体「アル=ファーティハ財団」がある。

仏教においては、『正法念処経』の十六小地獄で不倫をした者が落ちる地獄、女性の口を使ってみだらな行為をした者が落ちる地獄などと並んで、多苦悩処という男色者が落ちる地獄があると設定されている。迦才の『浄土論』、源信著『往生要集』でも、この多苦悩処について言及されている。

ヒンドゥー教においては、アイヤッパンやアルダーナリシュヴァラのように性の垣根を越えたような神格が登場するものの、地上世界における同性愛には否定的で法典類では罰金が定められている。ただし『マヌ法典』などではカーストからの追放といった厳罰を定めている[18]

日本の宗教である神道は、教祖・教典のない創唱宗教で、これといった戒律はないため、同性愛をタブー視していない。

今日の日本で、一般に向けて強制的に行使すれば、人権侵害テロ行為等の犯罪となるような宗教上の禁止事項に実質的な意味はまったくない[独自研究?]が、禁止や罪となる理由が「聖典に書かれているから」といったものである以上、これにより聖典の信頼性が問われることがある[誰によって?]。現時点では、聖典の作成者、及び作成経緯などを含め、その成立については、各宗派の信者からの推定のみに留まっており、諸説に実証があるというわけではない[要出典]。すなわち、「神」が判断したのではなく、「神」の判断と思い込んだ考え方の異なる複数の人間の判断である可能性が聖典には常に横たわっている。「神」と呼ばれる存在の解釈ひとつをとっても、あらゆる宗派や教義によって多少異なっており、一貫しているわけではない(参考:宗教戦争)。

制度化された同性愛

歴史的には、中世から近世初期にかけての日本の武士や、古代ギリシア古代ローマのように、男性間の同性愛行為が制度化されていたり、公然と行われた文化も存在する。

古代ギリシアでは、制度化されていた少年愛を同性愛として含めると、同性愛は単なる恋愛・性愛のバリエーションの1つだったともいえる[誰によって?]。異性愛との区別自体が無く、同性と肉体関係を持っても同性愛者という概念自体が存在しなかったという[要出典]。当時のギリシアにおける自由民成人男性の性対象は女性、少年、奴隷、外国人のうちどれを選んでもよく、むしろ生涯で片方の性にしか性欲が湧かないことは通常ではないとされていたという[要出典]。但し、制度少年愛における同性愛的関係は、概ね成人男性と思春期前後の少年のあいだで結ばれるもので、これらが集団の結束を強固にする目的があったり、何らかの意味で現代的な同性愛とは異なるものだと指摘する見方[誰によって?]もある。周辺時代に登場する主な史説に、アレクサンドロス3世(大王)のヘファイスティオンとの同性愛関係やユリウス・カエサルスエトニウスによるニコメデス4世との関係などがある。

ニューギニアではサンビアなどメラネシアの幾つかの社会で通過儀礼の一環として男性同士のフェラチオや肛交が定められているという[19]。但し、これは同性どうしの行為という意味では一般的であるが、これが社会的な義務観念であることから、「性愛」ないし「愛情」をともなう同性愛の行為であるとは必ずしもいえない。


  1. ^ ホモセクシャリティとも表記。
  2. ^ ホモセクシャルとも表記。
  3. ^ 欧米の2006年の匿名調査で母数の20%の人が幾分かの同性愛感情を抱いたことを報告しているが、自身を同性愛者としてラベリングしている人は極僅かだった(McConaghy et al., 2006)
  4. ^ : acceptance
  5. ^ 同性カップルに関する認知制度が無いこととは、具体的には異性同士の婚姻者に認められているのと同等の権利がなく、パートナー死亡時にその遺産相続権もないこと。
  6. ^ 国連「性的指向と性自認に基づく差別の撤廃と人権保護の促進を求める」声明に賛同した66ヶ国中アジア圏で賛同した国は日本のみで、先進諸国の中でもアメリカは賛同しなかった(GAY JAPAN NEWS 2008/12/19「国連総会に人権と性的指向・性自認に関する声明提出=日本含む66カ国が賛同」 






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