カトリック教会 信者数、カトリック信徒の分布

カトリック教会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/27 21:31 UTC 版)

信者数、カトリック信徒の分布

人口に占めるカトリック信徒の比率 色が濃くなるほど比率が高い

全世界に存在する(洗礼を受けた)カトリック信徒の総数は12億人に上るとみられている。カトリック信徒は世界中に存在しているが、特に多いのはヨーロッパアメリカ大陸である。2000年度の統計では、南北アメリカに5億2000万人、ヨーロッパに2億8000万人、アフリカに1億3000万人、アジアに1億700万人、オセアニアに800万人である[19]

ヨーロッパでカトリック信徒の多い国は、ラテン諸国といわれる国でフランスイタリアスペインポルトガルアンドラモナコサンマリノ、非ラテン諸国ではオーストリアベルギークロアチアチェコハンガリーアイルランドリトアニアマルタポーランドスロバキアスロベニアルクセンブルクリヒテンシュタインである。ドイツオランダスイスおよび北アイルランドはカトリックとプロテスタントがほぼ同数である。

アメリカ大陸では特に南アメリカに信徒が多く、特に多いのはメキシコブラジルアルゼンチンコロンビアパラグアイである。

アジアではスペイン、ポルトガルの植民地であった歴史的背景からフィリピン東ティモールにカトリック信徒が多い。

活動

典礼・年間行事

ブラジルでのミサにおける教皇ベネディクト16世

カトリック教会の信仰生活の中心にあるのは、聖体祭儀のミサである。ミサの中で信者は聖体の秘跡を受ける(聖体拝領)。主日日曜日[注 12])と守るべき祝日にミサにあずかることは、信徒としての務めであるとされている。

ミサ以外の重要な典礼行為として、「聖務日課」があげられ、修道院などで必ず行われている。これは本来「時課の祈り」という意味で、一日の各時間を祈りをささげることで聖化することが目的である。日課の中で特に重要なのは、ラウズとヴェスパ(ヴェスペレ)と呼ばれる朝の祈りと晩の祈りである。これらに加えていくつかの祈りが一日の中で行われる(かつて九時課、六時課、三時課と呼ばれた)。それ以外に読書課という祈りもあり、そこでは祈りと共に、聖書朗読と聖人伝や古典的な著作が読まれる。聖務日課の中心となるのは旧約聖書の詩編である。

現代のカトリック教会のミサの中では、主日と教会祝日には、福音書朗読と福音以外の聖書朗読が二つ(主に旧約聖書使徒書)の合わせて三つが朗読される。それ以外の平日のミサでは、福音書朗読と福音以外の聖書箇所の二つが朗読される。

秘跡

カトリック教会は伝統的に7つの秘跡サクラメント)を認めている。秘跡とは、神の恵みを実際にもたらす感覚的しるしで、イエス・キリストによって制定され、教会にゆだねられたものである[20]

数字は『カトリック教会のカテキズム』 (CCC) において説明がある箇所の項目番号を表すもので、詳細に関しては各項目の記述あるいは『カトリック教会のカテキズム』の該当箇所を参考のこと。

信徒の役割

神は全てのキリスト者に対して聖性に向かうようにとお呼びかけになった。聖性とは何にもまして神を愛し、神ゆえに人々を愛し、人々に仕えることである。聖パウロは、エフェソの初代のキリスト者(鍛冶屋や店主、家事従業員や料理人、労働者からなる人々など)に、神は「天地創造の前から、私たちを愛され、ご自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと」(エフェソ1,4)、キリストにおいて私たちをお選びになったと保証している。第二バチカン公会議で、「どのような身分と地位にあっても、全てのキリスト者がキリスト教的生活の完成と完全な愛に至るように召されている」(バチカン公会議、『教会憲章』40)と述べられた。

この聖性への普遍的な召し出しの一部として、キリスト者は誰でも、人々に仕え、人々をキリストに近づけるために呼ばれている。 いわゆる「霊的」な仕事に従事している人たちばかりでなく、あらゆる真っ当な世の中の仕事活動に従事している人たちが、キリストの教えを自らの模範言葉で広げていくように呼ばれているのです。神はすべてのキリスト者が「教会の使命の証人、生きる道具となるよう」(『教会憲章』33)招いておられるのである。

「全ての信者は神の救いの計画がどんな時代にも、あらゆる国々のあらゆる人々にまで届くよう働くべき」(『教会憲章』33)であることを、全てのカトリック信者は知るべきである。「自分の毎日の活動を、神との一致の機会、御旨の到達の機会、人々への奉仕の機会、キリストにおける神との交わりに人々を導く機会と見なすよう」(『信徒の召命と使命』17)、神は信徒である男女をお呼びになっている。現代の聖人たちは信徒の信仰生活や使命に関しては次のように語っている:「あなたがキリストを尋ね、キリストに出会い、キリストを愛するように」(聖ホセマリア・エスクリバー『道』382)[22]。同様、 教皇ヨハネ・パウロ二世によると、「信徒は聖性への召し出しに気づき、何よりも拒むことのできない義務としてそれを生きなければ」ならない(『信徒の召命と使命』17)。

司教会議

地域の司教たちは定期的に会合を開いて、さまざまな問題について討議する。これを司教会議シノドス)という。シノドスでは典礼などの問題に関しては決議することが出来るが、特定の司教の処遇に関してなどの決議のためには、有資格司教の3分の2以上の同意と教皇庁の裁可が必要とされている。

現代では従来の聖職者至上主義の修正が図られていて、「神の民の教会論」により、すべての信徒がキリストの祭司職にあずかっていて教会の宣教活動、典礼活動、司牧活動を遂行する者であるとされている。この信徒の使命は「信徒使徒職」と呼ばれている[23]

公会議

カトリック教会では21の公会議に特別な権威を付与している。21の公会議とは年代順に、第1ニカイア公会議第1コンスタンティノポリス公会議エフェソ公会議カルケドン公会議第2コンスタンティノポリス公会議第3コンスタンティノポリス公会議第2ニカイア公会議第4コンスタンティノポリス公会議第1ラテラン公会議第2ラテラン公会議第3ラテラン公会議第4ラテラン公会議第1リヨン公会議第2リヨン公会議ヴィエンヌ公会議コンスタンツ公会議フィレンツェ公会議第5ラテラン公会議トリエント公会議第1バチカン公会議、そして第2バチカン公会議である。

公会議の位置付けはキリスト教各教派によって異なっており、東方正教会ギリシャ正教)では最初の7つの公会議のみを認めており、東方諸教会のうち非カルケドン派では最初の3つのみを認めている。さらにネストリウス派の諸教会(アッシリア東方教会など)は最初の2つしか認めていない。

特に第2バチカン公会議は、現代のカトリック教会の方向性を大きく変えた重要な公会議だったといえる。この公会議を機にカトリック教会は典礼の改革を行い、エキュメニズムの推進を目標に掲げた。カトリック教会は、この第2バチカン公会議において「本人の側に落ち度がないままに、キリストの福音と教会を知らずにいて、なおかつ、誠実な心を持って神を求め、良心の命令を通して認められる神の意志を、恩恵の働きのもとに、行動をもって実践しようと努めている人は、永遠の救いに達することができる」という従来とは異なる見解を示した[24]

教義についての他教派との関係

カトリック教会では、1054年正教会との分裂(東西教会の分裂)や、それよりもはるかに古いエフェソ公会議カルケドン公会議における分裂であっても、実際に分裂の直接の原因となったのは、本質的なことではなく些細な教義論争であると捉えている。それをよく示すのは、1994年11月に発布された『キリスト理解におけるカトリック教会とアッシリア東方教会の共同宣言英語版[25]』である。これはカトリック教会の教皇ヨハネ・パウロ2世アッシリア東方教会総主教マル・ディンハ4世英語版の間で調印された。アッシリア東方教会とカトリック教会の分裂は、431年のエフェソ公会議で争われた「テオトコス論争」という聖母マリアの称号をめぐる論争が原因となっている。これは「神の母」と「キリストの母」という称号のどちらが正しいかということが論議となったものである。『共同宣言』では、「どちらの呼び方も同じ信仰を表明したものであり、両教会は互いの典礼と信心を尊重する」と述べている。

さらに難しいのは正教会との合同問題である。カトリック教会側では、カトリック教会と正教会が合同するためには、教義の問題よりも互いの伝統に関する問題が大きな障害となっていると考えている。たとえば、ローマ教皇の首位権をどう評価するかという問題や、互いの典礼や信心における差異をどう尊重しあうかという問題になっているとする。一方、正教会の側からは、対立はフィリオクェ問題という基本的教義の不一致にあり、首位権や不可謬権の問題もたんなる伝統の問題ではなく教義上の問題と捉えている(アメリカ正教会の研究版新約聖書では、一致の主な障害を、フィリオクエ問題と教皇不可謬権であると指摘している)。また東方側からは十字軍問題や東方布教などのカトリックからの姿勢に対する反発もある。カトリック教会で用いられる「教導権」という言葉は、信徒を教え導く権威のことを示している。この権威は神学者のものではなく、司教たちのものである。カトリックの理解では、人々がある教えを自分勝手に理解すると必ず矛盾や対立が生じることになると考える。ユダヤ人の教育において、指導者がトーラーを声に出して読みながら、覚えさせるという伝統があるが、これはヘブライ語の文章は母音が表記されていないため、さまざまな読み方が可能であったためだが、そこにおいては口伝が文章を確定させる。これがカトリック教会が聖書と同様に聖伝(聖なる伝承)を尊重することのたとえとして用いられる。

カトリック教会とプロテスタントの諸教会との間での教義的な差異は、東方教会よりさらに大きい。プロテスタントは、カトリック教会が使徒本来の教えをゆがめてきたと考えてきた。一方カトリック教会側は、2007年の「教会論のいくつかの側面に関する問いに対する回答」において「16世紀の宗教改革から生まれたキリスト教共同体(プロテスタント)は、使徒継承による司祭職の秘跡を欠くため、カトリックの教えによれば、固有の意味で『教会』と呼ぶことはできない」としている[26]

他方、エキュメニズム(教会合同運動)の進展が皆無というわけではなく、たとえば日本聖書協会によって1987年昭和62年)に刊行された『新共同訳聖書』は、日本におけるカトリック関係者とプロテスタント諸派の関係者らの共同作業によって翻訳され編集されたものである(ただし新共同訳聖書に日本正教会は参加していない)。また日本におけるカトリック教会では、2000年平成12年)2月15日から日本聖公会と同じ「主の祈り」の日本語翻訳が使用されている[27]


注釈

  1. ^ この場合は現在のカトリック教会と正教会を含む。
  2. ^ 東方教会ではこの言葉に由来して、総主教首座主教などが持つ「カトリコス: Catholicos)」という称号がある。
  3. ^ 原典は古代ギリシア語: Εἰς μίαν, ᾱ̔γίαν, καθολικὴν καὶ ἀποστολικὴν Ἐκκλησίαν, ラテン文字化: Eis mian, hagian, katholikēn kai apostolikēn Ekklēsian;現代ギリシア語: Εις μίαν, αγίαν, καθολικήν και αποστολικήν Εκκλησίαν, 発音 [is ˈmian aˈʝian kaθoliˈkin ce apostoliˈkin ekliˈsian]
  4. ^ 西方典礼とほぼ同義語。第2バチカン公会議後の1969年に発布された「新しいミサ」の導入まで、東方典礼カトリック教会を除くローマ・カトリック教会は、ミサなどの典礼を世界中で全てラテン語で行っていた。
  5. ^ 中世には「来世の裁き」の観念が発達し、最後の審判を描く図像には天国の場所に神が裁判官として座し、マリアや聖人たちが仲介者として周りを囲んでいた[8]
  6. ^ 神の母という信仰は、3世紀初めからアレクサンドリアの教父によって行われている。428年ネストリオスはこれに反対し「キリストの母」と呼ぶべきだと唱えて、激しい論争が起こった[9]
  7. ^ マタイによる福音書』の第16章18-19節の箇所にのみ出てくる、ペトロはイエスより天国の管理人に任命されたとされる[10]
  8. ^ これらの教義は1992年に『カトリック教会のカテキズム』(CCC) として教皇庁により編纂され、順次各国語に翻訳されている。これは、いわゆるローマ・カトリック教会だけでなく東方典礼カトリック教会の規範にもなっている。なお、イエズス会フランシスコ会などはローマ・カトリック教会の組織内部の修道会であり、教義(カテキズム)については同じであるため、「イエズス会派」「フランシスコ教団」などと呼んだりプロテスタントの各教派と同列に扱うのは誤りである。
  9. ^ 教皇#地位と権威参照。
  10. ^ 中世には「来世の裁き」の観念が発達し、最後の審判を描く図像には天国の場所に神が裁判官として座し、マリアや聖人たちが仲介者として周りを囲んでいた[14]
  11. ^ マタイによる福音書』の第16章18-19節にある「天国の鍵」の記述の中で、ペトロが天国の管理人をするところの教会を、イエスは「自分の教会」と言ったという記述がある[15]
  12. ^ 主日のミサは、日曜日だけでなく前日の土曜日の夜のミサも含む。
  13. ^ カトリック教会では、聖母マリアや諸聖人を神として敬っているわけではないため、「マリア崇拝」等と称するのは誤りである。
  14. ^ ガリレオは、ニコラウス・コペルニクスヨハネス・ケプラーアイザック・ニュートンと並び、科学革命の中心人物とされている。

出典

  1. ^ 八木谷涼子 『なんでもわかるキリスト教大事典』p.58、朝日新聞出版 ISBN 9784022617217
  2. ^ DOGMATIC CONSTITUTION ON THE CHURCH LUMEN GENTIUM The Holy See(バチカン公式サイト)
  3. ^ 小高毅 よくわかるカトリック-その信仰と魅力 教文館 2002.15.May p.10
  4. ^ “教会への愛、教会における責任”. http://opusdei.org/ja-jp/article/kyoukaiheno-ai/ 2018年4月10日閲覧。 
  5. ^ Paul Kwong; Philip L. Wickeri (2015), “Chapter18: Sheng Kung Hui - The Contextualization of Anglicanism in Hong Kong”, in Mark David Chapman; Sathianathan Clarke; Martyn Percy, The Oxford Handbook of Anglican Studies, Oxford University Press, ISBN 978-0198783022, https://books.google.co.jp/books?id=JijYCgAAQBAJ&pg=PA256&lpg=PA256&dq=literally+means+%22Holy+Catholic+Church%22+in+Chinese.+It+was+the+Chinese+name+used+in+the+Church+since+mid-nineteenth+century&source=bl&ots=8gq7rvDwB9&sig=ACfU3U2Pv9lLiztONzx1h4nsc6A8QOKuIw&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwivgYWBtNDyAhVIE6YKHWdGD1AQ6AF6BAgREAM#v=onepage&q&f=false (英語)
  6. ^ An Introduction to the Christian Orthodox Churches, By John Binns, page 28 [1]
  7. ^ 小高毅『よくわかるカトリック-その信仰と魅力』(教文館 2002年(平成14年)5月15日)p.10
  8. ^ 岩波キリスト教辞典、P.779
  9. ^ 岩波キリスト教辞典、P.767
  10. ^ 岩波新約聖書2004年P131
  11. ^ 偶有性とは - コトバンク”. 2021年8月10日閲覧。
  12. ^ 全実体変化”. 護教の盾 (2014年5月2日). 2021年8月10日閲覧。
  13. ^ カトリック教会のカテキズム』194,195 (p65) ISBN 4877501010
  14. ^ 岩波キリスト教辞典P779 天国の項目 安發和彰
  15. ^ 岩波新約聖書2004年平成16年)、P.131
  16. ^ 『カトリック教会のカテキズム 要約(コンペンディウム)』175頁
  17. ^ 東京大司教区に補佐司教任命”. カトリック中央協議会 (2004年12月2日). 2005年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月17日閲覧。
  18. ^ 『カトリック教会の教え』251-254頁
  19. ^ ANNUARIUM STATISTICUM ECCLESIAE: Published for 2000”. 2015年9月4日閲覧。
  20. ^ カトリック教会のカテキズムより。(『カトリック教会のカテキズム 要約(コンペンディウム)』137頁、カトリック中央協議会 ISBN 978-4-87750-153-2
  21. ^ “結婚の神秘”. http://opusdei.org/ja-jp/document/kekkonno-shinpi/ 2018年4月6日閲覧。 
  22. ^ “オプス・デイへの召し出し”. http://opusdei.org/ja-jp/article/opusudeiheno-meshidashi/ 2018年4月6日閲覧。 
  23. ^ 『カトリック教会の教え』252頁
  24. ^ クリスチャン神父のQ&A - カトリック松原教会 - 2014年(平成26年)10月31日閲覧
  25. ^ COMMON CHRISTOLOGICAL DECLARATION BETWEEN THE CATHOLIC CHURCH AND THE ASSYRIAN CHURCH OF THE EAST The Holy See(バチカン公式サイト)
  26. ^ 教皇庁教理省 (2007年6月29日). “教会論のいくつかの側面に関する問いに対する回答”. カトリック中央協議会. 2013年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月17日閲覧。
  27. ^ 主の祈り 日本聖公会/ローマ・カトリック教会共通口語訳”. カトリック中央協議会. 2012年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月17日閲覧。






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