藩とは? わかりやすく解説

はん【藩】

読み方:はん

常用漢字] [音]ハン(漢)

まがき。垣根。「藩屏(はんぺい)・藩籬(はんり)」

垣根のように王室を守る諸侯。「藩翰(はんかん)」

江戸時代大名領地統治機構。「藩士藩主小藩親藩脱藩廃藩雄藩列藩

名のり]かき


はん【藩】

読み方:はん

江戸時代大名支配した領域およびその統治機構。「長州—」

明治元年1868維新政府旧幕府領に府・県置いたのに対し、旧大名領をさす公称


読み方:ハンhan

江戸時代大名領域および支配機構


読み方
はん
ばん
まがき

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/13 09:50 UTC 版)

(はん)は、諸侯が治める領地、およびその統治組織のことである。


注釈

  1. ^ 既に詩経春秋左氏伝に用例がある。
  2. ^ 江戸時代においても、書籍等における通称的用法として、薩摩藩を扱った『麑藩名勝考』(1795年)や『薩藩名勝志』(1806年)、広島藩を扱った『芸藩通志』(1806年)などが見られる。
  3. ^ a b 将軍家より松平姓を賜っている。「松平氏#外様大名」参照。

出典

  1. ^ 漢字学者の白川静によると、「藩」という漢字の意味は「説文解字」では「屏なり」といい、藩屏(原義は垣根)を巡らして帝王を守護するように地方の属国を藩と呼んだのだという。例えば春秋左氏伝では「昔、武王、商に克つ。成王之を定め、明徳を選び建てて、以って周に藩屏とす」とあるという。白川「字通」平凡社、1298ページ
  2. ^ 例えば漢書・諸侯王表には「藩国の大なるものは、州に跨がり郡を兼ね、連城数百、宮室百官、制を京師に同じうす」とある。白川「字通」平凡社、1299ページ
  3. ^ 元来は「国の藩屏となる諸侯」の意味であった。白川「字通」平凡社、1299ページ
  4. ^ 『三百藩藩主人名事典』(新人物往来社)のように豊臣政権期にあたる関ヶ原の戦い当時に存在していた大名の領域およびその支配機構に対しても「藩」を用いている文献もある。更に遡って、江戸期まで存続した織田政権期の大名の支配機構についても「藩」を用いる文献がある。例えば、別所氏の但馬八木藩は1585年立藩であるが、立藩以前の1580年に自刃した別所家当主別所長治についても「藩主長治の(辞世は)『今はただうらみもあらじ諸人のいのちにかはる我が身と思えば』という一首であって一命にかえて藩民を救う切々とした訴えが胸を打つ」という用例がある(橋本哲二「新西国巡礼の寺」保育社)。また、1922年編纂の「青森県史」では青森県の歴史を「藩政時代以前」「藩政時代」「近世時代」の三年代に分け、津軽藩政時代として「元亀天正中、津軽為信蹶起し郡中を統一して以来」とし、津軽為信が家督を継いだ永禄10年(1567年)を以って「藩政時代」の記述の初めとしている。ただしこれは津軽藩立藩(1590年)以前の史料が極めて少なかったためであると青森県史編纂委員は序文で断っており、織田信長上洛以前の戦国大名を「藩」と称することは殆ど無い。
  5. ^ 『近世国家史の成立』藤野保著、2002年、吉川弘文館・『津藩』深谷克己著、2002年、吉川弘文館など
  6. ^ 『譜代大名の創出と幕藩体制』小宮山敏和著、2015年、吉川弘文館、P15より引用
  7. ^ a b c 目で見る 毛利家あれこれ 〜毛利博物館収蔵資料と歴史ばなし〜第254回 - 毛利博物館館長代理 柴原直樹(ほっぷ 2015年8月7日号 - 地域情報新聞社)
  8. ^ 例えば、毛利博物館に所蔵されている毛利敬親宛の任命書には「山口藩知事」と明記されている。
  9. ^ 森谷秀亮, 「明治初年における府藩県」駒沢史学, (14), 1-21 (1967).
  10. ^ a b 『江戸幕府崩壊論』藤野保著、2008年、塙書房


「藩」の続きの解説一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 04:58 UTC 版)

専売制」の記事における「藩」の解説

財政窮乏打開するために商品生産を藩が保護奨励し、藩営の国産会所物産会所)を設けて買い上げ販売請負商人などに独占させ、その利潤を藩の収入充当した江戸時代初期ら行われた。仙台藩加賀藩の塩、盛岡藩紫根会津藩米沢藩の漆漆の実原料にした)などがある。 江戸時代中期以降になると、藩政改革一環として採用された。大坂江戸などの中央市場での米価低下深刻化し新田開発による耕地増大年貢増徴による収入増加頭打ちとなった。そのために年貢米以外の収入源開発育成急務となったからである。最も多いのは紙の専売である。長州藩岩国藩徳山藩津和野藩松江藩広島藩宇和島藩土佐藩水戸藩などで実施された。東北地方諸藩の漆・漆西南諸藩染料用材)・櫨の実原料にした)、姫路藩木綿徳島藩薩摩藩砂糖などがある。この他真鍮などの金属石炭繰綿綿花から綿実除去したもの)・木綿生糸などの衣料原料、青せいえんあおむしろ、七島藺作る畳)、タバコなどの嗜好品対象となる場合もあった。 しかし、多く場合領民への作物強制的な生産割当安価な価格による強制買上につながった事から、専売制反対する一揆各地起こっている。

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 13:42 UTC 版)

版籍奉還」の記事における「藩」の解説

「藩」というと幕藩体制」の語にみられるように江戸幕府の下での制度だと思われがちであるが、実際に江戸時代には公式には「藩」という語で大名領地を呼ぶことはなかった。「藩」は一部学者などが書物などで使用するのみの語だったのである幕末になると大名のことを中国式に「諸侯」と呼ぶことが一般化する。それとともに大名領地中国式に「藩」と俗称することが増えていった。それでも「藩」という語が行政区の名称として公式に使用されたのは明治維新後のことで、廃藩置県で藩が消滅するまでのわずか2年程度のことだった。

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 01:51 UTC 版)

山川」の記事における「藩」の解説

山川藩 - 下野国足利郡山川現在の栃木県足利市山川町にあった藩。 下総山川藩 - 下総国現在の茨城県結城市にあった藩。

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 07:24 UTC 版)

勘定所」の記事における「藩」の解説

諸藩にも勘定所存在し幕府勘定所同じく、藩の財政租税徴収などの職務担当していた。勘定所最高責任者勘定奉行であり、藩の財政関わる重職のため、藩内でも比較家格の高い上士任じられた。また、奉行配下には勘定方役人がおり、実務当たっていた。 昭和期実業家工学者である団琢磨養父である団尚静は福岡藩勘定奉行であった

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