さば‐がわ〔‐がは〕【佐波川】
佐波川
佐波川は、その源を山口・島根県境の三ツヶ峰(標高970m)に発し、山間峡谷部を流れ、野谷川、三谷川、島地川等の支川を合わせ、その後、防府市市街地北部を流れ、周防灘に注ぐ、幹川流路延長56km、流域面積460km2の一級河川です。 |
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防府市上空から佐波川を望む |
河川概要 |
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1.佐波川の歴史 |
"東大寺再建用木材を運搬するために、俊乗房重源は、佐波川の川筋を広げ、水をせきとめて水路を造りましたが、これが「関水(せきみず)」とよばれるもので、佐波川に118箇所造ったと伝えられています。" |
2.地域の中の佐波川 |
"下流域では、高水敷及び駐車場が整備されおり車でのアクセスも容易で、天候の良い日には、周辺住民の憩いの場として親しまれています。 また、毎年6月には「佐波川ホタルの夕べ」というイベントが開催されています。 農業用水として分流される用水路は生活用水としても長い間利用されてきました。" |
佐波川の高水敷には、河川利用施設として公園3箇所、運動場3箇所、サイクリングロード2箇所、その他に遊歩道が整備されています。 新橋から総合堰の間は「ホタルの広場」(自然にふれあい、ふるさとの川の象徴となるホタルの飛びかう広場)として、ホタル川、親水・生態系保全護岸、多自然型護岸等が整備されており、また、高水敷及び駐車場が整備されていることから、車での利用も容易です。 毎年6月には「ホタルの広場」を利用して「佐波川ホタルの夕べ」というイベントが開催されます。その他にも春季・夏季の天候の良い日には、高水敷のバーベキューや、水遊びが盛んで、また、犬の散歩やウォーキング等で高水敷利用されるなど、周辺住民の憩いの場として親しまれています。さらに、河口付近では潮干狩りが多く見受けられます。
佐波川には、本川の上流に「佐波川ダム(1956年完成:大原湖)」と、支川の島地川上流に「島地川ダム(1981年完成:高瀬湖)」の2つのダムがありますが、湖畔に整備された、公園やオートキャンプ場の周辺では、釣りや水遊び、デイキャンプ等に多くの方が利用されています。 島地川上流にある高瀬峡では、渓谷に沿って、2.2kmの自然遊歩道が整備されており、四季を通じて自然の美しさを楽しめます。
農業用水として佐波川から分水される用水路は、私たちの生活の水としても長い間、利用されてきました。防府総合用水堰から分水される用水に、宮市を流れる迫戸(せばと)川がありますが、つい30年頃前までは、この水も洗面に炊事に風呂にと、暮らしにかかせない水として利用されました。その水を汲む場所として、各家庭にあったのが、汲地(くみぢ)です。
水辺でホタルが舞い、子どもたちが泳いだ川は、私たちの暮らしとともにあった佐波川といえます。 |
3.佐波川の自然環境 |
"上流域の滑山国有林と藤ヶ谷国有林が古くから美林をほこっていました。清流に恵まれて、草木におおわれ、ゲンジボタルがとびかい、アユ漁もさかんで、鳥や魚たちの憩いの場になっています。" |
佐波川は、山口県のほぼ中央部に位置しており、流域の自然環境は、上流域の滑山国有林と藤ヶ谷国有林が古くから杣木として東大寺の再建用材にされるなど美林をほこっていました。現在でも一部は、学術参考林として保護されるなど、豊かな自然環境がのこっています。また、河川内ではゲンジボタル等が生息する他、カモ類の飛来も多く、また魚類も豊かでアユ釣り等がさかんに行われているなど良好な生物環境となっています。
植生としては、河口付近の砂浜が形成されており、ナガミノオニシバやシオクグ及びヨシが群落がみられます。河口から2~7km付近では、低水敷や中州にヤナギ林が発達し、川の流れが緩やかな水際ではミゾソバやミクリが、低水敷きが広い区間では、アレチハナガサ等の群落が分布しています。 中流域では流路が狭くツルヨシやオギの群落がみられます。河口より15.5km付近左岸の広大な砂州中心部には、モウソウチク林やマダケ林、コウライヤナギの群落が広がっています。
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4.佐波川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
佐波川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/17 15:55 UTC 版)
佐波川 | |
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佐波川下流、防府市植松にて
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水系 | 一級水系 佐波川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 57 km |
平均流量 | 8.3 m3/s (新橋観測所 2000年) |
流域面積 | 423 km2 |
水源 | 三ヶ峰(山口県) |
水源の標高 | 969 m |
河口・合流先 | 周防灘(山口県) |
流域 | ![]() |
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佐波川(さばがわ)は、山口県中部を流れる佐波川水系の本流で、一級河川である。鯖川とも呼ばれる。
概要
佐波川は、山口県の中央部をほぼ南流する川。島根県境に位置する周防山地の三ヶ峰に発して、大原湖(佐波川ダム)を経てさらに南流し、中国自動車道と交差してからは南西流に転じ、防府市街北西部をよぎったのち周防灘(大海湾)に注いでいる。流域の地方公共団体は、防府市、山口市、周南市。
名前の由来
佐波川の名の由来は諸説がある。
- 国土交通省の紹介では、12世紀末に重源が東大寺再建のための材木を伐採するために、佐波川上流の奥地(現在の滑山国有林[1]など)に来ていたが、職人や人夫の中には奈良から来た者もあった。ある日、これらの者たちが戯れに「故郷を離れて一度も魚を食べていないので、これでは精がつきません」というと、重源は側にあった木片に「鯖」の字を書き込んで、加持祈祷し池の中に投げ込むと、木片は鯖となり、とって食べてみると本当の鯖であった。また、同じように近くの川に投げ込むとたちまち鯖になったので、この川を「さばがわ」と呼ぶようになったという伝説がある[2]。
- 佐波川に隣接する防府市天神山の北西にある白坂公園の説明板によると、神功皇后が桑山に登って四方を眺めていた時に発した「さばけた」の言葉に由来するという伝説が仁井令八幡宮(現桑山八幡宮)縁起に書かれている[3]。
- 同じく白坂公園の説明板によると、この川では多く獲れる鯖が周防国の特産品になっていたことに由来する。
自然
毎年3月頃はアマゴ釣りが、6月頃にアユ釣りが解禁され、大勢の釣り人で賑わう。また、ヤマメ、オイカワ、ムギツク、スナヤツメ、アカザ、オヤニラミなどの生息も確認されているほか、河口付近では4月頃からはアサリやハマグリなどの潮干狩りも行える。
初夏にはゲンジボタル[4]の姿を見ることもでき、毎年6月前後に防府市内の河川敷にあるホタル広場で「佐波川ホタルの夕べ」というイベントが催される[5](このイベントでは合唱組曲佐波川を歌う会[6]によって組曲「佐波川」が合唱される)。
「佐波川蛍の川」で、昭和61年度手づくり郷土賞(ふれあいの水辺)受賞[7]。「佐波川の新しい空間 そして未来へ! ~小野水辺の楽校~」で令和元年度手づくり郷土賞受賞[7]。
洪水
古来より佐波川は何度も洪水を起こしており、重源が木材運搬のために118箇所築いたとされる関水(堰)も、殆どが洪水被害により失われている。近代で特に大きな被害を出した洪水としては、国土交通省の佐波川水系河川整備基本方針が、1918年(大正7年)7月の台風により各地で堤防が決壊して3,451戸が浸水した洪水と、1951年(昭和26年)7月に梅雨前線豪雨により堤防17ヶ所が決壊して浸水家屋3,397戸に及んだ洪水を挙げている[9][10]。ただし、1972年(昭和47年)昭和47年7月豪雨災害以降は、河川氾濫による浸水被害は出ていない[11]。
主な支流
並行する交通
鉄道
かつて防石鉄道が防府駅 - 堀駅で並行していたが、1964年(昭和39年)に廃止された。
道路
- 国道489号(山口市徳地堀以北)
- 山口県道24号防府徳地線(山口市徳地堀以南の右岸)
- 山口県道184号三田尻港徳地線(山口市徳地堀以南の左岸・元防石鉄道跡)
- 山口県道503号佐波川自転車道線(山口市徳地堀以南の左岸・自転車道)
- 国道2号防府バイパス(防府市右田以南の右岸)
その他、佐波川と交差している山陽自動車道には、佐波川サービスエリアが建設されている。
CM
佐波川はテレビコマーシャルのロケ地として使われることがある。
いずれも過去に放送されたもので現在は放送されていない。
脚注
- ^ 滑山風景林(山口市徳地) - 近畿中国森林管理局
- ^ “日本の川 - 中国 - 佐波川 - 国土交通省水管理・国土保全局”. www.mlit.go.jp. 2019年9月7日閲覧。
- ^ 防長風土注進案(江戸時代に長州藩の命により周防国・長門国2ヶ国の記録や伝承をとりまとめたもの)からの出典
- ^ 地元中学校(防府市立右田中学校)による幼虫の放流も行われ続けている。
- ^ ホタルの夕べ実行委員会
- ^ 「合唱組曲佐波川」を歌う会
- ^ a b 手づくり郷土賞>これまでの受賞一覧>山口県 国土交通省
- ^ 幅3m・延長46mの石畳水路を作り直径1.6mに及ぶ巨木を流したと言われる。近世までは「舟通し」と呼ばれて佐波川通船に利用された。「佐波川関水」の名称で国の史跡に指定。
- ^ 佐波川水系河川整備基本計画
- ^ 佐波川水系河川整備基本方針 平成18年9月21日(PDF)
- ^ 防府/防災ネットワーク推進会議 概要(PDF) - NPO法人ぼうぼうネット[1]
外部リンク
- 佐波川 - 国土交通省
- 県中央部の発展をささえる 佐波川 - 中国地方整備局
- 佐波川概要・改修事業 - 中国地方整備局山口河川国道事務所
- 佐波川源流の山「三ガ峰(969.6m)」へ
- 佐波川漁業協同組合
固有名詞の分類
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