こく
こく【克】
こく【刻】
読み方:こく
[音]コク(呉)(漢) [訓]きざむ
1 刃物で切れ目を入れる。きざむ。「刻印/印刻・陰刻・彫刻・篆刻(てんこく)」
5 時間。「刻限・刻刻/一刻・時刻・先刻・即刻・遅刻・定刻・夕刻」
[名のり]とき
こく【刻】
読み方:こく
1 きざむこと。彫りつけること。
2 (「剋」とも書く)旧暦の時間および時刻の単位。漏刻の漏壺(ろうこ)内の箭(や)に刻んである目盛りから。
㋑一昼夜を100等分した一。1日を一二時(とき)とし、日の長短によって差はあるが、平均して一時は8刻3分の1にあたる。春分・秋分は昼夜各50刻、冬至は昼40刻で夜60刻、夏至はその逆となる。
㋒一昼夜を12等分した一。午前零時を子(ね)の刻とし、以下順次丑(うし)の刻、寅(とら)の刻のように十二支に配する。時(とき)ともいう。1刻をさらに四つに分け、丑三つなどといい、また、1刻を上・中・下に3分し、寅の上刻、寅の下刻などの言い方をする。不定時法の場合は、昼(夜明けから日暮れまで)と夜(日暮れから夜明けまで)をそれぞれ6等分する。季節によって昼夜の長さが異なるため、昼と夜で一刻の長さが異なる。
こく【刻】
こく【×剋】
こ‐く【古句】
こく【告】
こく【×哭】
こく【国〔國〕】
読み方:こく
[音]コク(呉)(漢) [訓]くに
〈コク〉
1 くに。「国家・国際・国産・国政・国民・国立/王国・外国・帰国・挙国・建国・諸国・全国・祖国・他国・大国・万国・亡国」
[補説] 「圀」は異体字。
[名のり]とき
こ・く【▽扱く】
読み方:こく
[動カ五(四)]
1 細長い本体に付いている物を手や物の間に挟んで引っぱり、こすり落とす。しごく。「稲を—・く」
「両手に穿(は)めたミット入の黒の長手袋を—・きあげる」〈風葉・青春〉
3 「扱(こ)ぐ」に同じ。
こ・く【▽放く】
読み方:こく
[動カ五(四)]
1 からだの外に放出する。ひる。「屁(へ)を—・く」
2 ものを言うのを卑しみ、また乱暴にいう語。ほざく。ぬかす。「うそを—・くな」
こ・く【▽痩く】
こく【石】
読み方:こく
⇒せき
こく【石/×斛】
こく【穀】
こく【穀】
こく【谷】
こ・く【▽転く/▽倒く】
こく【×轂】
こく【×轂】
こく【酷】
こく【酷】
こく【×鵠】
こく【×鵠】
こく【黒】
こく
こく
倒く、転く、痩く
濃く
・・こく
谷
姓 | 読み方 |
---|---|
谷 | こく |
コク味
コク味(コクみ)、コクとは、食に対する感覚の一種である。
コクの定義
甘味・うま味・苦味・塩味・酸味の五基本味のほかにある第六の味覚である。
コク味研究会の会長である西村敏英は、「味、香り、食感に関する多様な刺激の複雑さ(深み)によって形成され、それらの刺激に広がりや持続性が感じられる現象」と定義している[1]。
具体的には、食材に含まれるタンパク質が発酵や熟成、長時間の加熱(煮込む)などされる事で構成要素であるアミノ酸の鎖状結合がさらに細かいペプタイド(ペプチド)へと分解され、それらがメイラード反応(調理反応)を経ることで「こく味」を生み出す[2]。濃厚感や後味の持続性をもたらすのが特徴で、さらに食材が持つ香りや食感などが加わることで複雑な味の広がりをもたらす[3]。「おいしい」と感じられる食品の中にも、果実などコク味の少ないものもあり、「おいしさ」とコク味は必ずしも同義ではない。主観的評価である「おいしさ」に対し、「コク」は客観的評価に基づく数値化が可能である[4]。一般に好ましい感覚として捉えられ、転じて「コクのある演技」「人生のコクを感じる」などといった使い方もされる[5]。
コクの歴史と研究
「濃く」あるいは中国で穀物が熟したことを表す「酷」が語源であると考えられる[4]。古くから使われてきた言葉であるが、科学的な見地から顧みられたのは比較的最近である。味の素社の研究チームは、1990年にアリインやS-propenyl-L-cysteine sulfoxide(PeCSO)などの有機硫黄化合物がうま味溶液に対して厚み、持続性、広がりを付与することを報告した[6]。
調味料メーカーでは、酵母を使って材料のタンパク質をペプタイド化し、その後調理反応(メイラード化)を加えることでこく味を生み出すメイラードペプタイドへと変化させ、調味料として製造している。[7]
2002年には、東京・永田町の星陵会館で、「食べ物のおいしさと"こく"」をテーマにしたシンポジウムが開催された[8]。
食品化学者の伏木亨は、2005年の著書で糖・脂肪・出汁のうま味の3要素からなる「コアのコク」[9]、香りや風味、食感からなる「第2層のコク」[10]、味わう側の修練を要する精神性のコクを「第3層のコク」として提唱した[11]。
2012年の日本農芸化学会大会では、味の素社の研究チームがカルシウム感知受容体(CaSR)がコク味受容機構において重要な役割を果たしていることを発表し[12]、この受容体に作用するトリペプチドが調味料メーカーにより開発されている[13]。
コク味物質
グルタチオンは味細胞中のカルシウム感知受容体と反応し、うま味・塩味・甘味の濃厚感や広がりを強める作用が報告された。グルタミルバリルグリシンは、グルタチオンに比べこの活性が約10倍あることが明らかになり[13]、調味料として応用されている。
味覚の面でコクを付与する物質には、うま味や甘味などの基本味をもつもののほか、それ自体は味を持たないものの他の味を修飾する物質としてグルタチオンやグルタミルバリルグリシン、メイラードペプチド、アリイン、PeCSOなどがある。嗅覚の面でコクをもたらすものにはピラジン類や2-アセチルフラン、2-エチルヘキサノールがあり、香りを修飾する物質として油脂も重要である[4]。とろみをはじめとする食感、温度など物理的刺激もコクに寄与する[14]。食感においてコクを付与するものには油脂やゼラチン、デキストリン、β-グルカンなどがある[4]。
チーズや食肉などは、熟成することで生じる遊離アミノ酸やペプチドによりコクが増す。カレーにインスタントコーヒーの苦みを加えるなど、味質の異なる隠し味を使用することにより複雑さが生まれ、コクにつながる[4]。コーヒーにコーヒーフレッシュ類を入れる際にかき混ぜすぎないなど、成分を不均一にすることにより時間的・空間的な広がりが生まれ、コクを感じると考えられる[15]。
脚注
- ^ “味覚科学者たちの長月”. NewsPicks (2024年9月28日). 2025年3月20日閲覧。
- ^ “驚異! 生物たちのスーパーセンサー (8) 味 - SCIENCE CHANNEL”. 科学技術振興機構(JST). 2013年11月18日閲覧。
- ^ “ビールの味の表現で使われる「コク」と「キレ」とは?~先味、中味、後味の観点から考えてみる~”. 日本味覚協会 (2017年5月28日). 2019年3月9日閲覧。
- ^ a b c d e (西村 2016)
- ^ (伏木 2005, p. 142)
- ^ 西村 敏英、江草 愛. “食べ物のおいしさを引き出す「こく」の定義と寄与成分”. 太陽化学 学術コラム. 2019年3月9日閲覧。
- ^ “こく味調味料MP-300/MP-310 | 製品情報 | 三菱商事ライフサイエンスの「味な話」”. 三菱商事ライフサイエンス. 2022年11月14日閲覧。
- ^ “うま味研究会シンポジウム:食べ物のおいしさと"こく"(東京)”. うま味研究会 (2002年5月24日). 2019年3月9日閲覧。
- ^ (伏木 2005, pp. 99–100)
- ^ (伏木 2005, pp. 134–141)
- ^ (伏木 2005, pp. 141–144)
- ^ “2012年度大会講演要旨集”. 日本農芸化学会 (2012年). 2019年3月11日閲覧。(リンク先pdf p551)
- ^ a b “日本農芸化学会 2012年度大会トピックス賞 発表番号:2J16p09 「コク味」を有する新規γグルタミルペプチドの創出” (PDF). 日本農芸化学会 (2012年). 2019年3月11日閲覧。
- ^ (伏木 2005, pp. 42–45)
- ^ (伏木 2005, pp. 45–47)
参考文献
- 伏木亨『コクと旨味の秘密』新潮社(新潮新書)、2005年。ISBN 978-4-10-610135-9。
- 西村 敏英、江草 愛「食べ物の「こく」を科学するその現状と展望」『化学と生物』第54巻第2号、日本農芸化学会、2016年1月20日、102-108頁、2019年3月9日閲覧。
こく
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 20:13 UTC 版)
(1)言う、(2)打つ・叩く・殴る。例.頭を こかれて こぶか° できた(3)脱穀する
※この「こく」の解説は、「上伊那地域の方言」の解説の一部です。
「こく」を含む「上伊那地域の方言」の記事については、「上伊那地域の方言」の概要を参照ください。
こく
出典:『Wiktionary』 (2021/09/17 10:31 UTC 版)
名詞
こく
動詞: 語義1
こく
活用
動詞: 語義2
こく【扱く】
活用
複合語
関連語
- しごく
- こきおろす
翻訳
- 英語: thresh (en)
同音異義語
- 【石】 - 尺貫法における、容積の単位。10斗。
- 【告】- 文書の先頭において、文書が通告であることを表す。
- 【酷】- 状況が過酷なこと。扱いがひどいこと。
- 【古句】 - 古くから伝わる、詩句、警句の類。または、古い俳句。
動詞
- こける。
「こく」の例文・使い方・用例・文例
- こくのある芳醇なシェリー酒
- 彼らはしつこく要求した
- このスープは味がしつこくて私の口に合わない。
- 彼女はしつこく私に金をせびった。
- 彼は彼女にしつこく交際を求める。
- うんこくせえぞ!
- 黒田小学校では決められた時こくに集まって、集団登校します。
- 会場に着くと早速担当者が「この絵は将来必ず値が上がる。 」などとしつこく言われ、契約書にサインしてしまった。
- 幼稚な説得とは、人をしつこく、そそのかしていた。
- 彼らは金をくれとしつこく親にねだる。
- 彼らはしつこく要求した。
- 彼は僕に即答をしつこく求めた。
- 彼は彼女に医者を呼んでくれとしつこく求めた。
- 彼は対立を引き起こそうと、わざとしつこくした。
- 彼はとても人なつっこく見えるが、それでも私は彼を疑い続ける。
- 彼はしつこく退職を迫られました。
- 全く黙りこくって座っていた。
- 車を一台買って下さいよとそのセールスマンは私にしつこく言った。
- 私の机の上の電話がしつこく大きな音をたてて鳴った。
- わがぐんはそのおうこくを襲った。
こくと同じ種類の言葉
品詞の分類
- >> 「こく」を含む用語の索引
- こくのページへのリンク