模様
模様の意味
模様とは、物の表面にあらわれる図形、形、色の繰り返しや配置を指す言葉である。布、紙、器、建築、壁面などに見られる装飾的なパターンを意味することが多く、見た目の印象を決める重要な要素として使われる。 単なる飾りにとどまらず、模様には季節感、地域性、身分、願い、縁起といった意味が込められることもある。そのため、模様は視覚的な美しさを生むだけでなく、文化や価値観を映す表現でもある。模様と文様の違い
模様は広い意味を持つ一般的な言葉で、日常的な柄やパターン全般を指して使われる。服の水玉模様、壁紙の花模様、動物の体表に見られる斑模様なども、すべて模様に含まれる。 一方で文様は、より意匠性や伝統性を帯びた表現として使われやすい。とくに工芸、染織、建築、古典意匠の分野では、意味や由来を持つ伝統的な図柄を文様と呼ぶことが多い。日常語としては模様のほうが広く、文様はやや専門的で文化的な響きを持つ言葉である。模様の種類
模様には、縞模様、格子模様、水玉模様、花柄、唐草模様、幾何学模様など、さまざまな種類がある。線を繰り返したもの、点を並べたもの、植物や動物を図案化したものなど、形の作り方によって印象は大きく変わる。 また、自然をもとにした模様と、抽象的な模様でも性格が異なる。自然の形を思わせる模様はやわらかく親しみやすく見えやすいのに対し、直線や反復を中心にした模様は、整然とした印象や現代的な印象を与えやすい。日本の伝統的な模様
日本の伝統的な模様には、青海波、麻の葉、七宝、市松、亀甲、矢絣、唐草などがある。これらは着物、帯、器、屏風、建具、和紙などに広く使われてきた意匠であり、見た目の美しさだけでなく、吉祥や願いを託す意味を持つものも多い。 たとえば青海波は穏やかな波が広がる形から平穏な暮らしや未来への広がりを連想させ、麻の葉はまっすぐ育つ麻にちなみ、子どもの健やかな成長を願う柄として親しまれてきた。日本の模様は、単なる装飾ではなく、暮らしと祈りが結びついたデザインでもある。模様の歴史
模様の歴史は古く、人は古代から衣服、土器、建物、道具に模様を施してきた。模様は美しさのためだけではなく、所属、信仰、権威、魔除けなどを示す役割も担っていた。地域や時代ごとに素材や技法が異なるため、模様の形にもそれぞれの文化の特徴が表れやすい。 日本でも、古代から染織や工芸に多くの模様が用いられ、平安時代以降は貴族文化や装束の中で洗練されていった。その後も武家文化、町人文化、民芸の中で模様は発展し、現代のファッションや雑貨にも受け継がれている。模様の役割
模様は、物の表面を美しく見せるだけでなく、印象を変え、意味を付け加え、個性を際立たせる役割を持つ。無地では単調に見えるものでも、模様が加わることで華やかさ、上品さ、可愛らしさ、力強さなどが生まれる。 また、模様は見る人に記憶されやすい。ブランド、衣装、インテリア、建築空間などでは、特徴的な模様がそのままイメージの核になることがある。視覚的な装飾であると同時に、雰囲気や世界観を伝える手段でもある。模様の作り方
模様は、同じ形を繰り返したり、一定の規則で並べたり、自然の形を簡略化して図案化したりすることで作られる。手描き、版画、染色、刺繍、織り、スタンプ、デジタルデザインなど、作り方は幅広い。 身近な方法では、丸や線や三角形など簡単な形を反復するだけでも模様になる。規則正しく並べれば整った印象になり、不規則に配置すれば動きのある印象になる。模様作りでは、形そのものだけでなく、間隔、向き、余白、色の組み合わせも重要である。模様の使われ方
模様は、衣服、インテリア、雑貨、建築、工芸、広告、パッケージなど、あらゆる場面で使われている。衣服では、その人の好みや雰囲気を表しやすく、空間デザインでは部屋全体の印象を左右する。器や紙ものでは、小さな面積でも強い個性を出せる。 同じ色や形でも、模様の有無で見え方は大きく変わる。派手な模様は視線を引きつけやすく、細かい模様は上品さや繊細さを出しやすい。そのため、模様は単なる飾りではなく、見る人の感覚に直接働きかけるデザイン要素である。模様と柄の違い
模様とよく似た言葉に柄がある。日常会話ではかなり近い意味で使われるが、柄はとくに布地や衣服にあらわれるデザインを指すことが多い。花柄、チェック柄、ヒョウ柄のように、ファッションでは柄という言い方が自然である。 それに対して模様は、布に限らず、器、壁、紙、石、自然物まで含めて幅広く使える。つまり柄は使う場面がやや限定され、模様はより広い対象に使える言葉である。も‐よう〔‐ヤウ〕【模様】
模様
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/01 16:24 UTC 版)
模様(もよう)とは、ものの表面に自然に発生する、または人工的に表された図、絵、形などのこと。また、なりそうな様子やそのような状況、という意味で慣用句として用いることもある[1]。一例として、空模様(気象)などがある。
類義語に紋様(もんよう)と文様(もんよう)がある。紋様は平面上に広がった模様のことを特に示す語でたとえば海岸や砂丘に風や波によって描かれた模様を「砂紋」という。文様は人工的に表された模様のことを特に示す語で、例えば土器に縄を使ってつけた模様を「縄文」という[要出典]。また文様のうち、いくつかの線を斜めに交わせることによって表され模様のことを特に綾・文(あや)という。
概要
自然(天候や人間以外の動植物によるものを含む)に作られた模様と、人工的に作られた模様がある。
自然に作られた模様としては、例えば、指紋や旋毛(つむじ)、警告色のように動物の体表に表れるもの、砂紋(人工的なものもある)、地層、植物に見られる葉脈や年輪などがある。人工的なものでは、刺青や衣服、実用品、建築などに施され、塗布、彫り付ける、焼き付ける、刷り付ける、織り込むなどにより描き出される。
文様
歴史
地域を問わず、古代より土器や服飾、建築装飾や実用品に至るまで施された。人工的な模様は、警告や注意のため、装飾の目的のため、また、魔除けの意味を持たせることがある。 最も古い時代に描かれたのは幾何学文様や渦巻、格子などだったが、やがて身の回りにいる動物や植物が取り入れられるようになった。例えば古代エジプトではワニやカバ、パピルスやロータスがモチーフとなった装飾文様が見られる。動物崇拝が盛んだったメソポタミアでは、グリフィンのような神格化された有翼動物がモチーフとされた。また、古代ギリシアに伝わり伝統的なモチーフとなったパルメット文様やロゼット文様も見られる[2]。
古代ローマ以来、ヨーロッパの文様は周辺地域の影響を受けて発達した。ローマ人に征服されたケルト文化では巴形の渦巻文や組紐文(ギローシュ)(en)が発達しており、後のキリスト教美術に影響を与えた。また、サーサーン朝ペルシアなど、イラン高原の王朝で発達した花喰鳥、連珠文、樹下動物、双獣文、有翼獣、狩猟文などの様式がシルクロードを経て東西へ伝播した。ペルシアの文様は7世紀のウマイヤ朝、アッバース朝と続くイスラム文化圏の形成に受け継がれた。イスラム教では偶像崇拝が禁止されたが、アラベスクや装飾文字、幾何学文様がめざましく発達し、スペインやイタリアを経由してヨーロッパの文様に影響を与えた[2]。
中国の新石器時代の土器には、魚や人面を描いて魔除けとした例があり、日本の古墳時代では赤い三角形や菱形を規則的に並べた模様を身に着けたと考えられており、規則的に並べた赤い三角文を付けた「冠を被る男子埴輪」が福島県から出土している。北海道のアイヌ民族は江戸時代後期までアイヌ文様を衣装に用い続けた[3]。
現代でも、案内や警告、注意を促す道路標示などの標示、服のデザイン、書籍等の表紙、製品の表装、建物・乗り物・機器等の表面などに使われている。
種類
文様は、次のように大別される。[4]
- 抽象文様 -- 菱、巴、格子など
- 動物文様 -- 胡蝶、獅子、カブトムシ、鷹など
- 植物文様 -- パピルス、松竹梅、忍冬唐草、宝相華文など
- 自然現象文様 -- 太陽、月、青海波、洲浜など
- 人造物文様 -- 扇、片輪車など
- 文字文様 -- 和歌、吉祥文様など
- 情景文様 -- 花見、南蛮人、源氏物語など
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鎌輪ぬ
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斧琴菊
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三角文を付けた日本の埴輪(「冠を被る男子埴輪」6世紀ごろ。福島県
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自然界の砂の紋様
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タージ・マハルで使われている植物型の文様
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インドのレース文様
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中国唐王朝の直線団花文様
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中国唐王朝の紅宝石文様
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日本の高円宮の家紋
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アフリカの車輪文様
図案は様々で、ある種の規則性がある模様もあり、規則性が全く見られない模様もある。千花模様のように、絵といってもいいような模様がある一方で、七宝文や「蛇の目」のように、幾何学的な模様もある。
連続したものから、絵画のように描かれたものまであり市松模様(石畳・チェック)や縞模様(しま・ストライプ)、格子のように同じ形態が繰り返し用いられることが多いが、それに限らず、植物や動物、風景などを図案化した模様もある。和柄では縁起のいい模様を吉祥文様と呼ぶ。[5]
文字であっても、図案化・装飾化されていたり、繰り返し用いられている場合には文様と呼ぶ。日本では、武士や歌舞伎役者などが用いた家紋や「役者文様」に多く、「鎌輪ぬ(かまわぬ)」や「斧琴菊(よきこときく)」のように文字と図を並べた模様[3]や「吉祥文字崩し」のように文字を分解して散りばめた文様などがある[6]。また、文字としてではなく絵の一部として文字を組み込んだ「葦手絵(あしでえ)」という模様も用いられ、和歌や物事を関連する絵柄に組み込んだ[3]。家紋では、石田三成などが用いた「大吉大一大万(だいきちだいいちだいまん)」や島津氏などが用いた「十文字(じゅうもんじ)」などがある。
関連項目
出典
- ^ 金田一春彦 編『学研 現代新国語辞典 改訂新版』学習研究社、1994年
- ^ a b 視覚デザイン研究所編『ヨーロッパの文様事典』視覚デザイン研究所、2000年、ISBN 4881081519 pp.5-7,47-49.
- ^ a b c 早坂優子『日本・中国の 文様事典』視覚デザイン研究所、2000年
- ^ 『ビクトリア現代新百科』第12巻、学習研究社
- ^ Spicomi「吉祥文様35種類の意味一覧」
- ^ 中村重樹編著『日本の伝統文様』エムディエヌコーポレーション 2005年
参考文献
- 渋川育由、高橋ユミ 編『配色事典 part 3(模様編)』河出書房新社〈配色事典シリーズ 3〉。
- 落合芳幾 画『模様大全]』写。
- 『古代模様』安政3年(写)。
外部リンク
- 求古図譜高島千春、有隣堂、1868年(日本の伝統文様など)
模様
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:02 UTC 版)
縦帯(じゅうたい、英: longitudinal band) または 縦縞(たてじま)、縦班(じゅうはん)、縦線(たてせん) 体の長軸に沿って走る色帯(縞模様・斑紋・細い縞模様)。頭を上、尾部を下にして魚体を立たせた場合の表現。ヌノサラシなど。 横帯(おうたい、英: cross band) または 横縞(よこじま)、横斑(おうはん)、横線(よこせん) 体の長軸方向と直角の方向の色帯(縞模様・斑紋・細い縞模様)。頭を上、尾部を下にして魚体を立たせた場合の表現。ブリモドキなど 斜帯(しゃたい) または 斜走帯(しゃそうたい)、斜縞(しゃじま) 斜めに走る色帯(縞模様)。 放射帯(ほうしゃたい) 1点から放射状に走る帯。 鞍状斑(あんじょうはん) 背から振り分けた形の斑紋。馬の鞍のようであることから。 円斑(えんはん) または 円形紋(えんけいもん) 円形の斑紋。 眼状斑(がんじょうはん、英: eye-spot) または 眼状紋(がんじょうもん) 淡色に縁どられた円形の暗色斑紋。 虫食い状斑(むしくいじょうはん) 虫が食った後のような複雑な斑紋。 パーマーク(英: parr mark) サケ科魚類のみにみられ、幼魚期に体側にある斑紋。成魚になると消えるものが多いが、河川残留型のものは斑紋が消えない。
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模様
「模様」の例文・使い方・用例・文例
- 黒と白の縞模様にする
- このカーテンは食堂には模様がくどすぎる
- ガラスの表面に模様を彫り込む
- 縞模様の生地
- 花模様
- 花模様のドレス
- 幾何学模様
- 不ぞろいな模様
- 空模様からすると,明日は雨だろう
- 天候は荒れ模様となった
- 幾何学的模様
- 縞模様
- この荒れ模様は2, 3日続くでしょう
- この空模様だと天気はすぐには回復しないだろう
- 彼女は白い水玉模様のピンクのワンピースを着ていた
- 部屋の模様替えのため壁紙をはがした
- 青と白のストライプ模様の洋服
- どうも空模様がよくない
- 今日は雨模様だ
- これは公演の模様を収めている
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