アラベスクとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 美術 > 文様 > アラベスクの意味・解説 

アラベスク【(ドイツ)Arabeske】

読み方:あらべすく

シューマンピアノ曲ハ長調1839年作曲題名は「アラビア風」を意味する


アラベスク【(フランス)arabesque】


リャードフ:アラベスク(4つの小品)

英語表記/番号出版情報
リャードフ:アラベスク(4つの小品Arabesque, 4 pieces Op.4作曲年1878年  出版年1879年  初版出版地/出版社Bessel 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 アラベスク 嬰ハ短調 Arabesque cis-moll1分30秒 No Image
2 アラベスク イ長調 Arabesque A-dur5分00 No Image
3 アラベスク 変ロ長調 Arabesque B-dur2分50 No Image
4 アラベスク ホ長調 Arabesque E-dur3分20 No Image

寺内 園生:アラベスク

英語表記/番号出版情報
寺内 園生:アラベスク作曲年1986年 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1番 3分56 No Image
2 第2番 2分29 No Image
3 第3番 2分15 No Image

アラベスク

英語表記/番号出版情報
ブリッジ:アラベスクArabesque作曲年1914年  出版年1916年  初版出版地/出版社: Augener 
ゲーゼガーゼ/ガーデ):アラベスク ヘ長調Arabeske, F-dur Op.27作曲年1854年  出版年1854年  初版出版地/出版社Lose & Delbanco  献呈先: Mathilde Staeger

シューマン:アラベスク ハ長調

英語表記/番号出版情報
シューマン:アラベスク ハ長調Arabeske C-Dur Op.18作曲年1839年  出版年1839年  初版出版地/出版社: Mechetti 

作品解説

執筆者: PTNA編集部

タイトルの‘アラベスク’とは‘アラビア風’という意味で、アラビア建築工芸などにみられる唐草模様装飾のことを指す。音楽では、この唐草模様連想させる装飾的な性格楽曲のタイトルにも用いられるが、最初の使用シューマンだった。
 曲は、コーダを伴うロンド形式書かれ6つ部分分けられる
 第1の部分ハ長調、4分の2拍子で‘軽快に、そしてやわらかく’の指示がある。符点のリズムメロディー繊細ロマンティック進み内声絡み合って歌われていく。第2の部分は「短調特」と記されホ短調の少しゆっくりなテンポエピソード風の部分となる。ソプラノテノールユニゾンメロディー奏でる4声体で書かれ、やや憂鬱な面持ち見せる。第3の部分は、第1の部分再現される。第4の部分は「短調監」と記され第1の部分メロディー変形させたイ短調の音形がドラマティック展開していく。第5の部分も、第1の部分再現。第6の部分コーダ。ゆったりとしたメロディー優雅に夢みるように遠く響き静かに曲を閉じる。


アラベスク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 01:55 UTC 版)

アラベスク(フランス語:arabesque)は、アラビア風の意。アラビア模様ともいう。一般にはイスラム美術の装飾模様のこと。唐草などの植物の蔓(つる)、葉、花の図案化や幾何学図形によって、左右対称で連続性を重視した模様を構成する。イスラム教では偶像崇拝を禁じているために、モスクなどの装飾として広く用いられた。[1]

イスラムの建築(モスクの壁面装飾など)や工芸品に見られる[2]イスラム美術の一様式。植物や文字をモチーフにしたものと、幾何学図形のものがある[2]

幾何学的文様の選択と整形・配列の方法は、人物を描くことを禁じるスンニ派イスラム的世界観に基づいている(シーア派ではムハンマドを除いて描くことは認められている)。ムスリムにとってこれらの文様は、可視的物質世界を超えて広がる無限のパターンを構成している。イスラム世界の多くの人々にとって、これらの文様はまさに無限の(したがって遍在する)、唯一神アラー(イスラムで言う無明時代では「アラート」という女神)の創造のありのままを象徴する。さらに言うなら、イスラムのアラベスク芸術家は、キリスト教美術の主要な技法であるイコンを用いずに、明確な精神性を表現しているとも言えよう。

幾何学模様のアラベスク柄の一例

歴史

アラベスク形式の幾何学的文様を用いた芸術作品は、イスラム世界でも、黄金時代(750年頃 - 1200年頃)を迎えるまでは広く使用されていなかった。イスラム黄金時代には、バグダード知恵の館では古典古代ギリシャ語ラテン語のテキストがアラビア語に翻訳されていた。また後のヨーロッパルネサンスのように、数学、科学、文学、歴史などの研究がイスラム世界に大々的に広まり、プラトンや、とりわけユークリッドの著作が教養人の間で人気を博した。事実、アラベスクの原型となった様式の発生を促したのは、まさにユークリッド幾何学であり、ピタゴラスが体系化し、Al-Jawhari (800年 - 860年頃)が拡張した三角法の基礎であり、Al-Jawhariの『ユークリッド原論注釈』であった。また、我々の届かないところに永遠不滅の完璧な存在がある、とするプラトンのイデア論もアラベスクの発展に影響があったと考えられる。イスラムのアラベスクは10世紀には登場し、その独創的な展開が特徴だった[3]。イスラムのアラベスクをユニークなものにしたのは、その奥行きの発展性だった[4]

  • 象徴主義とモード

西洋人にとってアラベスク美術は、反復する一連の幾何学的形式で、時々カリグラフィーをともなっているようなものに見える。しかしイスラム教の敬虔な信者にとって、アラベスクは彼らの共通の信仰の象徴にして、伝統的イスラム文化が示してきた世界観の象徴である。

タージ・マハルより。

アラベスク美術には2つのモードがある。第一は世界の秩序を支配する原理を表現している。これらの原理は、物体を構造的にしっかりとしたものにし、さらに拡張することによって美しくする根本原理(つまり、角度そのものや、角度が作り出す静的なかたち、とくに三角形をつなぎ合わせたトラス構造)が含まれる。第一モードにおいては、いずれの反復する幾何学形式も、それぞれに固有の象徴性を有している。たとえば、四角形は四つの等辺を持っているところから 、自然界の等しく重要な要素と考えられていた、「土」「空気」「火」「水」の四大元素を象徴する。四大元素のどの一つを欠いても、物質的世界(四角形に円を重ねることで表現される)は崩壊し、滅亡してしまう。第二のモードは、植物の動的な性格に基づいている。このモードは、生命を与える母性(女性性)を表現する。加えて、アラベスク美術の例を多く検証し、第三のモード、すなわちアラビア書道に基づくモードの存在を主張する者もいる。

  • アラビア書道
アラビア書道の例

ムスリムにとって「カリグラフィー(書道)」は、「イデア」(真のリアリティ)と関係するなにかを表現することではなく、あらゆる芸術のうちのもっとも優れたものとされる「ことば(思考と歴史の伝達)」を可視化した表現である。イスラム教において、口頭で伝達されるべき至上の記録は、無論「クルアーン」である。アラベスクには、今日でもクルアーンの一節やことわざが織り込まれていることがある。これら三つの形式があわさってアラベスクを作り出しており、それは多様性から生じる唯一性というイスラム信仰の基本原理を反映している。

  • 役割

アラベスクは、一部の主張に拠れば、美術科学のいずれとも見なしうる。なぜなら、アラベスクは数学的に正確であり、美的に目を悦ばせるものであり、そして象徴的であるからだ。そして、この二面性ゆえに、アラベスクの芸術的側面は、さらに世俗性と宗教性へ細分して考えることができるとされる。ただし、多くのムスリムにとってはこのような区別は意味をなさない。あらゆる芸術も自然界も、もちろん数学も科学もすべて唯一神の創造であり、同一のものの反映だからだ。言い換えれば、アラベスクを構成するかたちを人は発見したが、これらは常にそれ以前から神の創造の一部として存在していたのである。

エスファハーンの王のモスクより。
  • 秩序と統合

イスラム教の核心は、イスラム共同体をともにつなぎとめる統合性である。Protestantのキリスト教を性格付ける構築的分離と違って、ムスリムの世界はきわめて融合的である。このことは、地理的に遠く離れた地域でもよく似たアラベスクが用いられていることにも反映している。事実、あまりに似ているので、所与のアラベスクの様式の由来を判別することは、専門家にとっても時には難しい。この理由は、アラベスクの形成の原理となっている科学と数学が普遍的であることにある。だからこそアラベスクは、イスラム神法やシャリーアとともに、ウンマつまりイスラム共同体を一つの融合体にまとめあげる接着剤となる。

したがって、ほとんどのムスリムにとって、モスクのために人が作りだす最善の芸術様式とは、自然の背後にある秩序と統一性を表現するものである。物質世界の秩序と統合は、(多くのムスリムにとって真の現実が存在する唯一の場所である)精神世界の影にすぎない。発見された幾何学形式は、人の罪によって覆い隠されてきた、神の創造の真に完璧な現実を例示している。

事実、スーフィズムのムスリムは、精神世界と物質世界との間に差異はないと信じる。彼らはまた、我々が精神世界を経験し得ないのは、我々を完全無比な精神世界から遮断する「秘密のヴェール」があるからだと考える。だから彼らは、このヴェールを持ち上げ、地上にありながら神と一体になろうと努める。そして、スーフィズム主義者がこれを実践する一つの方法こそが、世界の描写においてアラベスクを用いることである。

脚注

  1. ^ 渡辺優『図解インテリア・ワードブック』建築資料研究社、1996、86頁。 
  2. ^ a b 渡辺優『室内学入門』建築資料研究社、146頁。 
  3. ^ Bloom, Jonathan; Blair, Sheila S.; Blair, Sheila (2009) (英語). Grove Encyclopedia of Islamic Art & Architecture: Three-Volume Set. Oxford University Press. pp. 65. ISBN 978-0-19-530991-1. https://books.google.com/books?id=un4WcfEASZwC&q=Arabesque+was+probably+invented+baghdad+10th+century+&pg=RA2-PA244 
  4. ^ The Grove encyclopedia of Islamic art and architecture, Vol I. Internet Archive. Oxford ; New York : Oxford University Press. (2009). pp. 65. ISBN 978-0-19-530991-1. http://archive.org/details/groveencyclopedi0001unse 

関連項目

外部リンク


アラベスク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/19 06:34 UTC 版)

バレエ用語の一覧」の記事における「アラベスク」の解説

Arabesqueフランス語発音: [aʁabɛsk]、「アラビア風」の意)。ダンス、特にバレエにおいてはダンサー片方の脚(軸脚)で立ち、もう一方の脚(動脚)を身体の後方にまっすぐ伸ばした姿勢を言う。腕はさまざまなポジション取りうる。軸脚は足裏を床に付ける(ア・テール)、母指球で立つ(ドゥミ・ポワントまたはルルヴェ)、爪先先端(アン・ポワント)のいずれかとなる。

※この「アラベスク」の解説は、「バレエ用語の一覧」の解説の一部です。
「アラベスク」を含む「バレエ用語の一覧」の記事については、「バレエ用語の一覧」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「アラベスク」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「アラベスク」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



アラベスクと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アラベスク」の関連用語

アラベスクのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アラベスクのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2025 PianoTeachers' National Association of Japan
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアラベスク (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのバレエ用語の一覧 (改訂履歴)、アラベスク (バレエ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS