クラブミュージックとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > > 音楽 > ミュージック > クラブミュージックの意味・解説 

エレクトロニック・ダンス・ミュージック

(クラブミュージック から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 23:52 UTC 版)

エレクトロニック・ダンス・ミュージック: electronic dance music)とは、電子音楽の中でも主にクラブパーティーの場において、フロアの人々を楽しませる目的でDJによってプレイされるダンスミュージック[1]音楽ジャンルの総称である。略語EDM(イーディーエム)で、ダンス・ミュージック: dance music、単に「ダンス」とも)、クラブ・ミュージック: club music)と称されることもある[2]

シンセサイザーや、RolandTR-909などのリズムマシーン、シーケンサーなどの電子楽器を用いて楽曲が制作されていたが、技術的な発達に伴いDAW(=デジタル・オーディオ・ワークステーション)を中心とした環境で制作される方式が主流となった。クラブやフェスにおけるDJによってミックス、披露される事が多いため、音楽家作曲プロデュース業だけではなくDJも兼ねていることも多い。

歴史

EDMの前史としては、1972年のホット・バター英語版とポップコーン・メイカーズの競作となった「ポップコーン」のヒットがあげられる。[3]。同曲はホット・バター版がBillboard Hot 100で第9位まで上昇する大ヒットとなり、日本でもヒットしている。またジョルジオ・モロダーが制作したチッコリー(欧米ではチッコリー・ティップ)の1972年のヒット「恋の玉手箱」(Son of My Father)や1976年のドナ・サマーの曲「ラヴ・トゥ・ラヴ・ユー・ベイビー」も、シンセサイザーを駆使した初期のヒット曲である。電子楽器を用いたダンス・ミュージックは、1970年代中期のディスコに遡る[1]。その後波形編集ソフトウェアが利用可能になり、サンプリングした音源の波形データを細かく編集できるようになった。1980年代後半にはイギリスのアーティストがこの手法を用い、ビッグ・ビートが発展した[1]。1990年代には高速なブレイクビーツのリズムと強調された低音部が特徴のドラムンベースが流行した[1]。2000年代中期にはドラムンベースやUKガラージなどを起源とするダブステップが発展した。DAWの発達により、2000年代後半からエレクトロニック・ダンス・ミュージックは世界的に広がった。アメリカ合衆国ではダブステップを再解釈したブロステップなど、様々なサブジャンルが生まれた。

エレクトロニック・ダンス・ミュージックは元々ヨーロッパで人気を博していたが、2000年代後半からアメリカ合衆国、また全世界へ急速に拡大していった[4][5][6][7]。きっかけは、2006年に催されたコーチェラ・フェスティバルに出演したダフト・パンクが行ったピラミッドを象ったステージでのライブであるとされ[8]、そのライブでは最大収容人数が1万人の会場に4万人の人が集まっていた[9]。2004年のアテネオリンピックではティエスト、2016年のリオオリンピックではカイゴ、2018年の平昌オリンピックではマーティン・ギャリックスが閉会式でパフォーマンスをしている。[10]

「Electronic dance music」の頭文字を並べた頭字語である「EDM」[11][12]は、エレクトロニック・ダンス・ミュージックがアメリカ合衆国で人気を得るようになった2000年代後半に、エレクトロニック・ダンス・ミュージック全体を表す経済用語としてアメリカの音楽マスメディアによって作られた[13][14]

定義

エレクトロニック・ダンス・ミュージックは明確なジャンルを指すものではなく、ロックジャズヒップホップなどと同じように様々なサブジャンルを包括した用語である[15][16]。人気のジャンルとしてハウストランステクノダブステップトラップなどがある[17][18][19][20]

エレクトロニック・ダンス・ミュージックには狭義の解釈も存在する[12][21]。その狭義的な解釈ではEDMという言葉は、DJカルチャー以降の音楽的伝統を持たない、ポップなエレクトロニック・ダンス・ミュージックを指す[22]。特に、2000年代後半以降の楽曲はハウスミュージックのサブカテゴリーに属することが多いため、「125〜130 BPM程度の4つ打ち」「ビルドアップからドロップに展開する形式」など、これらの楽曲の特徴がエレクトロニック・ダンス・ミュージック全体の特徴として説明されることがある。その成り立ち故に、従来のテクノやハウス・ミュージックのミュージシャンやファンから区別され、批判されることもある[23][24]

反応

アヴィーチーは、2012年にDJ Magazineのインタビューで、「EDMは単にダンスミュージックの流行語です。よく使われている言葉だけど、包括的な言葉が必要なんじゃないかな」と答えている[25]

ゼッドは、2014年にインタビューで、EDMという言葉はいつ頃生まれたのでしょうか?という質問に対し、「エレクトロニック・ダンス・ミュージックがアメリカでブレイクしたのがきっかけです。全米のニュースで取り上げられるようになり、EDMという略語が浸透した。フルネームよりもEDMという言葉を使った方が説明しやすかったんでしょうね」と答えている[26]

日本のEDM

日本ではUltra Japanエレクトロックス、PACHA FESTIVAL TOKYOなどのフェスティバル・イベントが開催されている[27][28][29]。2020年4月にはDaydream Festivalが初上陸し、「Alan Walker」「Dimitri Vegas & Like Mike」などの有名DJが来日する予定だったが、新型コロナウイルスにより中止された[30]。また、外国のエレクトロニック・ダンス・ミュージックのプロデューサーが著名なポップアーティストの楽曲を手掛ける例もある。

主なミュージシャン

脚注

出典

  1. ^ a b c d Matt Errey. “History of Dance Music”. EnglishCLUB.com. 2020年1月10日閲覧。
  2. ^ Abjorensen, Norman (2017). Historical Dictionary of Popular Music. Lanham, Maryland: Rowman & Littlefield. p. 159. ISBN 978-1-538-10215-2 
  3. ^ "Hot Butter: "Popcorn"". Keyboard. Vol. 21. 1995. p. 30. ISSN 0730-0158.
  4. ^ The Popularity of Music Genres, 2005-present Paul Resnikoff. DigitalMusicNews. October 30, 2015.
  5. ^ Have You Heard of EDM? Google. think with Google. 2015.
  6. ^ The Year In EDM 2013: Daft Punk, Disclosure, Zedd and More Take It to Another Level Zel McCarthy. Billboard. Dec 13, 2013.
  7. ^ How rave music conquered America Simon Reynolds. The Guardian. Aug 2, 2012.
  8. ^ Daft Punk Unchained(2015) Herve Martin-Delpierre. June 24, 2015 (France).
  9. ^ Pedro Winter - Daft Punk "Unchained". 2015.
  10. ^ Martin Garrix平昌オリンピック閉会式のプレイ動画をチェック!”. TokyoEDM (2018年2月26日). 2020年1月3日閲覧。
  11. ^ EDM - Electronic Dance Music” (英語). www.abbreviations.com. 2020年1月3日閲覧。
  12. ^ a b TOMO HIRATA. “EDM特集”. iLOUD. 2020年1月3日閲覧。
  13. ^ It's a $6.2 billion industry. But how did Electronic Dance Music get so popular? Abel Alvarado. CNN. October 30, 2015.
  14. ^ THE HISTORY OF EDM JMC Academy established in 1982. Nov 21.
  15. ^ 5 EDM GENERES THAT WILL TAKE OVER AMERICA INTOTHEAM. JANUARY 12, 2015.
  16. ^ Top 10 EDM Sub-Genres Matt Campbell. Mojo Supreme. 2014.
  17. ^ What I Learned from Analyzing the Top 100 Tracks on Beatport Sam Matla. EDMProd. July 29, 2015.
  18. ^ Texas EDM Events by Genre – 2012 RAGETEXAS. Jan 27, 2013.
  19. ^ Best selling EDM genres according to year, taken from Beatport.
  20. ^ What's Your Favorite EDM Genre? YourEDM. Oct 29, 2015.
  21. ^ EDM、テクノ、ハウス等の違い?”. クラブ遊び.com. 2020年1月3日閲覧。
  22. ^ あのね!第五十回:「EDMってなあに?」”. 2017年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月16日閲覧。
  23. ^ EDMと旧世代”. LOUD. Tomo Hirata (2013年1月14日). 2014年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月3日閲覧。
  24. ^ ジェフ・ミルズがEDMを擁護”. rockin'on.com (2014年10月10日). 2020年1月3日閲覧。
  25. ^ https://djmag.com/top-100-djs/poll-2012-avicii
  26. ^ https://www.youtube.com/watch?v=w2aR_b2--M4
  27. ^ Festival Life|2016年開催予定のEDMフェス Yuki Sagan、フェスティバルライフ、2016年03月01日
  28. ^ tokyoedm|国内初【Tropical Disco】がMAGIC BEACHで開催! TokyoEDM、2016年05月23日
  29. ^ edmmaxx|世界最高峰のクラブ「PACHA」が音楽フェスとして日本上陸!! EDM MAXX編集部、2016年02月22日
  30. ^ Daydream Festival Japan Daydream Festival Japan - 2020.04”. Daydream Festival Japan - 2020.04. 2020年7月18日閲覧。
  31. ^ http://disc-j.net/club-music/edm/557/
  32. ^ http://disc-j.net/club-music/328/
  33. ^ http://disc-j.net/club-music/edm/477/
  34. ^ http://www.clubberia.com/ja/news/5982-EDM-David-Guetta/
  35. ^ http://disc-j.net/club-music/384/
  36. ^ http://disc-j.net/club-music/edm/1056/

関連項目


クラブミュージック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 21:22 UTC 版)

日本の音楽雑誌」の記事における「クラブミュージック」の解説

1989年クラブのはしりとなる芝浦GOLD登場したまた、1991年5月にはジュリアナ東京営業開始しジュリアナ東京ではテクノ音楽メインとなっていった (ジュリアナ東京#選曲傾向)。 1991年3月アウトバーンクラブ雑誌REMIX」を、1994年エクストラクラブ音楽誌Loud」を、1995年エレ・メンツテクノ音楽誌ele-king」を、1997年リットーミュージッククラブ雑誌GROOVE」を創刊した。

※この「クラブミュージック」の解説は、「日本の音楽雑誌」の解説の一部です。
「クラブミュージック」を含む「日本の音楽雑誌」の記事については、「日本の音楽雑誌」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「クラブミュージック」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「クラブミュージック」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



クラブミュージックと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「クラブミュージック」の関連用語

クラブミュージックのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クラブミュージックのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのエレクトロニック・ダンス・ミュージック (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本の音楽雑誌 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS